04月21

妹「お兄ちゃん見て・・・・・この圧倒的くぱぁ・・・・っ!」


俺「あぁ……っ!なんという……なんというくぱぁ……っ!」
俺「二次元にしか愛を感じなくなり……下半身も既に三次元には反応しない……」

俺「そう思っていた……っ!」
俺「だが……現実はどうだ……?」
俺「俺は今、あろうことか血の繋がった兄妹の見事なまでにピンクがかったくぱぁを目にし……」

俺「勃起している……っ!見事に反りたっているのだ……っ!」

俺「しかもそのペニス……包茎……っ!」
俺「仮性どころではない見事な迄に皮を被った真性包茎……っ!」

俺「オマケに三日風呂に入っていないおかげで……」
俺「臭いも異様なまでに放たれている……言うなれば人間便器……っ!」

妹「どうだ……これがまだ汚れを知らぬ女児の性器という物だ」
妹「現に貴様は二次元にしか反応しないと言いつつ……その有り様……っ!」

妹「恥を知れ…………っ!!」

俺「チキショウ……、チキショウ……っ!」

妹「そして今の私には、貴様が今何を考えているのか……手にとる様に推測できる……っ!」
妹「ぶちまけたいのだ……その有り余る性欲の塊を……ッ!」
妹「逃げ場を失ったその蟠りは……貴様にとってのストレスとなり、発散せずにはいられない……っ!」

俺「テメェ、何が言いたい……っ!?」

妹「相変わらずハッキリとしない奴だ」
妹「毎度の事……自分の立場が悪くなると相手に答えを求めようとする……」
妹「逃げてばかりで自分の思惑通りに行くと思っているのか、愚図が……っ!」

俺「ぐ……ぐぅ……っ!」

妹「さっさと言ったらどうだ……?」

俺「な、何をだ……っ!」

妹「とぼけているのか、本当に気づいていない只のマヌケなのか……」
妹「ここまで焦らさせると流石の私でも……憤怒……っ!」

妹「血を見る事になるであろう、圧倒的憤怒……っ!」

俺(マズイ……この状況を切り抜ける道は……皆無……っ!)
俺(言うしかないのか……?"あの言葉"……っ!)
俺(言ってしまえば家族会議はおろか、今まで築き上げてきた社会的地位すら失うであろう……)
俺(転落と逆転を賭けた"あの言葉"……っ!)

妹「わかりやすいな……」

俺(……っ!?)

妹「貴様は今考えている。今の欲望をむき出しにするか、後の安定した生活を取るか……」

俺(……)

妹「だがな……そもそも根本的に違うんだなぁ……」
妹「貴様は考えるべきベクトルを履き違えている……っ!」
妹「今の願望を我慢し、後のほんの些細な幸せを得ようという保守的な考え……」
妹「全く持って屁吐が出る……っ!」
妹「後先を考えるな!!貴様が今得ようとしている絶大的な幸福に比べれば……」
妹「後々の小さな幸福など論外……っ!」
妹「蚊の命ほどの儚さで消えてしまう単なる気休めに過ぎんのだ……っ!」

妹「恐れを捨てろ……っ!」

妹「貴様程度の社会的地位などまた安易に確立できる……っ!」

俺(くぅぅ……っ!)

妹「何も恐れる事はない……っ!羞恥心など一瞬で消え去る……っ!」

俺(あぁ…………っ!)
俺(迷っている……俺は今迷っている!!)

俺(そもそも俺は二次元にしか興味はなかったハズ……)
俺(それはこの俺自身が自負していた……っ!)
俺(しかし今やそれも……容易く崩れ落ちた……っ!)
俺(現に俺が妹のくぱぁを前に勃起してしまったのは……)
俺(紛れもない事実……っ!)
俺(覆す事のできない、やんごとなき事実……っ!)
俺(認めたくはないが、この立派なまでに反り返った我が息子こそ……圧倒的証拠……っ!)
俺(それでも……耐えた……っ!)
俺(俺なりに、爆発しそうな欲望をコントロールしているつもりだった……)

俺(コイツに言われるまでは……っ!)

