04月26

俺が妹萌えになったきっかけの話

数年前、俺が妹萌えになったきっかけの話。
地元の高校があまりにへっぽこで、県外の私立に進学することが決まった時のことです。
さすがに片道一時間半かけて通うのは辛いだろうということで、進学予定の高校に近い場所にある伯父さんの家に住まわせてもらうことになった。
それが決まったのが、中三の二月の受験終了後。妹の沙織は中二だった。
俺のうちは両親共働きで、俺と沙織は小さい頃から家で二人で過ごしてきた。沙織は同級の友達よりも、俺の友人たちと遊ぶことが多かったくらいで、一緒にいることの多い兄妹だった。
さすがに中学になってからは沙織も自分の友人関係を作って、そんないつも一緒ということはなくなったが、家で食事の用意や洗濯は、相変わらず二人でやったものだった。

「俺、この家から居なくなるわけだけど、大丈夫?」
これから沙織は、家に帰ってきたらいつも一人で過ごすんだと思うと、何だか心配になり、聞いてみたりした。
「大丈夫って、何が?」
「いや、一人で大丈夫かってことだけど……」
「大丈夫なんじゃないの?」
別に寂しがっている様子もなくあっさりした返事で、まあ昔とは違うしなと、よく俺を頼りにしてくれていた頃を思い出して逆にこちらが寂しくなったりした。
ちなみに両親は、その私立高校が悪くない高校だったので、始終とても嬉しそうだった。
三月の終わりくらいには伯父さんの家に引っ越しておいたほうがよいだろうということで、荷物をまとめたりして準備を進めていった。

引越しの前日、両親が帰ってくる前の夕刻頃、居間でテレビを見ていたら、沙織がちょっと変な様子で
「お兄ちゃん、テレビ消していい?」
と訊いてきた。なんか緊張しているようだというのがわかった。
「いいけど……何で?」
「ちょっと歌きいて欲しいんだけど」
「歌?」
「いい?」
「いいけど……」
カラオケの練習か何かかと思った俺は、断る理由も無いしとOKした。
一体どんな歌だろう、俺の知らんやつか? と身構えていたが、沙織が歌い出したのは何とも懐かしい歌だった。

わたしからあなたへ このうたをとどけよう
ひろいせかいに たったひとりの わたしのすきなあなたへ

としおいたあなたへ このうたをとどけよう
こころやさしく そだててくれた おれいがわりにこのうたを

ゆめのないあなたへ このうたをとどけよう
あいすることの よろこびをしる まほうじかけのこのうたを

しりあえたあなたへ このうたをとどけよう
こんごよろしくおねがいします めいしがわりにこのうたを

わかれゆくあなたへ このうたをとどけよう
さびしいときに うたってほしい とおいそらからこのうたを

わたしからあなたへ このうたをとどけよう
ひろいせかいに たったひとりの わたしのすきなあなたへ

分誰でも一度は聞いてるんじゃないかと思う。教育テレビとかで聴いた歌だった。
(当時俺は曲名はわからなかった。『きってのないおくりもの』という曲)
沙織はこの歌を突然歌い始め、最後に一番をもう一度繰り返し歌った。俺はわけがわからなかったけど、上手だったし、何より沙織がすごく一生懸命だったので、どきどきと言うかちょっと感動しながら聴いていた。
「いや、良かった。上手かったよ」
「そう? 良かった」
沙織はそれだけ言うと、居間から出ていった。

この時は、ほんと良くわからなかったんだけれど、引越しして高校が始まってしばらくしてからようやく、沙織は何か伝えたかったのかなと思い至った。
一応毎週末には帰っていたので、聞いてみた。
「沙織、あの歌何だったの?」
「覚えてないよ、そんなこと」
さらに聞いてみた。
「俺のこと、好きだったりする?」
「そりゃ、家族なんだからそこらへんの人よりか好きに決まってるでしょうが……」
沙織はさすがにちょっと照れた様子だった。アホかという感じで言われたが、俺は非常に嬉しかった。

「じゃあ、家族の中じゃどう? お父さんとかお母さんとかと比べて?」
「……親しみで言ったらお兄ちゃんかもしれないけど。……何? 何でそんなこと聞くの? ……別にあれはそんな変な意味があったわけじゃないよ。単に、今までのお礼みたいな感じってだけ。何となくなんだからね」
沙織は怒り出してしまったが、それ以来俺にとって妹はマジで愛でる対象となった。変な意味じゃなくて、「こんな可愛い妹のためならどんなことでもしたるで!」と言う感じ。
そんなわけで、いまだ沙織とはとても仲がいい。
ちなみに『きってのないおくりもの』は、俺の大好きな歌となった。

エロ】妹スレ12【萌え】


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