11月29

大嫌いだった従姉妹の話する

俺と従姉妹は同い年で、小さい頃からよく一緒に遊んでた

ただ、何歳の頃か知らないが
俺が紙に自分の名前を平仮名で書いて、従姉妹に自慢したらしい
それがウザくて従姉妹は俺が嫌いになったんだと

それからは会うたびケンカしてた

親同士が仲良くてよく家にいってたんだけど
できるだけ顔を合わせないようにしてた

二人で遊んで来いって言われたときは渋々一緒にいたけど
悪口言って、殴り合いして、変顔して、
あまりに酷くて幼稚園に上がる頃には親同士も仲悪くなっていった

俺の通ってた小学校には合同遠足ってのがあって、他校と一緒に遠足に行くんだけど
そこでもやっぱりケンカして、楽しみにしてた行事が台無しになった

後、俺はお化けが怖くて、超ビビリだった
従姉妹はそんな俺をからかうように髪を垂らして貞子のように脅かしてきた
それで俺が慌てて逃げてこけて骨折った事もあった

あ、年賀状だけはやけに仲良かったな
「今年もよろしくね!(ピース」
「また一緒に遊ぼうね!!」みたいに

まあ小さい頃の思いではそんぐらい

中学校は一緒だった
まあ俺の住んでるところは田舎なんで、近くに中学校が一個しかなかったから当たり前っちゃ当たり前

俺(うわー昼休みとか何したらいいんだろう緊張する…)

従姉妹「アンタ!テスト何番だった!?」

俺「…え、何で?」

従姉妹「いいから、早く!!!!」

この時が人生で一番怖かった、従姉妹は走ってきたのか息が切れてて、髪は山姥みたいにブワッと逆立ってた

俺「…2」

従姉妹「!……ふーん、やるじゃん」

これが中学上がって初めて交わした従姉妹との会話だった
後で聞くと従姉妹は1位だったらしい
俺がやった自慢の仕返しをしたかったんだと

1年は特に何も無く終わる

ただ従姉妹はまだ俺の事が許せてなかったらしく、事あるごとに悪口、陰口を言っていたらしい
そのせいで、1年の時の俺のクラスでの評価は最悪だった

面と向かって悪口を言わない従姉妹が、俺は益々嫌いになった

2年では、俺の後ろの席の野球部の奴に気に入られ
はれてリア充のグループへと加入する事に成功

ただ、弄られ約だったため常にだれかに弄られてた

従姉妹はバレー部に入り、セッターという大役を担っていた

この頃からお互い話をする事も会う事もなくなり、俺の従姉妹に対する嫌悪感も次第に無くなっていった
単にどうでも良くなった感じ
あれだけ嫌いだったのに、不思議だった

二年の終わり、俺に好きな人ができた

その子は上品で、素直で、優しくて、ふわふわしてて、良く笑ってて、とにかく可愛かった
頭がいいのに天然って所も俺のタイプだった

外見は、今で言うと石原さとみと壇蜜を足して2で割った感じ

俺はどうにかして距離を縮めようとその子に積極的に話しかけた
休み時間の度に会いに行って、帰りは一緒に帰って、とにかく必死だった

当然、周りにはバレバレ、俺は否定していたが焼け石に水で
俺がさとみを狙ってるっていうのはクラス全員が知っていたと思う

中二にとって他人の恋バナは大好物で、
男子からは冷やかされ、女子からは好きなところを問い詰められる
それが余りにもしつこすぎて、一度マジギレしたら俺だけ先生に怒られた

しかし俺はめげずにアタックを続けた

そのおかげで、3年の春には友達以上カップル未満のような関係にまでなっていた
冷やかしも収まりつつあって、まあ幸せだった

ただ俺はヘタレだから中々告白には漕ぎつけられなかった

そんな関係がずるずると続いていったある日、事件が起こる

従姉妹の弟(当時小学校低学年)が足を悪くしたか何かで、車で2,3時間かかる病院で手術と入院をしなければならなくなった
弟君はまだ小さいから、母親が付いていなければならない
従姉妹は母子家庭で、そうなるとしばらくの間従姉妹は一人で過ごさなければならない

