浮気不倫とかの修羅場じゃないけど。
俺25、彼女23、ともに会社員。
結婚の意思があり、お互いの両親にもあいさつ済み。
前、俺が思いっきり風邪ひいた時の事。
9度の熱が出て、会社休んでたら、彼女が会社休んで来てくれた。
庭でとれたという水仙を持ってきてくれてて、
それをまた持参した花瓶に生けてくれる。
幸せを感じていたら、
更に料理作ってくれるって言うんでお願いした。
「手料理は初めてだな?」なんてまた幸せホクホク。
でも出てきたものが凄かった。
まずにらたま雑炊に水仙の花が乗っかってる。
「あのね、何とかフラワーサラダとかってあるんだよ。お花って食べられるの」
水仙はほんと食べられません…慌ててよけて
「ちょっとしか入ってないから…大丈夫だよね…?」
って上目使いでこっちを見る彼女、内心ヒヤヒヤだったが食おうとした、が!
どう見てもにらじゃない。肉厚すぎる。
聞いたらやっぱり水仙の葉っぱだった。
「葉っぱもだめなの?」としょんぼり彼女。
これはさすがに食ったら死ぬ!と思って拒否。
そうしたらシクシク泣きだした。
「一生懸命作ったのに…」って、一生懸命ならニラはスーパーで買ってきて…
結局その時は梅干し茶漬けで済ませた。
夜、また飯作ってくれると言うので、今度はスーパーに行ってもらう。
まずは俺リクエストの冷奴。これは醤油掛けるだけだし普通。
それから茶碗蒸し。
「えーっと、これ何?」って色。黒いマーブル模様が出来てる。
食うとまずスプーンが刺さらん。焼きプリン系の固さ。
力入れて刺して、持ち上げると「ブインッ」と塊で出てきた。
我慢して食うと、これが甘い。超スイーツ(笑)
スイーツなのにソース味。
お醤油無くなったって、代わりにソース使う事ないでしょうが。
お、ユリ根が入ってる…と思ったらにんにくがゴロゴロ。
それからなぜかかに玉風卵焼き、これもにんにくがかけらごと山盛り入っていて、
上にかかってるつゆ(当然とろけてない)が…
何というか、何とも言えない味、今まで食べたことのない味。
あえて言うなら、嘔吐物の味。酢が効いてたな。
最後に「風邪ひいたら力つけないと!実家に行って作ってきたんだよ」と出してきたのが何か…ドロドロで赤茶色で渦巻いてる液体、しかもくっせーー!!
鼻水ダラダラでもくっせぇーー!
中身は野菜ジュースにウナギとにんにく、キムチに卵、ポカリだって。
ミキサーにかけるな!飲めるか!
彼女の中では
「体力が落ちたらにんにくとウナギ、風邪はポカリ」っていうのは不動らしい。
なんとか冷奴を食べ、その他は一口食ってダウン、
当然特製ドリンクは飲めない。泣かないで、てかドリンクあっためないで…
茶碗蒸し二口目行ったら、汚い話で悪いが吐いてしまった。
でもさ、彼女が泣くんだよ…
「一生懸命あなたの事考えて、
一生懸命作ったのに何も食べてくれないんだね!」って…
話をする気にもなれなくて、とりあえず自分で食ってみて、と言うと
「これは風邪ひいた人の為の特別メニューなのに…」ってまた泣く。
「せめてこれだけでも飲んで!治らないよぅ!」
って特製ドリンクを口元に持ってこられ、ただでさえ具合が悪いのでまたトイレに駆け込む。
手にドリンクを持ったままトイレに来て、
出てきた俺に「これだけ飲んで薬飲んで寝て?ね?」と上目使い。
かわいかったが、もう限界だったし、1日ろくに食ってない、そこに口元に特製ドリンク。
「頼むからやめろ!」って振り払った手が彼女に当たり、
散々泣かれて帰って行った。俺もちょっと痛かったけどでも無理過ぎ…。
薬飲んでぐったり寝てたら、10時頃彼女両親来訪。
ちょっと怒り気味だった両親も、俺のふらふら具合を見てビビる。
で、「娘がすごく泣いていて、一体何があったのかと思って…」と言うので
何とか事情説明。
彼女の言う「DV」もドリンクを拒否したための事だと言った。
そしてその場に放置してある料理の数々をとりあえず食ってもらった。
もう臭いでダウン寸前の両親、恐る恐る食うも「ウブッ」とか言って箸を置く。
水仙雑炊の事も話したら愕然としてた。
彼女母が俺の為に普通の雑炊を作ってくれて、それをがっついた。
掃除もしてくれてたらしくて、夜中に「帰りますから…」と言われた事は覚えてるんだけど。
次の日、朝から彼女母が来て、食事を作ると言ってきた。
さすがにそれは困ると思い、断ったんだけど
「どうかそれ位させてください」と泣き落し、でもどうしても落ち着かないからとお断り。
そうしたら「これだけでも…」って消臭剤とルームスプレーとファブリーズをwww
そう、ほんっとにくっせーんだよ、家の中w
前の日に掃除してもらったけど、特製ドリンクのシミがついてるし。
で、ファブを一本使い切るくらいの勢いでシューシューしまくって、窓開けて寝た。
夕方7時ごろ、彼女両親がまた来て、夕飯とかアイスとか持ってきてくれる。
そしてまた彼女両親は
「これからは娘に料理や家事の基本をたたきこみ、こんな事は二度とないようにします」
「あんな物を作ったのは親の責任」と平謝り…
正直、それならいいかも…って思ったりした。
いくら破壊的な味覚とはいえ、ちゃんとした訓練をしたのであれば治るかもしれん。
彼女自身もとっても反省しているし、
実家で炊飯から練習をして頑張っているという。
でもちょっとおかしくないか?
