その後
【中学生のりっちゃん(幻)】
俺はオナニーを覚えた。
そして毎日するようになった。
それは薄れかけていたりっちゃんの思い出を、しっかり心に留めることになった。
オナニーはいつも全裸で、立ってするのが好きだった。
そうすると必ず、りっちゃんと裸で抱き合う場面が思い浮かぶ。
あの結婚ごっこは、ちんちんをまんこに入れるふり、つまりセックスの真似事だったんだ。
そのことに気付いたのは、セックスの正体をどこかで聞きかじった時だった。
気付いてからは、想像の中で、りっちゃんのまんこにちんちんを入れるようになった。
初めての射精に導いてくれたのは、りっちゃんの思い出。
その後のメインのオカズもりっちゃん。
俺の性欲を掻き立てるのは、りっちゃん…
と思ってたけど、本当はちょっと違う。
実は「野外露出の記憶そのもの」も、無意識下でオカズになってた。
(そういう性癖を自覚するのはもっと後だけど)
そして中学校に入学して、前触れもなくやってきたのは、衝撃の再会!
同じクラスになんと!りっちゃんがいたんだ!
引越先って、この中学の学区範囲だったのかな。
意外とずっと近くにいたのかもしれない!
りっちゃんの名前は、ほんとは「璃子(リコ)」だった。
イメージ=成海璃子よりかわいい和風美少女希望。けいおんて何?
俺はりっちゃんの本名も年齢も、実は知らなかった。
何にも知らない相手と、俺結婚したんだよな。
改めて自分のいい加減さを思うと呆れた。
でも会えてすごくうれしい!
当然、俺は最初から馴れ馴れしく、りっちゃん!りっちゃん!と話しかけた。
しかし!
りっちゃんはなんと、夫である俺のことを、全く覚えていなかった!
「りっちゃんは前に、E町におったんだよね」
「うん…そうだけど。て言うか何でりっちゃんて呼ぶの」
「何でって。夏休みに川で遊んだよね」
「E川?うん遊んだことある」
「俺のこと覚えとらんの?」
「?…、いや…、A吾って人は知らんよ…?」
オーマイガー(何てことだ)!
ずっと好きだよ、って言ってくれたじゃん!俺たち結婚したじゃん!
恥ずかしくて知らんぷりしてるとか?
でもよくよく話してみたら…
この子は、あのりっちゃんじゃなかった!別人だった!
E町に居たってのはただの偶然だった。
それも一時期だけで、俺がりっちゃんと出会った時期とは重ならない。
しかもなんと「りっちゃん」ですらなかった!
誰かが「りこちゃん」と呼んでるのを、俺が聞き間違えて、過剰に反応しただけ。
そしてE町の話題も耳に聞こえて、早とちりで結び付けちゃっただけだった。
落胆すると同時に、自分の勘違いが恥ずかしくてしょうがなかった。
入学早々、知り合ったばかりの女子に、おかしな男だと思われる…
ところがでした。
璃子は俺とりっちゃんの話に興味を持つようになった。
話をしてる内に、俺と璃子は仲良くなっていった。
(名前はすぐ呼び捨てし合うようになった。中学生までは誰とでもそんなんでした)
今もこの世界のどこかで、俺を想ってるかも知れない、小さなお嫁さんの話。
居場所や素性が知れないところも、謎めいてて、璃子の興味をそそるらしい。
璃子は勝手に、少女まんが(※)チックな想像で、ときめき始めたようだった。
(※)月の夜星の朝、的な
結婚の証にチュウしたことを話した時、
「うわあ、うわあ、もう」
と照れてるような、恥ずかしそうな表情を見せた璃子が印象的だった。
ペロッペロされたチュウとか、裸で抱き合ったとか、モゲたちんちんのこととか。
そこまで話せるほど俺は、無邪気で恥知らずな子供のままじゃなかった。
璃子は明るくてちょい天然だけど、ちゃんと良識もある優等生だったし。
そんな女子にエロい話は、とてもじゃないけど出来るわけなかった。
「りっちゃんって私に似とるの?」
そう聞かれたけど実は、よく分からなくなってた。
6年も前に、数日一緒に過ごしただけの、りっちゃんの顔…
もうぼんやりとしか思い出せない。