流石にそれは心配だ、という事で従姉妹を俺の家で預かる事になった

当時は、従姉妹はまだ俺を嫌ってるんだろうな、
またケンカするかもしれないなー、とか思ってた

けど、そんな事もなく、従姉妹は借りてきた猫のようになっていた

俺が何を言ってもそっけない返事をしたり、家族の前で気を使ったような笑顔をみせたり

俺はそんな従姉妹の事を可哀想に思い始めていた

そこで、何とかしていつもの従姉妹を取り戻そうと必死で頑張った

俺「なあwww」

従姉妹「……ん」

俺「ちょ、テレビ見てみ、あれめっちゃ面白いなwww」

従姉妹「そうやな」

俺「…そういえば、○○と△△がこの間馬鹿みたいなことしてなwww」

従姉妹「そうなん」

俺「あ、お前この前テスト悪かっただろ、俺より順位下だったろざまぁwww」

従姉妹「…うん、アホやな」

俺「最近バレーの調子はどうなん?ミスばっかりじゃねえの?」

従姉妹「………」

俺「………お、俺コンビ二行って来るけど何か欲しい物あるか?」

従姉妹「んーん、ない」

俺の力ではこれが限界だった

これが三日目くらい、この後も同じような事を延々と繰り返して
従姉妹が来てから丁度一週間が経った日、弟君に会いに行った

病院に着くまでの2?3時間、従姉妹は車の中でずっと俯いてた

俺はその間も騒ぎまくっていたが、効果は無かった

病院に着いて、弟君に会った瞬間従姉妹は元気になった
弟君は「何でねーちゃんこんな嬉しそうなん?」みたいな顔でぽけーっとしていた

手術はもう終わってるらしく、一週間入院の後帰れると言われた
従姉妹はずっとニコニコしてて、面会の間弟君から離れることは無かった

それから帰りの車でも家でも、従姉妹はニコニコしてた

俺は「何コイツ…何この表情…」みたいな複雑な気持ちになっていた
俺があれほど頑張っても効果はゼロだったのに、従姉妹の弟君好きは異常だ、と思っていた

ちなみに、俺が嫌われてるだけ、という考え方は全くしなかった

一方学校では、俺が浮気した、という噂が広まっていた

あれだけ必死にアタックしたさとみを放っといて
従姉妹と登下校したり、休み時間も従姉妹を励ましに行ったり
今考えれば浮気と言われて当然だと思う

けど、俺の頭の中には従姉妹を笑わす、という事しかなくて
さとみとかもうどうでも良かった

会話も少し弾むようになった

俺「おいまた面白いテレビあるぞwww」

従姉妹「あ、ホンマやな」

俺「あ、この前の話なんやけどな、□□っておるだろ?アイツがな――」

従姉妹「何でそんな必死なん?」

俺「は?別に必死ちゃうし意味解らんし」

従姉妹「嘘w、めっちゃ必死やしw」

俺「ううう、うっさい!」

従姉妹「www」

みたいに、徐々に笑顔が増えていくのが嬉しかった

自虐ネタでも、わざとらしいミスでも、
従姉妹が笑ってくれればなんでも良かった
別に自分がどう思われようと気にしてなかったのは、さとみの時と真逆だった

話しかける→笑う→嬉しくなる→また話しかける

このパターンを繰り返すだけの日々が続いて
とうとう弟君が退院する日がやってきた

俺はその事を頭では解ってたんだけど、どうしても実感が湧かなかった

いつも通りの時間を過ごして、夜に従姉妹のお母さんが迎えに来て
そのまま何事もなく従姉妹は帰ってしまった

俺は笑顔で見送ったけど、やっぱり寂しかった

後、母さんにニヤニヤされるのも鬱陶しかった

その日、風呂の中で本気で悩んだ

何でこんなに寂しいんだ、たった二週間程度だったのに
それに学校へ行けば普通に会えるし、きっとまた話す事もできる
でも寂しい

こんな事を延々と考えてた

これ今考えると確実に惚れてるな、何故この時そう考えなかったのか不思議だ

次の日学校へ行って、それとなく従姉妹の様子をうかがってみた

寂しそうにしてたり、元気が無くなってたりするのを期待してたのかもしれない
けどそんな事もなく、以前の明るい従姉妹に戻っていた

それはそうか、家族が居なかったからあんな風になってたんだし
もう落ち込む理由が無いもんな、と何故かガッカリした

話しかけようかとも思ったけど
今までのように従姉妹を励ます、という大義名分も使えないし
特に話す事も無かったんで諦めた

教室に戻ると皆から従姉妹の事諦めたのか、お前結局どっちが好きなんだ
という風な事を問いただされた

俺はちょっと悩んで「別にどっちも好きじゃねーし」と強がった

俺の中ではベストな答えだったんだけど、皆はそう思ってくれなくて

俺=好きでもないのに女をたぶらかすチャラい奴

というイメージを持たれた

かなりショックだった

それからさとみとも従姉妹とも話さず(話せず)、
引退も近かった事もあり部活にのみ気を向けた

ちなみに部活は卓球

1年からコツコツ努力していたおかげでそこそこ強かったし、
副部長にもなっていた

最後の大会、3年間の総決算の場で
俺は県で個人ベスト16、団体3位になって、優秀選手賞も貰えた

一見従姉妹には関係無い事のように思えるけど、このおかげで
夏休み中に従姉妹家でパーティーが行われる事になった

