最近、息子が大阪の大学に行ってしまい、また嫁と二人の生活が戻ってきた。18年ぶりの二人の生活で、正直、何を話せば良いのか戸惑うことも多い。なによりも、寂しくなった。同僚なんかに話を聞くと、同じような境遇になり、昔みたいにセックスする回数が増えたという話をも聞くが、今さら嫁とセックスするのもどうなのかな? と、思ってしまう。
嫁の千里はまだ40歳で、私は45歳だ。社会人1年生だった嫁を妊娠させて、いわゆる出来ちゃった婚だった。嫁は、タイプで言えばサバサバした感じの女性だ。女らしさが足りないと言えるかもしれないが、ルックスは美人な方だと思う。なかなかおばさんにならない歌手に似ていると言われる。
なんとなくギクシャクしたような日々が続く中、会社の後輩を食事がてら家に呼んでみた。後輩の孝一は、年は離れているが大学も同じで、けっこう仲良くしている。直接の部下と上司という関係でもないので、気楽な付き合いが出来るのも楽でいい。
昔、一度だけ嫁を見ている孝一は、事あるごとに嫁が美人で羨ましいと言っていた。そんな孝一は、三十半ばでまだ結婚はしていない。彼女はいるらしいが、結婚はまだ考えていないそうだ。
「やっと呼んでくれましたね。待ってましたよ」
孝一は、嬉しそうに言う。私の家に遊びに来るのが、本当に楽しみだったようだ。私は、嫁のことを高く評価され、悪い気はしなかった。
「先輩、息子さんいなくなって、ラブラブ復活したんじゃないですか?」
孝一は、軽いノリで聞いてくる。私は、否定も肯定もせず、曖昧にごまかした。
「そうだ、なんかお酒買ってきましょうよ。奥さん、なにが好きですか?」
孝一は、そんな気遣いをする。私は、それならワインでもと言って途中のスーパーで何本か買った。私はアルコールに弱いのでよくわからず、孝一におまかせで選んでもらった。ワインというとフランスとかイタリアというイメージだったけど、孝一いわく、日本製の物がお勧めだそうだ。ウィスキーもワインも、かなり美味しいらしい。
そして、帰宅した。玄関を開けると、何か煮込んだような良い匂いがする。
『お帰りなさい。孝一さん、お久しぶりです』
嫁はいつもの感じではなく、ちゃんとメイクもしているし、服も部屋着ではない。ミニスカートとまではいかないが、少し短めのスカートを穿いている。そもそも、スカート姿を見るのも久しぶりだ。私は、いつもと感じの違う嫁にドキドキしていた。やっぱり、こうやってちゃんとすると綺麗だなと思う。
「お久しぶりです! 相変わらず、メチャ美人ですね?」
孝一は、すでに鼻の舌を伸ばしているような顔になっている。私は、自分の嫁が性的な目で見られていることに、優越感と不安が入り混じるような気持ちだった。
『あら、何も出ないわよ?。じゃあ、お食事にしましょうか』
嫁は、わかりやすく上機嫌になっている。考えてみれば、こんな風に褒められることもないのかもしれない。私は、もっと嫁に言葉をかけないとなと反省した。
そして、鍋料理を食べ始める。嫁の出身の北海道の定番の鍋だ。居酒屋なんかで食べる石狩鍋よりも、甘めで濃厚な味だ。これも、家庭によって使う味噌が違ったりで、味のバリエーションがあるそうだ。
「美味いです! へぇ、こんな感じなんだ。店で食べるのよりも濃いんですね」
孝一は、本当に美味しそうに食べる。そして、さっき買ってきたワインも開けた。
『ホントだ、美味しい。全然知らなかった』
嫁は、孝一の選んだワインを美味しそうに飲む。こんな風に、楽しい雰囲気の食事も久しぶりで、私もついつい飲みすぎてしまう。久しぶりにたくさん笑って、いっぱい話もした。
そして、話題は孝一の結婚の話になっていく。
『もう5年も付き合ってるんでしょ? どうして結婚しないの?』
嫁が、無邪気に質問する。孝一は、曖昧にごまかしていた感じだが、あまりに嫁がしつこいので、
「体の相性が合わないんですよね。こればっかりは仕方ないです」
と、孝一が言う。私も、そんな話は初耳なので興味を持ってしまった。
「体の相性って、セックスの話って事? 彼女がさせてくれないとかそういう話?」
私は、パッと思いついたことを口にした。
