06月24

妹に感謝!


私が大学生の頃、勘違い男(A)に付きまとわれた話。
同じ学科だったがほとんど面識がなかったけど、テスト前にたまたま電卓を借りたことで、
なぜか馴々しく話し掛けてくるようになった。
最初は普通に応対していたものの、段々と妄想ワールドを広げてることに気付いてからは無視するようにした。
例えば、
・昨日白いワンピースだったよね。さすが僕の好みを分かってるね。
・講義中、あんまり見つめないでよ。周りにばれちゃうよ?
・昨日は一緒に帰れなくてゴメンな。今日は時間を作るから。

全部身に覚えのない事を耳元で囁いてくるから気持ち悪い。
一応友達には根回ししているので、帰宅中や実験中はガードしてくれたが、
どこから漏れたのか、メールや着信がひどくなった。
(後で分かったけど、携帯を盗み見したっぽい)
しかも家まで付いてくるようになって、郵便受けに手紙とかも入ってた。

さすがに精神的に限界に近くなったけど、男友達も彼氏もいない私は行き詰まってしまった。
そんな折り、当時高校生だった妹に泣きながら助けを求めた。

そして次の日、必修科目の講義に出るため大学へ向かったが…
自転車置場で待ち伏せをされた。
自転車を整列させる余裕もなく走って逃げようとしたけど、
何台か自転車を倒してしまって、自分も転んでしまった。
怪我を労るふりして体に触ってきたので、あまりの気持ち悪さに這って逃げたら
ものすごい甲高い笑い声が聞こえた。

「コイツ?コイツ?ストーカーって」
「うっわ!マジありえないし!」
「キモ過ぎ!鏡って知ってる?」
指差してお腹を抱えて笑い転げる妹の姿がそこに。
そのAはびっくりして固まってる。
それもそのはず。金髪で魔女のような爪をしてドギツイ化粧、
着くずした制服に香水を撒き散らしている。
どっからどう見てもDQNです。本当にあ(ry

「ちょ、臭くね?風呂入ってんの?」
「この服何よ?ねぇカッコいいとか思っちゃってんの?」
「ねぇねぇママになんにも注意されなかったの?」
エントランスのガラスに映るのを見ながら、
「ほらほら、鏡持ってないなら今見ろよ!どうよアンタのかっこ!受けんだけどwwwwww」

でかい声で騒いでは笑い転げる。
あまりにもでかい声で笑い転げるので、なんとなく人が集まってきたのだが、
そそくさと俯いて逃げようとするAを捕まえて、
「ねぇねぇ!コイツどうよ!見ててキモくね?」
「ほら!そっちのお兄さんと比べなよ!うわ、アンタ人間?」
「ちょ、早く進化しなよ!何億年前さまよってんの?」
「そろそろ生きてて恥ずかしいべ?つかむしろなんで生きてんの?」
衆人の前で罵る罵る。
Aはボロボロ泣きながら、「こ、こ、こ、この肉便器がぁーーー」と喚いた。
それを聞いた妹は、息が出来ないほどに笑い転げ、
「肉便器だって!肉便器だって!リアルで聞いたの初めてだよ童貞!!」
「もっかい言ってよ、着ボイスにしてぇwwwwww」
「見て見て、肉便器がぁぁぁ?、似てる?似てる?」

もうポカーンとするしかなかった…
更に泣き続けるAに追い打ちをかけるように、
「泣いてるよ!きったねぇwwwwww」
「ママ呼べよ、ほら、ボクチンいじめられちゃったのぉ?ってさwwwwww」

この辺で我に返って、笑い続ける妹を引っ張って退散。
ものすごい注目を浴びて恥ずかしいやらスカッとするやら。Aに申し訳ないやら…

結局Aは次の日から大学に来なくなり、着信も途絶えた。
たまに必修科目とテストの時のみ見かけたけど、向こうから避けてくれた。
卒業した今となっては行方も分からない。

そして妹も無事大学生となり、近所の小学生とかき氷早食い勝負をしながら、
今日も元気に笑い転げてます。

妹は、最初は何人か連れていく予定だったそうです。
でも、本当に殺人をしてしまうようなヤバイ人間だったら友達を巻き込むとはしたくない
と思ったらしくて、とりあえず一人で出向き、男友達を建物の影に待機してもらってたようです。
多少びびりながら行ったら、チビガリオタクのもやしっこだったので、
拍子抜けした分、大笑いしてしまったようです。
待機してくれた男友達は、途中から見に来て、携帯でムービー撮ってました。
さすがに消させたけど…

妹が運良く居合わせたのは、朝から学校さぼって大学校内をウロウロしてたからです。
実際居合わせたのは、昼間でした。

ちなみになぜかかき氷シロップまみれになって帰ってきました。
笑いながら。
笑い上戸の妹に感謝!

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