07月22

習字の先生(折檻)

私が小学生の時、地域の習字教室に通っていました。
先生は遠くから車で来ている四十歳くらいの女性で、子持ちの主婦。
一年生で習い始めた私は数年もたつとすっかり仲良くなりましたが、他の子たちは怖い先生とかすぐ怒る先生とよく言っていました。
先生は、礼儀などにはとても厳しかったんです。
筆を使ってふざけたりすると「もう書かなくていい」とか「帰りなさい」と言われてしまう子がいました。
殆どの子はその場で謝って真面目に取り組みますが、中には怒られた事の恥ずかしさからか余計に調子に乗ってしまって収拾がつかなくなっていく子も。
そんな時には先生が「お尻ぺんぺんしますよ」と警告して、それでもやめないと一年生だろうと六年生だろうと習字教室のあと居残りでお尻ぺんぺん(しかもかなりの数)でした。
私も六年生になって初めてやられてお尻がまっ赤に腫れました。
急に行くのが面倒臭くなってズル休みをしたのですが、なぜか怒られなかったので二回目、三回目とやったら三回目のその日に「今日は居残り」と言われてしまいました。
私はまだお尻を叩かれると思っていなくて、先生とは仲が良かったので「なんですか?」と軽く聞いたら「どうして休んだの?」と聞かれ「理由があるなら言ってみなさい」とさらに詰寄られて「怠けたならお尻ぺんぺんよ?」の言葉でついに観念しました。
「何回ですか?」
「わからない、先生がもう良いと言うまで」
パシンパシンと良い音をさせて罰が始まると、痛みより他の子がすぐに帰ったかどうかが気になって仕方がありませんでした。
窓や障子は閉まっていますが、和装の古い建築で防音などは期待できず。
今も外で誰かが聞いていたんじゃないかと思ってしまうほどです。
もちろん先生はそんな気持ち関係なしに叩きますから、しばらく叩かれただけでもうお尻はまっ赤です。
しかしズル休み三回分という事でなかなか許してもらえず、赤くなったお尻をさらにパン、パン、パン、パンと何度もぶたれます。
お尻がひりひり熱くなって、空気の層のようなものに触れられている感じがしてきました。
そこへ先生の平手打ちが浴びせられると、熱いのが一瞬なくなり、また空気の層に触れて痛いのに気持ちが良くなる不思議な感覚でした。
「反省した?」
「はい……。」
途中からあまり覚えていませんが、先生は百五十発ほど叩いたはずと言っていました。
気持ち良かったのでお礼を言いたいぐらいでしたが、反省した演技をして、翌週から休まずにちゃんと通いました。
私のイメージを崩したくなかったからです。
中学になると通うのもやめてしまいましたが、あの時のことは今でもたまに思いだして、恥ずかしくなると同時に嬉しくも感じてしまうのです。

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