09月14

女の子って本当に不思議だよね。心からそう思った、実話話を今回は書こうと思う。

現在、18歳の大学一年生な俺が、高校時代から付き合っていた人のことについて・・・。

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【2004年4月】
当時、高校2年生になり、文系or理系を選択してクラスの決まった頃。この頃、俺に気になる子ができた。それがこの話のヒロイン的存在。仮に頭文字からとってNとする。
Nは、俺が当時活動していた硬式テニス部の友達S(今でいう、やまと-TWしてる人にはわかるかもね)と同じクラスの子だった。
今でいうギャル系というわけでもなく、かといってオネェ系というわけでもない。いたってどこにでもいそうなおっとりした女の子だった。なぜ惹かれたのかはわからなかった。

5月になり、毎日のようにNを気にかけて、わざわざ遠い教室まで無意味に足を運んだこともあった。(俺が理系で、1組。Nは英語コースみたいなもので5組。)
そのうち、俺がNを気に欠けていることを、Sに話した。するとSは「○○?メルアド教えようか?」と、特別なクラスだけあって、なおかつ男子人数<<<女子人数(2:8)ぐらいのクラスだったのもあってか、Sは5組の女子のメルアドを結構知っていた。

チャンスだと思った。遠慮する気もなく、お願いした。

意外とすぐに返事はきた。OKだ、と。その日は本当に喜んでいた。ただメールができるようになっただけなのにね。今思うと馬鹿みたいだが、当時高校2年生。些細なことでも異性関係では当然のように喜ぶ俺がいた。

はじめに打ち込んだ文章なんて覚えていない。緊張していたし、胸が高鳴っていたし、記憶にない。でも、そのときの気持ちだけは何故か覚えている。

3日ぐらいしてからだろうか・・・突然、ちょっとギャル系っぽいNがよく一緒に行動していた女友達、TとMに、学校近くの駅の階段から話しかけられた。初対面ってわけでもないけど、今まで会話したこともないし、なぜ俺に話しかけてきたのかもわからなかった。

T:「ねぇ、I君(俺。実名の名字の頭文字より)って、○○中学校だよね?」
俺:「うん、そうだけど・・・なに?」
T、M「ううん!なにもない!ごめんね?」

全く意味がわからなかった。出身中学校なんて聞いてどうするんだろう・・・と。
この謎は、いずれ解けることになる。

5月の終わり・・・約1ヶ月、Nとメールし、意を決してメールだけど告白した。でも返事はすぐには来なくて、そのまま6月に突入しようとしていた。
そこまで悩んでくれていることが嬉しかった。反面、ダメだったらどうしようっていう不安が同時に付き纏っていた。

6月1日。学校が終わって帰りの駅、またYとSに絡まれた。
Y、M:「I君ってさぁ、Nが彼氏と別れたばっかりのこと知ってる?」
何を言ってるのか分からなかった。知ってるはずがない。
俺:「いや、全然知らないけど・・・。なんで?」
Y:「ほら、Nが彼氏と別れたことをいいことに、付き合おうと思ってるんじゃないかと思って・・・」
このとき、かなり頭にきた。推測もいいところだ。純粋に好きな気持ちを踏みにじられたように思えた。
俺:「知らないよ。第一、Nさんに彼氏がつい最近までいたことなんて、メールでも聞いてないよ。」
Y:「そっかー。ならいいんだ。ごめんね?。」

不機嫌になったのを悟られないように、改札口を通った。その後、NにメールでYとSが言っていたことを聞いてみた。
N:「うん・・・そうだよ。別れたばっかり。」
それ以上聞くと、嫌われそうで、怖くてこの日は聞かないようにした。

【6月3日】
この日は、忘れられない日になった。約1ヶ月半ほどのメールのやりとり。Nの一部を知った。
そして告白への返事が来た日だった。

OKだった。安心した。嬉しいというよりも心が安らいだ。不思議だった。

聞いたところによると、Nは元彼氏と別れたばかりで、少々引きずっていたらしい・・・。が、別れる前に、俺がSに紹介してもらって、メールし始めたのが、あまりにもタイミングが良すぎたらしく、それを疑ってTとSに俺にNが別れたばかり、ということを知っているのかを聞いてもらったらしい。
Nは、自分が男垂らしに思われるのが嫌で、YとMに俺がこのことを知っていて告白してきたのか聞いたらしいが・・・。YとMは、俺がNが元彼氏と別れたタイミングを狙って告白したと、思って言って来たらしい・・・。ややこしい・・・。

