04月21

たぶん、M

仕事が退けたあと、食事に誘われて、帰りに車で送ってもらう途中の出来事。
生まれて初めて好きな人を裏切りました。浮気です。

可能な限り思い出して書くつもりなので。長いです。

相手は、当時30歳で私より7つ上。Kさん。
取引先の担当で、すごく仕事できる人。独身でした。

以前から、たまに食事に誘われたり、お酒の席に呼ばれたりというのはあったのですが、
二人っきりはなかったし、この日もそうでした。
車で送ってもらうのも何度かあったけど、いつも別になにもなく。
こっちに彼氏がいるのは向こうも知ってたので、いつも遅くなる前に帰してくれたし。

そんな感じだったので、少し油断してました。

路肩に車を止めて、自販機でお茶をおごってもらい、そのまま話をして。
恋愛話になり、カレ氏の浮気で悩んでることをつい喋ってしまった。
そのうち妙な雰囲気になってきたいうか、相談に乗るフリをされて、巧みに雰囲気を
作られてしまって。

Kさんに恋愛感情は持ってませんでしたが、仕事では頼れる人として好意は持ってたし、
彼のことでヘコんでいた時期だったので、「このまま口説かれたらどうなるんだろ」なんて
考えてしまった。少し投げやりでした。
私は、一人にのめり込むタイプで、今まで遊んだことがなくて。
その反動があったのかも。

「○○さんも、カレへの仕返しで浮気してみたら?」

と言われ、シートベルト外してたので、あっという間に抱き寄せられて、キスされました。
振り向かせ方、唇を重ねるタイミングが上手で。
強引だけど無理やりっぽさを感じないキス。
女性の扱いになれているのだと思います。

「やめてください」
と抵抗したのですが、迷いがあって、拒みきれなかった。

「抵抗したいならしてもいいけど、絶対に抱くから」
って真顔で言われて。

適度に強引なのと目力に弱いので、正直胸がときめくのを感じました。
今考えると、強引というより脅しですけど。
言葉とは裏腹に、抱き寄せる手は乱暴ではなく、触れる指先は優しかった。
逃がさない力加減を心得ているみたいな。
ついばむような軽いキスを何度も繰り返されて、少しずつ私の唇も開いていきました。

     ×     ×     ×     ×

それでも理性を保たなきゃと思って、
「あたしまで浮気したら、●●くんと本当に壊れちゃう」と突き放そうとしたら、
「彼を気にかけたままの○○さんとしたいな。そのほうが燃えるし」と返されました。
ずっとあとで聞いたのですが、彼氏の話を持ち出したときの私の過敏な反応を見て、
“煽れば乱れる”と思ったらしいです。

このあと、本当にそのとおりにされてしまうのですが。

Kさんがソフトタッチしながら、わざと彼のことを思い起こせるようなことを口にしてくると、
背徳感が湧き上がってきて、踏みとどまらなきゃって気持ちがどんどん薄れてくる。
わかってたことだけど、スキンシップに弱い。
「スイッチどこ?」って、ブラウスの上から胸の先っちょ探り当てられ、声を押し殺せなくなって。

『敏感だね。声、出ちゃうタイプなんだ?』
『感じ始めると目が潤むんだ。すっげーそそる』
『カレとするときもこうなの?』
『ヤられたいって顔してるよ』

えっちい言葉を次々に投げかけられて、泣きそうになったけど、口ではイヤイヤ言ってる自分と、
心の中で流されてもいいと思ってる自分がいました。

体が目当てなのはすごく感じました。
でも、Mっけの強い私は、意地悪言われながら愛撫されるのがツボに入ってしまって。

正直、好きじゃない誰かと……と考えたことがないといったら嘘。
貞操観念が崩れたら、自分が流されやすい女だということに気づいてしまった。
再び抱き寄せられ、キスされたときに、私からKさんの首に抱きついて応じてしまいました。

