03月31

メンヘラ 陰湿 エゴイスト

俺が高校生の時、親父が再婚した。
何度か面識もあったし、特に反対する理由もなかった。
母親が他界してから男手一つで育ててくれた親父には幸せになって欲しかったしな。

継母には連れ子が二人いた。小学生(男)と、中学生(女)。
うちはじいちゃんと親父と三人暮らしだったから、一気に家族が増えた。

再婚当時、既に継母は妊娠していて、数ヶ月たつと女の子が生まれた。
すげぇ可愛いと思った。

家族が増えて、赤ちゃんまでいて、絵に描いたような団欒家族になれたことが嬉しかった。
親父は出張も多かったから、じいちゃんと二人の夕食が多かった俺には、マジで嬉しかったんだ。
団欒ってやつがさ。

今はそんな感情を抱いた自分に嫌気がさすけど。

最初のトラブルは、再婚してから3ヵ月ぐらい経った頃だった。

学校から帰ると、継母が求人広告を片手にお茶を飲んでいた。

「どしたん?働くん?」
「うん、この子がもう少し大きくなったら、パート出たいなぁと思ってる。」
「そっかー!うちのバイト先来たら?楽しいぜwww」

継母とは友達感覚で喋ってた俺。こん時も普通に会話したつもりだった。

だが。

その日の夜、継母が家出した。

夕飯を済ませ、部屋にこもってプレステしてた俺。

「おい、入っていいか?」
父親が来た。

「お、帰ってたん?」
「ついさっきな。ところでお前、今日あいつ(継母)と、パートの話したか?」
「あぁ、したけど?」

「あいつな、1(俺)くんに早く働けって言われたって、泣いてたんだが・・・」

え?
いやいやいやいや。

父親の話によるとこうだった。

継母働きたい
でも赤ん坊がいるから働けない(ストレス)
それなのに1くんは働けって言う

あたしだって働きたいのに!!!
らしい。

俺はフリーズした。

「いや、そんなことは言ってねーよ?マジでさ」
「そっか。じゃぁいいんだ。あいつも子育てでちょっと疲れてるみたいだから、勘違いだろう。」

親父は継母を迎えに行き、継母は無事に帰ってきた。
ぶっちゃけ俺悪くねーしwwwとは思ったが、そん時は継母と上手くやってきたかったので、謝る俺。

「ごめん。なんか俺、余計なこと言ったみたいで・・・。」
「ううん、いいのよ。でも言葉には気をつけなさいよ。高校生なんだしね!」

そん時初めて、継母にイラっときた。少しだけど。

ある日、継母は
「やっぱりあたし仕事に出る!家にいられない!」
と乳飲み子をじいちゃんに預けて働きに出た。

朝?夕方ぐらいまでの総菜屋のパート。
じいちゃんや親父の反対を押し切って。

俺が帰宅すると、継母がちょうど帰ってきたところだった。
「ただいま。」
「おかえりー!ところでさ、じいちゃんって、
 あたしがこの家に来るまでは、家事とかしてたんだよね?」
「あぁ、そうだよ。」

「なんであたしが働きに出てるのに洗濯もしてくれないの?ちょっと聞いてみてくれない?」

本格的に継母に嫌悪感を抱いたのは、この時だったと思う。

勿論そんなことじいちゃんに言うわけもない。
じいちゃん、特に体に問題はなかったけど、当時80手前だったはず。

俺は、親父にそのことを言うかどうか迷った。
でも、言えなかった。仕事から疲れて帰ってくる親父を見てると、言えなかった。

数日後、継母がパート先から余った惣菜を持ち帰ってきて、自分の連れ子にだけあげていた。

俺は少し泣いたと思う。

俺は当時学校帰りにバイトをしていて、家に帰るのは10時すぎの日も多かった。
ある日バイトを終えて帰宅すると、継母に言われた。

「ガス代が高いから、お風呂抜いたよ!シャワーでいいよね?」

なんて返したかは忘れた。むかついたことは覚えている。

次の日、じいちゃんがキレた。

次の日もバイトから帰宅すると、同じことを継母に言われた俺。
それがじいちゃんの耳に入った。

「1に風呂に入るなってことか!!!」

継母はこう言い返した。
「だって、あたしが頑張って働いてるのに、家計が楽にならないんですよ!」

じいちゃんが言う。
「それはあんたの借金のせいだろうが!!!」

俺知らなかった。継母は何百万だかの借金があったらしい。

そっからじいちゃんのターン。
俺の知らない話が沢山あってびっくりした。

俺がバイトの時に、連れ子と三人で外食に行っていること。
連れ子の朝食は作るのに、俺のは作らないこと。
新聞代など集金に来る金を、じいちゃんに立て替えさせて返していないこと。
お菓子やたこ焼きなどのおやつを連れ子には買ってくるのに、俺にはくれないこと。