そんなこと気にしない、と俺がNに言うと、快くOKしてくれたようだった。そして、この6月3日は俺とNの記念日になった。

【6月下旬】
付き合い始めたばかりってのもあり、はじめから学校で待ち合わせて下校するなんていう、顔もまともに見れないぐらい照れて仕方ない時期ってのもあって、Nの地元の駅で待ち合わせる、っていう方法をとっていた。
Nと待ち合わせ、Nの地元にある、ちょっとしたミニデパートみたいなところへ行った。
目的はプリクラ。常識だよね。初ショット。でも、本当に初ショットなのか?と、誰もが疑問に思うぐらい、ベタベタして、バカップルみたいな雰囲気なプリクラだった。二人きりになると、照れつつもはしゃげる、既にそんな仲だった。

【7月下旬】
高校生は、この頃から夏休み。早速、映画を見に行った。もちろん行くのはわれらが神戸の中心地、三宮。本当に近いからね。交通費が高いけど・・・。
この頃、放映されはじめていた、妻夫木聡が主演の邦画、「69?シックスティーナイン」という映画を見た。
内容はよくわからかった・・・主演の妻夫木聡が、学校の文化祭を少し変わったもののようにしたのを描いていたような気がする。映画よりも、最後尾の席に座り、暗闇のなかで手を繋いでキスしたりしてたから、内容があまり記憶にない。暗闇のなかでもわかるぐらい、Nが照れてたのが映画よりも印象的。隣のオネェ系カップルに少し見られたのが恥ずかしかった。この日もプリクラを撮る。

【8月中旬】
なぜだったか・・・ケンカをしていた。連絡を取っていなかった時に、Nから電話があった。
N:「翔ちゃーん、何してるのー?夏祭り来るんじゃなかったのー?」
そうだ、ケンカする前に俺はNの地元で行われる夏祭りに行く予定だったことを思い出した。
もう遅いし、今から行くわけにも行かなかった。もうどうでもよくなって、言ってしまった。
俺:「ごめん・・・別れよ・・・」

Nが電話越しに泣いてた。「なんでそんなこというの、私が悪かったなら謝るからそんなこといわないで」
Nが悪いわけでもない。ただ俺が幼かっただけなのに・・・。とりあえず、突発的に言ってしまったことを謝り、今度会おうと約束して、その日は電話を切った。

【9月】
始業式。どこの学校でも始業式は午前10時半ぐらいには終わるだろう。これを利用して、いつもながらの制服デート。
夏祭りのこともあって、最初はちょっと辛そうなNの表情・・・。申し訳ない気持ちでいっぱいの俺・・・。
俺:「アイス、食べよっか・・・」
N:「うんっ!」
反応が悪くなかったので、もう大丈夫かなー、と思った。
がりがり君ソーダ、とコーラ。俺はコーラで、Nがソーダ。なんでだろう・・・Nのほうが食べるスピードが速い・・・。
負けじとコーラのがりがり君にしゃぶりつく。・・・あれ、いつのまにか逆転。
N:「うぅ・・・おなかいたいよ?」

そりゃそうだろう・・・。Nの食べていたコーラ味を俺が食い尽くした。

N:「あったかいものがたべたーい!」
夏なのに・・・がりがり君で冷えたお腹を暖めるつもりかこの子は・・・と思いながらも、駅前のたこ焼き屋で、8個ほど入ったたこ焼きを買う。
おいしそうに食べるN。俺は見守っていた。見守るしかできなかった。だって箸の主導権、譲ってくれないんだもん。
5個ほど食べ終えたぐらいで、Nが箸を渡してきた。
N:「も・・・もう無理・・・」

そりゃそうだろう・・・。(2回目) 残ったたこ焼きを俺が処分・・・。

満足そうだったので、まぁよかったなぁと思いつつ、Nを自宅近くまで送り届け、俺も帰宅(駅から30分ぐらい・・・往復1時間)

