06月16

続 続 オバちゃん

「やだ…それ恥ずかしいよ…」
ベッドの上で美雪は膝を曲げ、背中を向けてしまった。

美雪の胸から茂みへと徐々に唇を移動させ、いよいよ脚を開かせようとしている所だった。
明後日には美雪はシンガポールへ行ってしまう。僕は美雪のあらゆる所に、僅かでも
自分の痕跡を残したかった。三週間前に初めて美雪とひとつになってからその思いは
大きくなるばかりで、準備に追われている美雪を呼び出し家に誘った。
美雪は断らなかった。

「わかったよ…」
僕は仕方なく美雪の膝から手を離し、向けられた背中に体を密着させた。
美雪の胸を掌に包み、指先で軽く頂きに触れた。
「…あっ」
美雪の頂きは、さっきまで僕の舌で転がされた余韻が残っていて、まだ固いままだった。
背中へ唇を這わせると、美雪は首を仰け反らせた。そのままうつ伏せにさせた。
「…んんっ…んんっ…」
美雪は枕に顔を押し付けたまま仔犬が甘えるような声を出した。
僕は唇を背中から腰へ、そしてお尻へと移し、舌でぺろっと舐めた。
「いやっ…」
美雪は体を捻って仰向けになった。脚が開かれたので僕は難なくそこへ顔を埋める
ことができた。
「…やだ…やだったら…」
美雪は身を捩って僕から逃れようとしたが、僕は離さなかった。美雪はもう十分に
潤っていた。僕は泉の入口に舌を潜らせた。美雪のそこはにおいも味もほとんど無かった。
僕は泉の湧く所よりほんの少し上を舌先でつついた。
「あん…」
美雪は電気が走ったように体を震わせた。僕はそこを中心に舌を動かしながら目を開けた。
美雪の薄めの茂み越しに、形の良い胸が、起きている時とほぼ変わらないまま揺れていた。
その向こうに羞恥と快感がない交ぜになった表情まで見渡され、シーツに押し
つけられた僕自身が痛いくらいに反った。
「んっ、んっ、んっ、んっ…」
その瞬間、美雪は枕で顔を覆った。

「…バカ…スケベ…」
美雪がうらめしそうに呟いた。美雪は火照った顔を僕の胸に押しつけている。
「じゃスケベついでに…」
僕は美雪の手を取り僕自身へ導いた。美雪は抗わなかったが、その手は僕自身に
添えられただけだった。美雪の手に僕の手を重ねゆっくりと握らせ、上下させた。
しばらくそうしていると、僕が手を離してもそのまま美雪の指は僕を握りおずおずと
運動を繰り返した。
「美雪…」
美雪が顔を向けた。見つめあった。そのあと美雪は視線を下げ、迷うような顔になった。
僕がどうして欲しいのか察したようだ。沈黙が続いた。美雪の手だけが動いていた。
「もし布団捲ったら、私帰るから…」
美雪は頭から布団を被ると、僕の脚の間にうずくまった。
ほどなく僕自身に温かくて柔らかい感触が訪れた。
初めはちょんちょんと控え目な刺激が続いた後、とうとう先っぽ全体が包まれた。
根元は休みなくしごかれている。布団が小刻みに揺れていた。
僕は布団の中の美雪を想像し、うっとりとなった。昂ぶりが急速に体を突き抜けた。
堪らなくなった僕は、布団を剥がし美雪の…。

「美雪…美雪ぃっ…」
ひとり寝転がったベッドの中で僕は達した。久しぶりの自慰のせいかいつもより
長い絶頂が続き、その後徐々に高まった熱が少しずつ冷めてゆく。僕は体を起こし、
自分の痕を拭うと大きく息を吐いた。
あれから一年が経っていた。その間僕の周りに特に変わったことは起きず、去年や
一昨年の出来事が僕の中で現実味を失ってきていた。
美雪からは、たまに手紙が来ていた。この間の手紙には夏休みの間少しだけ日本に
戻ると書いてあった。それは僕にとってこの夏の一番の楽しみだった。
ぼそぼそと話し声が玄関先から聞こえてくる。どうやら親父が帰ってきたようだ。
今年に入ってから親父は夜遅く帰ってくることが頻繁になった。仕事が忙しいせい
らしいが…どうだか…。僕はいつの間にか寝入っていた。

それから十日程経った土曜日、僕は目当ての本を買った後も街中をぶらついていた。
ショッピングセンターの中は買い物客ばかりでなく、梅雨の蒸し暑さから逃れてきた
人々でごった返していた。
「あの、すいません」
最初、自分が呼ばれているとは思わなかった。二度目に呼ばれ振り向くと、声の主は
僕を見ていた。見覚えがあった。去年の暮れに家に来た保険のオバさんだった。
「保険の外交はもうやめたの。何だか合わなくて…」
オバさんはアイスコーヒーの入ったグラスをストローでかき混ぜると、さばさばした
ように言った。

