もう、40年も昔のこと。貧乏浪人の俺は阿佐ヶ谷のボロアパートに住んで居た。
来年合格しなかったら田舎に帰らなければならない、とちょっと焦り気味の夏のことだ。
アパートの下の階に住む色気プンプンの、年の頃40歳ちょっと位の女性が「○○ちゃん!家から出ちゃダメよ」と言い残して、夜のお勤めに出た。
アパートと道路の間には猫の額ほどの庭があった。
朝顔が咲いていて、田舎を思い出させた。
その懐かしい景色に、可愛い小学生が割り込んできた。
薄い水玉模様のワンピースを着ていた。
樋に伝った朝顔に手を伸ばした姿を上から見ていた俺の目に、小さな二つの乳房が飛び込んできた。
俺の視線に気付いた少女が微笑んで手を振った。
「上のお兄ちゃん!お花あげようか?」頷いた俺に気を良くしたのか、少女は小さな花を数本抜いて俺に見せ、階段の方向に消えた。
待つ間もなく玄関の引き戸が元気良く開いて、少女が舞いながら入ってきた。
掃き溜めのように汚く、薄暗い6畳間が突然明るくなったような気がした。
立ったまま花を差し出す少女に「○○っぺ、ありがとう」と、精一杯の笑顔で礼を言った。
少女の顔が一瞬固まった。
「どうして○○の名前知ってるの?まだ少し前に引っ越してきたばかりなのに・・・」
「ごめん!さっきお母さんが○○ちゃんって名前を呼んだから・・・」
安心した少女が畳にちょこんと座って、元の明るさで話し始めた。
少女は、お母さんが中野のバーに勤めていること、お父さんは他の女性とどこかに行ってしまったこと、今までは三鷹に住んでいたこと、転校したのでお友達が居ないこと、小学校6年生であること、時々(本当にたまに…よ、と念をおして)お母さんが知らないおじさんと一緒に帰ってきて、朝早くに帰ることがある。などと話した。
また、心配事は勉強の遅れだと言う。
「じゃ、都合の良いときに勉強みてあげようか」 と言いながら、部屋にあったドロップをあげると嬉しそうに口に含んだ。
そのままゴニョゴニョ返事をするのだが、たださえ早口で舌っ足らずだから、内容がわからない。
「飴を舐めながらじゃ判んないよ。お兄ちゃんも同じ事するよ」とたしなめたら、突然飴を唇の先に挟んで抱き着いてきてドロップを俺の口に押し込んだ。
そしてすぐに元の位置に戻って笑いながらとんでもないことを言い出した。
「嬉しいけど、変なことしない?」
「え?何のこと?変なことって」
「あのね、三鷹のときのお友達にとってもお金持ちの子がいたの。週に3回大学生の家庭教師が来て勉強を教えてくれるんだって。ハンサムで背が高くてとてもかわいい先生だったけど、助平だったらしいの。あのね、漢字を教える時には背中から腕を回して手を握って文字を書くから、胸が丸見えでしょ。見るだけじゃなくて、時々手が滑ったふりをして胸に触るんだって」・・・少女が話を止めて、今度は指先でドロップを掴んで俺の口に押し込んだ。
話が再開した。
「春のテストの成績が悪かった時には大変。謝ったら『じゃぁ、僕の膝に座って反省したら許してあげる』って言ったらしいのよ。言われた通りに座ったら、お尻の下に固いものがあったんだって。お友達はそれが何だか知ってたから、腰を押し付けてグリグリって
動かしたらしいの・・・フフフ。そうしたら先生大慌てでその子を離して部屋を飛んで出て、その日のお勉強はおしまい。お兄ちゃんも○○にそんなことして欲しいと思う?」
俺が返事に詰まっていたら少女は元気よく立ち上がって玄関に向かって歩き始めた。
