11月19

不条理な世の中 (3)

今日は輝かしき結婚式の前日。

ミキは、ベッドであの時、あの病室での出来事を思い出していた。

自分でもなぜ龍聖とあの時、あんなことになってしまったのかわからない。

しかし、あの時のおかげで幸せな今がある。

あの時、何度も自分の唇と龍聖の唇が触れ合った。

それ以上のことはなかったものの、あの時、あの場所には
龍聖からの口づけを素直に受け入れる自分がいた。

サトルのことが好きなはずなのに、龍聖からのキスを嫌悪感を感じることなく受け入れる自分......。

あんなに、昔嫌いだった龍聖を受け入れる自分.....。

あの時、あの場所には間違いなく私がいた。

そして、何度も唇を交わした後、ミキは龍聖に改めて真剣に告白されていた。

あの時の龍聖の目は真剣そのものだった。

そして、時は過ぎ今、私の隣には龍聖がいる。

あの告白から龍生はミキのために必死にリハビリをした。
本当に血を吐く思いでリハビリをした。

その結果二度と歩けないかもしれないとまで言われた龍聖は、以前のように日常生活を不自由なく暮らせるレベルにまで回復した。

ミキは泣いて喜んだ。龍聖もミキに泣いて感謝した。

そして気づけばミキと龍聖は心も身体も一つになっていた。

あの日から今日まで、ミキは何度も生まれたままの姿で龍聖に抱かれた。

サトルが必死に勉強している間も何度もミキは龍聖に抱かれていた。

いつしか、あの女を何人も泣かせてきた最低な人間、女を性処理の道具としか思ってなかった龍聖を
ミキは心から愛し、その身体を今まで、龍聖に泣かされてきた女たちと同様にに許していた。

そのまぐわいは誰がどう見ても、恋人同士の、愛し合うもの同士のSEXでしかない。

これまで、美しいミキの肢体を何度も龍聖は味わった。

ミキも何度も龍聖に快感を味わせてもらい女の喜びを知った。

ミキと龍聖は愛し合う言葉をお互いにささやきながら何度も一つになった。

そして龍聖はミキに何度も自分のすべてを注ぎ込んだ
そしてミキも、龍聖を全力で何度も受け止めた。
子孫を残すための交尾をミキと龍聖は何度もした。

ミキのなかに、もはやマサルへの感情はひとかけらも残されていなかった。
ミキはもう龍聖をこころのそこから愛している。

そして、今、ミキのおなかには
新しいく立派な生命が芽生えている。

間違いなくミキと龍聖の子だ

マサルがミキのために頑張って受験している裏で
ミキは龍聖に受精させられていたのだ。

龍聖にとっては以前のギャルの子も含め、二人目の子供だ。
龍聖も今回の子供はしっかりと育てていくつもりだそうだ。

そして、今また、
ミキと龍聖は生まれたままの姿で、脱ぎ捨てられた衣服の散らばるベッドの上で
お互いの美しい肢体と逞しい肉体を絡ませながら抱き合っている。

その美しく愛し合う男女のまぐわいはもはや芸術だ。

明日はミキと龍聖の結婚式

マサルは一人、真っ暗な部屋で龍聖から送られてきた結婚式の招待状を片手に
自分の思い描いていた未来が完全に壊れてしまったことに悲しみで涙を流していた。

本来なら自分がいるであろう場所に、あの龍聖がいることに
ひたすら涙を流した。

なぜ、こんなことになってしまったんだ、
なんで自分じゃなくて、最低最悪な龍聖が幸せを手に入れることができるんだと号泣した。

.........そして10年後、ミキと龍聖は子だくさんな幸せ夫婦に。
マサルはうつ病になり、一人、ニートになったのであった。

                                   終






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