03月29

自分監視カメラ

 「お兄ちゃん、このICカードお兄ちゃんのでしょう?」
 5歳下のS6の妹、アンズは俺に言った。
 「え…… あっ! どこにあったの?」
 「キッチンの食器立てに はさまってたよ。こんなのもっと ちゃんと管理しないとダメじゃない!」
 「ゴメンなさい……ありがとう。」

 全くワレながら困った性格だ。別の用事を突然言われたり思い出したりすると、手にしてたモノを「とりあえず」手近な場所に置いてしまう。
 そしてそのまま、置いたことを忘れてしまう。あとになって、
 「あ、あれ どこに置いたかな?」とさがしまわる。
 学校などでは緊張してるせいかそんなヘマはしないけど、家の中ではしょっちゅうだ。

 家の中では こんなふうにアンズやママが見つけてくれる事が多いけど、問題は俺の部屋だ。
 本や雑誌やフィギュアや雑貨……いろんなモノでカオス状態の部屋だから、なかなか見つからない。
 そこで俺は苦肉の策として、自分を見張るカメラを、ベッドの隅から部屋全体を見渡せる位置に取り付けた。
 学校から帰ってくると、まずカメラを起動させる。
 (あれ、俺 今使ってた精密ドライバーをどこに置いたんだろう?)
 なんてことになると、カメラにスマホをつないで、数分前にさかのぼって自分の動きをさぐる。
 (なんだ。窓ぎわに鳥が止まったからびっくりして、ペン立てにつっこんだのか)
 と、ワレながら思いがけないところに置いたことがわかる。
 おかげで、ずいぶんモノさがしの時間が短縮された。

   ーーー

 ある日、学校から帰ってきた俺がカメラを起動させようとすると、
 (ありゃ……)
 カメラがすでに動いていた。どうやらカメラのスイッチを切らずに学校に行ってたらしい。
 (とにかく余分なデータを削除)……と思いながら俺は、ふと部屋の違和感に気づいた。

 時々感じる我が部屋の違和感。モノは何も動いた形跡がなくカオスそのままなのに、なんだかサッパリしたふんいきなんだ。

 俺はスマホにカメラをつなぐと、俺がいなかった時間帯の俺の部屋のようすを確認してみた。
 (おや?)
 アンズが入ってきた。学校から帰ってきて間がないとみえて、体操着のままだ。手に大きなエコバッグを提げている。
 アンズは俺のベッドの上のかけ布団を片側に寄せると、ベッドの上にバッグから出した大きなタオルを敷いた。そしてその上にためらいなく寝そべった。

 寝そべったアンズは、後ろを向いてバッグから何かを取り出して、ごそごそしたあとこっちを向いた。
 (?!)
 アンズは、タバコをくわえていた。

 (あの可愛いアンズが…… かしこいアンズが…… まだS6なのに…… パパに「タバコは家では絶対吸わないで!」なんて言うほど、タバコを嫌ってるアンズが……)

 アンズはバッグからタブレットを取り出してベッドに寄せた布団にもたれさせると、
 (!!)
 短い体操ズボンを、パンティーも一緒に脱いでしまった。

 下半身ハダカになったアンズは、ベッドに敷いたタオルの上にお尻を乗せて座った。
 (!=!)
 アンズは、タブレットの方を見ながら、股の間に手を差しいれたんだ。
 アングル的にハッキリとは見えないけれど、
 (してる…… 確実にしてる…… オナニーしてる…… アンズが、くわえタバコでオナニーしてる……)
 俺はいつの間にか、ベッドの上でアンズと同じ体勢になってチンポを握りしめていた。

 アンズは くわえたタバコの両側から煙を吹きながら、うっとりとタブレットの画面を見つめている。
 タブレットに何が映っているのかは、これもアングル的に見えない。
 だけど俺にはそんな事は むしろどうでも良かった。

 アンズがオナニーの快楽を高めるために、タバコを味わっていること。
 そしてそんな、秘密のお楽しみを俺のベッドの上でくり広げていることが俺にはメチャクチャ嬉しかった。

 (アンズ…… 俺、俺…… お兄ちゃんと一緒に…… い、いこう……)

 俺がそう心の中で呼びかけた時だった。
 画面の中のアンズが、いきなり起き上がって タバコを携帯灰皿に押しあてて消すと、カメラの真下にある窓を開いた。

 そして、ベッドから降りるとタオルとタブレットを取りのけ、ベッドや布団に消臭ミストを手ぎわよく吹きつけた。

 最後に窓を閉めると、ベッドの片側に寄せた布団を、俺がいつもやってるように崩して部屋から出ていった。
 俺はチンポを握りしめたままアゼンとそれを見るだけだった。
 アンズのあまりの素早い身のかわりように、俺のチンポは射精できないまま柔らかくなってしまった。

 (手慣れたもんだなぁ……)


   ーーー

 「お兄ちゃん、玄関の靴棚に こんなUSBメモリーを置いてたでしょう?」

 アンズが俺に言った。俺は例によって、
 「あ、ゴメン。そんなところに置いてしまってたんだな。まだ気づいてなかった…… ありがとう。」
 俺がそう言って手を伸ばすと、アンズはスッとUSBメモリーをひっこめた。

 (……?)
 俺が戸惑っていると、アンズはニヤニヤ笑いながら言った。
 「これ、何かエッチな動画?」
 俺は言った。
 「いや、そんなんじゃないけど、ママに見つかったらマズイやつなんだ。」

 アンズは笑って、俺にUSBメモリーを渡した。
 「まあ、私は中身はどうでもいいけどね。お兄ちゃんが叱られるのはイヤだから、気をつけてよ。」

 ……………

 ホントに、この中身はエッチな動画なんかじゃないんだ。
 あの一件以降、俺は学校に行く時も 部屋の監視カメラを止めなくなったんだ。
 アンズは、そこそこの頻度で俺の部屋でタバコ吸いながらオナニーをするんだ。

 俺も欲が出てきて、カメラの位置をかえて、アンズのオナニーの指づかいがよくわかるように撮影したりする。
 そんな画像見てると、そのへんのエッチな動画なんか見る気にならないよ。

 いつか、アンズを撮った動画がたまったら アンズに見せてやりたいな。
 アンズは怒るかな?
 でも、俺はある日の画像を見て知ってしまったんだ。

 アンズがオナニーの時に見てたのは、タブレットくらいの大きさの鏡。
 アンズのオナニーのネタは、オナニーしている時の自分のワレメだったんだ。
 
 
 

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