あーもうあれすか、俺がいなくなればいいんですかね?
本気でそう思ってた可愛い俺w

あまりに悲しくなって、もういいよ、もう遅いし、やめよう、寝よう。
そんなことを言って、じいちゃんをなだめて、部屋に戻った。

そん時出張でいなかった親父に電話しようかと思ったが、やめた。

少ししたら、じいちゃんが俺の部屋に、リポDを持ってきた。
「なんも気にするな。風呂は抜かれてたら入れればいい。俺が文句を言わせない。」
そんなことを言って部屋に戻っていった。

じいちゃん、だいすきだ。

でも、そんなじいちゃんがいきなり体調を崩した。

入院して、手術することになった。

継母に対して、
「すまんな、赤ん坊の面倒見られなくなってしまった。」
と言ったじいちゃんが健気だった。

継母は、パートをしばらく休むことにしたようだった。
この頃はあまり継母とも喋らなくなっていた。

だがそんな折、継母が言った一言。

「この忙しい時期に入院するとか、タイミング悪すぎる。」

パートも行けなくなってしまった、お金もない・・・続ける継母の言葉を俺がさえぎった。

「てめえふざけんじゃねえよ」

冷静にキレた。
キレるってこーゆうことだったんだなぁ。親父ごめんな。俺もう限界だわ。

部屋に戻って簡単に荷物をまとめた。玄関に向かう。
じいちゃんも親父もいないこんな家にいられっか。
親友の家に向かった。話した。家族みんなで仲良くしてくれていた家だったから、泊めてくれた。

親友の家で夕食を食べた。親友とその両親、妹。楽しく会話しながらのご飯。
ふいに泣きそうになったが我慢した。

俺が欲しかったのはこうゆう家族なのに。
親父もそうだったのかなと思うと余計に悲しくなった。

親父にはメールだけした。

今日、親友んちに泊まるわ。

おう。なんかあったのか?

と返信が来たけど、返せなかった。
親父が帰ってきたら言おうと思った。

連れ子の話を少し。

最初は俺も仲良くしてた。
憧れの兄弟wwwうはwww人生ゲームしようぜwwwそんな感じだったが、
継母と色々あってからはほとんど話さなくなった。

バイトめっちゃ入れるようにしたしな。

別にDQNとかじゃなかった。ただ、よく言われていた(らしい)ことは、

「1くんは夜遅くまで遊んでいてずるい。1くんはプレステ2を持っててずるい。
 1くんはおじいちゃんにジュースを貰ってた。ずるい。」

それに継母が怒り、俺に冷たくする。
それを見たじいちゃんが俺に優しくする。

後半はそのループになっていた。

話は戻り、俺は親父が帰ってくる日に合わせて帰宅した。

顔を合わせた継母に言われたことは、

「1くんがそういう行動を取ると、連れ子に悪影響だからやめて。」

はいはい、サーセン。
何も答えずに部屋にこもった。

親父が帰ってきた音が聞こえたが、すぐには出て行かなかった。
どうせ継母があーだこーだ言うんだろーなと思ったから。

「おい、いいか?」
親父が部屋に来た。やっぱりか。

俺「なんか言われた?」
「1が家出して、心配でみんなで探したら風邪ひいたって言ってるんだが。」

「ははっワロス」
「違うのか。」
「家出したのは本当。」

ここで、じいちゃんに対する暴言を親父に言った。
ついでに、じいちゃんから聞いた話やじいちゃんに家事するように言ったこととかも。

「本当か。」
「本当だよ。」

「わかった。お前はもう寝ろ。」

親父、キレるかなーと期待してたが、飄々としてた。

あーやっぱ、俺の言うことより継母を信じちゃうんかなぁ・・・と思った頃、
リビングから、親父の怒号が聞こえた。

ちょwww親父www
慌てて下へおりた。

親父がキレてた。
継母が泣いてた。

何て喋ってたのかいまいち覚えてない。
親父がこんなにキレるところを見たのは初めてだったから驚いてた俺。

「そんな態度ならこの家を出ろ。」
みたいなこと言ってたと思う。

継母は泣きながら、寝ている連れ子を起こして出て行った。

親父ぃぃぃいいいいいいい!!!