オバさんに声を掛けられた僕は、誘われるままにショッピングセンターの中のカフェ
みたいな所で向き合って座った。
オバさんは、去年家に来たときよりも幾分痩せていた。それにあの時は緊張していた
せいだったのか、今のほうが若く見えた。
「今は建設会社の事務。コネがあってね…。お給料は安いけど、私ひとりだから」
オバさんは前に結婚していて子供も一人いたが、離婚して子供とも別れたらしい。
結構重たい話だが、オバさんの口調はあっけらかんとしていて僕の気分までなんとなく
明るくなった。それとここに来た時からオバさんの着ているポロシャツの胸の膨らみが
気になっていた。
「ねぇ時間あるなら、ちょっと付き合ってくれない?」
オバさんはひとしきり自分のことを話した後、僕を誘った。僕に断る理由はどこにも無く、
僕たちは席を立った。

オバさんは駐車場に停めていた車に僕を乗せると、港まで走らせた。車は港の外れの
砂利がうず高く積まれている所の端で停まった。ちょうど満ち潮で、さざ波がすぐ
目の下にまで迫っていた。少し離れた所には釣りをしている人たちの姿があった。
「ここって見晴らし良いでしょう。私ムシャクシャすると、よくここに来るの」
「ムシャクシャって…何かあったんですか?」
「…今日はないわ。ただここに来たかっただけ…あなたとね」
僕はドキッとしたが、悟られないよう何食わぬ顔で海を見つめた。
オバさんは不意に助手席に座る僕に顔を近づけた。
「去年、私が家に来た時どうして中に入れたの?両親は居ませんって言えばよかったのに」
「…あっ…いえっ…外が寒そうだったから…」さすがに動揺が顔に出てしまった。
あの時、僕は何かが起こることを期待していた。結局何も起こらなかったが…。
「そう、優しいのね。でも本当はこういうことしたかったんじゃない?」
オバさんは僕の唇に吸いついた。

えっ…?いきなりのことで僕の思考は一瞬止まってしまった。
オバさんの舌は僕の唇をこじ開け中に進入してきた。コーヒーと化粧とオバさんの匂いを
僕はいっぺんに吸い込んだ。ほとんど無意識に僕もオバさんの舌を唇で挟みその先を
舐めた。
「…んんっ…ふんっ…」
オバさんと僕のキスは次第に熱が入ってきて、口紅はふたりの唾液できれいに拭い
去られてしまった。僕はオバさんの胸に触れ下から揉みしだいた。
「ああん…」
オバさんは声を上げると、僕の頭を抱きしめた。僕はポロシャツの中に手を入れ
捲り上げた。ブラジャーを押し上げると、目の前の豊かな丘にむしゃぶりついた。
少し汗の匂いがした。
「んふっ…んああっ…」
僕は夢中でオバさんの頂きをしゃぶり、転がした。どうしてこんなことに…?頭の
片隅ではついさっきまでは思いも寄らなかった状況をどうにかして理解しようとしたが、
到底無理だった。
「上手なのね…」
オバさんはいったん僕から離れると、助手席のシートを少し倒した。
「お返しよ…」
オバさんは僕のジーンズに手をかけるとパンツごと引き下ろした。そして僕自身に指を、
絡ませ、ためらいもなく口に含んだ。
「あっ…」
それは今までに感じたことがない快感だった。オバさんの舌はねっとりと僕自身に押し
当てられながら細かい動きでぺろぺろと舐め上げる。僕は目を閉じ、快感に身を委ねた。
足先が自然にぴんと伸びた。僕は手探りでオバさんのスカートをたくし上げ、ショーツの
縁から手を差し入れた。僕の手はすぐに茂みに触れ、その先のぬめった場所へと
行き着いた。
「私…お口使うとすぐに濡れてくるの…」
オバさんの声が聞こえた。話しているのに僕への刺激が間断なく続くのが不思議だった。
「ああ…ああ…」
車の中で僕の声とオバさんの口元から発せられる淫靡な音だけがした。
僕はもう爆発寸前だった。
「はい、おしまい」
突然オバさんは僕から離れ服を直しだした。あっけに取られる僕に、オバさんは窓の外を
指差した。釣りを終えたおじさんがこちらの方に向かって歩いてきていた。僕も急いで
ジーンズを引き上げた。オバさんは指で口を拭いながら僕に微笑んだ。
オバさんは僕を家の近くまで送ってくれた。別れ際に僕はオバさんにまた逢いたいと
言った。オバさんは少し考えてから「いいわ」と頷き、僕たちは時間と場所を約束した。
オバさんの車が角を曲がってからも、僕はしばらくそこに立っていた。
一体何だったんだろう…。僕は突然自分の身に降ってきた出来事を、どうとらえて
いいのか解らなかった。
途中珍しく早く帰ってきた親父と出くわした。親父は学校のことなどを聞いてきたが、
今の僕はそれ所では無く、生返事でしか返せなかった。