もちろん名目は俺のお祝いと従姉妹を預かったお礼、というものだ

俺はそれを母さんから告げられた時そっけない態度をとっていたけど、内心滅茶苦茶はしゃいでた
楽しみで楽しみで、早くその日が来い、と小学生のような事を思っていた

そして当日の夜、パーティーが始まった

パーティーといってもお洒落なものじゃなく、ただ焼肉と花火をするだけだったけど
それでも久しぶりに従姉妹と話せて嬉しかった

焼肉は何事も無く終わって、あ、弟君は跳ねた油で焼けどしてたけど

その後もただ他愛ない話をしながら花火をするだけで、
従姉妹と距離が急接近するのを期待していた俺は
あー楽しいけどこんなもんかー、とか思ってた

それで噴出し花火っていうのかな、手に持つ一般的なやつ
あれが無くなって、線香花火をする事になった

俺は線香花火があんまり好きじゃないから、一人で石積んで遊んでたんだけど
そこに従姉妹がやってきた

従姉妹は、二個の線香花火とライターを持っていた
「弟君は?」と聞くと、「あっちでお母さんと遊んでる」と言われ
俺は心の中でガッツポーズを決めた

二人きりで線香花火、という最高のシチュエーションだったけど
いや、むしろそのせいか、俺は空回りして滑り倒し、挙句の果てに無言という最悪の結果になった

気まずい空気の中、喋りだしたのは従姉妹だった

従姉妹「なあ」

俺「!…ん?」

従姉妹「………」

俺「………どうした?」

従姉妹「いや、何か言うの恥かしいなー、と思って」

俺「…めっちゃ気になるんやけど」

従姉妹「………」

俺はこの時絶対告白だと思った
自意識過剰かもしれないけど、それ以外考えられなかった

従姉妹「…な」

俺「ん?」

従姉妹「ありがとうな!」

俺「?は…?」

従姉妹「だってアンタアタシの事励ましてくれたし、いっつも話しかけてきてくれたし」

俺「あ、おお…」

従姉妹「あのおかげで大分楽になったんで、ありがとうってこと」

俺「ああ、別にいいけど…」

従姉妹「でも流石に必死すぎやな、アタシが無視したらめっちゃ落ち込むしw」

俺「!え、お前アレわざとだったんかよ!」

従姉妹「いやゴメンゴメン、辛かったのはホントやけど、アンタが面白くてついw」

俺「お前マジか…」

従姉妹「あはは、でも嬉しかったよ、ありがとう」

俺は告白を期待してただけに少しガッカリしたけど、まあこれでもいいか、と思った

次の従姉妹の言葉は衝撃的だった

従姉妹「なあ、アンタさとみの事好きなんだろ?」

俺「!え、いや別に」

従姉妹「アタシが協力してあげようか!」

俺「は?」

従姉妹「あの子もバレー部やし、アタシ等めっちゃ仲いいけんな」

俺「へーそうなんか、でも」

従姉妹「あの子めっちゃ可愛いよなー、好きになるのも解るわ」

従姉妹「…あー、でも、何かゴメンな」

俺「…え、何が?」

正直ここらでイライラしてたけど、聞くことにした

従姉妹「いやアタシのせいでなー、あの子と話し辛くなっとるけん…」

俺「は?そんな事気にせんでええし、それより」

従姉妹「いや気にするって!アタシに任して」

従姉妹「っていうかアンタ元々仲良かったけん、普通にいけると思うよ?」

俺「ああそうなん、でもちょっと聞けよ」

従姉妹「?…どしたん?」

俺「俺別にさとみの事好きじゃないし、どうでもいいって皆にも言っとる」

従姉妹「嘘やな、アンタあれだけ必死に話しかけとったし、登下校も一緒だったし」

俺「…それで俺がさとみの事好きっていうなら、その次にもう一人、俺に同じ事された奴おるだろ」

従姉妹「え………あ、いや、アタシは落ち込んどったけんだろ?」

俺「………まあ、最初は」

従姉妹「え?最初はって…」

俺「………」

ここで告白しなきゃならない、それは解ってたんだけど
どうしても好きって言えなかった

この時ほど自分のヘタレさを恨んだ事は無い

そのまま時間だけが過ぎていって、母さんが呼びに来て
パーティーは終わった

急だけど中学時代はこれでお仕舞い

あとは気まずい関係のまま、何も無く中学卒業
卒業する時さとみに告白されたけど、断った

簡単に俺と従姉妹が行った高校を説明する

俺の行った高校、近所の工業高校で就職率100%という脅威の数字を誇る
部活もそれなりに強く、熱い青春を送れるのが魅力
けどヤンキーが多く生徒は男がほとんど、1学年に一人女子がいるかいないかくらいのレベル
先輩には逆らうな、がルールだった

従姉妹とさとみが行った高校、有名な進学校で、頭の良い奴はほとんどがここへ行く
男女比は4:6くらい、爽やかで健全な高校

クラスメートや先生は俺が工業高校へ行く事を驚いてたけど、止めはされなかった

ちなみに俺の高校と従姉妹の高校は車で30分ほどの距離
今は近く思えるけど、自転車しか交通手段が無かった当時はとても遠く感じたし
それ以前に従姉妹に彼氏ができたらどうしよう…ととても不安だった

1年のとき、その学校の雰囲気に馴染むことに集中、特に先輩に目をつけられないようにした
勉強は元々出来たこともあって上位をキープ、部活はもちろん卓球部で、どうしても先輩とプレイしたかったから必死でレギュラーになった

