12月29

○○によくいるような奴(つ)

小学校の時、親友ってくらい仲良くて毎日遊んでたA男と大学で再会した。
いきなり「トッチ」(←俺の小学生の時の渾名wwwハズカシス」と呼ばれて振り返ったら
別人かってくらい太ったA男がそこにいた。

「A男か…か、変わったな」
「トッチは変わらないなー、すぐわかったよ」
なんて会話をして、ちょっと昔話をしてから、今何してんだって話をした。
その結果、A男と俺は一般教養のクラスは違うが同じ学部(デカイ)であることがわかった。

で、その日は二人で飲みに行った。
昔話をしてるうちは良かったんだが、A男は高校でちょっと対人関係につまずいて
ネットにハマり、ネトゲ板かν速か萌えコピによくいるような奴になっていた。
ν速のアレはほとんどがネタだと思うけど、A男のそれはマジだった。

当時俺は某スポーツ系サークルに入っていた。
それを言うとA男はみるみる不機嫌になり
「あんなビッチばっかりの集団によく混ざってられるな」
「いわゆるスイーツ(笑)のクソ女ばっかじゃねえか」
「親から譲り受けた黒髪をわざわざウンコ色に染めるバカ」
といきなり罵倒を始めた。ネット上でならまだしも、ほんとに自分の口で
「スイーツ(笑)」とか「非処女はカス、生きる価値なし」と言うやつを初めて見た。

でも俺も2ちゃんねらーであることは確かなので
人のことは言えねーかと思って、場を盛り上げるため、実況民であることや
漫画はあらかじめ漫画板で評判見ないと買わないようにしてること等を話した。
A男は嬉しそうだった。
「やっぱトッチだけは俺のことわかってくれるな」
なんて言っていた。

その後、A男は俺とやたら一緒にいたがるようになった。
サークルのやつらとしゃべってても割り込んでくるし、学食でメシ食ってても隣に座りたがるし
ガンガンメールしてくるし、電話出ないと不機嫌になるし。お前は彼女か。
A男には言ってなかったが、俺にはいい感じになりかけてるB子がいた。
まだエッチはしてなかったが、何度かデートして、お互い好きだってことは伝えてたから
まあ実質付き合ってるようなもんだ。
キャバ嬢みたいな外見には程遠いが茶髪だしオシャレだし、飲んべえだし(タバコは吸わない)
いかにも黒髪処女大好きなA男の嫌いそうな女だった。
だからA男には言わない方がいいだろうと思っていた。

夏休み、サークルで海合宿しようという計画が持ち上がった。
A男には「サークルで合宿行くから、その間は電話もメールもつながんねーぞ」
とだけ言っておいた。
だが当日、集合場所に行ってみたら何とA男がいた。腰が抜けるほどびっくりした。
他のメンバー(女の子)にしつこく付きまとって、
「教えろ、教えるまで離れない、家までついていく」と脅したらしい。
そのメンバーには俺から平謝りに謝った。

当然俺を含めたサークルメンバーや先輩に「帰れ」「連れていくわけないだろ」「誰だお前」と
責められまくるA男。A男、しばらくプルプルしていたが号泣。
地団太踏んで号泣。えぢて、しゃくりあげて、何十分も泣きやまない。
結局部長(すごくめんどうみのいい、良すぎる人)がOKを出してしまい、A男もつれていくことになった。
俺はまた皆に謝り倒した。
行きの車内、俺はB子と隣同士でラブラブしながら行く約束だったのに、隣はA男。
げんなりだった。

俺はB子を危険にさらしたくなかったのでA男に、俺とB子がいい感じだと知られたくなかった。
だが当然、A男にべったりまとわりつかれてる俺がB子には不満。
せっかくの合宿なのに、ろくに話もできてないし。