【10月】
修学旅行があった。北海道へ3泊4日。もちろん、このチャンスを逃す俺ではない。
ある程度、高校の修学旅行にしては自由のきいたほうだった。私服なうえに、行動もほぼ自由。
Nと何枚か写真も撮った。ただ旅館とかホテルとか、そういうので夜這いを狙ったりはしなかった。(殴

北海道で自由行動をしているときに、Nに何かプレゼントしてやろう、と思って紫水晶のペンダントを買った。
帰りの飛行場、新千歳空港で誰も来なさそうなところまでわざわざ行って記念写真とプレゼントを渡した。喜んでくれて、嬉しかった。

【11月】
神戸国際会館の上階にある映画館で、映画「トゥーブラザーズ」を見た。トラの映画だね。有名な俳優や女優が出ているわけでもなく、本当にトラが主役。映画が終わってからNの相変わらずな発言。
N:「結局、トラは兄弟やったん?」
流石に笑った。タイトル把握できてますかー?字幕読めましたかー?とNを煽った(笑)

【12月】
またまた神戸国際会館で映画。「Mr.インクレディブル」。皆さん知ってるよね。ディズニーの映画。放映中、本当に楽しそうにNは笑っていた。その後はいつもの三宮コース。

クリスマス。その一言に尽きる。神戸付近に住んでる方はわかるかもしれないね。
ハーバーランド、メリケンパーク、ポートタワー。この日は門限の厳しいNでも、親に頼んで、門限を21時まで許してもらった。
昼にハーバーランドを遊びつくし、夕方には観覧車に乗った。よくあるパターンだけど、観覧車ですから・・・ご想像にお任せ。
夜はモザイクガーデンに毎年置かれる、クリスマスツリーを一緒に眺めた。この年は、ブルーのクリスマスツリーに輝いていた。綺麗だったね・・・。
モザイクガーデンにある、神戸屋で買ったコロッケを一緒に食べた。美味しかった。

クリスマスプレゼントは延期・・・。度重なる連続デートの末、金欠に・・・。ほんと悪いことしたなぁ。

【2005年1月】
1月初頭、三宮、生田神社へ初詣。朝から町は神社の周りは賑わっていた。多くのカップルがおみくじを引く中、俺とNも賽銭箱に5円玉をいれ合掌した後、おみくじを引いた。
俺は大吉、Nは吉だったかな。何度も「交換しよおおお(´・ω・`)」ってNは言ってたっけ。
昼には初詣も済んだし、このまま三宮コースへ。いつも同じようなデートだけど、二人でいられればそれでよかった。一番幸せだった。

【2月】
バレンタイン。期待と不安だった。あの天然Nがバレンタインに何か作ってくるのか、それとも市販か・・・。
当日、予想外なことが・・・。手作りがきた。手作りのチョコレートケーキ。自宅に持ち帰ると、親に煽られたのが忘れられない。美味しかったよ。ありがとう。

26日。この日は俺の誕生日。でも残念なことに高校のこの時期は学年末テストというものがある。
N:「テスト終わったらパァァラダァァイスやで翔ちゃぁぁぁんヾ(*´∀`)ノ!!」
↑いや、ほんとこんなの言う子だったんです。リアルの知り合いの人なら分かるよね?ね?(汗)
とりあえず地獄のテストを華麗にスルーし、少し遅めの誕生日祝いをしてもらった。
プレゼントはCO2の香水、SKYLABEL。今時のギャル系がつけているような甘ったるい鼻にダメージを与えてくるようなきつい物ではない。むしろ、それが嬉しかったってのもある。Nが好きな香りを探したらこの香水になったということは、Nはギャル系ではないということ。本当におっとりした清純な女の子だ、と改めて思った。