2年のとき、特になし、交友関係もそれなりで、部活も県予選を突破し四国大会へ

3年の春、俺はある人物と再会する

3年になって、何故か俺は読書にはまっていた
元々本を読むのは好きだったけど、この時期が一番ハイペースで読んでと思う

図書館には部活が無い休日に、一週間毎に通っていた

その図書館でいつものように気になる本を探していると、急に声をかけられた

「あ、俺君…覚えとる?」

俺「………あー、えーっと、さとみ?」

さとみ「うん!覚えとってくれたん?久しぶりやなぁ!」

さとみだった
さとみも友達とよく図書館へ来ていたそうで、たまたま俺を見かけたから声をかけたらしい
さとみの友達は皆美人だった

当の本人も相変わらず美人で、天然で、小さかった
そして超意外なんだけど彼氏はいない、とのこと

工業高校選んだのを心底後悔した

従姉妹の事を聞いたら、あまり仲良くないからしらないって言われた
詳しく聞くと、高校へ入り話す事も少なくなり、お互い別々の友達ができたとか
少しショックだったけど、まあそれはそれでいいか、と思った

それから二人で近況を教えあって、また会うかもなって言って別れた

それからはよくさとみと会うようになって
その度お互いの友達がどうだとか部活が上手くいってるかとか話してた

夏休みになった
俺の最後の大会(団体)は県でベスト8、正直納得いかなかった
まあ先輩に頼りきったチームだったから、仕方ないけど

その時もさとみとの交流は続いてて
夏休みの始めに二人で遊びに行こうって話もあったけど、結局行かずに夏休みは終盤に差し掛かる

俺が図書館に行くと、いつものようにさとみが居た

俺「よう、また勉強か」

さとみ「うん、進学校は大変なんよー…」

俺「マジで大変そうやな、こんなん全然解らんわ」

さとみ「なー……あ!」

俺「?」

さとみ「そういえばな、気分転換にどっか行こうって話しがあるんやけど、行く?」

俺「え、行かんけど」

さとみ「えー何でよ、いこーだ」

俺「だって何所行くかも解らんしどうせお前の学校の奴ばっかだろ」

さとみ「場所はまだ決まってないけど、メンバーは………」

さとみが挙げたメンバーは、どれも中学時代の同級生だった

さとみ「な?いけるよな!」

俺「いやー…皆と会ってないし、何か俺一人浮きそうやけんなー」

さとみ「あ、そういえば従姉妹ちゃんも来るよ!」

俺「!」

これは俺の心を動かした
さっきのメンバーとは別段会いたいとは感じなかったのに、従姉妹だけは強く会いたいと思ってしまった

俺「んー………まあそこまで言うなら」

さとみ「ほんま!?やった!皆に言っとくな!」

俺はさとみにばれない様に、しょうがないから行ってやってもいいか、っていう雰囲気を出しながら答えた

そして家に帰って即カッコいい服を探したり髪型研究したりした

それから何回かさとみと会って、集合場所や何所へ行くか、皆の反応なども聞いた

当日、何故か図書館集合、俺は超早起きして何度も鏡で自分の姿を確認した
自転車で出発、ちゃんと10分前行動を心がけた

俺一人だったら暇かなー、でもどうせ10分くらいで皆来るだろ
何て考えてるうちに図書館へ着いた

さとみは、既に来ていた

俺が、「うーす、早いなー」って話しかけると
「まあ今日は私がリーダーやけんな!言う事聞かないかんよ?」って笑ってた

そんなくだらない話をしてる内にぞくぞくと皆が集まってきた
皆中学時代のノリとあんま変わってなくて、俺の不安は直に無くなった

従姉妹は最後に来た

その時に交わした会話は

「…おう、久しぶり」

「…うん」

だけだった
もっと話したいと思ったけど、気まずくて、照れくさくて、何も言えなかった

あ、上で皆って書いたけど、詳しくは8人、上手く男:女=4:4になってた
車は、さとみともう一人野球部だった奴が出してくれた

向かった先は水族館
インドアな俺には嬉しい行き先だった

水族館では8人で行動するのは流石に、という理由で4人ずつに分かれることになり
8人の内の4人は驚く事にカップル同士だという事で、

俺、さとみ、友達、従姉妹

他4人

の組み合わせになった
正直イチャイチャするのを見てると腹立つので、良い組み合わせだと思った

俺のグループは順路に沿って進んだ
他4人は、適当にぶらぶらしてくるって言ってどっか行った

魚の種類とかどの魚が凄かったとかは憶えてない

そんな事より、友達が従姉妹と仲良くしてて気が気じゃなかった
4人で回るはずがさとみ俺・友達従姉妹って感じで別れてた

さとみがつまらなそうにしてたから、申し訳ないな、と思って極力気にしないようにした

俺の予定では、
「うわーこれ綺麗やなー」
「ほんまやなー」
みたいに喋れるはずだったのに、何て言えばいいか解らないけどモヤモヤした物が俺の頭の中にあった

水族館では結局喋れなかった

昼食は女子陣が弁当を作ってきてくれてて、皆で食べる事にした
けど、女子二人が彼氏にばっかり食べさせるせいで、ここでもグループが別れた
俺は主にさとみのを、友達は従姉妹のを食ってた