その夜、僕はわずか数時間前の出来事をゆっくりと反芻しながら自慰をした。
オバさんと約束したのは、港の近くにある公園だった。その日、僕はうきうきとした
気分をあまり顔に出さないようにして朝からベンチに座り待っていた。
ところが、オバさんはいくら待っても現われなかった。僕は、自分が待ち合わせ場所を
間違えたのか、それともオバさんの身に何かあったんじゃないかとか色々思いを巡らせた。
しかしいくら考えてもオバさんの連絡先を知らない僕に答えが出る訳が無く、僕は
照りつける日差しを避けながらひたすら待っていた。いつしか太陽は西に傾きだしていた。

「お待たせ…」
振り向くとオバさんが立っていた。オバさんは固い表情のまま僕の横に座った。
「朝…子供が事故に遭ったって前の主人から連絡があって…」
「大丈夫ですか!…行かなくてもいいんですか!」
「…う、うん…大したこと無かったってさっき連絡があった…行かなくても大丈夫みたい」
「そうですか…よかった」僕はほっと胸を撫で下ろした。オバさんは僕を見つめていた。
「ねえ…なんで帰らなかったの?私が約束だけしてすっぽかすとか考えなかったの?」
言われてみればそうだった。僕は不思議とそのことを考えていなかった。
「どうせ今日は別に予定無かったし、ここに居るのも他で過ごすのも変わんないから…」
僕は笑いながら答えた。オバさんの表情が崩れた。
「ごめんなさい…」オバさんは僕の手を握った。
「殺風景だけど、入って」
僕はオバさんの住むアパートの部屋に通された。部屋は小さめの六畳と四畳半のふた間で、
目に付くのは箪笥と卓袱台と鏡台だけといった地味な感じだった。
「ずっと日に照らされて暑かったでしょう。シャワー浴びて」
オバさんは箪笥の中からバスタオルを取り出し、僕に手渡した。僕は汗まみれになった
服を脱ぐと浴室に入った。浴室はユニットバスで天井が低かった。

「入るわよ…」
閉めたばかりの浴室のドアが開かれた。振り向くとオバさんが裸で立っていた。
驚く僕をよそにオバさんはシャワーヘッドを手に取ると、僕の背中にお湯をかけた。
狭い浴室なのでふたりとも立ったままでいた。
「こっち向いて」
言われるままに前を向いた。オバさんの大きな胸に自然と目がいく。視線を下ろした。
少し脂肪のついた下腹、黒々と密生した茂み…上半身に比べすらっとした脚が意外だった。
僕の無遠慮な視線に構わずオバさんは淡々とお湯を掛け続けている。
家庭の浴室のせいもあってか、オバさんがまだ結婚していた時にも夫だった人にこういう
ことをしていたのだろうなと想像してしまった。
オバさんはお湯を掛けながら、もう片方の手で僕の肩や胸を撫でた。その手が徐々に
下に移っていく。オバさんは僕自身に触れると、丁寧にお湯を当てて洗ってくれた。

「ここ安普請だから、声は抑えてね…」
オバさんは僕の耳に口を寄せそう囁いた。オバさんはお湯を出しっぱなしのシャワー
ヘッドをフックに戻すと、しゃがみこんで既に最大限に膨張した僕自身を指で軽く握った。
「――――!!」
僕は口を開け、声にならない声を上げた。オバさんは袋を口に含み中で舌を動かしていた。
そして舌を小刻みに揺らしながら根元から先へと舐め上げる。先端から舌がはなれる時、
同時にオバさんの下唇がぷるんと跳ねるのがとてもいやらしかった。
オバさんの口の中で僕自身がぴくんぴくんと脈打っている。オバさんは僕を咥えながらも
時おり目を開け、上目遣いに僕の反応を窺っていた。