もう、トロけそうで。
というか、体も心も完全に溶けてしまった。オチました。
はっきり、Kさんに抱かれたいって思った。

それから、いいように体を触られて、
「そんなにエッチな声で鳴いて、イヤ、ダメはどこいったの?」って煽られた。

スカートの中まで手が伸びて、ストッキング越しでしたが、敏感なところまで侵入を許してしまい。
両手を頭の上に拘束されて、なすがままです。
足を開いて受け入れている自分を、ただジッと見てた。

「見て。カレ以外の人にクリ攻められてるよ?
 こんなこと許していいの?」

容赦なく指を使われて、腰が跳ねてしまう。
イク寸前まで追い詰められ、ホテルに行くことを承諾させられました。

     ×     ×     ×

ホテルに着くまでの間も、

『意地悪されるの好きでしょ?』
『30分後には俺の上で腰振ってるかも』

とか、たっぷりいじめられました。
囁かれるように言われると、弱い。
Kさんも、それがわかったみたいです。

「彼女じゃないから手加減しないよ」
って台詞が怖かったけど、なにをされるんだろう? ってドキドキした。

部屋に向かうエレベーターの中でも抱きしめられて。
わざとかわかんないけど、私の体にアレが当たって、すごく硬くなっているのがわかりました。
強く求められてるってわかったし。
「これからKさんとするんだ」ってイヤでも意識してしまった。

部屋に着いてから、Kさんが先にシャワーを浴びて、私は待つように言われました。
帰るチャンスかも、と考えながら、携帯に彼から連絡が来ないか待ってた。
夜勤なので、メール一本来るわけないのですが。

カレが浮気したときは、どんな気持ちだったんだろう、と考えてた。
私に対する後ろめたさとかあったのかな。
それとも、単純に他の女の子としたかっただけなんだろうか、とか。

腰を上げることはできず、時間だけが過ぎていって。
結局、Kさんに身を任せたい気持ちが勝ってしまった。

ローブを羽織ったKさんがお風呂場から出てました。
立ちあがるように言われ、抱きしめられてキスされた。
フレンチからはじまって、私の反応をうかがうように時間をかけてから舌を絡めてきて。
やっぱり、キス上手いなって。私も自然に反応してしまった。
すごく長い時間キスしてたと思う。

スキンシップではない本気の愛撫に、全身の力を奪われていく。
支えてもらってないと立っていられないくらい。

「車の中でいい匂いがして、我慢できなかった。
 どんなふうに乱れるか、楽しみ」って言われた。

「あたし、Kさんを見る目、変わりそう」
少しだけ湧き上がった軽蔑感を、正直に口にしました。
「お互い様だろ。もっと気の強い子だと思ってたけど。
 押しに弱いと知ってれば、もっと早く迫ったのに」

「お尻ちっさいよね」って、撫でられて、ピシャッて叩かれた。
そっか、なんでもないフリして、そういう目で見てたんだ。
男の人ってわかんないな、って思った。

シャワー浴びさせてくれないっぽいので、ちょっとイヤがったんだけど、
「フェチだから、どうしてもスーツ着たままの○○さんとしたい」って言われて、そのまま。

ベッドに移ってから、「買ってあげるから」と言われ、ストッキングも破られてしまって。
こんなのいやって言ったけど、ホントは乱暴されてるみたいでちょっと興奮しました。

「彼氏に悪いと思ったら感じちゃダメだよ」

そう言われても、我慢できなくて。
カレの顔は浮かぶけど、“ゴメン”とか全然考えられない。
休みなく体の色んなところを同時に触られて、声を殺せずに身をよじるしかなくて。
Kさんが「弱いところだらけだね」と呟きました。
言葉でも責められて、どんどん淫らな気持ちが増していく。

いきなりストッキングの破れ目から下着をずらされてしまい、
「ドロドロになってる」って言われた。
空気に触れたら、自分でも信じられないくらい濡れてるのがわかりました。
それと、ライナー使ってるのがバレて、剥がされた。恥ずかしかった。
脚を少しでも閉じると、力強い手でこじ開けられる。
好きな人以外に大事な部分を見られたことも、おもちゃにされて濡らされたことも悔しかったけど、
溢れるのを止められない。