正直「友達ウザイ」って思った、ゴメン

午後からは近くの海に行った
しかし海でも友達と従姉妹が楽しそうに泳いでた
泳ぎが苦手な俺はさとみとバレーしてた

夕方になって、流石に疲れた、もう帰ろうかってなった時に
さとみが「サプラーイズ!」って言って、車から花火を持ってきた
テンションだだ上がりの皆、さとみも鼻高々だった

皆まちまちに好きな花火を取り出して楽しんだ
手筒花火なんかは滅茶苦茶盛り上がった
この日初めて全員で遊んだ

夜が更けて花火も残り少なくなってきて、またグループに別れ始めた
やっぱり俺はさとみと居て、楽しそうにはしゃぐ従姉妹を見つめる事しかできなかった

俺が、ふとさとみに「喉渇いたな」って言うと気を利かせたのかジュースを買いに行ってくれた

一人になって、もう一度従姉妹を見てみるとなんと従姉妹も一人だった

俺が人生で一番勇気を出した瞬間かもしれない
線香花火を二本と、ライターを一個持って従姉妹に近づいた

俺「あれ、友達は?」

従姉妹「ん、ああ……何かジュース買いに行った」

俺「ホレ、勝負しようぜ」

従姉妹「…ええよ、望むところ」

さり気なく会話をする事に成功
話したい事は色々あったけど、踏み込んだ話はできず内容の無い会話ばかりしていた

けど、それだけで嬉しかった
少し話せただけで、しかも内容はさとみと話した事と変わらないのに
明らかに何かが違ったんだ

海をぼーっと見つめる従姉妹に、俺は見とれてて
その時「ああ、好きだなぁ」って思った
恥かしいんだけど、上手く言葉では言い表せない気持ちになった

従姉妹「なあ、何でずっとこっち見てるん?」

俺「!」

ここで俺が従姉妹を見つめているのがばれた

言い訳を考えようとしたけど、パニックになって何も考えられなくなって
出た言葉が「い、いや、綺麗だなーと思って」だった
もちろん頭の中では滅茶苦茶自分に馬鹿!落ち着け!と言い聞かせてた