「いや、そうじゃなくて、エッチはするんですけど、その……サイズが合わないというかなんと言うか……」
口ごもる孝一。
『サイズって? 身長差があるって事?』
嫁も、意味がわからないという顔で聞く。
「いや、アレのサイズが合わないって事です。彼女、ちょっと小柄なんで、キツいんですよ。入れると痛がっちゃって……」
孝一は言いづらそうだ。
『あっ、そういうことか……』
嫁は、恥ずかしそうな顔になる。
「それって、お前がちゃんと前戯しないからじゃないの? 濡れてないとか?」
私は、そんな事を言った。
「いや、ローションとかも使ってみたんですけどね。根本的にサイズが合わないみたいで」
孝一は、ちょっと寂しそうに言う。
『そんなに大きいって事なの?』
嫁は、孝一の方のことを言った。私も、言われて気がついた。単に、孝一の彼女の膣が狭いという話だと思っていたが、確かにそんな見方もある。
「えぇ、まぁ。無駄に大きいって言うか、意味ないですよね。彼女とエッチできないんじゃ、ホント、ウドの大木って感じです」
寂しそうに言う孝一。なんとなくそれ以上は聞くづらくなってしまい、話はまたお酒のことに移る。私は、あんまり詳しくないというか興味もないので上の空で聞いていたが、入れると痛がるほど大きいってどの程度の大きさなんだろうと考えていた。
私は、コンプレックスと言うほどでもないが、ペニスが小さいのが悩みだった時期がある。大学生の頃は、吸引式のポンプのヤツとか、シリコンバンドで亀頭のカリ首に引っかけ、引っ張るという器具も試したりした。そのおかげで、多少は大きくなったような気がするが、銭湯なんかに行くとつい比べて劣等感を持ったりしていた。
ただ、嫁と結婚して子供も生まれると、そんな気持ちは消えてなくなっていた。でも、孝一の話を聞いて、少し昔のコンプレックスが刺激されたような気持ちだった。
そんな事をつらつら思っているうちに、いつの間にか寝てしまったようだ。ふと目が覚めると、私はいつの間にかソファに寝ていた。慌てて身体を起こそうとしたが、ダイニングの方から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。私は、思わず目を閉じて寝たフリをした。
『ウソばっかり。こんなおばちゃん相手になに言ってんのよ。彼女に言いつけるわよ?』
嫁の、本当に楽しそうな声が聞こえる。
「いや、マジですって。ホント、警察の似顔絵書く人に僕の好み言って書いてもらったら、千里さんになりますもん」
孝一の調子の良い声も聞こえる。二人とも、かなり酔っているような声だ。と言うか、ベロベロなんじゃないかと思うくらいの口調だ。
『そんなことばっかり言ってるんでしょ。孝一くんって、浮気してるでしょ。だって、彼女とはエッチできないんだもんね』
嫁は、酔っ払い特有の話し方になっている。
「まぁ、その辺は適当に。でも、彼女も他のヤツとしてますからね」
孝一は、そんな事を言う。
『えっ!? 浮気してるってことなの?』
驚く嫁。
「まぁ、公認なんで浮気とは言えないですかね?」
孝一は、サラッとそんな事を言った。
『孝一くんが公認してるって事? どうして? イヤじゃないの?』
嫁は、ビックリしている。
「だって、僕のじゃ入らないですから。エッチできないなんて可哀想じゃないですか」
孝一は、そんな説明をする。
『そ、それはそうだけど……。でも、孝一くんイヤじゃないの?』
嫁は不思議そうだ。
「まぁ、彼女が他の男にやられて感じてるの見ると、興奮しちゃいますけどね」
『そうなの!? 信じられないなぁ』
二人は、そんな際どい会話を続けている。私は、寝たフリをしながら話を聞き続ける。
「千里さんはどうなんですか? 浮気とか、1回もないんですか?」
孝一が、話をそらすためなのかそんな事を聞く。私は、ドキッとした。嫁が浮気する……。そんな事、一度も考えたことがなかった。
『ないに決まってるじゃない』
嫁は、即答してくれた。私は、心底ホッとしていた。
「ホントですか??」
食い下がる孝一。
『バカね。あっても、言うわけないでしょ。女の浮気は、墓場まで持っていくものよ』
嫁がそんな事を言った。私は、急に心臓がドキドキし始めていた。あの言い方では、浮気があるとも取れる。