俺(コントロールしていたつもりでも……)
俺(妹の放つ一言一言に追い詰められ……グラつき……っ)

俺(崩壊した…………っ!)

俺(意思の強さなどという次元の問題ではない……)
俺(もはや"本能"……っ!)
俺(一見鉄壁に見えた我が牙城の……僅かなヒビに挟まった"本能"に攻め込んで来た……っ!)
俺(正にそれも妹の"本能"から出た結果……っ!)

妹「もう考える時間は与えない……っ!」

俺(……っ!!)

妹「言ってもらうぞ……"あの言葉"……っ!」

俺(クソッ……、クソッ……!)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ....

妹「さぁ言うのだ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ....

俺(……っ!)

俺「や ら な い か」



俺(――――言ったっ!!)

俺(脂汗を流す程の熟考の末、辿り着いた結末……っ!)
俺(その間僅か10秒にも満たないであろう短い時間……)
俺(しかしながら俺にしてみれば果てしなく長い10秒間……っ!)
俺(カップラーメンのできを待つ3分間によく似た何とも言えないもどかしさ……っ!)
俺(そして俺は辿り着いた……っ!)
俺(この短くも長き困難な道の末……)

俺(俺は辿り着いたんだ…………っ!!)

俺(俺は一線を越えたっっ!!!)
俺(昨日までの他人任せで逃げてばかりの俺は消え去り……)
俺(新たなる"自我"が確立された……っ!)
俺(スーパーサイヤ人……スタンドのレクイエム化……)
俺(かつての偉人達が成しえた進化をも超越した気分……っ!)
俺(まるで自分が王にでもなった様な……)

俺(この圧倒的無敵感……っ!)

妹「……フフフフ……アハハハハハハハハハ!!!」

俺(……っ!?)

俺「何が……おかしい……っ!?」

妹「言った……言ったね……?言ったからね……!?」

ゾク…………ッ!

俺(何だ……この圧迫感は……っ!?)
俺(先程までとはうってかわり、この澱んだ空気……っ)
俺(さっきとは……真逆……っ!)

俺(圧倒的絶望感……っ!)

妹「貴様は今さぞ気分が良かろう」
妹「言ってみれば、新しい自分に生まれ変わったつもりだろうからな……っ!」
妹「だが……」

妹「その考えがまるでダメ……っ!」

妹「貴様が考える事全てがお門違いなのだよ……っ!」
妹「貴様は今、自分の意思によってその言葉を言ったつもりだろうが……」
妹「全ては私の想定した絵図に過ぎん……っ!」
妹「貴様は私の言葉に触発され、葛藤し……」

俺「結果……流された……っ!」

妹「貴様は引きこもりだが、異常に頑固な一面を持っている」
妹「親に食わせてもらっている分際で、遊び呆け、反抗し、人の話を聞かない……っ!」
妹「それはもはや一種の信念……っ!」
妹「この不純極まりない貴様の下ひた信念を……」

妹「私は曲げた……っ!」

妹「言葉巧みに操作し、踊らせ……へし折った……っ!」
妹「それを貴様はあたかも自分の意思で言ったかの様に錯覚し……激昂……っ!」
妹「しかしそうやって貴様が絶頂に至った瞬間……」

妹「再び突き落とす……っ!!」

俺(――――っ!)

俺「馬鹿な……っ!」

俺(掴んだハズの栄光は……只のガラクタだった……っ!?)
俺(違う……っ!ガラクタならまだマシだった……っ!)
俺(俺が掴んだのは……地獄へ切符……っ!)
俺(しかも二度と戻って来れないであろう……)

俺(恐怖の片道切符……っ!)

俺(そして……必ずコイツは請求してくるハズ……っ!)
俺(俺が口走った事に関しての代償となるモノを……っ!)

妹「よくわかってらっしゃる……」

俺(っ!?)

妹「いや、流石はお兄ちゃん……と言ったところか……っ!」
妹「その通りだよ。私は貴様に要求させてもらおう」

俺「何が……望みだ……っ!?」

妹「慌てるな愚図が……っ!まぁ私の話を聞くがいい」

俺(クソッ、クソッ……っ!)

