05月17

親友に刺された…恐るべき月姫

俺がまだ高2だった頃の話。
季節は11月で、「そろそろ今年のクリスマスのために女を捕まえなきゃなー」
なんて親友のNと話していた。

ところで、みんなさんは「月姫」をご存知だろうか?
そうあの有名な18禁ゲームである。
俺たちは地元のなんちゃて進学校に通っていたんだが、クラスの男子の間で月姫が
ひそかなブームになっていた。
知っている人は知っていると思うのだが、
このゲームの主人公「遠野志貴くん」は色々な意味で魅力的なお方である(笑)
・ナイフで1本で吸血鬼と渡り合う
・人外(人間以外)に良くモテる
・唐変木、鈍感なのはお約束!
・体力無いくせに精力絶倫!!
などなど…
中でも、ナイフを武器に吸血鬼と戦う姿に惹かれるアホ(クラスメイト)が多かった
ようで…
ナイフを携帯するDQN(クラスメイト)が増えてきていた。
まったく、物騒な世の中になったもんである。
で、何が問題かと言うと先述した親友のNもナイフを持ち始めたことである。

話を戻して、今は11月。クリスマスに向けてNはある女にアタックしていた。
どう考えてもNとは釣り合いそうにない可愛い娘だった。
あわよくば俺が…なんて考えていたら、何とその娘が俺に告白してきたのである。
もちろんNの気持ちも考えたけど、別に遠慮することもないと思った。
なぜかって?そりゃ、上にも書いたとおりNとは釣り合わないからだ。
このままアタックを続けても、付き合える可能性はゼロに近いだろう。
それなのに遠慮するのも変な話だ。
それに、俺とNは親友だ。たとえ付き合っても「やったな!このやろう」
ぐらいで済むと思っていた。

それから1週間がたった土曜日のこと。
夕方、といっても冬だからかなり暗くなっていたのだが、Nから携帯に電話があった。
出てみると…

N『あああああああああ!』 といきなり叫び声がした。
俺『なんだよ?』 きわめて冷静に応答したのだが、
N『なんだよ?だ?そりゃこっちの台詞だ!』

…どうやらとんでもなく怒っていらっしゃる様子である。
ちなみにNがこんなに声を荒げているのは初めて聞いた。

俺『分かったよ。用件は?』ちょっと動揺する俺。
N『来い!○○公園!来いよ!絶対だ!分かったな!!!』

そういって電話は一方的に切られてしまった。
切られてしまった以上、公園に行くしかない。それにNの様子も変だ。あの娘を
盗られたのがそんなにショックだったのか?
親にNと会って来ると言い残して、俺は公園に急いだ。

公園の広場の真ん中に立っていた。暗くて顔は良く見えない。

N『お前は!』

俺を見つけるなりNはそう叫んだ。

N『お前は!いつもそうだよな!?』
N『いつも欲しいもの手に入れて!俺と違って顔もいいし!!』

いやそこまで良くなんだが…

N『いつだってそうだ!お前は…お前は!!何の努力も無しに!!!』

ちょっとカチンと来た。
けどNの叫び声にはところどころ嗚咽が混じっていたし、俺も反省していたから
黙っていた。
一通り叫び終わるとNも黙ってしまった。

俺『悪かったよ。なんの相談もしなくて…その、ごめんな。』

俺は素直に謝った。
するとNはポケットから15cmくらいの鉄の棒を取り出した。
その棒はNの手の中で綺麗にふたつに割れ、刃が展開された。
要するに、バタフライナイフである。

俺『マジかよ?冗談だよな?』

何も言わずに近づいてくるN。1歩、2歩と。
それでも俺は動かなかった。仮にも親友だ。目の前で止まって
『なーんてな!』と言ってくれるを期待していたのである。

目の前までNが来た。俺は動かない。
ナイフは外灯に照らせれて、金属独特の鈍い光を放っている。

そして、Nはそのまま倒れ掛かるように…俺を刺した。
ほんの一瞬の出来事だったと思う。
でも、それら一連の動作はひどく緩慢に感じられた。

俺『こいつ…』

Nは酒臭かった。酔っていたのだ。はやく気づくべきだった。
それにしても、刺されるってのは本当に痛い。
バタフライナイフみたいな薄っぺらい刃でもすごく痛い。

傷口の表面は燃えるように熱く、
傷口の中は刃のせいなのか、ひどく冷たい。

なにより、異物が体の中に入り込んでいるという感覚…
これは今思い出しても吐き気がする。

俺はNを思いっきり殴った。
力んだときに傷口から血が吹き出るのが分かった。

Nは逃げてしまった。

幸いにもナイフは刺さったままで、出血は最小限に抑えられているみたいだった。
傷口を押さえながら、公園の近くにある家の玄関まで行った。
震える手でインターホンを押したのを覚えている。
そこからはあまり記憶がない。
気がついたらベッドの上ってやつだった。
ベッドの横には両親が居て、俺が起きるのをずっと待っててくれていた。
「家族っていいな」ってこの時、本気で思ったね。
その後、俺はすべての経緯を説明した。

ここから先は親と友達から聞いた話になる。俺はそのまま入院だった。

次の日曜日に、俺の親、N&Nの親、学校の先生での話し合い。
Nは正直にすべてをしゃべったらしい。そしてそのまま当然警察へ。
問題なったのはナイフの件。

・俺を殺すために持っていたのか←今考えると恐いwww
・偶然持っていたのか←それにしても銃刀法違反。

どちらに当てはまるかで、刑罰が大きく違ってしまう。当たり前だ。
Nはゲームの影響で持っていたと答えたそうだ。
ちなみに題名は頑として言わなかったらしいがwwwwwwww
まあ、18禁ゲームの名前を言うわけにはいかにだろうからな。

これを受けて、学校で抜き打ちの持ち物検査。
今じゃ、プライバシーの関係でやることは少ないらしいが
特別に実施するということだった。
予想に反せず、ウチのクラスは凄まじいことになったらしい…。

ナイフ、ナイフ、ナイフ、ナイフ…。

恐るべき月姫パワーwwwwwwwwww
ウチのクラスの男子の半分が、停学になるという前代未聞の事態に。
数日後には学年懇談会まで開かれたそうで…
いや?ご苦労さまっす。

それにしても、もしNがあの時「月姫」というタイトルを口にしていたら…
と思うことがよくある。そしたら解散だよな。あの同人グループ。
いやー命拾いしたな型月さん!
起業できて良かったねwwwww
「fate」出せてよかったねwwwwww

そういえば、Nから盗った?彼女とは上手くいって学生結婚しました。
Hの時に、Nに刺された跡を「大丈夫?」といいながら舐めてくれる
彼女に萌えー

Nは学校を辞めてしまって(当たり前だと思うけど)その事件以来会ってない。
元気にしてるかな?

コピー