02月12

ひとり旅

奥飛騨温泉郷の中でも、最も奥まった高台にある古い宿。
民宿に毛が生えた程度の、こじんまりとした、しかし、落ち着いた風情のある宿だ。
年に1度、仕事にも、家族にも縛られない、バイクのひとり旅に、持って来いの宿だ。
早朝からのツーリングの心地よい疲れで、温泉にも入らず、食事のあとすぐに寝入ってしまっていた。
気がついたのは既に0時すぎだが、露天風呂は24時間いつでも入れるとのこと、せっかくの温泉を楽しもうと、風呂場に向かった。
ここの露天は確か混浴のはずだが…スケベ心が全然なかったと言えば、嘘になる。
しかし、まさかこんな時間、誰もいないだろうとも思っていた。

内風呂でかかり湯をしてから露天風呂へ。
片足をザブンと湯船に入れたところで、すぐ近くに先客がいるのに気がついた。
跳ねた湯を浴びせてしまったか。
「あ、失礼!気がつかなくって…」で、絶句。
なんと、若い…とは言っても、30才は越えているだろうか…あか抜けた、美しい顔立ちの女性だ。
「いいえ、大丈夫ですよ。お気になさらないで。」
まったく、落ち着いたものだ。
こちらは、湯船に入るのに、前にあてていたタオルを外したところだったこともあり、大いに慌てた。
だって、高さはちょうど相手の頭あたり、目の前1mたらずのところだ。
何がって…タオルを外して剥き出しのナニが、だよ。
慌ててバランスを崩し、湯船の中にタオルを落として…騒々しいこと夥しい。
女性は、軽く握った手の甲を口にあて、肩を震わせて笑いをこらえて…いや、こらえきれずに笑っている。
またまた慌てて手で前を隠して、タオルを拾い上げ、「ごめんなさい。失礼。」と、風呂から出ようとした。
この状況で、見知らぬ女性と混浴できるほどの度胸は持ち合わせてない。
「あら、待ってください。いいんですよ。」
「あ、いや、でも…」
「お客様に出ていかれたら、困ります。だいいち、ここ、混浴のお風呂ですし。」
「あ?あなた、こちらの?」
「はい。客室係なんですよ。お客様を追い出したりしたら、叱られます。」
「はあ、でも、なんか…本当にいいのかな?」
スケベ心が顔に出ないように…
「ご迷惑でなければ、ご一緒させてくださいね。」
「め、迷惑だなんて、と、と、とんでもない。もちろんですっ!」
何が「もちろん」なんだか。
結局、その女性から少し離れたところに行き、湯に浸かった。
とはいえ、それほど大きな風呂場でもないし、やはり気になる。
チラチラとそちらを見てしまう。
彼女にしても、いくらかは気にはなるようで、時々、視線があう。
何度目か、目があった時、彼女は少し微笑んだ。
「もう、しょうがないなあ」という感じだろうか。
そして、驚いたことに、湯船なかでスッと立ち上がると、こちらに歩いてきた。
結構深い…とはいうものの、湯は彼女の腰まではない。
歩みにあわせて、叢の黒い影が、ちょうど水面のあたりでゆらゆら揺れる。
真っ直ぐにこちらを向いた乳房。
大きくはないが、張りや形は申し分ない。
褐色に色づいた乳首も、掌を添えてはいるものの、完全に隠れてはいない。
スッキリとした、小柄だが姿の良い女性だ。
しばらく見とれていたが、彼女の視線にたじろいで、慌てて目を逸らせた。
隣まで来ると、腕が触れあいそうなほど近くに、体を沈めた。
小さめの乳首はちょうど水面の高さで、乳暈の半分はお湯の上に見えている。
当然ながら、この時点で勃起してしまっているが、幸い、こちらはお湯のなかで、バレることはないだろう。
自分の心臓の音が聞こえそうなほど、ドキドキしている。
あらぬ方に目を向け、知らん顔をするのが精一杯だった。
そんなことは知らぬげに、話しかけてくる。
「お客さん、お着きになったとき、見てました。ツーリングって言うんですか?大きなバイクで来られてるんですね。」
「ええ。いい年をして、道楽ですよ。お恥ずかしい。」
「ううん。バイク、ステキです。ナンバー見ましたけど、ずいぶんと遠くからなんですね。」
しばらく話した後、しばし沈黙。
相変わらず、彼女からは目をそらせて。

