ずいぶん昔の話だ。
近所に居た子どもまんこはよっつ年上で、子どもちんぽがふたつ年上で、俺もよくそいつらの遊びに加わった。そこの親が出かけたとき、3人でよくやってた。幼くてろくにぼっきもしてないのに、仰向けまんこの言う通りそこに押しつけただけで、入ってたのかどうか。でも楽しくて、ずっとケタケタ笑ってた記憶がある。そのうち親が帰ってきた気配で、ズボンとパンツをサッと上げて裏口から逃げた。
子どもえっちと同時にそういうスリルも味う。昼間から子ども3人家の中で何してたのかって、ばればれだったと思うが、そういうのをまわりの大人は怒ったりしなかった。
家から離れた歩いて30分くらいの、雑木林の端の岩場の向こうに、脱衣所も何もない雑な造りの露天風呂があった。掛け流しというやつだ。母親によく連れて行かれた。
暑い夏のさなか、蝉の鳴声がうるさい坂道を登った。すれ違う大人は、服を手に持ってふんどし一丁とか、腰巻だけで乳房丸出しとか、そういう格好ばかりで、子供は当然に全裸だった。爺さん婆さんたちは「暑ぃー、暑ぃー」とか言いながらみんなすっぽんぽんで下りてくる。年寄りのイチモツぶらぶらや、バアさんの真っ黒毛まんこやらを、汗を拭き拭きぼんやり眺めてた夏だった。
大人になって知ったんだが、村内に広く山林を所有していた隣町の大店が、林道を通そうとしたらしい。木材を売るだけが目的じゃなくて、でも役所から金が下りなくて、私財にも限りがあったんだ。しろうと人夫ばかりの危なっかしい工事だったらしい。つまり、その露天風呂にはよその男もおおぜい来てたっていうこと。
露天風呂に着くとまず、服を風呂敷に包んで脇の岩に置く。母親の体は筋肉質で引き締まってた。スッポンポンで手拭いだけ持って、正面を向いてどこも隠さず足を開いて仁王立ちになり、男どもに裸を晒しながら堂々と歩いてた。
いつもの通り反対側に行って、湯の淵に片膝をついてもう片膝は立てて、股を大きく開いて楽な姿勢をとると、丸見えだった。手を伸ばして湯加減を見てた。湯には正面には首まで浸かってる男らがいる。向こう側に腰掛けてる男どももこっちが見えてるはずで、母親のご開帳はそいつらから丸見えだったと思う。
これが、近所の顔見知りの男らには興味ないもんなんだ。だが、よそからきた奴らは結構見入ってたよ。そういう男どもの遠慮のない目線も女たちは嫌がってなかった。母親も全然気にしないで、気持ちよさそうにかけ湯をはじめた。
そこらの湯の淵に腰掛ける時も、今思うとそれもすごい光景だった。日焼けして、ガタイマッパの筋肉男たちが、黒光りする陰茎をブラブラ晒して占領してる。女どもは胸だけ手拭いで隠して、愛想振りまきながらそこに割り込むんだ。
のんびり世間話を始めて、女たちはだんだんリラックスして足が開き気味になる。まん毛もおさねも惜しげもなく男たちの目に晒される。大人女たちはみんなそんな感じだった。
寝不足疲れとか空腹とか、そういうので勃起する男が時々いた。あの頃の大人たちはそういうの隠さないし、まわりの男も女も全然気にかけなかった。風に晒しているとそのうち勃起はおさまる、そういうのを何度も見た。よくある自然現象なんでまわりも無関心。
集落の女たちもよく数人のグループで来てた。ほとんどが近所の顔見知りで、女たちもマッパ晒し放題というのが当たり前だった。
女たちは何かにつけ男の体にちょっかいを出してふざけてた。若い女も年配の女も、親しみを込めて、どの男にもそうする。よその男にも遠慮なくちょっかいを出してた。肩に手をのせたり、ふざけて脇腹を突っついたり、腕を引っ張ったり。
皺くちゃ婆さんたちは壮健な男どもの太ももにペタンと手を乗せるんだ。そして、お前を子供の頃から知ってる、ヤンチャだったよなぁ、とか言いながらアレを握りだすんだ。その男たちは気にしないで、そのままされるしかなかった。薄笑いしながらじっとしてたな、大人の男たち。それで勃起するのは男の恥なんだ。