【3月】
なにがあったんだろう・・・。ケンカしたね。一時期メールもなにもしなかった。あー、これは終わったなぁ、なんて思ってた。

【4月】
始業式。高校3年生がスタートした。とくに予定もなかったし、終わったらすぐに帰ろー、なんて思っていたんだけど・・・。Nからメール。「会いたい」みたいな感じだった。
もう終わったんじゃ?と勝手に思い込んでいたけど、そうではなかったらしい。
この頃から学校の下駄箱(つまり全学生が靴を履き替えるところ)で待ち合わせするのが基本になっていた。待っているとNがきた。
仲直りしたつもりじゃなかったので、話しかけられても俺は無視していた。ちょっとかわいそうになったときは、うなずいたりしてたけど・・・。
Nがプリクラを撮りたいといった。そんな気分じゃなかったけど、駅からちょっと遠い関西スーパーなんてマイナーなところに行った。
意外とこういうところにもプリクラ機はある。といっても、100円ショップのプリクラ機。こんなのがあるんだと驚き。
気分が乗らないながらも、撮影開始。・・・あれ?N、髪型が違う・・・。ストレートだったのにウェーブ入ってる・・・。俺はストレート派だから、ウェーブはあまり好きではなかった。
よくわからないけど、失恋したら髪切るみたいなやつに近いんだろうか?などと勝手な推測をしていたけど、そうではなかった。
N:「仲直りしよ?」といわれ、抱きつかれた。流石に動揺した。付き合い始めた頃から、俺がイジめる側、Nがイジめられる側、みたいなSM関係が既にあったせいか、イジめる癖が俺にはあった。
Nの言い分に対して、終始無言。10分ぐらいずーっと無言で無視し続けていた。
が・・・流石にNが泣き出した・・・。これには勝てない。
困った・・・周りには一般人、そのなかで泣いているN・・・明らかに俺が泣かしたのが丸分かりで、この場をすぐに離れようとNの手をひいた。
俺:「ごめん、俺も悪かったよ。ごめんね」 
と、言って無事仲直り。Nも泣き止み、この日を境に更に絆は深くなったと思った。

【5月】
はやくもNの髪のウェーブパーマはとれてきていた。そんな中、いつもながら三宮へデート。
まずはロフトなど行ってみた。指輪を眺める・・・。どれもティファニーなどに比べればまだ手が届きやすいが・・・こんなのでいいのだろうか・・・。そう思いつつも、Nの好みで選んでもらう。
Nの小さな指に合うサイズは、ほぼ最小サイズともいえるほどのものだった。小さい手だと改めて思った・・・。そして指輪を購入。高くはないが、値段じゃないのかも、と買ってからのNの表情を見て思った。嬉しそうだ。この笑顔が見れるならなんだってしよう・・・。
この後、中華街へ行った。餃子、シューマイ、肉まんなど中華料理店ばかりが並んでいた。
数多くの店から1軒を選び、列に並んだ。お目当ては肉まんとシューマイ。隣で食べるのを楽しみにしている子供のようにはしゃぐNがいた。10分ほど並んでいると、やっと順番がまわってきた。肉まんを2個、シューマイが数個入ったものを1つ買った。中華街の中心ほどにある、広場のようなところにベンチがあったので、そこに座った。
N:「熱くてたべれない・・・。」
俺:「そりゃーね・・・笑 肉まん、割っておこう」
そう言って、俺はNの肉まんを半分に割った。中からは湯気が吹き出てきた。それほどに熱い状態だった。流石は中華街、出来立てほやほやだ。
その間にシューマイを食べる。一口サイズということもあって、多少熱くても口に入れてしまえばあとは気合。
N:「はっふ・・・はっふ・・・!」
俺:「あっつ・・・ほぁほぁ・・・」
他人から見たら本当にバカップルだった。常に笑いがとれるのだから・・・。実際、前に座っていた人たちに笑われた。子供にまで・・・。近くにいた鳩などは逃げていった・・・なんでだよ・・・。
そうしていると肉まんも少しは冷めていた。そしてほおばる。・・・美味い。コンビニで売っているものとは全然違う。何もかもが美味い中華街なんだろう。いつかまた来たい、そう思った。

【6月3日】
一周年記念。早いようで、長かった1年。ずっとNと一緒にいた1年が過ぎた。この1年で二人の距離は夫婦みたいに近づいていた。というより、本当に夫婦だったとしか言えない・・・。同居しているわけでもないのに、なぜかそう言える。それぐらい仲良しでお互いの事しか見ていなかった。この頃から俺はNの表情を感じ取って、今Nが何を思っているのか、どうしてほしいのかなど、瞬時に判断することができていた。心が通じ合った、というものだったんだろうか・・・。
この日はNの地元で祝う。恒例のプリクラ撮影。ちょっと暑かったのもあって、アイスクリームを買って食べた。1カップだけだけど・・・二人で分け合った。
俺とNには秘密の場所があった。Nの住んでいるマンションの最高階で一番奥の階段。そこは人が通ることはまず無い階段で、見通しも悪く、誰にも邪魔されることなく二人きりになれる場所だった。辛いときはそこで話を聞いたり、聞いてあげたり、泣いていたら抱きしめて慰めたり。慰めてもらったり。キスなんて当たり前・・・。誰も知らない二人だけの最高の場所だった。

