二度終へてまだきおひたつたまくさの尺八すればいよいよ太しき
いかにせんかのたまゆらは髪みだし狂いて君の頬をば噛みにし
ありし日の写真いだき或る宵はまじわりのさま真似てみたりし
年下も外国人も知らないでこのまま朽ちていくのか、からだ
したあとの朝日はだるい 自転車に撤去予告の赤紙は揺れ
灯を消して二人抱くときわが手もて握るたくまき太く逞し
握りしめわがほどのへに當てがひて入るればすべてを忘れぬるかな
わらい繪をながめつつ二人その型をせんとおもへど出來ぬ可笑しさ
われ惱ますこの太きものあるからになべての男憎むなりけり
眼つむりて君たはむれの手に堪へず思はず握る太しきものよ
わが釦ボタンキスしたまえばつよき刺戟身うち轟く心地こそすれ
初版刊行が昭和二十六年十一月
作者は湯浅眞沙子、初版が世に出た時、既に故人であった
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