ただ、璃子と面影が似てるのだけは間違いなかった。
似てなかったらさすがに、いくら早とちりでも、人違いまではするわけない。
「よく分からんけど、一応似とる」と答えた。
「かわいかった?」と璃子。
「う、うん。それはまあ」
「ほほー、それじゃあ…、私もかわいいっ?なんてね!あははー」
璃子が顔を赤くして、恥ずかしそうに笑った。
かわいいよ!って言いたかったけど、俺も恥ずかしくて言えなかった。
「でもそういう思い出があるのいいな、いつかほんとに会えたらいいね」
…ふと、話してる璃子の唇を見てる自分、しかもエロい目で見ちゃう自分に気付いた。
ふぇらちおと呼ばれる行為のことは、まだ知らなかったけど、口って何かエロい…
りっちゃんとのペロチュウの感触を、思い起こさずにはいられなかった。
勃起しそうになったけど、まだ大丈夫。
平気なふりして会話を続けた。
「小さい頃の結婚とか、普通はもう忘れとるって」
「でもA吾は覚えとるじゃん」
「オナニーのオカズだから、毎日自然に思い浮かべちゃうんだよー!」
という俺の心の声はもちろん聞こえてなくて、
「りっちゃんも覚えとるかもよ?」と笑う璃子、そしてさらに、
「私だったらずっと覚えてて、A吾をずっと好きだと思うよ」
ああ、りっちゃんは「ずっと好きだよ」って笑顔で言ってくれたなあ。
思い出してむず痒くなった。
いや今はそんなことより!!
璃子に「好きだよ」って言われた!気がした!ドキドキ。
俺の様子を察したのか璃子は、
「わっ私がりっちゃんだったらって話だよ!」
とあわてて訂正した。
それでいて、
「私が本物のりっちゃんなら良かったなあ。偽者で残念」
なんて意味深なことも言ってくる。
冗談のようでいて、真剣な表情にも見える璃子に、ドキドキした。
結婚ごっこの真相(エロいこと)を知ってても、そんなこと言ってくれたかな。
あの時の相手が、璃子だったら…!か。
その瞬間、この中学生の体で、裸で抱き合う俺と璃子を想像してしまった。
璃子の胸とか腰とかを見つめてしまった。
そこで思い切り勃起したけど、何とかバレないように平静を装った。
「A吾が良ければ、りっちゃんって呼んでもいいよ」
と言われて、でも実際に呼ぶことはなかったけど、気持ちがうれしかった。
こんな感じで、中学1年生のあいだ、いわゆるフラグが何本か立った。
だから当然俺は、璃子を女として意識するようになった。
でも告白とか、付き合うとかはなかった。
璃子が、居もしないりっちゃんに遠慮してるように見えたし。
いつか俺とりっちゃんが、本当に再会できるように、応援してるようにも思えた。
璃子が俺のことを男としてどう思ってるか、よく分からない。
だから俺から告白するほどの度胸はなかった。
普通にクラスメイトとして、話してるだけでも楽しかった。
ところで、狙ったつもりはないけど俺は、璃子からまじめな男子と思われてた。
なのでこの頃から、中身は相当すけべな自分に、悩むようにもなる。
悩みつつ、もともと毎日してたオナニーは、さらに回数が増えた。
思い出の中のりっちゃんは、いつの間にか、裸の璃子と重なるようになってた。
抱き合う相手が、おっぱい(想像)もまん毛(想像)もある、中学生の璃子に変わった。
でも、川辺で俺も全裸っていうロケーション、だけは変わらない。
無意識に野外露出願望が定着し始めてたんだと思う。
現実での璃子との交流は、健全そのものだったから、オナニーには罪悪感もあった。
でもやめられなかったし、幸いむっつりすけべがバレることもなかった。
璃子経由で女友達も増えた。
何だかリア充っぽい中学生活の序盤が過ぎていく。
成績も順調だったし、遠足、体育祭、他の行事もみんな楽しかった。
もうすぐ俺に訪れる黒歴史は、まだ想像するわけもなかった。
つづく
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