05月27

ヤンキーと石野君

かなり昔の話をふと思い出したので書かせてもらいます

高校二年生の時、俺の通学の道中に有る商店の二階に石野(仮名)っていう同級生が下宿していた
同級生っていっても俺は技能クラスのヤンキーグループに属する人間だったのに比べて
石野は特進クラスの頭のいいやつで、そのクラス内でもかなり上位の成績だったと思う
ただ、今でいう所のコミュ障気味でしかも地方から出てきてて知り合いもいなかったみたいで
いつも、一人でトボトボ帰ってた

だから、学校では全く接点も無かったんだけど俺がそいつの下宿を発見してから、勝手に俺のグループの溜まり場にさせてもらっていた
勝手に合鍵を作って授業をサボって部屋主不在でテレビ見てたり、麻雀したりやりたい放題で
石野にしたらかなりの迷惑だったと思う

そんなある日、合鍵を忘れた俺は鍵を借りようと石野のクラスに行った
そこで目にしたものはなんと数人に閉め技を掛けられて苛められている石野だった
特進クラスの連中は俺が教室に入って来たのを見て皆固まってたけど
俺はそのまま石野の所に行って
「鍵貸してくれ」と、だけ言って石野に鍵を持って来させた
そして、その日は鍵だけ受け取るとそのまま下宿に帰ったんだけど
何となく石野が苛められている事を考えると苛々した(要するに自分の苛めてるやつが
他のやつに苛められてる事にムカついたんだと思う)
その日は俺しか下宿にいなかったんだけど、後から下宿に戻ってきた石野に苛められてるのか?と尋ねたら、最初は「プロレスごっことかしてるのに付き合わさるてるだけだよ」とか言って誤魔化してたけど
俺が問い詰めると実は毎日そうとう酷い苛めに合っている事を告白してくれた
翌日から俺は石野の教室に行って「今日は4時に行くからな!」とか
合鍵持ってたけど、わざわざ石野に借りに行ったりして毎日一回は顔を見せて石野と普通に話して教室を後にするようにした
1~2週間もすると、それが効いたみたいで石野は苛めグループに話し掛けられる事も無くなったようだった

それから、何ヵ月か過ぎて三年生になった俺は二年の頃からやってたバンド活動を本格的に始めていて
石野もいよいよ受験って事で勉強の邪魔をしてやるのもかわいそうだと思い下宿に行かなくなった
で、そうなると心配なのが石野を苛めてたやつらの事だった
いくら、毎日俺が石野の教室に行っていたといっても周りから見ればヤンキーと使いっぱしりの関係にしか見え無かっただろうし
(実際は、ヤンキーグループの連中は別にして俺と石野は結構仲良くなってたんだけどね)
その、ヤンキーが来なくなったという事は石野が飽きられてもう関係無いと思われて、また苛められるんじゃないかと心配になった
そこで俺は一つ作戦を考えた
その苛めグループの主犯格も二年の途中までバンドをやっていたのを知っていたので
久し振りに石野の教室へ行き、石野に「あいつにバンドスコア借りたいから呼んで来てくれ」と言って呼び出させた
それで、主犯格にどんなバンドの楽譜を持ってるか聞いて翌日持って来てもらうよ頼んだ
その間ずっと主犯格のやつは顔がひきつってたけどw
それから、何度かそんな事を繰り返してたんだけど、必ず石野も一緒にその場に居させた
横でボーッと突っ立ってるだけだったけどねw
そうやってる内にその主犯格も俺に気を許してくれて、しかもやっぱ特進クラスのやつだけ有って頭いいのか知らないが
何で俺がこんなに自分の教室に来たりするのかも分かってたみたいで、最後には
「もう、石野を苛めたりしないよ、石野ごめんな」と、謝ってやってくれた

それからは、俺も教室には行かなくなった
たまに廊下ですれ違ったりしたら石野も主犯格だったやつも「おう!」って軽く挨拶する程度の関係
それを見てる俺のグループの奴等は俺の事を不思議そうに見ていた
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