湯の淵では男どもが女たちの体に手を出すというのは見なかった。そういう暗黙のルールなんだろうと思った。ただただ女が男に触るだけで、子供心にそれはかっこいいと思って見てたな。
母親に付き添って、俺もそういう女たちの横に腰掛けた。今度は俺たち子どもチンポがよく狙われてたって話。子どもなりに警戒はするが、大人女はスキを見て上手にすっと手を伸ばす。手の平にちんぽをすっぽり納めて、ぐっと押し付けて、素早くてはらい除けるとかできなかった。さするとかじゃなくてモロに握るんだ。親もまわりの大人も、みんな気付いて見てるんだよ。せめて湯の中とか、見えないようにして欲しかったよ。
いつの時代も、大人は子どもをからかうものだ。まわりの大人はニヤニヤしてた。こっちにも来いって言う女もいる。いやだよ!って、愛想笑いでおれは拒否したな。
相手は幼い頃からよく知っている女たちなんだ。おれもやられっぱなしじゃなくて、ニヤニヤしながら、目の前の黒々まんこに手を伸ばしてみた。怒られるかと思ったが、違った。ニヤッと笑って足を少し拡げるんだ。オーケーだってことか、陰毛はざらざらで、その奥は柔らかくてにゅるにゅるしてる。大人女は「おぅ、おぅ」とか言いながら、笑っておれを見てた。
離れたところから男たちが声をかけた。
「“観音さま”わかるのかよ」
その“観音さま”はご開帳じゃないと拝むことはできないし、手探りじゃよくわからない。近所の子供まんこにちんぽを押し付けたりしてよく遊んでたけど、大人まんこは全然違う。うちの風呂で婆さんや母親のまんこも見るし、婆さんなんか俺の手を取ってさわらせてくれたもんだ。それでも位置関係(!)とかよくわからない。子供の知識はあいまいだ。
聞かれて無言で首をかしげた。みんなクスクス笑った。母は笑いを手で隠して、俺をそっと小突いた。
交通の便なんか無い山ん中、現金仕事なども無い、ど田舎だった。どこの家もふところ具合や蓄えなんて知れたもの。なので少しぐらいの怪我や病気じゃだれも町の医者には罹らない。そういう土地柄では、今じゃ考えられないような民間療法の類いが残ってた。
こんなこともあった。勃起したよその男に向かって横の男が気遣いの言葉をかけた。
「あんたも疲れてるな。今日もあれもやれ、これもやれだったよな」
すると勃起男がこういった。
「親方がよ、予定が遅れてるばかり言ってよ。ああ疲れた、こっちの肩も痛む」
横の女が勃起男に言った。
「肩も痛むのか、キツい親方なのか、大変だな」
母が勃起男に言った。
「にいさんごめんな、ここじゃ相手してやれん」
横の男が低い声で
「あの茂みの後ろ、手頃な草むらがある」
そういった時だった、勃起男が無言で立ち上がって茂みの方に歩いて陰に回り込んだ。数人の女がハッとしたように顔を上げて、無言でお互い見合ってた。立ち上がったのは母親だった。遅れないように後に続いた。横の男がおれに言った。
「ぼうず、いい子だから待ちなよ」
みんな黙りこんで、露天風呂がシーンとなった。カラスの鳴き声や木立を通る風の音だけになった。
しばらくして、二人が茂みの脇から出てきた。みんないっせいに振り向いた。
男は憑き物が落ちたような表情で、目も生き返ってた。母親は顔面紅潮させて、口元がゆるんでた。
「肩の痛みも取れた、どなたか存ぜぬが礼を言う」
男が言うと、母が笑顔で答えた。
「いいえ、こちらはお粗末なものでございました」
横の女が笑って言った。
「なあに、減るものでもないし」
何があったのか子供じゃよくわからないこと、立ち入れないことだった。
まもなく母親に促されて帰り支度をした。
「じゃ、お先しますよ~」
母親の明るい声に男も女も口々に答えてた。
「はいよぉ、ありがとな」
「気ぃつけて帰りな」
「いいもん見してもろうたな」
「旦那によろしくな」
民間療法など本当に効果があったのかどうか、今じゃ確かめようもないが。
どれもずいぶん昔の話だ。
言っとくが、母親は普通の主婦だったよ。農家の主婦で、とうの昔に逝った。うちは人夫仕事程度の兼業農家だった。
おれもかなりの年になった、こんな恥ずかしい話を人に言える。