「鏡を見て」

Kさんの腕の中で翻弄される私が映ってた。
後ろから抱えられ、しなだれて、体を預けてる。
たくし上げたスカートの中を弄ぶようにKさんの指が踊っていて、絶え間なく喘いでいる私をジッと
観察してるのがわかりました。
ローブを着たKさんと、着乱れた私。
対比がひどくいやらしくて、思わず見入ってしまった。

Kさんの指先が私の顔を撫で、唇を割って指が侵入してくる。
愛する人にするように、Kさんの指を吸い、舌で転がして、甘く噛む。

「本気になってきたね」とKさんが言いました。

     ×     ×     ×     ×

膝立ちになるように促され、向かい合いながら、さっきよりも深く唇を求め合いました。

「キス、好き?」
「うん。チュー、弱い」

仕事での関係はすっかり崩れてしまって、いつしかKさんに甘えてる。

キスをしながら、Kさんがローブを脱いで裸に。
逞しくって、正直、カレより色濃いオトコを感じた。

手を導かれ、Kさんの股間に触れました。
もう、すごく硬く、大きくなってた。熱かった。
これで貫かれるんだ、って思った。
Kさんも、私のあの部分に指を触れる。
自分ではよくわからなかったけど、パンツがぐっしょり濡れて「冷たくなってる」って言われた。

互いの大事な部分を確認しあいながら、またどちらからともなくキスをかわす。
舌と舌を絡め合う音と、私の蜜の音。
二つの湿った音が交わって、耳を刺激する。
とにかくキスが上手くて、頭の中がぼーっとなる。もっと欲しくなる。

せつなくなってきて、私からKさんの首すじに唇をあてがって、ボディキスをしました。
もう、止まらなくなってた。

「思ってたより、ずっとやらしいんだね」

堕ちた私を見て、Kさんが言いました。

     ×     ×     ×     ×

Kさんがゆっくり立ち上がり、気が付くと、前に跪いている自分がいました。
何をさせる気かわかったけど、すごく自然にそういうカタチになってしまって。

今までその人との初エッチでは口でしたことなかったので、そう伝えました。
そしたら、「そんなの関係ない」って。
口元に突きつけられて、拒めなかった。

「いつもするようにして」と言われ、観念して、そのとおりに。
優しく髪を撫でられながら、手と口でKさんを愛しました。

最初は目を閉じてしてたんだけど、Kさんが時々切なそうな吐息を漏らすのが気になって、
ふいに見上げると、私をじっとみつめてて。

恥ずかしくて、顔を背けたら、
「ダメ、してる顔みせて」
って、頬に押し当ててきた。
無理っぽく口に押し込むようなことはしてこない。
私が自分から唇を開くの待っているみたいで。
仕方なく、またKさんを口に含みました。

「こっち見ながらして」

視線を痛いほど感じながら、時折見上げる。
見下ろされてるのが屈辱的だったけど、逆らえずに従っていると、次第に倒錯感が次第に増していく。

「すっげーやらしい目してる。
 ○○さん、フェラするとメスになるんだ」

もう、頭の中がぐちゃぐちゃでした。

とうとう、その瞬間が。
ソファーに連れて行かれ、腰をかけた状態で脚を広げられました。

「入れるよ。覚悟できた?」

問いかけに返事はしなかったと思うけど、どうしようもない切なさに心が支配されていて。

Kさんがゆっくり浸入してきて、奥まで届く。
やだ、って反射的に口にしてしまったみたい。

「イヤなの? もう根元までいってるよ」

言われた瞬間、背中がぞわっとした。

自分でも、わかる。
いつもと違う感じがする。
彼じゃない人に征服されてる後ろめたさと、満たされた感覚でおかしくなりそうでした。

ゆっくりゆっくりKさんが、私を味わうように、焦らすように動き始める。
ただ激しくされるより、ずっと好き。

私の髪を両手で撫でながら、じっと見つめてきて、私も見つめ返す。

「キスして」

っていわなくても、仕草でわかってくれる
私、自分から唇を開いて、キスを待ってる。
Kさん、エッチ上手すぎる。

溺れる私を見て「感じてくれてうれしい」とKさんが言いました。
私はいっぱいいっぱいなのに、どうしてそんなに余裕なんだろう。
不思議で仕方なかった。
私の中、気持ちよくないのかな。とか、余計なことを考えてしまった。
聞こうかと思ったけど、Kさんにも気持ちよくなって欲しいと思ってる自分に自己嫌悪して、黙ってた。

