04月19

DQN株式会社

私子 23歳
A子 24歳(大学時代からの私子の親友、一浪のため1つ年上)
B男 23歳(C子の彼氏)
C子 23歳(A子の友人、B男とは周知の仲)

A子が起こした修羅場の話です。
数年前のことです。
私子とA子は同じ大学で学んでおり、同じ科に女性が少ない事から仲良くなりました。
大学を卒業後、A子はK株式会社に入社しました。
私子も希望職種に就け、お互い地元に就職できたため、しばらく付き合いは続いて
いました。
卒業後から私子には彼氏はおりませんでしたが、A子はといえば、大学入学当初
からの男癖の悪さに拍車をかけ、たくさんの彼氏と遊んでいました。
(A子曰く「男性が告白してくれたら、その勇気に感動してひとめ惚れてしまう」
とのこと。)
もう注意してもA子の二股三股は直らず、私子は諦めながらも、普通に女同士で
付き合う分のA子には好感が持てたため、よく遊んでいました。
ある平日、A子から私子の会社に直接電話がきました。
A子:「イライラして自宅で睡眠薬たくさん飲んじゃった。歩いて近所のレンタル
ビデオ屋に返却に行く途中なんだけど、ふらふらしてきて怖くなったの。…私子
助けて…」
A子の力無い声にびっくりして、私子はチーフに事情を説明し、車を飛ばしてA子を
探しに向かいました。
たまたま、私子の会社とA子の自宅が近所だったため、数分後には道端で倒れていた
彼女を見つけることができました。
そのままA子を拾って彼女の自宅に送っていき、水を飲ませ、布団に寝かせました。
やっと落ち着いてひと段落した時に、A子の携帯が鳴りました。

A子はぐったりしており、電話に出ることができないため、止む負えず代わりに私子
が電話を取りました。
私子:「もしもし、A子の友人の私子と申します…」
B男:「もしもし?A子はっ?A子はどうしたっっ!?」
喋り途中の声を遮って、怒鳴った男性が聞こえました。
私子:「あの…失礼ですが、お名前を教えていただけませんか?それからでないと、
状況を説明することはできません。」
相手が動揺していたので、冷静に話を進めることに努めました。
B男:「あ、すんません。K株式会社のB男っていいます。A子の同僚です。…あの、
さっきまでA子と電話してたんですが、あいつ、急にキレて訳わかんない事を喚き始
めたんすよ。それで、すっげー心配してケータイにかけてみたんです。」
新しい彼氏と痴話喧嘩でもしたのかな、と私子は思いました。
私子:「A子は睡眠薬を少し多めに飲んだらしく、今は眠っています。さっき私の会社
にA子から電話がありましたが、自分のやったことは解っていたようです。心配いり
ません。念の為に、起きたら病院に行くよう、彼女の母親に連絡を入れておきますよ。
大丈夫、睡眠薬の飲みすぎで死にはしませんから。」
ここまで喋って、ようやくB男は安心したらしく、声が落ち着いてきました。
B男:「私子さん、ありがとうございます。」

電話を切って私子は会社に戻りました。
『私用で会社を抜けるのはこれ1回きりだからな!』とチーフより厳重注意を受けま
した…。

数日後、昼休みにA子からケータイに電話がきました。
まずは、「この前はありがとう、そしてごめんなさい」、と。
そしてお願いをされました。
状況説明からいくと、先日のB男という男は、K株式会社の新入社員合宿の時に
知り合った人物だといいます。
入社以前からB男とC子は付き合っているのだが、それを同意の上で、合宿以来、
A子とB男は関係を重ねていたのだそうです。
A子のOD騒ぎをどこからともなく聞きつけたC子が、『B男とA子はどういう
関係?私子って誰??』とB男に詰め寄ってきたらしいです。
そして、C子の妄想により、A子=B男を誘惑した女、私子=B男の浮気相手、
と誤解されてしまったという事です。
A子:「B男から連絡がきて、ちゃんとC子に説明して、きっぱり別れてわたしと
付き合いたいんだって。私子も誤解されたままじゃ嫌でしょう?金曜日にみんな
で話し合いをするから、私子にも来て欲しいの。」
ぶっちゃけ私子は、見ず知らずのC子とやらに誤解されても全く害は無いのに…と
思っていたのですが、A子もこれに懲りて男遊びは止めるだろう、と考え、参加を
決めました。

金曜の夜、A子と私子は一緒に集合場所のファミレスに行き、店内に入りました。
K株式会社の制服を着たC子らしき女性は、ひとりで席に着いており、すでに食事
を終えていました。
A子がテーブルに近寄って声をかけました。
C子が彼女を睨みつけましたが、怯まずA子が平静を装います。
A子:「こんばんはC子、久しぶり。こちらが私子さん。」
私子がお辞儀をすると、C子は素っ気なく「ふーん…」と言いつつ、今度は私子を
舐めまわすように睨みつけてきました。
ここでもうC子の敵意はむき出しでした。
般若のような形相をしていました。
恐ろしかったです。
しばらくの間、冷めきった空気が流れました。
私子が周りを見渡すと、駐車場に煙草を吹かしている作業着の男性が見えました。
背中にはK株式会社の文字、B男に違いありません。
A子も私の視線に気付き、C子を外に出るよう促しました。

