今でも思いだすと、お尻が痛くなるような話なんだけどさ。
僕らの時代は…子供の仮病というのが考えられないほどの重い罪だった。
現在なら、体調が悪いと訴えた子を邪険にしようもんならマスコミなんかに伝わって総叩きにあうじゃないですか。
昔は違う、測って熱がなかったら仮病扱いなんですよ。
酷いもんでした。
保健室のY田っていう先生がこれはまたべっぴんさんでね。
優しくて、子供が好きそうな人気のある先生だったんだけど、当時はほら…、他の先生がたが厳しいからね。
頼まれたらそういう事もしなくちゃいけなかったんだと思うよ?
優しい先生ほど、頼まれたら断れないからね。
プールの授業なんかそうだったよ。
体調カードっていう、平熱かどうか記録してる型紙があってさ。
朝、家で熱を測って書いてこなきゃいけないんだけど、泳げない子なんかが空欄で出すんだよね。
測るの忘れました、とか言って。
そうしたら担任に、保健室まで連れて行かれて「この子の熱、測ってやって貰えますか?」なんて言われるんだよ。
担任はそのまま授業へ行っちゃうの。
そんで、「もし熱がなかったら、お尻を2、30発叩いてやって下さい」なんて言い残して消えるんだよね。
ホントにやるんだよ。
熱がなかったって本当に体調不良かも分からないのに、当時は無茶苦茶だったね。
今考えるとおかしいけれど、僕も何回かそのパターンでお尻をぺんぺん叩かれたなぁ。
5年生のときだったと思う、初体験は。
恥ずかしくてね、やっぱりなしでって逃げようとしたけど…そのY田先生、真面目なんだよ。
頼まれたら最後までやらないと気が済まない。
優しいんだけど、お尻を叩くとなったら真剣で、手は抜かない人だったなぁ。
あんまり痛くないんだよ。
そこがまたリアルで、生々しい痛みっていうのかなぁ…、当たり所が悪いと痛いけど、ほかは意外とそうでもない。
そのかわり、30発近くも叩かれるもんだから、お尻が赤くなって、プールの授業なんか地獄だね。
見学の許可が貰えたらまだ良いけれどね。
水着を忘れたらフル〇ンで泳げだの、下着で泳げだの言われた時代なんで。
体育休むつもりでも、念のため水着は持ってきてるんだよ。
でも着たら、お尻が赤いのバレバレだよね。
みんなに茶化されるわ、仮病扱いされるわでホントに恥ずかしかった。
まぁ、そんな時代だったからこその話かもしれないけれどね、良い思い出だよ。
Y田先生、元気かなぁ。
たまに卒業アルバムを見てるんだけど、今はもうおバアちゃんだし、会いたくはないかな。
おっと、こんなこと言ってたら…それこそお尻をひっぱたかれるから、やめとこう。