11月8

【落語】20年目の客 作:内田守衛

---与太郎はむかし通ったBARへ20年ぶりにやって来ました---

ママ「いらっしゃ?い」
与太郎「お婆さん、このお店に愛子さんっていますか?」
ママ「はいはい、私が愛子ですよ」
与太郎「いえ、もっと若くてポッチャリした愛子さん、いませんか?」
ママ「愛子は私だけですよ、あなたは?」
与太郎「僕は与太郎ってんですけど、前によくこの店に通ってた・・」
ママ「それ、いつの話?」
与太郎「もう、かれこれ、20年前になりますか?」
ママ「もしや!あなたは与太郎さん?」
与太郎「だから、与太郎って言ってるでしょ」
ママ「そりゃ分らないわよ、髪型ぜんぜん変わっちゃってるし」
与太郎「好きで変えた訳じゃないですから、抜けちゃったんです」
ママ「私がその時の愛子ですよ、まだ分らないの?」
与太郎「そう言えば、髪型は愛子さんと同じだな」
ママ「ええ、髪型は変わりませんよ、カツラだから」
与太郎「でもねえ、髪型以外ぜんぶ変わっちゃってますけど」
ママ「カツラ以外は年を取りましたからね」
与太郎「これからは愛子お婆ちゃんって呼んでいいですか?」
ママ「よくないわよ!でも、よく来てくれたわねえ」
与太郎「懐かしいなあ、この椅子、このカウンターも、この造花も・・」
ママ「まあ、座ってよ、何か飲む?」
与太郎「僕のボトルは・・もうないよね?」
ママ「ボトル!?・・たぶんありますよ」
与太郎「えーッ?あるの!?」
ママ「竹下与太郎・・これね、大丈夫かなあ?飲んでみる?」
与太郎「ええ、あッ!旨くなってる!ママも飲んでみて」
ママ「味見だけね、お店ではあまり飲まないようにしてるのよ」
与太郎「ね、旨くなってるでしょう?」
ママ「ほんとだ!もう一杯いい?」
与太郎「うん、じゃオレももう一杯」
ママ「あと、一杯だけ頂こうかしら」
与太郎「うん、じゃオレも・・あれ!?もうないや」
ママ「新しいの開けましょうか?」
与太郎「え?新しいの開けるの?どうしても?」
ママ「じゃあ、どうするのよ?」
与太郎「開けてください、それで気がすむんだったら」
ママ「与太郎さん、あれからどうしてたの?」
与太郎「あの頃はサラリーマンだったけど、いまは宵々知的にやってますよ」
ママ「なによ宵々知的って、悠々自適って年でもないでしょ」
与太郎「ま、細々と生きてるってことです、ママは?」
ママ「相変わらずよ」
与太郎「前に毎日来ていた物好きいたでしょ?」
ママ「ああ、照雄くんね?職人さんで独り暮しだから毎日夕飯食べに来てたのよ」
与太郎「掃除とか洗濯もしてあげてたでしょ?」
ママ「たまにね・・」
与太郎「まだ来てるの?」
ママ「故郷へ帰ったわ、仕事が減ったんだって」
与太郎「オレ気になってたんだけど、聞いていいかなあ?」
ママ「何を?」
与太郎「照雄くんと間違いは起きなかったの?」
ママ「間違いねえ・・・まあ、なかったと言えば嘘になるけど・・」
与太郎「やっぱり!」
ママ「もう居ないから言っちゃうけど、朝行ったら照雄くんまだ寝てて、朝立ちしてたのよ」
与太郎「パンツもはかないで?」
ママ「はいてたけど、あそこが盛り上がってたの」
与太郎「へー、それで?」
ママ「私つい触っちゃったの、そしたらピクンピクンしてきたから、つい握っちゃったのよ、そしたら
照雄くんが私の腕を引っぱったから、つい抱かれちゃったの」
与太郎「なんだか、つい、が多くない?」
ママ「あのころ旦那があまり来てくれなくて、私も欲求不満になってたみたい」
与太郎「そうか、それじゃあしょうがないよな、つい若い男に手を出しても」
ママ「手を出したなんて、ひどいわね」
与太郎「1回だけだったの?」
ママ「その後もたまに・・お正月とか・・」
与太郎「いいなあ、照雄くん・・」
ママ「でもね、与太郎さんだってチャンスあったのよ」
与太郎「チャンスって、何時?」
ママ「隣に藤川って飲み屋さんあったでしょ?」
与太郎「藤川?・・・ああ、隣の、小料理屋でしょ」
ママ「思い出した?」
与太郎「前にママとその店で飲んだよね」
ママ「そうよ、せっかく私がおごるって言ってるのに与太郎さん飲まないんだもの」
与太郎「なぜか飲めなかったんだよなあ、たぶん日本酒が合わなかったんだよ・・」
ママ「がっかりしたわ、あの時」
与太郎「なんで?」
ママ「二人で飲んで気分が出たら、いっしょに帰ろうと思ってたのに」
与太郎「えーッ!ママの部屋に?」
ママ「そうよ、与太郎さんが飲まないから、わたし振られちゃったと思って・・」
与太郎「なんだ、そうだったの?残念だなあ」
ママ「お互いにね」
与太郎「それさあ、今日やり直さない?」
ママ「今日?だって私、もうお婆ちゃんよ」
与太郎「ぜいたくは言ってられないよ、お互い」
ママ「でもねえ、急に言われてもねえ」
与太郎「オレこれから酔いつぶれるまで飲むからさ」
ママ「やめてよ、そんな気になれないわ」
与太郎「いいじゃない、酔いつぶれたらママの部屋へ連れてって介抱してくれるでしょ?」
ママ「だれが?いやですよ」
与太郎「オレたぶん寝ちゃって、朝立ちするから」
ママ「パンツは穿いてないの?」
与太郎「はいてるけど、あそこが盛り上がってんだよ」
ママ「そんなの知りませんよ」
与太郎「ママがつい触っちゃうのさ、そしたらピクンピクンしてくるから、つい握っちゃうわけ、そしたらオレがママの手を引っぱるから、つい抱かれちゃえばいいんだよ」
ママ「ずいぶん、つい、がつづくのね」
与太郎「さいしょはキスからだな、ママが舌入れてくるから、オレもつい舌入れてディープキッス、そしたらママが私シャワー浴びてくるって言うから、オレもつい一緒にシャワー浴びちゃうわけ、先にシャワーから出たママがベットから呼ぶから、オレも仕方なくベットイン、二人とも裸で、このところ何年か男日照りがつづいたママが、オレのあそこに手をのばしてきて、仕方なく向きを変えて握りやすくしてあげて、ママがオレの目の前でオッパイ揺らすから吸ってあげるわけ、そうするとママがオレの手を掴んであそこへ持っていくから、仕方なく愛撫してあげると、ママがアアーって声を出して、ねえ入れてえって言うから、オレは仕方なく上になって挿入してしまうの・・ねえ、聞いてる?」
ママ「Z Z Z・・・」
与太郎「あれッ、寝ちゃってるよ、ちょっとママ、起きてよ」
ママ「もう帰った?」
与太郎「まだ居るよ、ねえ、飲もうよ、もっと」
ママ「なんだ、まだ居たの?」
与太郎「うん、居てあげたの、だから、ねえ」
ママ「もういや、しつこいの嫌いよ、大体なぜ今日きたのよ?」
与太郎「ママのこと思いだしたからさ」
ママ「20年も経ってるのに?急に思いだしたの?」
与太郎「ゆうべね、熟女のAV見てたら昔のママによく似たオバサンが出てたんだよ」
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20180829

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