「私にも…」
僕は立ち上がったオバさんと体を入れ替え、オバさんを浴室の壁に寄りかからせた。
そしてしゃがみこみオバさんの片脚をバスタブの縁に乗せた。見上げると、茂みの中に
裂け目の奥がぬらぬらと光っていた。逸る気持ちを抑えてゆっくりと周辺を唇で摘んだ。
「―――っ!!」
今度はオバさんが聞こえない声を上げる番だった。丁寧に周辺を舐め上げた僕は、
オバさんの充血した突起を吸った。
「…んっ…んっ」
オバさんは口に腕を当て、喘ぎを押し殺した。もう片方の手が僕の肩を痛いほど掴んだ。
オバさんの茂みが僕の顔にずりずりとこすりつけられる。
「今日は大丈夫だから…そのまま来て…」
僕は立ち上がるとバスタブに乗せたオバさんの脚をさらに高く持ち上げ、オバさんの
中心に腰を密着させた。手を添えなくても僕自身はすんなりオバさんの中に包まれた。
場所が場所なので、腰の動きを抑えて入口の浅いところをゆっくり抜き差しした。
「…んふっ…んふっ…んふっ」
僕に腕を廻し首筋に口を当てていたオバさんの鼻から息が漏れる。僕はオバさんの
固くなった胸の頂きを強く摘んだ。するとオバさんの腰が僕をもっと奥へと導こうと
動き出した。僕も浅い律動に我慢できず、オバさんの奥を突いた。
「…っんああっ!」
オバさんの声が狭い浴室に大きく響いた。僕は、今の声はシャワーの音でも掻き消すのは
無理だろうなと思った。
「…ねぇ…部屋に行こう…部屋で…して…」
オバさんは喘ぎながら、そう提案した。僕も賛成だった。オバさんは体を離すとお湯を
止め、体を拭くのもそこそこに浴室から慌しく出て行った。僕も追いかけるように
急いで体を拭き部屋に戻った。オバさんは四畳半の部屋の押入れを開け、敷布団を
引き出そうとしていた。ふたりで憑かれたように無言でシーツを敷くと、掛け布団を
取り出すのももどかしくそのまま抱き合って横になった。ほんのわずかの中断を
取り戻そうと、すぐにつながった。
「…んああっ…ああっ…つく…つく…つく…つく…」
オバさんは自分で両脚を抱え上げて僕を迎え入れた。僕はオバさんに重なると、存分に
奥を突いた。オバさんの胸が僕の体で押しつぶされる。僕は深く突き刺したまま、中を
掻き混ぜるように腰を回した。
オバさんの腕が僕の背中に廻され、両脚が僕の脚にしっかりと絡まれた。
「おおぉぅ…おおぉぅ…おおぉぅ…」
オバさんは眉間に深い皺を寄せ、低い声で喘いだ。僕の先っぽはオバさんの壁に優しく
撫でられ、激しく擦りつけられた。浴室からずっと我慢を強いられていた僕は、昂ぶりを
抑えきれずオバさんにそれを伝えた。
「…うん…いこう…いこう…いく…よ…」
僕は体を起こし、オバさんの両腿を胸の中に抱え込むと激しく腰を打ちつけた。
「ああ――っ!もぉダメぇっ!いくの――っ!」
僕とオバさんはほとんど同時に昇りつめた。オバさんの中に次々と放った。僕は
呆けたように口を大きく開け、久々に中で果てる快感に浸っていた。オバさんは
泣いているようにしゃくり上げている。僕自身が小さくなって自然にオバさんの中から
抜けるまで体を重ねていた。
僕とオバさんはお湯と汗でじっとりと湿った布団の上で、まだ気だるさが残る体を
寄せ合っていた。明かりをつけていない部屋は、夕暮れの後の仄かな明るさでぼうっと
していた。
「きれいな指してるのね…。よく言われない?」オバさんは僕の指を触っていた。
「いえ…ない…です」「…そうよね。高校生にはあんまり言わないかぁ…」
今度は僕がオバさんの指を弄った。
「あなた初めてじゃなかったでしょ。十人くらい知ってるの?」「そんなにないです…」
「でも私感じちゃった…あなた上手よ」
僕はどう答えていいのか解らず、ごまかすように指先を弄っていた。