                 「これからもずっと一緒にいようね」
 
そんな夢のような約束をした。このときは夢じゃない、本当にずっと一緒にいれる。そう思っていた。

【7月】
夏休み。かといって今年は大学受験がある。Nは学校の成績はトップクラスだったので、指定校推薦を受けるのが既に決まっていた。俺は理系で死んでいた。数学も何もかもが理解できない。2年から3年に進級するときですら、既に単位を落としまくっていた。残り2単位以上落とすと、卒業ができないというぐらい追い詰められていた。こんな状況で受験勉強に集中できるわけがなかった。受験勉強をしたくても、単位を落とさないように勉強もしなければならない。そう考えただけで何も手につかなかった。もうだめだ、そう何度も思ったことがあった。
でも、そんなときNがいつも支えてくれていた。

                 「私は何があっても翔ちゃんの味方だよ?」

これがどんなに助けになっただろう。どんなに泣いただろう。こんなに優しい子が他にいるんだろうか・・・。いつしか俺にはNがいないと生きていけない、そう思うほどになっていた。

【8月】
会えるわけもなく、この月はメールだけで乗り切った。特に俺は勉強をしていたというわけでもない。何もかも行き詰っていた。受験、という言葉すら苦痛になっていた。他のみんなが次々に行きたい大学を決める中、俺は行きたい大学もなく、特にやりたいっていうこともなかった。ただ自動車関連の仕事はしたい、そう軽い気持ちで思っていたぐらいだろう。

【9月】
なにがあっただろう・・・この時期は本当に嫌なことばかりで思い出したくも無い・・・。が、覚えてもいない・・・。

【10月】
Nの指定校推薦。不安そうだが、成績からしてどうってことない。確実に合格だろう。

【11月】
Nの合格発表。当たり前のように合格。神戸のお嬢様学校へと決めた。おめでとう、と素直にいれない自分がいた。辛い。

【12月】
去年の今頃は・・・なんて思いつつ、クリスマス。一応クリスマスに会う予定はしていた。
でも気持ちがどうしても暗い方向にしか向かなかった。Nは進路を決めたから気楽でいいだろう。でも、俺はどうだ?進路どころか、卒業すら危うい。もうなにもかもが嫌になって死にたくなっていた。
クリスマス当日の朝・・・約束の時間に起きることは起きれた。でもなぜか行きたくない自分がいた。Nの笑顔を見て、それにイラつきそうな自分が予想できて行けなかった。
Nはメールや電話で何度も連絡してきた。
俺:「ごめん、熱あるみたいだから行けそうに無い」

本当なわけない・・・。嘘だ・・・。他に言い訳が思いつかなかった。Nの顔見たらイラつきそうだから、行かない・・・なんて言えるわけが無い。会ったら楽しいはずなのに、辛く感じてしまいそうで怖かった。精神的に追い詰められて、ボロボロな時期だった。

【2006年1月】
めでたいはずなのに、素直におめでとうと言えない。何もかもがどうでもよくなっていた。
それでもできるだけNには辛いことを悟られないようにと思った。進路の決まって安心しきったNに、俺の不安を聞かせるわけにはいかない。
いつだったかな・・・。未来予想図を話し合った。おじいちゃん、おばあちゃんになったら森の中で静かにハンモックに揺られて暮らしたい。子供の名前は「るう」。楽しそうにNが決めていく。

Nは眩し過ぎた。Nは太陽で、俺は月みたいなもんだったんだろう。Nに引っ張られて俺も少しだけど太陽のような眩しさに近づけていたのかもしれない。

【2月】
俺は市内の大学を受けたが、見事に落ちた。そして、自分が少し興味がある自動車整備士を目指す大学を県外に見つけたので、受けたところ合格。進路はそこに決めた。しかし、県外といっても東海のほう。当然、このままNと続くわけも無かった。