従姉妹は、最初驚いたような顔をして、また海を見つめて
「…ああ、たしかに海キレーやもんなぁ」と言った

俺はここで合わせておけば良いものを、何を思ったか
「いや、お前が」と言ってしまった
ここまできたらいっそ言ってしまえ!という思いがあったのかもしれない

従姉妹は何故か、三角座りの膝の間に頭を入れてそのまま動かなくなった

俺はああ、終わった…と思った
そしてしばらくして、やっぱり誤魔化そう、と考えた

俺「…なんてな、冗談な、冗談www」

従姉妹はそれを聴いた瞬間顔を少し上げて目を出して、無言で睨んできた

それにビビッて

俺「いや、ゴメン…綺麗なのはお前、恥かしかったけん誤魔化した」

と暴露した
我ながらとてつもなくカッコ悪いと思う

従姉妹「…どっち?」

俺「…お前が綺麗………でした」

従姉妹「………」

また無言になる従姉妹、気まずくなって余所見をするとさとみと友達が俺たちをを覗いていた
余計恥かしくなった

ふいに、従姉妹が喋りだす

従姉妹「…本気?」

俺「ん、さっきの綺麗っての?なら本気」

従姉妹「………うん、ありがと」

俺はここで「うわああああ可愛いいいいいいいいい」と叫びたかった

綺麗、と言った事で今ならなんでもできる気になってる俺
調子に乗って、色々言い出した

俺「今日な、なんでずっと友達とおったん?」

従姉妹「………」

俺「お前友達の事好きなん?」

従姉妹「……違う」

俺「お前一日中一緒におったくせに」

従姉妹「だってアンタとさとみがイチャイチャするけんだろ!」

従姉妹「そんなん話したくても話せるわけないし!」

俺「あ………ゴメン」

一応謝りはしたけど、この時俺は従姉妹が友達を好きじゃないと解って有頂天だった

浮かれていると、今度は従姉妹が俺を責めだした

従姉妹「アンタずっと前からさとみとだけ連絡とってたんやろ?それも腹立つし」

従姉妹「それ以前に何で○高行ったんやし、普通こっち来るだろ!」

従姉妹「あの時も何も言わんとうやむやにするし!」

従姉妹「ってか今日やってさとみとばっかり楽しそうに話して、意味解らん!」

早口でダーッと言われたから、聞き取れたのはこれくらい
俺は従姉妹がこんな事考えてるなんて思いもしなかったから、ただ呆然として

俺「…ゴメン」

としかいえなかった

従姉妹「…まあ、それはもう許す、今更言ったってしょうがないし」

俺はここで滅茶苦茶安心した、しかしそれも束の間

従姉妹「で?あの時何言おうとしとったん?」

俺「………あの時?」

従姉妹「は?何とぼけとん?中三の時の夏休み!うちで花火した時!」

俺「…あー、オッケーオッケー、解った」

従姉妹「で?何なん?」

俺「………」

緊張した、けど、ここしかないって思った

従姉妹「………はよ」

俺「………好き、多分」

従姉妹「え?誰が?誰を?」

俺「俺が、お前を」

従姉妹「多分って何?」

俺「…多分じゃない、絶対、ていうかめちゃめちゃ好き」

従姉妹「………うん、よろしい」

ここで「何?誰が?誰を?」「多分って何?」って詰め寄られたのは超ハッキリ覚えてる

俺「…で?」

従姉妹「ん?」

俺「いや、返事」

従姉妹「…んー………内緒」

俺「お前ふざけとんか!」

従姉妹「あはは、ゴメンゴメン、からかっただけ」

従姉妹「…アタシも好き、多分」

俺「多分?」

従姉妹「もーうっさいなー、絶対!滅茶苦茶大好き!これで良い?」

俺「…おう、よろしい」

この時は平静を保つのに必死だった
あの時のリベンジをできたのが嬉しかったし、両思いになれたのも嬉しかった
何より従姉妹が可愛過ぎた

そのまま二人の昔の話して、まさかなーとか、全然予想できんかったわーとか言ってた

帰りの車では、行きと同じグループ分けだったけど
大きく違うのは俺の隣に従姉妹が座ってたってところだった

従姉妹は俺にもたれかかってスースー寝息立てながら寝てて、俺はドキドキして固まってた

それからはちょくちょく会うようになって、ゆっくり距離を縮めていった

デートもしたし、お互いのどこが好きか、何故好きになったか、みたいな暴露大会もやった
ケンカは全くしなかった、でも従姉妹はケンカをしてみたいみたいで「ケンカごっこしよーでー」とか訳わからないこと言われた