「あれ? なんか、経験ありっぽいですね。先輩、知ってるんですか?」
『ないわよ。言ってるでしょ? それよりも、彼女さんの、拡張とかしてみたら? 出産すると緩くなるんだし、多少は広げられるんじゃない?』
嫁は、そんなアドバイスをする。
「なんか、それも悪い気がして。だって、もし僕と別れたらどうします? 緩くしちゃダメだと思うんですよね」
孝一が、珍しくまともなことを言っている。
『それもそうか……。でも、そんなに大きいの? やっぱり、孝一くんが下手なだけじゃないの?』
嫁は酔っ払っているせいか、下ネタを話し続ける。
「そんな事ないですって。だって、他の子は凄く良いって言ってくれますし」
少しムキになる孝一。
『あら、社交辞令って知ってる?』
嫁は、からかうように言う。
「そんな事ないですって。じゃあ、見てみますか?」
孝一は、かなりムキになっている。
『見せてくれるの? じゃあ、見せてよ』
嫁は、好奇心が刺激されたような感じで答える。
「い、いいんですか? 怒られません?」
孝一は、急にトーンが落ちた。
『やっぱり。本当は、そんなに大きくないんでしょ?』
嫁は、相変わらずからかっている。
「そんな事ないですって! じゃあ、見て下さいよ!」
孝一は、そんな事を言った。私は、思わず薄目を開けた。すると、ダイニングテーブルの前で、孝一が立ち上がっている。でも、背を向けているので見えない。その代わり、嫁の表情は見えた。嫁の目線は孝一の股間あたりに固定されていて、
『えっ? 本当に? それって、大きくなってるの?』
と、驚いたような声を出している。
「いえ、まだです。いま大きくしますから」
『い、良いわよ。もうわかったから。早くしまいなさいよ』
嫁は、動揺したような声を出す。
「わかってくれました?」
少し得意気な孝一の声。
『うん。でも、凄いのね。孝一くんって、外人さんの血が流れてるの?』
嫁は、不思議そうな声で聞く。私は、どれだけのサイズだったのだろうと、気になってしかたない。そして、嫁が他の男のペニスを見たことも、ショックというか不安を感じる。
「いえ、100%国産です。親父もおじいちゃんもデカかったんで、遺伝じゃないですかね?」
孝一は、ズボンを戻しながら言う。そして、また椅子に座った。
『そういうもんなのね……。でも、確かにそれじゃ痛がるかもね』
納得したような口調の嫁。私は、不安が大きくなりすぎて、寝ぼけながら起きたフリをした。
『あ、起きた? 大丈夫? お水いる?』
心配そうに私の近くに歩いてくる嫁。
「ありがとう。平気だよ。ちょっと飲みすぎたかな? 孝一は? まだいるの?」
私は、とぼけて聞いた。
「いま帰るところです。先輩、弱いんだから飲み過ぎちゃダメですよ」
孝一は、笑顔で言う。私は、モヤモヤしてしまった。二人が、私に秘密を作ったようで、嫉妬のような感情がもたげる。
そして、孝一はすぐに帰っていった。そのあと、風呂に入り、寝室のベッドに潜り込む。しばらくすると、嫁もベッドに入ってくる。
「孝一、そんなにデカいのかな? 痛くて入らないなんて、聞いたことないけどね」
私は、そんな話を振ってみた。
『そうね。下手くそなだけだったりして』
嫁も、話をあわせてくる。やっぱり、さっきの出来事は秘密にするつもりらしい……。
「でも、セックスできないんじゃ、アイツも彼女も不満だよね」
私はそんな事を言ってみた。
『でも、入れなくても出来るやり方もあるでしょ? きっと、上手くやってるわよ』
嫁は、そんな事を言う。私は、やっぱり蚊帳の外に置かれた気持ちになり、嫉妬で息苦しくなるような感覚だった。私はそのまま彼女に覆いかぶさり、キスをした。舌を絡めて濃厚なキスをする私。すぐに、嫁の舌も絡みついてくる。
久しぶりにする大人のキスに、私は興奮して我を忘れた。今までこんなに長くキスをしたことあったっけ? と、思う程キスをしたあと、
『パパ、どうしたの? なんか、興奮してる?』
嫁は、少し不思議そうに言う。
私は、
「久しぶりにどうかな? あいつの話聞いてたら、したくなっちゃったよ」
と、言ってみた。
『ふふ。私も。ちょっと、興奮しちゃった』