昔、私たちの祖先は乱交をしていたと私は主張しますが、だからと言って、彼らが見ず知らずの人ともセックスをしていたとは言っていません。
当時の社会に見ず知らずの他人などいなかったのですから。そうでしょう?
狩猟採集をしながら生きていく社会的集団の中に、見ず知らずのよそ者がいるわけがありません。
その社会で生きていれば、その中で生活するすべての人々を知っているわけです。
複数人と同時にセックスをする間柄になる、つまり私は、その社会の中で私たちの祖先は常に複数の異性とセックスをしていたのであろうと主張します。
しかし、彼らは行きずりの見ず知らずの人とセックスをしていたと指摘している訳ではありません。
愛していない複数の相手とセックスをしていたと言うつもりもありません。
当時、お互いとしか付き合わないというカップルが成立しなかった、と言っている訳でもありません。
私のポイントは、当時は性がオープンであったと言いたいのです。
例えば私の両親は52年間、一夫一婦制を守ってきました。
もしそうでないのであれば、父さん、母さん、私に決してそのことを分からせないでください。
一夫一婦性以外の関係性を批判しているわけではありません。
私たちの祖先が性的に淫奔だったことを、一夫一婦制の観点から批判することは、 私たちの祖先は雑食だったことをベジタリアンが批判するのと同じようなことです。
ベジタリアンになろうと決めることはできますが、そうなると決めたからといって、ベーコンの良い香りに惹かれなくなるわけではないですよね?これが私の言いたいことです。
常にセックスすることが出来る人間の女性。
チャールズ・ダーウィンは天才であり、素晴らしい人であり、素晴らしい夫、そして素晴らしい父親であると同時に、ヴィクトリア時代並の潔癖さを持っていました。
彼は、チンパンジーやボノボ等の霊長類の性器の腫れ上がりに困惑しました。
なぜならメスの性器の腫れが、性的にオスを引き寄せる傾向にあったからです。
なぜメスはこのように性器を膨らますのだろう?
メスとオスがつがいのペアになるのであればこんなことにはならないはずだ、とダーウィンは当惑したのです。
ダーウィンは知らなかったことですが、チンパンジーやボノボのメスは、性器が膨れ上がっている時には一日に最高で12頭のオスと一回から四回の交尾をします。
興味深いことに、チンパンジーのメスは生殖可能な生涯の時間の約40%、ずっと性器が膨れ上がっています。
ボノボのその時間は90%です。
人間の女性はこの地球上で生理中であれ、閉経後であれ、妊娠中であれ性交可能な、唯一の種です。
これは哺乳類において、ものすごく希少です。
これは人間のセクシャリティにおいて興味深い側面であります。
ダーウィンは当時彼の生きていた世界で、人間の女性の性的アピールが霊長類のメスのアピールと似ていたことを見落としました。
複数のセックスパートナーを持つことが当たり前の世界、彼女たちは中国南西のムスオという部族の人で、彼らの社会では男女関係なく、すべての人が完全に性的に自立しています。
セックスに恥という概念が存在しません。
女性たちは何人ものセックスパートナーとセックスをしています。
誰も気にしませんし、陰口や噂話にもなりません。
それは全く問題とならないのです。
その社会の中で女性が妊娠すると、その子供は母親、母親の姉妹、兄弟によって育てられ、父親が誰かということは問題になりません。
地球の反対側、アマゾンの中には人類学者が呼ぶところの「複数の父親」制度がある部族がいます。
この文化はその土地で自然と発生したものですが、彼らはたくさんの精子の寄せ集めによって子宮に子が宿ると信じています。
その文化が意図的に伝達された様子はありません。
つまり、女性が賢く、面白く、強い子供が欲しいと願う時、彼女は賢い男、面白い男、強い男、彼らそれぞれから彼らの望ましいところを自分の子供に引き継がせる為に、彼らとたくさんのセックスをします。
彼女の子供が生まれると、彼女とセックスをした男たちは皆がそれぞれ進んで彼女の子供の父親であることを認めます。
つまりその社会の中では、子供の父親として複数の男性が協力しあう、子供に対する責任をシェアするというシステムが出来ているのです。