     ×     ×     ×     ×

突然、「今、誰のオンナなの?」って問い質されて。
答えずにいたら、一突きされて泣かされた。

「見て。俺が刺さってる」
「Kさん、エロすぎだよ」
「好きでもない男にアソコ楽しまれちゃってるね、ほら」

繋がっている部分を見せ付けられて、じっくり何度もかき回される。
Kさんが埋めるてくるたびに、やらしい音がしてた。
下着をつけたままなのも卑猥で。
わざわざソファーに移動したのは、見せ付けるためだったのかもしれない。
ホントに楽しまれてる、弄ばれてる、って思うと胸が苦しくなった。
視覚でも音でも言葉でも、気が遠くなりそうになるくらい背徳感を煽られました。

「誰のオンナか答えて」
「いや」

また急に深く打ち込まれる。
私を翻弄したいときや質問の答えを言わせたいところで、わざとピッチを上げてくる。
不意打ちされて、私が高い声で乱れる。

「お願い。意地悪しないで」
「彼女じゃないから手加減しないって言っただろ」
「……」
「今は、誰のオンナ?」

諦めて、「今はKさんに抱かれてる」って答えました。

Kさんは満足したのか、「ベッドでしよ」と、私をだっこしてくれました。

それから、卑猥なことを言われたり、裏切りの言葉を口にさせられつつ、ゆっくりと互いの体温を
確かめるような、今まで無かったくらい密着度の高いSEXに溶かされてしまった。

私がKさんの上になったとき、
「さっき言ったとおり、腰振ってる」
そう言われて、恥ずかしくて死にそうだった。

でも言葉でいじめるけど、強い口調ではなくて、不快ではありませんでした。
もしも、もっとキツい命令調だったら、耐えられなかったと思う。
やさしく囁くように意地悪してくるので、たまらない気持ちになる。
言葉でいじめたあとも、「頑張って言ってくれたね」とか、フォローしてくれるし。
いじめられっぱなしじゃないから、気が緩んでしまう。

行為も、私を追い詰めるとか、Kさんがイクとき以外はそれほど激しいって感じじゃなかった。
自分本位にするのじゃなくて、私に合わせて雰囲気を作ってくれてるのを感じました。
繋がったままお話しして、何度もキスして、無言で長い時間舌を絡め合って、またお話しして。
不意に荒々しくされると、ねじ伏せられるような気がして、なおさら溺れてしまう。
体験したことのない時間でした。

私が寸前まで高まっていることがわかったのだと思います。

「後悔してる? しても遅いよ」

急にマジ顔でスパートかけてきて。
罪の意識が一気に膨らんで、はじけてしまった。
怖くなって「やだ」って身をよじったら、強く押さえつけられた。

快感に抗えず、カレとは違う男の人の腕の中で、ついに果ててしまいました。

     ×     ×     ×     ×

耳もとで「イッた?」と囁くのが聞こえてきました。
答えませんでしたが、ヤバイくらい深く達したことで涙がこぼれてきて。
Kさんはまだイッてなかったんですけど、「落ち着くまでシャワー浴びよう」と言われて、お風呂場へ。

おっぱい隠してたら、「イマドキの女子にしては恥ずかしがりだよね」って手をどかされた。
それから、シャワーで汗を流し、私をなだめるように、仕事のこととか割とフツーのお喋り。
体を洗ってもらうときに、「縦ベソだ」っておヘソをツンツンされました。

私が落ち着きを取り戻したところで、「おいで」って言われて。
抱っこされて、Kさんと再び繋がりました。
愛する人とする一番好きなカタチなので、複雑な気分だったけど。

