06月1

離婚協議で知り合った後妻

当時31歳だった俺は、最初の嫁と離婚した。
原因は向こうの離婚。でも、嫁はかなり身勝手な奴で話し合いに応じてくれず、サイン済みの離婚届けを置いて浮気相手の元へトンズラ。
それでも話し合いをしたいと思い、粘り強く連絡した末、どうにか家に呼び出すことに成功した。
お互い弁護士を立ち会わせたが、嫁側の弁護士は見るからに仕事のできそうなイイ女だった。なんでも、嫁とは中学時代の同級生で、当時からクラス一の秀才だったとのこと。
それはさておき、離婚協議の方は最初から難航。嫁の方は「仕事ばかりで全然かまってくれなかった」を理由に、「慰謝料を帳消しにしてほしい」と訳の分からないことを言い出してきた。
俺側はもちろん嫁側の女弁護士も「さすがにそれは無理。せめて減額」と正論を突きつけた。結局その日では合意点が見出せず、それから何度も協議を重ねていき、最終的に提示金額の半分(100万円)で折り合いがついた。
それから嫁と正式に別れ、独り身となった俺は有給を取り、しばらく自宅でボーッとする日々を送っていた。そんな中、嫁側の女弁護士が突然やってきた。
俺が「離婚の件はもう解決済みでは?」って切り出すと、女弁護士は「そうじゃなくて、あなたのことが心配でやってきた」と言ってきた。
なんでも、俺が家に引きこもっているのを知り合い経由で知ったらしく、わざわざ家まで訪ねてきたのだ。彼女はどうも損得抜きで行動するタイプの人間だったらしく、家に上がるなり掃除をはじめ、それが終わると俺のために手料理を作り始めた。
相手側の弁護士がここまでするのはどうかと思ったが、彼女の優しさを拒むことができず、結局甘えてしまった。
その夜、見違えるくらいキレイになった部屋で夕食を楽しんでいる最中、女弁護士は「元嫁の何がよかったの?」と言ってきた。
酒に酔っていた俺はつい「付き合ってた頃は猫かぶってた。結婚してからだんだん本性を露わにした」と本音を漏らし、女弁護士も方も「昔からそういう奴だった。頼まれたから弁護したけど、本当はこれっぽちもしたくなかった」と胸の内をさらけ出してきた。
しばらくしてタクシーを呼んだが、別れ際に「はい、コレ」と連絡先まで教えてきた。
それから何度も顔を合わせ、とうとう付き合うようになった。そして、1年が経とうとした頃、女弁護士が「見せたいものがある」と言ってきた。
それは妊娠検査器。しかも、バッチシ「陽性」反応が出ていた。俺が驚いていると、今度は婚姻届けまで取り出し、結婚を迫ってきた。
突然すぎる出来事に狼狽えていると、彼女は「きっちり責任を取ってもらいます。言い逃れはさせません」と突きつけ、さらに「もしも「堕ろせ」とか「別れたい」といった場合、調停に持ち込む」と脅してきた。
俺は言われるがまま婚姻届けにサインし、晴れて夫婦になった。
あれから数年、嫁は今も(旧姓のまま)弁護士を続け、交代で育児をしている。

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