引き戸に手をかけかかってから走って戻って来て、「お口のドロップ、ある?」と訊いた。
黙って頷くと「○○に・・・」と言ってかわいい唇を差し出した。
さっき少女がしてくれたように、俺も口移しで溶けて小さくなった飴を含ませた。
嬉しそうに、ちょっと恥ずかしそうに微笑んだ少女は、俺の耳に囁いた。
「明日はお母さんがお休みだから、月曜日の夕方に来るわ。お勉強教えてね。そのあとで、・・・なら、しても・・・」・・・飴を飲み込む音は聞こえたが、・・・・の部分はわからなかった。
聞き返そうとした時には少女の姿は既に玄関から消え、翻ったワンピースの裾が一瞬見えただけだった。
月曜日は朝から落ち着かなかった。
「小学生に勉強を教えるだけなんだ。なにを焦っているのだ」
そう自分に言い聞かせても、平静さが戻って来ず、やったこともない掃除をしたり、布団を干したり駄菓子を用意したりしていた。
5時になって母親がいつもの台詞を言って家を出た。
「○○ちゃん、しっかり宿題やりなさいよ」
いつもよりも弾んだ大きな返事が聞こえた。
「は~い!行ってらっしゃ~い!!」俺には「今行くからね」と聞こえた。
はしたなくも動悸が速くなり、股間の充血が進んだ。困ったことだ。
どこからか「グット・ナイト・ベイビー」が聞こえて来た。
間もなく、玄関の引き戸がゆっくり開いて、ポニーテールが足音を消して入ってきた。
「お兄ちゃん・・・鍵を掛ける?」
俺が首を横に振ると一瞬不満そうな表情になったが、すぐに笑顔になって夏休みの宿題をどさっと床に置いた。
「そんなに・・・!」
「うん!全部持って来ちゃった。ねぇねぇ、お兄ちゃんて書生さん?」
(書生は既に死語のようだ)
「違うよ。学校へ入るために浪人中さ」
少女が顎と唇を突き出して解らないと言う返事をした。
「フ~ン」どの科目から始めようかと言いかかった俺の言葉を遮って、少女が立ったままクルッと一回転して言った。
「ねっ、今日の○○、可愛いでしょ」
なるほど、今で言うキャミワンピースのような白い服、ミニサイズの裾にはフリルが着いていて少女雑誌のグラビアのようだ。
薄い布地に透けるピンク色の腿と腹が躍動して、眩しいほどにかわいい。
「うん、かわいい。とっても・・・ さぁ宿題始めようよ。」
俺は赤面を隠そうと無関心を装い、座卓の上に筆記用具などを並べた。
「ねぇ、少し遊んでからじゃだめ?」
少女が机に手をついて、俺の顔を覗き込んだ。
胸元が大きく開いて、膨らみかけた小さな乳房と米粒サイズのピンクの乳首が揺れていた。
思わず眼を逸らせた俺の目に、中央線の橙色の電車がゆっくり走り去るのが見えた。
「やだぁ!お兄ちゃん、赤くなってるぅ」
「こいつぅ!」俺は目の前の手首を掴んで引いた。
少女は嬌声を上げながら机を回って俺の背中に抱き着いて来た。
俺は夢を見ているのだろうと思っていた。
12才の妖精のような女の子が俺を悪魔の城に誘おうとしている。
背中でこりこり動く胸と円い腹は熱く刺激的だ。
誘惑に負けるかもしれない、しかし夢の中なら何をしても 許される。・・・・身体を捩じって抱き寄せるだけでいい。
くすぐったいときのような、甘えた声を出しながら手足をバタバタして(形だけの)抵抗するだろう。熱い息が耳にかかる。
「お兄ちゃん、○○のおっぱい見て赤くなったんだ。フフフ・・・。触らないって約束してくれたら・・・もっと見てもいいよ」
少女が俺の肩を跨いで乗り越え、向かい合って膝に座った。
少女の思ったよりも肉付きの良いむっちりした腿が露になって、俺の下腹部に密着した。