ダンの挑発ばりに叫びたかった。
俺の言葉を信じてくれて、俺らのことを大事にしてくれてるんだと思ったら単純に嬉しかった。
やったーラスボス倒したー・・・とはいかなかったんだけどさ。

数日後、継母は帰ってきた。

「今までごめんなさい。これからは気をつけるから、またよろしくね」
みたいなこと言ってた。

もうそん時には退院してたじいちゃんには、土下座して「ここにいさせてください」って言ったらしいよ。

わろすわろす。

「あぁ言ってるから、もう一度チャンスをあげてやってくれ。赤ん坊もいるしな。」
みたいなことを親父に言われた。

正直うんざりだったが、赤ちゃんのことなど考えると、
そりゃそんな簡単に離婚してたらしゃーねーわな。と思った。
謝った継母の顔はマジだったしな。

人は簡単には変わらないんだなって、今となっては思うんだけどさ。

しばらくは特に波風立たなかった。
パートもやめて、家事もちゃんとしてた。

このまま上手く行くのかなぁなんて思い始めた頃にお茶漬け事件がおきた。

今となっては笑える話なんだが。

親父と継母が買い物に行った。
継母が屋台で焼き鳥を買おうとした。
でも、焼き鳥は数日前にも食べたばかりなので、違うものにしようと親父が言った。

スーパーで親父がお茶漬けの素を買おうとした。

継母激怒

「あたしの食べたいものは買ってくれないのに、そうやって1の好物ばっかり買って!!!!!」

その日は継母は夕食を作らず、自室にこもった。
親父はヒステリーだとなだめ、ほっといたらしい。
この事件は後々になって聞かされた。

今考えるとそこからなんだが、また俺への風当たりがきつくなった。

夜中にリビングで飯を食うな(音がうるさい)
バイトから帰宅後の音がうるさいから静かにしろ
電気代が高いのは1のせいじゃないか

とか言われてた。

あと、やっぱり連れ子には色々買ってきてたみたいだけど、俺にはなかった。
昼食の弁当も作ってくれなくなった。

その頃、やたらお茶漬けの素を切らしてることが多く、
俺も自分で買ってきてたがすぐになくなっていた。
どうやら、継母が捨てていたらしい。

お茶漬けに呪われてしまえ。

もうその頃の俺は17になってて継母なんてどうでも良かった。
親父がいないときはじいちゃんの部屋で飯食ってた。
じーちゃんに和菓子買ってって一緒に食ったり、リポD貰ったり。

そんなある日。

俺の部屋から金がなくなっていた。

数千円なら気のせいだと思っただろう。
でも、5万ないんだ。
お年玉とかをタンス貯金してたとこから、5万ないんだ。

とりあえず親父に言った。
さりげなく継母に言ってくれたようだが、知らないと言われたらしい。
そう言われてしまえば、もうこちらから何も言えないもんな。

親父が5万はくれたけど、すっきりしなかった。

そっからしばらくして。
風呂入ってたら親父の怒号が聞こえた。

俺の部屋で、俺の財布を漁っている継母を発見したようだった。

親父二度目のマジギレ。
「もう我慢できない。お前は人として最低だ。出て行け。もう帰ってくるな。」
みたいなことを大音量で言ってたと思う。

もう何を言っても無駄だと悟ったのか、連れ子を起こし、1子も連れて行こうとする継母に対して、
「1子は俺が育てるから絶対に置いていけ。連れて行くことは許さない」と。

そっから継母はぎゃあぎゃあ言ってたが、親父のマジギレに負け、出て行った。

「お前にも苦労をかけたな。本当にすまん。」
親父が言う。一気に老け込んだ気がした。

「いいよ。お疲れ。ビール飲もうぜw」
晩酌してると、じいちゃんも起きて来た。

そこで聞いたエピソード

じいちゃんから30万借りて返してない

連れ子がじいちゃんにおこづかいちょーだいと言いまくっていてじいちゃんキレたら継母もキレた。
どうせ1くんにはあげてるんでしょう!

親父が連れ子に注意をすると継母がすねる、泣く、1くんには怒らないのにどうして!
留守中に俺の部屋に入る連れ子にじいちゃんが注意すると、継母がキレる。
そうやって1くんばっかり可愛がって!