卒業後は、従姉妹は大学進学、俺は製薬会社に就職、とそれぞれの道を歩んでいた

俺の入った製薬会社はそこそこ給料も良くて、結構忙しい時もあるけどブラック何かじゃない
良い会社に入れたと思ってる

一方従姉妹は他県の大学へ行って、一人暮らし

入社1年目は慣れない生活に戸惑う事もあったけど
長期休みには従姉妹が帰って来て、お互い励ましあいながら頑張ってた

従姉妹「なぁー」

俺「ん?」

従姉妹「ちょーこっち来てー」

俺「どしたん?」

従姉妹「ん」

俺「……はい」

従姉妹「ん、よろしい」

従姉妹の「ん」は、ハグの合図だった
最初言われた時は何をしていいか解らなくて、従姉妹に理不尽に怒られた

従姉妹「おい」

俺「おいってお前……何?」

従姉妹「今日どっか行かんの?」

俺「…行きたいん?」

従姉妹「うん」

俺「…ほな行こうか、どこがいい?」

従姉妹「…優と一緒だったらどこでもいいー」

俺「ふーん」

従姉妹「………ツッコンでよ、滅茶苦茶恥かしいけんな、コレ」

中々会えないようになったからか
たまの二人きりの時間にはこんな風に甘えてきて、その分可愛さも増した

入社2年目、任される仕事も徐々に増えてきて以前より忙しくなり、
せっかく従姉妹が帰ってきてるのに会えない、という事も少なくなかった

すれ違いに焦りを感じていたし、その事でストレスも溜まっていたし、
何より俺が「会えない」と告げたときの

「…うん、解った……あ、仕事頑張れよ」

という返事を聞くのが辛かった

昔の従姉妹だったら怒ってただろうなーとか、もう何回断ったかなーとか、
色々考えているうちに罪悪感で胸がいっぱいになった

きっとこの頃から俺達の関係は狂い始めてたんだろう

入社3年目、仕事は更に増え、後輩に指導する事も多くなった

極力従姉妹に合わせて休みを取るようにしていたため、合う頻度は2年目と変わらなかった
そして、中学以来全くしていなかったケンカをするようになった

従姉妹が、「…何か今日機嫌悪いな」とか「最近何かおかしいよ!」とか言いだす
もちろん俺はそんなつもりは毛頭ないから弁解する

しかし従姉妹は認めず「嘘!」「嘘じゃないって」「だって…!」「それは…!」
のような感じで水掛け論が始まって、ケンカ

よく、『ケンカの原因はささいな事が原因』っていうのを聞くけど、それを嫌なほど実感した

その後一人になると、
何でもっと冷静になれなかったのか、また貴重な時間をケンカで潰してしまった、と自責の念にかられた

俺達の間にできた溝はどんどんどんどん深くなっていって、

その年の冬、俺達は悪い関係を修繕できないまま、別れた

入社4年目、あれだけ必死にやっていた仕事が、どうでもよく思え始めた

いや、仕事だけでなく何もかもが鬱陶しくなって、
俺に気を使ってくれていた同僚や家族にも当たり散らかした

このままではダメだと思い、何とか従姉妹を忘れようとした

けど、二人で歩いた道を通るたび、一緒に行った場所を訪れるたびにアイツの事が思い出されて、
そのたびに心が痛んだ

俺の家の自室なんかもってのほかで、特に強い思い出が残ってる場所だった

だから俺はこの年一人暮らしを始めた

マンションを借りて、初めての一人暮らし
忙しさで気が紛れるかもしれないと思っていたけど、そんな事はなく、
今までどおりの寂しさが俺を襲った

何をやっても俺の中には従姉妹がいて
どうしても従姉妹を忘れる事ができない、なら、もう従姉妹を嫌いになってやろうと思った

好きだと思うから辛い、だったらいっそ…という苦肉の策だった

従姉妹を恨むのは筋違いだし、情けない方法だと思う
けど意外なことに効果はあり、こうしたお陰で大分楽になったのも事実だった

その年の冬にはもう家事もある程度できるようになっていた
とは言っても、まだまだ下手糞の領域だと思うけど

で、正月に仲の良い同僚と初詣に行った
深夜とはいえお正月、初詣に来ている人はたくさんいた

俺がその人ごみを眺めていると、その中に従姉妹が居た

見間違いかと思って、もう一度見る
すると、もうその場所には居なかった

俺は同僚をおいて、さっき従姉妹が居た方向へ走った

従姉妹は直ぐに見つかった

俺「…おい!」

従姉妹「!…あ、優!何で…ってそりゃそうか……どしたん?」

俺「ん、いや……えーっと…まあ、久しぶり…」

従姉妹「…うん、久しぶりやな」

俺「…誰と来たん?(従姉妹の)母さん?」

従姉妹「と、弟と」

俺「そっか……あの、ちょっと一緒に周らん?」

従姉妹「………うん、いいよ」

何も考えず突っ走った俺は、しどろもどろになりながらも従姉妹を誘った

他愛ない話をしながら一通り周った後、神社の脇に生えている大きな木の根元に腰を下ろした

俺「なあ」

従姉妹「ん?」

俺「…何か、最後ケンカ別れみたいになったやん」

従姉妹「…そうやなー…」

俺「あの後な、丁度一年くらいか、めっちゃ後悔した」

従姉妹「…」

俺「忘れようとしたり、嫌いになろうとしたりしたけど、無理だった」

従姉妹「…」

俺「…やっぱ俺お前の事好きやけん…今度は絶対幸せにするけん、俺ともう一回付き合ってほしい」

従姉妹「…そんな事言ったって、またケンカするかもしれんし」

俺「それは、俺が悪かった、お前がせっかく会いに来てくれたのに仕事ばっかりやし、最低やな」

俺「でも今度はいける、何よりもお前を大切にするけん」

従姉妹「ん………私も、辛かった」

俺「…うん」

従姉妹「迷惑かけたらいかんかな、とか思って我慢しとったけど…アタシが間違っとった…」

従姉妹「…ずっと、もっとちゃんと話あったらよかったって…」

俺「…今度は話し合いしよう、何でも言い合って、本音言って」

従姉妹「…うん、うん、アタシも、好きだった…ずっと…こんなアタシで良かったら、もう一回付き合って…」

俺「うん、俺はお前がいい、お前意外考えられんけん」

従姉妹「…うん」

そういう訳で、俺と従姉妹はもう一度付き合う事になった

ちなみにこの後、従姉妹のお母さんに謝ったり、同僚に謝ったり、大変だった

セクロスは社会人1年目の時
俺の家で、良い雰囲気だったんでその場の流れでだった

キスは少し長くなる

高校3年生の冬

付き合って何ヶ月か経ってたんだけど、お互いにまだ上手く接せてなかった
いや、今までどおり接せてたんだけど、それじゃダメというか

会話も態度も、どうしても仲の良い友達同士のものになってた
もちろんそれだけで、従姉妹と一緒に居れるだけで嬉しいんだけど、
やっぱり少しは恋人らしい事もしてみたかった