駐車場に行くと、B男はわたしたちに気付き、開口一番A子に怒鳴りつけました。
B男:「お前は何様だ!なに睡眠薬飲みまくって倒れてるんだよ!回りに迷惑
かけんな!それから、俺の大事なC子に余計な勘違い起こさせるんじゃねぇ!」
A子も気が強い性格ため、怒鳴り返します。
A子:「貴方がわたしと縁を切るなんて言うからよっ!わたしの事愛してるって
言ってくれたじゃない!それに、ここでC子と別れてわたしと付き合ってくれる
んじゃなかったの!?」
B男:「そうでも言わねぇと、お前また騒ぎ起こすだろ!ウザいんだよ!」
A子茫然、ショックで言葉を失います。

B男:「C子、ごめんな。俺、こんな変な女に騙されちまったよ。」
C子:「ううん、いいの。わたしはB男さえ傍に居てくれればいいのよ。」
ここでB男とC子がハグ。(理解しがたいカップルだと思いました。)
そして、やっと私子が視界に入ったようで、
B男:「私子さん、初めましてですね?色々迷惑かけてすんません。C子、
私子さんとは何でもない。本当に電話で話をしただけだから。」
C子はB男を信じ切っているらしく、すぐに納得してくれました。
C子は、うってかわった態度で「私子さん、さっきは睨んでごめんなさい。
私子さんもA子の被害者なのね。」と笑顔で握手をしてきました。
私はただ「はあ…」と気の抜けた返事をするしかありませんでした。
そして、C子が「悪いのは全部、この女なのよね。」と言い、A子の方を振り向き
ました。
「土下座して謝りなさいよ!」C子がA子に怒鳴りつけます。
A子は目を潤ませながら、渋々それに従いました。
彼女のどこかに、C子に対する罪悪感があったのでしょう。
駐車場のアスファルトの上に裸足になって膝をつき、ごめんなさい、と呟きました。
C子はそれをニヤニヤと笑いながら見下ろし、「ここでコイツの顔を蹴り飛ばしたら、
わたし犯罪者になるかしら?」とB男に聞いていました。
それを聞いたA子が、顔をあげC子を睨みつけます。

「何だその目はっ!!」B男が怒り出しました。
A子の額を、B男がアスファルトに押しつけます。
A子の「いやっ!」という声を聞き、私子はさすがにこれはやりすぎだと思い、
B男を止めに入りました。
しかしながら力及ばず、私子は突き飛ばされてしまいました。
私子が尻もちをついている間に、「きゃっ!!」というA子の悲鳴が耳に入り
ました。
その瞬間は見ていなかったので、事件が過ぎ去った未だに真実は解らないのですが、
どうやらB男の肘がA子の頬に当たったらしいです。
A子は「B男に殴られた!もう我慢できない、警察を呼ぶ!」といって電話を始め
ました。
暫くしてパトカー数台が到着しましたが、私子は何もしてないしされてもいない
ので、近くの雑貨屋さんを覗いて時間を潰していました。
パトカーの赤灯が遠ざかっていき、私子が様子を見に行った時には、もうB男と
C子の姿はありませんでした。
その後、時間は午前1時、私子は次の日仕事だったにも関わらず、A子は「被害届
を出しに行く!」と言って聞きませんでした。
もうどうにでもなれ、と私子も同行します。

A子の車中で、彼女は勝手に打ち合わせを始めました。
A子:「わたしが押し付けられた時、B緒の左肘がわたしの右頬に当たったの。それ
を証言して。」
私子:「…でもさ、正直、見てないから私は何とも言えないよ。」
A子:「何でもいいから、とりあえずそう言ってくれればいいの!」と。
そうは言われても、見てないものは見ていないのだから、警察署に到着して調書を
とられた時も、私子は『判らないが、A子本人がそう言うのだから殴られたのでは
ないでしょうか』、と答えました。

次の日の土曜日、また仕事中にA子から会社に電話が入りました。
A子:「ねえ私子、昨日警察で『殴られたのは見てない』って証言したの?」
私子:「そうだよ、だって事実だもの。でもどうして知ってるの?」
A子:「今朝一番で外科に行って、診断書を書いてもらったの。それを持って今、
昨日の警察署に来ているのよ。わたし、どうしてもB男が許せない。絶対に前科者
にして、会社をクビにしてやるんだから。」

お陰でまた一週間後、私子はまた事情聴取に向かう事になりました。
取り調べの警察官の方に、痴話喧嘩はあんまり関わらない方がいいよ、と言われた
ため、もうはっきりきっぱりと「私は見ていません。それにもうこの件には関わり
たくありません。」と言いました。
A子とももう連絡を取っていませんし、彼女のその後はわかりません。

以上です。
乱筆乱文失礼致しました。
コピー