1くんから生活費入れて貰おう発言
俺だけでなく、じいちゃんや、親父の財布からも金がなくなったことがあった

俺さ、奨学金貰って自分で高校の金とか定期代とか出してたんだよね。
それ以上出すべきだったのか?SI☆NE☆YO☆

1子に関してはこんな感じ。

親父「1子は俺が育てる。毎日家に帰れるように仕事内容を変える。」
じい「1子は俺の孫だ。あんな女には渡せねえ。」
俺 「俺夏休みだしさ、しばらくは1子の面倒見れるから心配すんなよ。」

「・・・ありがとう。」
今まで聞いた親父のどのありがとうよりも、嬉しいありがとうだった。

俺も親父もじいちゃんも、1子タン可愛いよハァハァだったんだ。

その次の日あたりに、俺らの留守中を見計らって必要な荷物は運び出したらしい継母。
まーどーでもいーよね☆
離婚届はおいおいでいいんじゃね?冷静になってからでいいんじゃね?って感じだった。

継母が出て行った一週間後、有り得ない事態になった。

昼間。俺がバイトから家に帰ると、じいちゃんが玄関で倒れていた。
頭からは血が流れていた。

「じいちゃん!どうしたんだよ!大丈夫かよ!」

「う・・・」
「あいつ(継母)がきた。1子が、1子が・・・」

リビングを見る。1子がいない。

俺は大丈夫だというじいちゃん。
俺のせいで1子がってマジ泣きしてるじいちゃん。

じいちゃんを起こしてイスに座らせ、外に出る俺。

見渡す。いない。
当たり前だ。相手は車だ。

ダメ元で近所のコンビニまで走る。
いない。

原チャで探そうと思い、一端家に帰る。

家の前には、継母の車があった。

忌々しい軽が止まってる。

マジで走った。

玄関を開けると、じいちゃんと継母が揉みあっていた。

「なにやってんだてめえぇえええええええええ!!!」

継母を突き飛ばす俺。

ベッドに寝かせられていた1子を抱きあげて俺の部屋へと階段を上がる。

継母、マジで追っかけてくる。

それを止めるじいちゃん。

1子をベッドに寝かせ、ドアを閉めると継母に向かってもう一度突き飛ばす。

「てめえ何してんだよ!!!1子泣いちまっただろうがああああ!!!
 じいちゃんもよお、どうしてくれんだあああああああ!!!」

正直、ここらへんもよく覚えてない。

相当キレてた。

何とか継母を家の外に出し、ぎゃあぎゃあわめく継母に俺も怒鳴り、じいちゃんが警察を呼び・・・

警察が来た頃には継母はいなくなってた。

家にカバンはおきっぱなしで、鍵もあったから車も動かせなく、徒歩で逃げたようだった。

これで家の鍵も家にあるし、もう家には入れないと一安心。

継母の車とかは親父が何とかしたみたい。

この件に関しては訴えないかわりに、1子の親権は貰う。お前は二度と家へ来るな。

そんな流れだったようだ。

それから数年。

最近やっと離婚が成立したんだ。

継母の実家が東北で、どうやら東北に帰ったらしいとの情報はあったものの、
連絡が取れずだったようで。

継母も面識の有る俺らの親戚の家に継母が襲来し、
1子を返して欲しいだのなんだので茨城に帰ってきてたらしい。

そこで、ふざけんなぁ!と言い、ついでに離婚届も書かせたようだ。

1子も今では小学生だ。
弁当は俺が作ってる。
1子タンかわいいよハァハァ。

じいちゃんも生きてる。
やっぱ歳だから、超元気!ってほどではないけど。
1子をかわいがりまくってる。

親父は超元気。
もう結婚しねーって言ってるのが少し切ないけど。
完全に親バカで見てて微笑ましい。

俺はそんないい子供じゃなかったよ。
ただ、今では安定してるけど、俺が小学生の頃は、結構貧乏だったんだ。
だから、極力親に負担かけさせないようにってのがずっとあった。

当時はそれなりに裕福だったと思うけど、
「使えるもんはつかおーぜ!」みたいな感じで押し切って奨学金使った。

なんで親父は継母と結婚したのかわからんが、再婚前の継母は、俺から見ても良い人だったんだ。
料理も上手かったし、優しかったんだ。
俺に好かれようと猫かぶってただけかもしれないけど。

継母の借金の理由は未だにわからん。
今更だから親父にも聞いてない。

あんな修羅場は二度とごめんだ。
ってか、俺も継母突き飛ばしたときにケガさせたかも。
反省はしていない。

連れ子は少しかわいそうだと思う。
親父が継母に怒鳴ったとき、「おかあさんをいじめないで!」って言ってたのが心に残ってるんだ。

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