どうにかしようとあの手この手を試したんだけど、もう従姉妹に対するソレが体に染み付いてて、
恥かしいやら照れくさいやらで、全部失敗に終わった

そんな俺の苦悩を打ち払ったのは、従姉妹主催の『暴露大会』なるものだった

従姉妹「なぁー」

俺「ん?」

従姉妹「ちょっとこっち来てー」

俺「何?」

従姉妹「よし、そこへ座って」

俺「…ん」

従姉妹が座っているベッドの上に、向かい合わせになるようにして腰を下ろした

従姉妹「いくよー………ででーん!第一回、暴露大会スタートー!」

俺 ビクッ

従姉妹「えー、この大会はー恥かしい事をー赤裸々に告白しちゃおう!という大会でーす」

従姉妹「あ、主にアンタのな」

俺「…は?」

従姉妹「ほなけん、色々質問をし合って、それには絶対に答えないかんっていうゲーム」

俺「…何か恥かしいけん嫌や」

従姉妹「じゃあ一個目なー、えーっと…えー…あ、初恋は誰?」

俺「ちょ待てよお前、俺嫌って言っただろ?」

従姉妹「えーそんな事言うんー?うわー…嫌いになるよー…?」

俺「え…」

というような感じで告白を余儀なくされ、正直に質問に答えた
質問の割合は、従姉妹の質問5回につき俺の質問1回、
でもそんな我侭な所も好きだったので許した

そのまま質問は続いていって、もう何問目かも忘れた頃

従姉妹「…じゃあ次はー、アンタはこのままで良いと思うー?」

俺「ん?どういう事?」

従姉妹「んー…この関係のままで、みたいな?」

俺「あー、そういう事………嫌」

従姉妹「ん、次、ならどうしたい?」

俺「…何かもっと恋人らしい事とかして、イチャイチャ、したい」

従姉妹「ほーほー…次、具体的には?」

俺「え…」

従姉妹「…はよはよ」

俺「………キス、とか?」

従姉妹「…ふーむ、次は…」

俺「待ってそろそろ俺の番じゃない?」

従姉妹「そっか、じゃどうぞ」

俺「お前は…どうしたい?具体的に」

従姉妹「…んー………いいよ」

俺「具体的には?」

従姉妹「…」

俺「…はよはよ」

従姉妹「……あほ、ヘタレ、………キス」

この後キスした
これが俺と従姉妹の初キス

従姉妹「次ー……アタシのどこが好き?」

俺「…それ答えなダメ?」

従姉妹「ダメ」

俺「えー…えー…」

従姉妹「………ないん?」

俺「いやいやいや!あるある、ありすぎて解らん」

従姉妹が本気で悲しそうな顔をしたから、マジで焦った

従姉妹「…じゃあゆっくりでいいけん、一個ずつ」

俺「えー…美人」

従姉妹「…ん」

俺「スタイル良い、面白い、明るい、家事できる、性格も含めて可愛い……」

従姉妹「…」

俺は考えられる限りの褒め言葉を使った、俺が一個挙げる度に反応する従姉妹が可愛かった

従姉妹「次は、何でアタシの事好きになったん?」

もうこの大会に慣れた俺は、こんな質問もくるだろうと予想していたので結構すっと答えられた

俺「…あの中学の、お前がうちに来とったとき」

従姉妹「うん」

俺「めっちゃ落ち込んどったけん笑わそうと思って、必死に頑張って」

従姉妹「うん」

俺「だんだん笑顔が増えていって、その度俺は嬉しくなって」

従姉妹「うん」

俺「…いつ好きになったとかは解らんけど、多分お前の笑顔に惚れたんだと思う」

従姉妹「…ほー」

俺「以上、次俺、お前は何で俺を好きになったん?」

従姉妹「んー…アタシもいつ好きになったとかは解らんけど、多分優のそういう所に惚れたんだと思うよ」

俺「へー…ってお前それ意味わからんのやけど」

従姉妹「…ま!それはおいといて次!」

俺「おい!」

従姉妹の言葉はよく解らんかったけど、
改めて自分の気持ちも理解できたし良かったかな、と思った

従姉妹「次、さとみの事どう思う?」

俺「…え?」

従姉妹「さとみ、アンタ昔好きだっただろ?」

俺「…いやそれは中学校の時やし」

従姉妹「高校入ってからもあの子とだけ連絡取り合って?毎週毎週遊んどったんだろ?」

俺「違う違う!たまたま会っただけやし別に毎週遊んでないし!」

従姉妹「…まあいいわ、で?どう思う?」

俺「…普通の、良い友達?」

従姉妹「違う、顔、性格とか」

俺「…顔は、美人…性格は、良い子…」

従姉妹「…ふーん、あっそ」

俺「え、何で怒っとん?お前が言えって…」

従姉妹「もうええし、次、さとみとアタシ比べてどう思う?あ、顔、性格、その他な」

俺「…その他って」

従姉妹「色々あるじゃん、料理とか、優の事どんだけ解っとるかとか」

俺「あー…顔はお前、性格もお前、料理も俺の事を解っとるのもその他も全部お前」

従姉妹「…ふーん…ちょっと照れるな」

俺「…何なそれw」

この時は従姉妹も嫉妬とかあるんだなーって思って萌えた
後、もう他の女性とはあんまり関わらないようにしようと思った

従姉妹「次、アタシの事お前じゃなくて名前で呼んで」

俺「それ質問じゃない」

従姉妹「細かい事気にするなよ、さんはい」

俺「………(従姉妹の名前)、さん」

従姉妹「はい」

従姉妹の名前を呼ぶときに、何だか恥かしくてつい「さん」付けにしてしまった

これだけでもパニックになっているのに、
従姉妹が「はい」何て敬語で返事しながら顔を近づけてくるもんだから余計混乱して

俺「好きです」

これが俺の人生で二回目の告白だった、アホだ

従姉妹「!」

流石の従姉妹も驚いたのか、しばらく固まっていた
しかしその後にこっと微笑んでこんな返事をした

従姉妹「…(従姉妹の名前)さんもです」

俺「…はい」

従姉妹には勝てないと思った瞬間だった
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