「んっ…」オバさんが声を漏らした。僕はオバさんが痛がってるのかと思い手を離した。
「ううん…私なぜだか指先が感じるの。だから人の指も気になるの」
僕はまたオバさんの右手の指先に触れた。ためしにオバさんの人差し指の爪の間に、
自分の爪を軽く差し入れた。
「んん…だめ…って…また欲しくなるから…」
僕はオバさんの反応が面白くなり、ほかの指も同じように爪を差し入れた。
「あん…いや…もう」
オバさんは、左手をまだ小さくなったままの僕自身に這わせ、手のひら全体で撫で始めた。
僕自身が少し漲ると、根元を軽く握りしごいた。そしていよいよ僕がその固さを
取り戻すと僕の脚の間にうずくまった。僕を含んだオバさんの唇は根元にまで届いていた。
オバさんは僕に跨ると右足だけ膝を立て、僕自身を握り自分にあてがった。目を瞑り
「んっ…」と短い声を上げると、すっと腰を落とした。すぐ前後に腰が動き出す。
「あぁ…あぁ…あぁ…あぁ…あぁ…」
オバさんの声音が変わりだし、腰が上下の動きに変わった。胸を掴んでいる僕の両腕に
自分の腕を絡めると、熱いくらいにこすりつけてくる。
「あん、あん、あん、あん、あん、あん…」
両脚とも膝を立てたオバさんの、僕を打ちつけるテンポが早くなった。
ぺたん、ぺたんと肉のぶつかる音は、僕が下から突き上げるとますます間断無く鳴った。
「いくぅ、いくぅ、いくぅ、いくぅ、いくっぅ…」
瞬間、喘ぎ声と腰の動きがピークを迎えると、オバさんは芯を失くした人形のように
ゆるゆると僕に倒れこんだ。おばさんは僕の頬に自分の頬を当て、はあっと息を吐いた。
「いや…もう…やめて…おかしく…なりそう…」
間を置かず僕が下から腰を動かすと、オバさんは息も絶え絶えに懇願した。でもそう
言いながらオバさんの腰はまた動き出している。女は何度でも出来るんだなあと、僕は
半分呆れ半分羨ましく思った。僕はオバさんの体をつながったまま反対に向けさせた。

すっかり日は落ちて、窓から射し込む街灯の薄明かりが、上下に揺れているオバさんの
背中に青白く映る。オバさんは前に手をついて腰を動かしているので、目の前に
オバさんのお尻と僕自身を包む肉の裂け目がぼんやり見えた。そこからふたりの体液が
混ざった匂いが、湿りと熱を帯びて僕に届いた。

ぶぶっ、ぶぶっと音がした。つながっているところからだった。体の向きやつながり方
などでそんな音がするのだと、知ったかぶりの友人が自慢げに言っていたのを思い出した。
「やだぁ…」
オバさんは動きを止め、腰を浮かせて体を離そうとした。その振り向いたオバさんの
格好と表情が、僕には何ともいやらしく感じられ昂ぶった。僕は体が離れる前に
起き上がり、四つんばいになったオバさんの腰を掴むとずんずん突いた。
「んああ―――っ!」
オバさんの右手が宙を掴むように泳いだ。たわわな胸がぶつかりあっていた。
僕の昂ぶりはさらに増し、オバさんの腰を抱えると立ち上がって突き続けた。
「ああぁ、ああぁ、ああぁ、ああぁ…」
体が二つ折りになったオバさんは、シーツをしっかり握り締めていた。僕が突くたびに
シーツは布団から引き剥がされぐしゃぐしゃになった。ふたりとも吠えるような声を
上げた。

果てた後ふたりが揃って突っ伏していたのは、隣の六畳の部屋だった。オバさんは
シーツをずっと握り締めたまま、はぁはぁと息を切らせていた。
僕はオバさんを胸の中に抱くと、シーツを自分とオバさんに巻きつけた。
「壊れるかと思った…」
オバさんは微笑むと僕に唇を重ねた。
家に帰ると、時間はとうに十時をまわっていた。朝から出て行ったきり何も連絡
しなかったので怒られることを覚悟したが、親父は晩酌の後もう寝ているとお袋が言った。
そのお袋も来週親父と半年振りに温泉ツアーに行くことになったと妙にはしゃいでいた。
温泉ツアーの何がそんなに楽しいのだろうと思ったが、おかげで怒られるのを免れること
ができた。

僕は週末になるとオバさんのアパートに入り浸った。一緒に昼御飯を食べ、歯を磨いた
後、まだ陽が高いうちから交わった。
通りを走る車の音や、おしゃべりに興じている主婦たちの声、アパートの廊下を歩く
親子連れの歌うアニメの主題歌などが、すぐ近くに聞こえてくる。
その壁一枚隔てただけの部屋で、僕とオバさんは布団の上で汗にまみれながらお互いを
貪りあっていた。何とも言えない不思議な気分だった。