もう社会に出たいい大人が、親に日参させて自分で行動に出さない。
親も親、カップル同士のけんかに、なんであなたたちがここまで口出してくるんですか、と。
確かに俺の体調もあるんだけど、あまりにも過保護すぎる。
仲直りするにしても、とにかく俺と彼女とで話しないとどうしようもない事なのに。
風邪も良くなったので、とひたすら彼女両親の突撃を避け、
こっちから「本当に大丈夫なので!」と来てほしくないのだと懇願。
その間約1週間、彼女には連絡しても無視され、向こうからの連絡もない。
めげずに日参してくる彼女親に彼女を連絡を取りたい旨を伝えるものの、
「あの子はまだちょっと伏せっていて…」とごまかされるが、
やっと連絡がついて、ファミレスで会う事になった。
でも中々話しだそうとしない、それ所か思い切りふてくされてるように見える。
「そういえば家でご飯炊いたりしてるんだって?」と聞くと、頷く。
「…親御さん来てくれてたよ」頷く。
「……話したい事とかないの?」「別に…そっちこそ」
そこで一応彼女を突き飛ばした事を謝った。
そしたら堰を切ったように、人からあんな目にあわされたのは初めてとか、
一生懸命作ったのに食べてくれないなんて愛がない、
家の親が謝りに行ったのにまだ怒ってる、
連絡が取れないならなんで家まで来なかったの、とかとか。
泣きながらどっかに電話、そしたら1分もしないうちに母親登場。
車の中で待ってたらしい…怖いよ?…
で、母親が娘を慰めながら俺に必死で謝ってきて、彼女はただ泣くだけ。
夜は夜で彼女父から「一杯どうだ」と誘われ、何とか断る。
3日考えて、彼女の家に行った。
きちんと正装しているので正直ビビる。
多分改めて結婚の話を、と思ってたんではないかと。
彼女の方もうれしそうだったしね。
「申し訳ございませんが、私には彼女を結婚する事は出来ません。
○子さんはまだ結婚という一つの世帯を持ち、
子を産み育て、責任感を持って生きる事はまだ不可能です。
ここ2週間、親御さんの心配もわかりますが
○子さんは何もせずに、ひたすら親御さんだけが謝罪、泣けばすぐ駆けつける。
とても大事な一人娘でしょうが、大人の態度ではなく幼稚園児のようです。
料理の事はきっかけであって、これからの○子さんのやり方次第でしょうが、
23年間、ずっとこうやって生きてきた○子さんと親御さんが変わるのは難しいでしょう。
結婚したら、夫婦喧嘩のたびに今回のように介入され、
すぐに実家に帰ったり、親を頼って尻拭いをさせ、親御さんもそれを受け入れる事は明白です。
私にはそれが我慢できるかどうか、わかりません。
私自身未熟者ですから、23歳の大人の女性を、
言葉は悪いですが大人になるべく躾直すのは無理です。」
一生懸命覚えたセリフをつっかえながら言いきると、
彼女はこっちに向かって茶碗投げてきた。
最低とか、訴えるとか、嫌だとか、色々言ってたけど、俺が動じないとわかると泣き出した。
父親は黙ってうつむいて、母親はボロボロ泣いてた。
ちゃんとね、自覚あったみたいでね。
「お父さん、お母さん!私やだ!何とかして!!」っていう娘を何とも言えない顔で見てたな。
親が何とかしてくれない、しようとしていないとわかると、唖然としてた。
「私、お父さんとお母さんのせいで結婚できないの?
私の事が嫌いなんじゃなくって、私の親が嫌いなの?そうなんでしょ?」
と聞かれたので、
「普通は自立して生きていける年なんだよ。今からでも遅くないからやってみなよ」と言った。
そしたらやっぱりと言うか、何と言うか
「急にそんな事言われても…ひどい…お給料だって安いし一人暮らしなんて…」だって。
「私、あなたと生きていきたい」とか言うから、
「えーっと、お給料安いから俺と暮らしたいの?」って聞いたら否定してたけど、
話の流れ的に何かそう言われてるような気がして…
最後呆然とする彼女を尻目に、
彼女父が「大変ご迷惑おかけしました」とか何とかいってた。
その時俺もボロ泣きだったし、何か頭ボーっとしちゃって。
その後は、たまにアパート周辺に彼女を見かける事があったので、
引っ越しをして、地味に生きてる。
まあ別に、結婚自体諦めてるわけじゃないけど、女見る目がすっげーシビアになった。
結婚したいと思ったなら、周りの根回しの前に料理の腕前を見る事をお勧めするぞ!w
次の体験談を読む