不意に「さっき、イッたよね?」と聞かれて、認めてしまいました。

「彼氏と比べて、どうなの?」
「……」
「答えて」
「どうして彼のことばっかりいうんですか」
「○○さんが濡れるから」
「やめて、おかしくなっちゃう」
「おかしくなるくらいいいんだ?」

「ヤバイくらい感じてる」って、言ってしまった。

服を着ていたさっきと違い、濡れたカラダが密着して、ぬるぬるが気持ちいい。

「“Kさん、いいよ”って言って」
「Kさん、いいよ」
「彼氏より?」
「……」
「どうなの? 教えて」
「……●●くんとするより、いいの。すごく感じる」
「今日は、ゆっくりして大丈夫なんだよね?」
「……」
数瞬ためらったけど、結局頷いてしまいました。

それから、彼とのこと、男性経験、私がどうされるのが好きか白状させられました。

過去の経験を聞かれることは、誰でもあると思います。
新しい人に元カレのことを聞かれても、それまでは「嫉妬されたらやだな」くらいにしか思わなかったです。
でも、浮気相手に現在進行形の恋人との営みを問い質されるのは、恥ずかしいのと後ろめたさが
ない交ぜになって、この時間が一番精神的に辛かった。

とくに男の人のアレを飲んだことがあるか、執拗に聞かれました。
私に飲ませたいんだ、って思った。

私がイヤだと思うことはしないで、とお願いしたら、
「“絶対イヤ”ってことを教えてくれたら、それはしない」
って約束してくれた。

「もう出したい」って、後ろ向きにされて、激しく揺さぶられ、Kさんも昇り詰めました。

またベッドへ移動しました。

今度は、私もKさんの愛撫に自然に応えました。
Kさんの股間に手を伸ばして、いつの間にか互いの大事な部分を愛し合う形になってた。

長い間、無言でそれぞれを味わって。

やがて指と舌で追い立てられ、我慢できずに、私のほうから「欲しい」と口にしてしまった。

「素直になったね」
優しくキスしてくれるKさんを迎えて、疼いた部分を深く埋めてもらいました。

またスローテンポのSEX。
お互いを会話と行為で確かめ合うのが心地いい。

「髪、触ってばかりいる」
「好きなんだよ。いい匂いするし」
「髪フェチ?」
「だね」
「お尻とスーツもフェチ」
「スーツってか、着てすると萌える」
「コスプレ好きなんだ」
「仕事のときのままの○○さんがフェラしてて興奮した」
「……あれは意地悪すぎ」
「あのまま口の中に出したかったな」
「ほんとは、あたしに飲んで欲しかったんでしょ」

悪気はなかったのだけど、Kさんはムッとした様子で、「今度、飲ませる」って。
私は「いや。絶対」と、かぶりを振った。
“今度”ってことは、これで終わりにしないつもりなんだと思った。

Kさんは心の中を見透かされて怒ったのか、意地悪モードになってきて。

アレを引き抜いて、また入れてくる。
「入る瞬間、すごくいい顔する」って。
何度も何度も繰り返された。

「遊んじゃダメ」
そう言っても止めてくれない。
「可愛いのが悪いだろ」って。
ゆっくり侵入してきたり、入ってこなかったり、あてがったところから一気に突き刺してきたり。

じれったくって泣きそうになってきて。
気がついたら、「抜かないで。そのままして」って、お願いしてた。

「また俺の前でイキ顔晒したいの?」

強烈な一言でした。
言われた瞬間、全身に怖気が走った。このときは絶対忘れられないです。
Kさんが動き出したら、頭の中が真っ白になった。

「今度はごまかせないよ」と言われました。

     ×     ×     ×     ×

「調教されてる気分はどう?」
「調教なんて、そんなこと」
「誰が見たって調教中だろ」

カラダの相性とかよくいうけど、確かにそれはあるのかも。
自分のMっけはわかっていたけど、こんな感じでいじめられると我を忘れてしまうのだと、
はっきり気づいてしまった。