僕と交わっているときのオバさんは、従順でありながら奔放だった。僕が望むことを
ためらいつつ受け入れ、僕が望んだ以上に声を上げ乱れた。
その一方でオバさんは体を寄せ合っている時に、
「私、この間まで妻子持ちの人と不倫してたの…。お互い割り切ってね。今の仕事紹介
してくれたのもその人。別れたのは別にドロドロになったからじゃなくて…そうね契約が
終了したって感じ…あっさりとね」
と、僕が聞きたくもない話をいきなり始めることがあった。
僕はそんなオバさんに翻弄されながら溺れていった…。
「えっ、私…?言うの…?…そうね中学二年の頃だと思うけど、お風呂のときシャワーを
あそこに当ててたら『あっ…』ってなって…。そのまま当て続けてたのが最初かな」
その日もアパートに来ていた僕は、何かをきっかけにオバさんとそんな話になった。
「今もする?」「えっ…今は…あなたがいるからしないわ」オバさんは照れていた。
「僕はおとといしたよ。この間のあの格好を思い出しながらね。ほら後向きで片脚だけ…」
「もぉ、やめてよ。さぁお昼の支度するから…」立ち上がりかけたオバさんの手を握った。
「見たい」「いやだ、出来ない」僕は食い下がった。後ろから抱きしめ、首筋を舐めた。
こうすればオバさんの欲情のスイッチが入ることを、三回目に抱き合ったときに気づいた。
「見たい、見たい、見たい」オバさんの耳を甘噛みした。
「あん…もう……どうしてもしなきゃだめなの…?」オバさんの声音がすぐに甘くなった。
「うん、どうしても」「じゃ…あとで」
「今見たい」きっぱりと言った。

オバさんはスカートを捲くり、ベージュ色のショーツに手を掛け足首から抜き取った。
僕はオバさんの前に座った。
「恥ずかしい…」
座布団を敷き壁に寄りかかると、オバさんは腰を浮かしスカートをたくし上げた。
オバさんの下半身が剥きだしになって僕に晒される。僕は思わず唾を飲み込んだ。
右手が開かれた脚の中心へ、ゆっくりと伸びていく。
オバさんはまず三本の指で全体を優しく撫でた。そのうち中指が少しくいっと曲げられ、
裂け目を行き来しだした。目を閉じたオバさんは、口を半開きにして上を向いていた。
「…ああ…ああ…ああ」
いつの間にか裂け目からは泉が溢れ出していた。今度はオバさんの左手がするすると
中心まで伸び、人差し指と中指とで裂け目の上辺りをひっぱるように引き上げた。
おかげで既に充血したオバさんの敏感な突起はよりはっきりと周囲から際立った。
右手の中指が突起を下から上へと掻いてゆく。オバさんの声が切なくなった。
「…ねぇ…来て…来て…」
言われるまでもなかった。僕はジーンズを下ろしスキンを着けると、体を横たえている
オバさんに突き立てた。オバさんのシャツのボタンを外し、ブラジャーを首のところ
まで引き上げて胸を露わにした。オバさんのあられもない姿にさらに僕は脈打った。
「自分で触ってる所、すごく興奮した…両手使うなんて知らなかったよ」
「やだ…言わないで…ねぇ…入れて…もっと…奥まで入れて…」
僕はオバさんに意地悪したくなった
「入れてって、何を?」「やだ焦らさないで…あれ…入れて」
「あれじゃ解らないよ」「お願い…あれよ…あなたの…大事なあれ…」
「……って言って」
僕はオバさんの耳元で囁いた。
「いやだ…恥ずかしい…言えない…」「じゃ…ここでやめる」
「やだ…ねえ…やめないで…」オバさんは首を振っていやいやをした。
「私の…に、あなたの…を…て下さい」オバさんは僕が言った言葉をぼそっと口走った。
「聞こえない」冷たく言い放った。
オバさんは大きな声で繰り返した。僕はオバさんの両脚を肩に掛け一気に深く突き刺した。
梅雨明けと共に夏休みになった。オバさんは平日仕事があるので、週末にオバさんの
アパートを訪れる僕のスケジュールに変わりはなかった。僕は週末までの間、次に
逢ったときオバさんとどんな風に楽しもうかと夢想して過ごしていた。

「ねぇ今日は外に出ましょうよ」
オバさんは部屋に来たばかりの僕の手を引いた。僕は部屋で今すぐにでもオバさんと
抱き合いたかった。オバさんもそれを待ち望んでいると思っていたのに…。
「私たち、いつも部屋の中ばかりじゃない。たまには出ましょうよ。いいでしょ、さぁ」
しぶる僕をオバさんは半ば強引に車に乗せた。
車は山へ向かい、やがて小さな展望台のある公園の駐車場で停まった。

「わぁキレイ。海が真っ青」
展望台に立つと眼下に市街が見渡され、その向こうに夏の青空を映した海が広がっていた。
ちょうど定期船が出港するところで、汽笛がここまで聞こえた。ここへは幼稚園の頃
両親と来て以来だった。その頃はここも結構賑わっていたが、今は来る人も少なくなり
寂れていた。時間も早いせいか見渡しても僕たち以外は誰もいなかった。
急に風が吹いた。オバさんのスカートが捲れ、太腿まで見えた。オバさんは慌てて
スカートを抑えている。オバさんの体の隅々まで見知っているのに、その姿に僕は
どきんとした。僕は周囲に誰もいないことを確かめると、後ろから抱きついた。
「私のアパート、あのあたりかな…」
僕が首筋にキスしているのに、オバさんは何の反応も示さず風景を眺めていた。
むきになった僕は、オバさんの胸をまさぐり、ブラウスの上から頂きをつついた。
「ねぇ、前に私不倫してたって言ったでしょう。その時ね、その人の家に行ったことが
あるの。付き合い初めの頃で、ちょっと舞い上がってたのね。その人がその日出かけて
家に居ないことは前の日に聞いて知ってたから、別にいいかなって思って」
僕はオバさんのブラウスの中に手をいれ、直接胸を揉んだ。片方の手はスカートの中に
潜らせショーツを引き下ろそうと手を掛けた。僕はここでオバさんと交わろうと決めた。