妹「貴様の予想している通り、貴様が口走った事を家族に言えばどうなるか……?」
妹「言うまでもなく、貴様の社会的信用は壊滅……っ!」
妹「只でさえ世の中の底辺に所属する貴様は更に墜落していくのだ……っ!」

俺(くぅぅ?????っ!!!)

妹「だが私を恨むなよ……全ては貴様の自業自得……っ!」
妹「目の前の欲望に流され、ほんの少しの誘惑で脆くも崩れ去る……っ!」

妹「貴様の様な男が"ゆとり"と呼ばれるのだ愚図が…………っ!!!」

俺(……っ!)

俺(俺は"傷付く"という感情が欠落している……)
俺(今まで誰に童貞と言われようが……クズと言われようが気にもとめなかった)
俺(その俺が今……正に人生初……っ!)
俺(人によって涙を流そうとしているなんて……っ!)
俺(コイツ……妹の放った"ゆとり"という短い単語が……っ)

俺(何とも言えぬ圧倒的破壊力……っ!)

妹「年下に……しかも血の繋がった兄妹に怯まされる気分はどうだ……?」

俺(ぐぅ……っ!)

妹「さぁ……お遊びはここまで……っ!」
妹「ここからが血湧き肉踊る真の超展開……っ!」

俺(……っ!?)

妹「一度も二度も変わらんだろう……再びあの言葉を言ってもらおうか……っ!」

俺「……何故だ……っ!?」

妹「逆らえる状況だと思っているのか……っ!?ゴミめが……っ!」

俺(チキショウ……っ、チキショウ……っ!)

妹「さぁ早く……っ!(言え……っ!言え……っ!)」

俺(……っ!)

妹(言え……っ!言え……っ!言えっ!言えっ!言えぇぇえぇえぇっ!)

俺「や ら な い か……っ!」

俺(何で……こんな事に……っ!)
俺(今まで上手くやっていた……っ!友達にも親にも妹にも……っ)
俺(なるべく関わらない様に上手く避けてきたのに……っ!)

俺(……逆か……?)
俺(それが仇となったのか……?)
俺(まさか妹は……っ!)

俺(あぁ…………っ!!!)

俺(ち、違う……っ!俺はとんだ思い違いをしていた……っ!)
俺(今まで気づかないフリをしていた……っ!)

俺(妹 は 寂 し か っ た……っ!)

俺(妹が決死の覚悟で繰り出していたサイン……っ!)
俺(俺はそれに気づいていたっ!!!)
俺(見落としもあるだろう……だがそれも含めて全ての道筋が通る……っ!)
俺(あの時も……あの時も……っ!)
俺(気づいていた……気づいていたのに……)

俺(俺は妹を見捨てようとしていた……っ!)

俺(厳密には妹だけじゃない……全ての人間との関わりから逃げていた……っ!)
俺(そんな俺を……妹だけは……っ!)

俺(見ていてくれた……っ!!)

俺(馬鹿か……っ!俺は……)
俺(いや……馬鹿だ……大馬鹿者だ……っ!)
俺(この涙は……悔し涙ではない……っ!)
俺(妹の……ツンデレにも似た愛情表現にやっと気づけた……っ!)

俺(至福の涙腺崩壊…………っ!!)

俺「うぉ……っ、うぉ……っ!」
俺「許せっ……愚かな兄を…許してくれ……っ!」

妹「……やっとわかってくれたのね、お兄ちゃん……っ!」

――――ガバッ

妹「っ!!!」

俺(妹、驚愕……っ!)
俺(思いがけない俺の突然の抱擁に歓喜……っ!)
俺(それに連なり一滴、また一滴とこぼれ落ちる涙の雫は言うなれば……)

俺「圧倒的ダイヤモンド……っ!」

俺(至福の抱擁……至福の接吻……至福の交尾……っ!)
俺(俺達は飽きる事なく交わり……終わりの見えない……)

本 当 の 迷 路 に 迷 い 込 ん で い っ た

もう後戻りはできない

世間の目は、冷たい

それでも――

妹「お兄ちゃん、圧倒的に大好きだよ……っ!」

しばらくは至福の時間が続くだろう……っ!

fin

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