しまった!昼過ぎ、オナニーをした際にパンツを脱いでしまったままなので、薄い半ズボンの下は・・・!・・・こうなって欲しい・・・と言う下心通りの展開なんだから、彼女も嫌がっていないのだから、もうどうなってもいい!そう覚悟した俺は両手で細い身体を抱きしめた。
怒張した陰茎の先に柔らく熱いスリットを感じている。
この子も俺の硬さを感じたのだろう、下げていた両手を俺の首に巻き、頬を胸に当てて小さな身体を少し持ち上げた。
「○○ちゃん、ごめんね。○○ちゃんが欲しい」
言おうとしたが声が出なかった。
代わりに彼女が息を弾ませながら甘えた声で囁いた。
「お兄ちゃん、このままぐりぐりしていい?」
俺の返事を待たず、大きく息を吸い込んで、俺の位置を確認しながらゆっくり腰を下げた。
二枚の薄い布を挟んではいるが、2人は一つになった。
俺は右手でワンピースの肩紐を下げ、汗に塗れた小さな乳房を露出させた。
「ダメ・・・恥ずかしい」
少女は首を横に振りながらも、上半身を反らせて胸への愛撫を許した。
そして、俺の男根の先を捉えたまま小さなお尻を前後左右に揺すって快感を得ようとする。
まだ小学生なのに性感などあるのだろうか。
もしあるのならもっと感じて欲しい・・・そう思ったが、俺が一足早く限界に至った。
今度は声を振り絞って名前を呼び、そのことを告げた。
少女も本能的に射精が近いことを感じたのだろう、精一杯全身を俺に圧しつけて可愛く喘いだ。
俺の精液が薄い布の先のクレパスに向かって放出した!・・・瞬間、階下で「○○ちゃ~ん!」と名前を呼ぶ複数の子供の声がした。
顔を上げた少女が、大きい円らな瞳で俺の目をじっと見据えた。
額の汗が頬を伝うのがコケティッシュだ。澄んだ目は笑っていない。
俺は、放精が齎す強烈な快感と、自分への嫌悪感と、行為に対する罪悪感に苛まれながら、噴出するに任せていた。
鼻先から赤い唇に垂れる汗を拭おうともせずじっと噴出が終わるのを待った少女は、やがて、ちょっとよろめきながら黙って立ち上がった。
「お友達が来たみたい・・・行きたいけどべちょべちょで・・・」
「ごめんね。どうしよう」と、俺。
「脱いじゃうから、後ろを向いていて」少女は俺が見ている前で下着を下ろした。
「やん、スカートにも・・・」と言って笑った。
「持って帰ったらお母さんにばれちゃうよ。俺が洗濯しておいてあげるよ」
この提案が気に入ったらしく駆け寄って、そのパンツを俺のズボンの濡れた部分に重ね、まだ硬度を保っているポールを握り緊めて言った。
「もう!子供に精子出すんだからぁ。・・・このこと、ぜ~ったいにないしょよ!」
1時間後、お友達と楽しい時間を済ませたらしい○○が楽しげに帰ってきた。
俺の前に座ると、笑顔に安心して再び勃起した俺自身を握って露出させ、少女がそれを跨いだ。
下着は脱いだままだ。
「○○・・・本当のSEXしてみたい。でもだ~めっ。だってまだ子供だもん」
少女の、蜜を湛えた蕾が俺の陰茎を直接弄る。
「大人になるまで待ってね。それまではコリコリだけよ。いい?」
俺は大きく頷いて、以後は性器を直接擦り付けるだけで満足した。
そんな関係が1年続き、少女は引っ越していった。
但し、文通は続いた。
この日から10年後、ボロアパートがマンションに変わったように、少女も美しいレディに変身し、久々に逢った俺と結ばれた。
それが、今のばぁさんだ。
「おお~い。ドロップはないか?」
19◯◯年夏の阿佐ヶ谷の夢 終わり