「うふ。…紳士なんですね。」
「そんな…からかわないでください。」
「ごめんなさい。からかってる訳じゃないんですよ。」
「ははは。普通の、人並みにスケベなオヤジですからね。今だって、ちゃんと横目で見るべきところは見てるんですよ。とてもキレイで、魅力的で。」
「…」
今更ながら、恥ずかしそうに乳を隠す。
「あの…いつもこんな時間に、こうやってココに来るんですか?」
「ええ、いつもってわけではないです。泊まり番の時に、それも、ごくたまに。」
「だったら僕はすごくラッキーだったんだ?」
「まあっ。」
「ふう。さて…と。のぼせてきましたよ。ちょっとあがって、風にあたろうかな。ちょっと向こうを向いててもらえませんか?」
「ダメです。私のこと、見たんでしょ?今度はあなたの番!」
「あ…いや、それはマズイ。」
「?」
「だって、あんなの見せられて。勃っちまってるんですから。」
「まあ!!!」
「ほんと、かんべんしてください。」
「はいはい。これでいいですか?」
笑いながら両手で顔を覆って、体ごと少し向こう向きになった。

湯船の脇に、あづま屋風の屋寝付きの板敷きが設えられている。
そこに仰向けに寝転ぶ。
火照った体に夜風が心地よい。
さすがに腰にはタオルをかけたが、モノがいきり立った状態で、俗にいう「テント」なのは、如何ともしがたい。
宥めるため…というわけでもないのだが、タオルの中に手を突っ込み、怒張を握りしめると、全身に快感が広がった。
ゆっくりと、上下にしごく。
そうして、考えた…いや、妄想したというべきか。

(並んで湯に浸かって、裸を盗み見るのもいいが…ちょっと息をつかせてくれ。)
(それほどアバズレにも見えないが、なんであんなに平気なんだ?)
(いつもやってて慣れてるのか。)
(まあ、それはいいが、この後、どうなるんだ?)
(彼女、どういうつもりなんだ?)
(いや、俺はどうしたいんだ?)

ペタペタという濡れた足音に気づいて目を開けると、彼女がいた。
寝転んだ俺の足元辺り。
胸から腰にかけてタオルを垂らしているが、向こう向きに立っているので、お尻は丸見えだ。
「私もここ、いいですか?」
言いながら、返事を待つでもなく、その場にお尻をついて座った。
胸のタオルがハラリと落ちたが、ここからでは、乳首までは見えない。
見えないが、それがまた、いい。
「ああ、いいきもち!」
言いながら、腰のタオルに目を落とす。
逸物をしごく手にあわせて、タオルも動いている。
「そうしてると、気持ちいいです?」
「あ、ああ。申し訳ない。見苦しいな。」
「いえ。いいんです。なんだか、ぜんぜん嫌らしくなくて。変ですね。」
「そう、いや、変なのは僕です。」
彼女は、突然、タオルを払い除けると、俺の手を外させた。
そして次に。
自分の手とは違う、優しく、柔らかいものに包まれた。
彼女の手が怒張したそれを握り、静かに上下する。
ゆっくりと、強く、弱く。
全身に快感が広がる。
体の向きが変わったため、彼女の体を真横から眺めることになった。
愛嬌のある鼻に、少し緊張ぎみに力が入って、開き気味の口元。
尖った顎から、喉、鎖骨の辺りまでのスッキリしたライン。
そして。
小ぶりながら、ふっくらとした丸みのある乳房と、その先端の小さな乳首。
大人の色香を発散する、妖しい美しさだ。
手を伸ばすと、悪戯っぽく微笑みながら、こちらに体をずらせてきた。
こちらも体を起こし、右手で乳房を包む。
「あ…」
掌に、硬く尖った乳首の突起。
その突起を転がすように、乳房全体を揉む。
「…恥ずかしい。ちくび、よわいんです。」
怒張を握った手に力が入る。
指先で乳首を弾き、つまむ。
彼女の手の動きが速くなり、快感が増す。
「このままで、いいですか?」
「そのまま…続けて…」
「はい。いいですよ。逝って…」
さらに強く、速く…
どく、どく、どく…
右手で搾り出しながら、尖端を左の掌でなで回す。
彼女の手が、精液にまみれる。

「すごい。たくさん。」
「あぁ。恥ずかしいな。」
「ううん。おじさま、かわいいです。」
「また、からかう。」
「うふ、ごめんなさい。」

翌朝。
ツーリングの日はいつも朝が早い。
出発の準備を整えて、6時過ぎに食堂におりた。
給仕に来てくれたのは、昨夜の彼女だった。
早発ちのため朝食は不要と申し込んだのだが、早くても準備してくれるという宿の好意に甘えた格好で、それが、彼女の泊まり番に繋がったようだ。
6時半すぎ、出発。
見送りは彼女ひとりだ。
バイクに跨がる僕に、手を差しのべる。
もう一度グラブを外し、軽く手を握る。
優しい、柔らかな手。
「行ってらっしゃいませ。また、来てくださいね。」

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