この関係に溺れたらヤバイと何度も脳裏をよぎっては、快感に打ち消される。
やたらと激しくしてこないじれったさにハマってる。

「いいの……当たる」
「●●くんのより大きいから当たるんだよ」
「……」
「大きくないの?」
「……大きいかも」
「大きいの好き?」
「わかんない、そんなの」
「わからないのにいいんだ?」
「あたしが彼女じゃないから、いじめるんでしょ」
「彼女にしたら、もっといじめる」

私からキス。
キスしてる間は意地悪言われないから。
たまに重たくピストンされて、泣かされる。
そんなことの繰り返し。
昇りつめたくなってきてるのに、焦れた動きで高まったままが続いてる。

ついに理性の糸が切れてしまって、

「あたし、ダメになりそう」
「イキたいの?」

はっきり口にしたくはなかったので、「辛い」か「限界」か、そんなことを伝えた気がする。

「じゃ、終わりにしようか。最後にイッていい?」
「好きにして」って答えた。

四つんばいになるように言われて。
さっきイッたときも後ろだったし、Kさん、バックが好きなんだって思った。
さんざん抱き合ってなんだけど、、こんなに明るい場所で、初めてする人に無防備にお尻を
差し出すのは、そのときでも抵抗がありました。
全て晒してしまったと思ったら、顔から火が出そうだった。

「彼氏より大きいものでイカせて、って言って」
「意地悪しないで。我慢できないの」
「好きにしてって言ったろ」
「やだ。絶対言わない」
「強情だね。お尻の穴からフトモモまでたれてるのに」
「そんなところ触らないで」
「言うまで止めない」
「あたしが本気でイヤがることはしないって約束した」
「言って楽になれよ」

羞恥心と屈辱感でどうにかなりそうなところに、追い討ちをかけられました。
「言わないと、俺に狂わされたこと、みんなに話すよ」

もう、本当に頭がおかしくなりかけて、今にも負けてしまいそうだったけど、
「これ以上されたら、Kさんを恨む」
って言ったら、やっとやめてくれた。

Kさんは「ゴメン」って背中にキスしてから、私の中に入ってきました。

最後はすごく激しくて、壊れそうなくらい手加減無しでされました。
彼氏のことなんて、頭から飛んじゃってた。
腰をつかまれ、肩を押さえつけられて、髪まで引かれて。
逃げたくても逃げられず、強引にイカされて、イったあとも続きました。
息が出来ないくらい苦しくて、辛くて。
こんなSEXがあるなんて、思わなかった。
私は乱れ泣いて、グシャグシャになってた。

どのくらいの時間かわかりませんが、体感ではとても長かったです。
「もう無理。許して」ってお願いしたのに、Kさんがイクまで止めてくれませんでした。

     ×     ×     ×     ×

行為が終わったあと、しばらく放心状態で、正直に「こんなの初めて」って漏らしたら、
髪の毛をクシャクシャに撫でられました。

それから、シャワーを二人で浴びました。
Kさんが私にシャワーをかけながら、知られてしまった感じるポイントを撫でてきて。
ダメ、もう終わりって言っても、メロウなキスに阻まれてしまう。

こすりつけるように抱き合って、互いを感じ合うアフタータッチ。
終わったはずなのに、余韻を体に刻まれて、疼かされてしまう。
本当にヤバイ人と関係を持ってしまったと思った。

「またしようね」
「……彼に悪いから」
「俺のがいいって言ったクセに」
「無理やり言わせたんじゃないですか」
「俺にイカされた」
「やめて」
「彼氏じゃ届かないところに当たるって言った」
「そんなこと言ってない」
「もう許してって泣いた」
「やめてってば」
「○○さんの正体、暴いてやった」
「……」

何も言えなくなった私のあそこを触って、「ほら、言葉で責めただけで濡れるMだ」

Mだとか調教だとか言われて、私、ホントにそうなのかなって。
MっぽいとMでは、かなり違うと思うので。言われてショックでした。
浮気したことも後悔だけど、M認定されたことも引きずってしまいそうで。