卒業式前日。・・・別れのメール。遠距離でやっていく自信がないこと。本当に俺のことが好きなのかどうかがわからなくなったということ。
もう死にたい気持ちで一杯だった。あまりにも辛すぎた。単位もなんとか取れて、卒業も決まり、進路も決めた。なのに何故だろう・・・一番大事なものを失って、卒業も進路もどうでもよくなっていた。

卒業式。ひとりひとり名前が呼ばれる。返事をしたくない。立ち上がりたくない。辛そうなところをNに見られたくない・・・。
Nの名前も呼ばれる。返事はもともと大人しいほうだったのもあってか、聞き取れなかった。

証書を受け取り、退場の時。一番最初に退場した俺のクラスは、Nのクラスの間を通って退場した。そのとき、Nの顔をのぞいた。

目が合った。とても悲しそうな目をしている。あんなに笑ってくれていたNがすごく辛そうに悲しそうな目をしていた。余計に俺は辛くなった。俺はNを最後の最期で苦しめてしまったんだ、と・・・。

教室に帰り、考えた。このまま終わっていいのか・・・。そんなわけなかった。でも今更何を話す?何をどうすればこの悲しみと辛さは消える?もう手遅れなのに悪あがきだった。

メールをした。会いたい、と。返事はすぐに来た。はじめて付き合った頃と同じように「いいよ」と。

俺は情けなかった。Nは表情こそ辛そうだったが、涙は浮かべてはいなかった。俺はダメだった。駅から出て、Nを見た瞬間涙が溢れた。辛くて仕方なくて、どうしようもなくて。駅の近くなのに、昼間なのに、それなのに俺はNに抱きついて泣きわめいていた。

耐えられない。あれだけ一緒にいたNが、これからはもう一緒にはいない。それぞれまた独りになって進路を進む。どうしても認めれない俺がいた。

二人の秘密の場所までいくと、今度はNが泣き始めた。今までに泣いたことはあっても、これほどまでに泣いたNを見た俺は、俺と同じぐらい辛く悲しいと感じているんだと思った。
夜までの長い間、最後の時を楽しんだ。二度とくることはないかもしれない、本当に最後の二人きりの時間かもしれない。そう思うと、なかなかNから離れることはできず、泣き止むこともできず、気がつけば時間は夜の8時。Nの家庭はどっちかというと厳しいので、7時が門限だった。それでも8時まで一緒にいてくれた。最後の優しさだったんだろう・・・。

このとき、ひとつ希望が見える約束をした。

「もし、翔ちゃん以上に好きな人ができなかったら、2年後、翔ちゃんが帰ってきたときにもう一度やり直すことを考える」

というもの。これが俺の4月から始まった大学生活の支えになっていた。

【6月3日】
本当だったら2周年記念になっていたはずの日。電話をした。久しぶりに聞いたNの声。Nの笑った声。嬉しかった。1時間ぐらいだったけど、それでも元気づけられた。これなら2年、なんとかいけるかもしれない。そう思った。

【8月29日】
おそろいだったメールアドレスを突然変え、アドレス変更メールがNからきた。二人の記念日、6月3日の入ったメールアドレス。

N:「私には翔ちゃん以上に好きな人ができた。だからもう約束は守れない。ごめんね。今までありがとう。私のことを思うならもう連絡もしないで。会いにもこないで。さようなら・・・。」

・・・自殺しようかと思った。ここまで突き飛ばされるなんて考えられない。あれだけ愛し合っていたのに、何故ここまで突き飛ばされるのか・・・。今でもわからない。

会いにこないで、といわれたけれど、そういうわけにはいかない。俺は夏に会う約束をしていたから実家にも帰ってきた。夏に会えることを楽しみに辛い一人暮らしも耐えてきた。それなのに・・・なんなんだよ・・・。

N:「もう翔ちゃんのことを恋愛対象としてはみれない」

なんでかな・・・何がいけなかったのかな・・・。辛い・・・これほどまでに辛いんだったら、あの時告白しなければよかった・・・あの時、別れておけば・・・。

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長い文章だけど、これが俺の2年間の軌跡です。今でもNをあきらめることはできない。もう一度会って、何もかも確かめて、納得できるようになるまでぶつかっていきたい。

「ずっと一緒にいようね」

俺はもう、二度とこの言葉を信じない。二度と恋なんてしたいと思わない。終わったときの辛さに、俺は耐えれるほど強くないみたいだから・・・。
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