とりあえず海で遊んだあと、夕方からBBQになった。
火をつけるのに協力するでもなく、野菜を切るでもなく、突っ立って
「早くしろよ」
「最近の女はろくに料理もできないからな。手際悪くて当然か」
「男に寄生して屁こいて寝てるだけ。男に股開いてりゃ金が入ると思ってんだろ」
などと女性陣に向かって暴言を吐きだす。俺が注意すると
「トッチはどっちの味方なんだよ!!」
と目をうるませて怒鳴る。
さすがの俺も「こいつマジモンだ。きめえ。昔のA男はもういないと思った方がいい」と悟った。
「お前帰れよ。駅まで送ってやるからもう帰れ。お前邪魔。いてほしくない」と言った。
顔真っ赤にしてプルプルするA男。

そのとき俺の背後からB子が
「あんた最低。何しに来たの?場の空気壊して楽しい?みんなを不愉快にして楽しい?
一日中ずっと他人に嫌な思いさせることばっかり言って、働きも片づけもしないし、散らかしてばっかりで
ニヤニヤしながら女子の足とか蹴って、いったい何がしたいわけ?」
と言った。
ちなみに合宿直前、B子は夏向けに、髪をより明るい茶色のショートカットにしていた。
茶髪ショートカット、活発で率直、片手に缶ビール(BBQ中だから)、A男の大嫌いな女像だった。
(他にもっとキャバぽいメイクの付け睫毛バシバシのガン黒ギャルもいたが
そっちはA男に近寄りもしなかったので被害にはあってなかった。)

A男はブチギレた。
B子を殴ろうとしたが、B子によけられてよろけ、砂に膝をついた。
膝をついたままB子を指差して
「お前っ、非処女だろ!!!!」と怒鳴った。
B子は「あんたになんでそんなこと言わなくちゃならないのよ!!!!」と怒鳴り返した。
もっともだった。A男は詰まった。
俺は当たらなかったとはいえ、B子を殴ろうとしたことにブチギレて、横からA男に飛び蹴りした。
A男は吹っ飛んだ。生まれてはじめて飛び蹴りがきれいにキマって、こっちが驚いたくらいだった。

倒れて泣いてるA男の両脇と脚を3人の先輩が無言でかかえて、車に積み込んだ。
A男が窓から「トッチー!俺に何か言うことねえのかよー!!」と言うから
「二度と電話すんな」と言った。
その後先輩たちはA男を駅に置いてきてくれた。また俺は平謝りした。

B子にも土下座して謝った。
B子には「俺男くんも処女とかそういうの気にする人なの?」と言われたが
「真剣に付き合った結果なら当たり前だと思うし、ぜんぜん気にしません」と答えた。
まあまあ及第点の答えだったらしく、許してもらえた。

合宿から帰ってからもA男はガンガンメールしてきて、電話は出なかったけど
「ビッチにたぶらかされやがって」
「マンコの分際で俺に生意気な口をきいたあのクソ女を許さない」
などという電波なメールが溜まっていった。
ある程度溜まったところで、親しい講師と事務局に見せて「怖い」と相談した。

大学側から無事注意がいったらしいので、そこで着拒にした。
俺とB子は正式に付き合った。
A男は俺と同じゼミになることをまだ狙ってたらしいが、直前に回避した。

ある時、帰ろうと思って学内の自転車置き場にいたらA男が立ってて
「ビッチのマンコに骨抜きにされやがってよ!くっさい非処女押し付けられてくやしくねーのか、バーカ!」
と怒鳴られた。
なんかもうどうでもよくなって「いや、B子は処女だったし」と正直にポロっと言ってしまった。
その瞬間のA男の顔は忘れられない。
ショックとうらやましさと嫉妬と俺に対する執着とで呆然…って感じ。
ざまぁと思わないでもなかったが、それより「こいつほんとうにどうしようもねーな」
という思いがまさった。

それきりA男のストーカー?はやんだ。
俺とB子はもう卒業して就職してるけどA男はまだ在学中らしい。
B子とは春から同棲してます。親に紹介済みです。

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