は、恥ずかしい。。。
胸が小さいことは、長年、夏希のコンプレックスだった
「夏希って胸が小さいよね」
中学2年の時
クラスの男子から、突然、そう言われて
夏希は何も言い返せなかった
高校になれば、成長するだろうと密かな期待もしていた
しかし、その希望も脆くも崩れ去り、
思春期を過ぎたあたりからは
もはや夏希は胸の形が分かるような衣服は一切、着ないようになっていた
その徹底ぶりは凄まじく病院に掛かる際にも
異性に乳房を見られるのが、どうしても嫌で、女医の居る病院をわざわぜ選んだ
亡くなった夫にさえ、明るみでは絶対に見せたことはなかった
それ程まで徹底して、見せるのを嫌がった胸の形を
夏希は、下着姿になって
あろうことか職場の同僚達の目の前に、存分に晒していた
あまりにも恥ずかしくて、火照った顔を上げることができない
このくらいで恥ずかしがっていたら、ダメ!
そう自分に言い聞かせる
我慢しなきゃ。。。
こんなのまだ序の口なのだから
この後、この下着まで取って、全てを晒さなければならないのだから
嫌っ!
僅か先の未来がほんの少し頭を掠めただけで
夏希は目の前が真っ暗になり、グラッと周囲がゆがんだ
今にも倒れそうになった時
『優斗のこと頼むな』
亡くなる前の夫の声が、、
あの優しかった声が記憶に蘇った
夏希は川崎病という難病を抱える愛息子の顔を思い浮かべながら
なんとか、ふら付く足に力を入れて踏みとどまった
息子の病名を話した時、専務が言った言葉は、正しい
お金はいくらあっても足りはしない
他人の専務に言われるまでもなく
当然、夏希だって分かっている
息子に十分な治療を受けさせたい
急な手術が必要な時だってあり得る
そんな時には、借金をしてでも、高度医療を受けさせたい
そのためには、会社員というしっかりした身分が必要だ
また、今の会社には同族経営の中堅商社とはいえ、
社内融資制度があった
特に病気療養資金については、
驚くほどの低金利で借りることができるため、
夏希はすでにいくらか利用もしていた
会社を辞めれば、当然、それも返すことになる
何より、病気の子を抱えた30過ぎのシングルマザーに
正社員の働き口など見つかりはしない
いくつもの転職サイトや人材バンクに登録した
知り合いを頼りもした
それでも、全く相手にもされず、なしのつぶてだった
夏希だって馬鹿ではない
何も考えずに、頭の悪い賭けを受けたわけではなかった
本当にどうすることもできず、追い込まれていた
だから、
まさに藁にもすがる思いで、専務の賭け話に乗ったのだ
しかし、、、そんな思いさえも、最悪の形で打ち砕かれ
夏希の文字通り”全て”を賭けた賭けは、大敗北で終わってしまった。。
それでも、まだ諦めるわけには行かない
夏希は女であると同時に母親だ
既に賭けには敗れ、
男たちの玩具にされる身だったが
もはや自身のことなど、どうでも良かった
たった一つのものだけは、どうしても守りたい
あの子のためだったら
あの子との生活のためだったら
女の尊厳などズタズタにされても構わない
『どんなことをしてでも、あの子との生活だけは守って見せる!』
そう心に誓いながら
夏希は同僚達にヌードを披露するため
スカートのジッパーをゆっくり下ろしていった
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