「その頃まだ外交やってたからお邪魔しても全然不自然じゃないし。現にドアを開けた
時は緊張して声が震えたけど、留守番してたその人の子供には怪しまれなかったわ」
オバさんのそこは全然濡れていなかったが、僕のをあてがえばどうせオバさんのことだ、
いつものようにすぐ潤って腰を動かすだろうと考えた。あいにくスキンは持ってきて
なかったが、一回くらい着けなくても大丈夫だろう…。僕は自分自身をジーンズから
引き出した。

「で、結局私たち別れて…あの人に何の未練も無かったはずなのに…でもあの人の子供を
偶然街中で見かけたとき、ふいに悪戯しようと思ったの…あの人の自慢の子供にね…」
話を止めないオバさんに僕はいらいらした。早くつながってオバさんを喘がせたかった。
ここでまた卑猥な言葉を叫ばせるのもいいなとも思った。僕はもう一度周囲を見回した後、
オバさんの白いお尻を剥き出しにして後ろからあてがった。
「私はその子を誘った。私が願った通り、その子はまた私に逢いたいと言った。
でも私は約束してもすっぽかすつもりだった…。それが私の悪戯…ううん今考えると
復讐だったのかもしれない…」
僕の動きが止まった。胸が何かに押されたようにどきどきして、息苦しくなった。
「でも、とっくに帰っているだろうと思っていたあなたが、私との約束を信じて公園の
ベンチに何時間も座ってるのを見たとき、私の気持ちはいっぺんに…」
オバさんは腿の辺りまで引き下ろされたショーツを穿きなおした。僕もおずおずと
自身をジーンズにしまい込んだ。
「子供の怪我の話は本当よ。あの日の少し前のことだったけど…」

「私の話はおしまい…」オバさんは振り向いた。
「なんで…そんな話を今頃になって…」オバさんは僕の問いに答えず
「いい空気吸って気持ちよかったぁ。私帰るけど、送ろうか?」と、ことも無げに言った。
「独りで歩いて帰る!」僕は声を荒げた。
「そう、じゃあね…」「ちょっと待てよっ!」
オバさんの肩をつかんだ。うつむくオバさんの目から涙がこぼれていた。
「さよなら…」
オバさんは僕の手を振り解くと、後ろ手でバイバイと手を振り展望台を降りていった。
「こっからなんだよなぁ…」
僕は、ため息交じりにひとり言を漏らした。あの本屋があった場所の、道路を隔てた
正面に僕は立っていた。本屋があった場所には小さなビルが建ち、一階は託児所になって
いた。

二年前、ここで本屋のオバちゃんとの経験が無ければ、美雪の母親との関係はまず
無かった。美雪も外国に行かず、美雪を抱く機会も無かった。経験の無い僕は、
オバさんの誘いにも怖気づいて乗らなかったかもしれない。僕はいつか経験できる日を
夢見て、悶々とした毎日を過ごしていただろう。
この場所から僕は別の人生を選んだような気がした。

オバさんと展望台で別れて三週間が経っていた。僕は何度かオバさんのアパートに
行こうかと思った。オバさんを罵倒しに?それとも許してまた元のように…?
自分でもどうしたいのか解らなかったし、結局行かなかった。行ってもオバさんは再び
ドアを開けてくれる気がしなかった。そうしない為にオバさんはああいう別れ方を
選んだのだろう。
思えば僕はオバさんのことが好きというよりも、僕の自由になるオバさんが好きだった。
オバさんはとっくにそれを見透かして、お互いの為にすぱっと僕とのつながりを斬った。
そう思うことにした。無理矢理にでも…。
しばらくは親父の顔を見るのが嫌だった。十日くらい掛かって漸く自分の中で決着を
つけた。食事のとき、この親父のどこにオバさんは惹かれたのだろうと、今度は親父の
顔を繁々と見ていたら怪訝な顔をされた。
お袋はオバさんの存在をたぶん知っていたはずだ。だから温泉ツアーの復活にあんなに
はしゃいだのだ。何事もなかったように今日もふたりはツアーに出かけて行った。