悶々とした気持ちのまま、ホテルを出る頃には空は明け始めてました。
長い時間Kさんのそばにいたんだと、改めて思いました。

     ×     ×     ×     ×

帰りの車の中で私が無口だったので、「ちょっと無理しちゃったかな」って謝られました。
可愛かった。またこうして会いたい。
今の彼と別れたら、自分と付き合って欲しいとも。

でも、嘘ですよね。
雰囲気に流されて浮気するような女だとわかって、なのに彼女にしたいなんて。

冷静になったら、疲れたのと罪悪感がひどく重くて、会話をする気力がありませんでした。
彼氏の浮気で悩んでた自分が、逆に流されるままに浮気して、快感に負けて溺れて。
それどころか、カレを裏切っている気持ちを媚薬にして感じてしまった。
されたこと、言われたこと、言わされたこと、自分から求めてしまったこと。
それが頭の中を巡って離れずにました。

「気持ちの整理ができたら連絡しますから」とだけ言って、車を降りました。
Kさんと肌を重ね合わせていた間も、帰りも、携帯に彼からの連絡がなかったことだけが救いでした。

     ×     ×     ×     ×

直後に、彼氏とは別れました。

向こうが浮気を認めて、「相手の子のこと好きになった」って。
泣いた私を慰めてくれたけど、悲しいから泣いただけじゃなくって、正直ホッとしてしまった
自分が情けなくて泣いた。
私は、結局カレを裏切ったことは伝えられずじまいで。
友達も、私が「捨てられた」と思い込んでしまい、友人間で少しゴタゴタがあって、それも気が
重かったです。
普段気が強いふりして、肝心なところでジメジメしてる。

耐えられず、自分からKさんに電話してしまいました。
カレとお別れしたこと、裏切ったことを伝えられなかったこと。
彼だけが悪いわけじゃないのに、周囲に言い出せなかったこと。

Kさんのマンションで、全部話しました。

「苦しめちゃったね」
そう言って、ハグしてくれた。

たまらなくなって、私から「一緒にいて」ってお願いしました。
おもちゃにされてもいいと思った。
でも、その日は静かに愛してくれました。

それから、Kさんと一緒にいる時間が増えました。
事情を少し知っている人には、彼氏彼女関係だと思われてたけど、私はそう思ってなかったです。

彼のオンナであったとは思う。
でも、彼女じゃなかった。

Mだって決め付けられて、酷いこともされました。
怖かったのは、要求がエスカレートすること、それを受け入れてしまうこと、受け入れて
当然のように振舞われることです。
環境になれたり感覚が麻痺すると、大事なものを失うような気がして、それはイヤだった。

ずっとMっけがあると自分でも思ってたけど、本当にMなのかわからないです。
っぽいってだけで、違うんじゃないかと思うこともある。
他人に相談できないし、これだけは今でもわかりません。
普通以上M女未満の、Mだと思う。プチM。たぶんM。

私は、スポーツするようにエッチできないし。ペットでもないし。
ベッドの上で支配されたい欲求もあれば、灯りを消した部屋で普通に肌を合わせたい夜だってある。
好きになったら抱かれたい。
Kさんとは順番が逆になったけど、関係したら好きになってしまう。
でも、彼は一人の女で満足できる人じゃないし、私もこの人とは無理だと思うようになった。

半年後、Kさんが異動になり、私も関係を清算するつもりで転職しました。
連絡が来ても無視して、しばらく会うことも無かったのですが、次に失恋したときに一度、
マンションに行ってしまったことがあります。
「自分から来たんだから」って、メチャクチャにされた。
凄く後悔して、もう二度と会わないって誓った。

それがKさんと会った最後。

感情的には、もうとっくにKさんから卒業してますが、体が寂しいとき、ふと思い出して、
一人慰めエチしてしまうことはあります。
自分でもだらしない女になったって思う。

昔のオトコ関係なんて、たいがい忘れてしまうけど、これは無理。
色んな意味で自分を知った夜だったから。忘れようとしても忘れられない。

でも、後悔もしたけど、経験はブレーキにもなってます。
もうあの頃のように流されることはないです。

最後は自分でも、なにを書いているかわからなくなってしまいました。
これでおしまいです。
読んでくれてありがとう。
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