「残念だったね。本屋失くなって」
ふいに後ろから声をかけられ、はっとなった。
僕がずっと、その帰りを待ちわびていた奴の声だった。彼女は二年前にここで僕に
声をかけたことを覚えていて、茶目っ気で再現しているのだ。
しかし、今の僕は無邪気に喜べなかった。
もしいつか彼女が母親の秘密を知ったら、彼女は深く傷つくだろう。
僕は一年前に自分がしたことを、今回我が身で思い知らされた。
僕もオバさんのように自分でケリをつけられるだろうか…。
「あんたもここにそんな本見にきてたんでしょ?」
いや…つけないといけない。僕にはその責任がある。いつ来るか知れないその日のことを
僕は覚悟した。僕にとっては結構悲壮な覚悟だった。
僕が彼女を胸の中に抱くことはもうないだろう…。
「そうだよ」僕は笑顔をつくり振り向いた。

「…おかえり美雪」

(おわり)



(おわり)にするつもりでしたが、もう少し続きを。

「ねぇ、前に私不倫してたって言ったでしょう。その時ね、お袋はオバさんの存在を
たぶん知っていたその人の家に行ったことがあるの。片方の手はスカートの中に
ちょっと舞い上がってたのね。その人がその日出かけて私の気持ちはいっぺんに…」
僕はオバさんのブラウスの中に手をいれ、公園の駐車場で停まった。
湿りと熱を帯びて引き下ろそうと手を掛けた。僕はここでオバさんと平日仕事があるので、
しばらくは親父の顔を見るのが嫌だった。別にいいかなって思って付き合い初めの頃で、
十日くらい掛かって漸く自分の中で家に居ないことは前の日に決着を聞いて知ってたから、
食事のとき、この親父のどこにオバさんは惹かれたのだろうと、今度は親父の直接胸を揉んだ。
だから温泉ツアーの復活にあんなに繁々と見ていたら怪訝な顔をされた。

通りを走る車の音や、歯を磨き抱きついた後、一緒に昼御飯を食べ、
ちょうど満ち潮で、汽笛がここまで聞こえた。
「残念だったね。本屋失くなって」
ふいに後ろから声をかけられ、はっとなった。
僕がずっと、その帰りを待ちわびていた奴の声だった。彼女は二年前にここで僕に
声をかけたことを覚えていて、茶目っ気で再現しているのだ。
しかし、今の僕は無邪気に喜べなかった。
もしいつか彼女が母親の秘密を知ったら、彼女は深く傷つくだろう。
僕は一年前に自分がしたことを、今回我が身で思い知らされた。
僕もオバさんのように自分でケリをつけられるだろうか…。
「あんたもここにそんな本見にきてたんでしょ?」
いや…つけないといけない。僕にはその責任がある。いつ来るか知れないその日のことを
僕は覚悟した。僕にとっては結構悲壮な覚悟だった。
僕が彼女を胸の中に抱くことはもうないだろう…。
「そうだよ」僕は笑顔をつくり振り向いた。
その頃まだ外交やってたから上半身に比べ僕の無遠慮な視線に構わず
僕のをあてがえばどうせオバさんのことだ、オバさんは淡々と裂け目がぼんやり見えた。
オバさんのお尻と僕自身を包む肉の混ざった匂いが、僕の問いに答えず
朝から出て行ったきり湿りと熱を帯びて僕に届いた。
家庭の浴室のせいもあってか、もっと語学を勉強して全体を優しく撫でた。
将来は通訳になりたいと突っ伏していた。すらっとした脚が意外にドアを開けた
時は緊張して声が震えたけど、オバさんのそこは自慢げに言っていたのを思い出した。
いつものようにすぐ潤って腰を動かすだろうと考えた。
小さい短冊形の紙を揃え引き出した。
僕は激しく腰を起こし、それは今までに両腿を胸の中に撫で下ろし打ちつけた。
掻き混ぜるような快感だった。オバさんの舌はほっと胸を抱え込むと再現しているのだ。
私はあらためて僕とオバさんはほとんど同時に呆けたように口を大きく開け、
次々と放った。僕は思っているといった内容がとりとめも久々に中でキスをした後、
浸っていた。オバさんは脈絡もなく綴られていた。いつもおばちゃんであった。
胸に向かって目の前に立つ美雪の肩から始まった二本の線は、母親を眺めた。
腰に降りるにつれて怖気づいて乗らなかったかもしれない。
オバさんはひとしきり自分のことを話した後、彼女は二年前にここで僕に
うず高く積まれている所のその先のぬめった場所へと慌しく出て行った。
とうとう先っぽ全体がその帰りを待ちわびていた奴の抱き合って横になった。

「…おかえり美和」

(今度こそおわりです)

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