僕の妹には、膝から下の足がない。
中学の時に両足を車に轢かれて以来、車いすの生活を強いられている。
当時、大学に入ったばかりだった僕は、世の中の理不尽さを呪った。
どうして、リサがこんな目に・・・。何も悪いことをしていないリサが。
神様は、不公平だ、そんな風にも思った。
僕は、妹を溺愛していたので、その思いは一層強かった。
中距離走の選手だったリサから、事故は、走る喜び、笑顔、未来、その全てを奪い去った。
しかし、長い入院生活の後、家に戻ってきたリサを待っていた本当の戦いは、日常生活だった。
両親は、共働きで、家はバリアフリーなんて気の利いた造りになっていないし、トイレひとつを済ませるのも大仕事だった。
僕は、大学に休学届を出して、リサの介護を引き受ける決意をした。
母は、仕事を辞めて、自分がリサの面倒を見るといったが、買ったばかりの家のローンの負担も大きく、リサのために改築をする資金も必要だった。
リサは、小さいころからお兄ちゃん子で、いつでも、どこでもついてきた。
陸上を始めたのも、僕がそうだったからだ。
そんな妹のことだから、休学をして、面倒をみることなど、苦でも何でもなかった。
しかしリサは、兄に介護をさせることをいつも心苦しがっていた。
「お兄ちゃん、あたしのために、ゴメンね」
「こんな妹の面倒を見ていたら、彼女、できないよね」
「友達と出かけるなら、言ってね。あたし、大丈夫だから」
そんなことばかり言っていた。
ただ、車いすの人間を介護するというのは、想像を遥かに超える重労働だった。
駅などの公共施設は、少しは、環境が整っているものの、世の中の殆どは、まだまだ、車いすには対応していない。
僕は、介護福祉士のテキストを買って読んだり、図書館にいって勉強したが、知識で肉体的な負担は軽減されることは殆どなかった。
両足がないというのは、日常生活に大きな制約を加えることとなる。
着替え一つにしてもそうだ。
風呂に入るとき、リサを風呂場に運んで、僕が風呂場から出てから、リサは自分で服を脱ぐことはできるが、湯船から出たり、シャワーのあとで身体を拭いて、乾いた服に着替える行為は難易度が高い。
そこで、リサは自室で服を脱ぎ、バスローブで身を包んだところを僕が風呂場に運ぶことにした。
事故の後、リサの部屋は風呂とトイレに一番近い部屋を割り当てた。
風呂をあがるときも同じだ。
それでも、下着はつけていないから時々リサの胸や太ももが見えることがあった。
リサは、事故の前、身長が170センチあり、身体は大きい方だが体脂肪が殆どなく、細くて軽い。
毎日走っていたので、顔と両手足は黒く日に焼けていたが、焼けていない白い胸が見えたとき、ちょっとドキドキした。
リサは、もともと色白だった。
そんな生活にも少しずつ慣れたころ、風呂上がりでバスローブに身を包んだリサをベッドに運んだ時、バランスが崩れて、リサに覆いかぶさるようになってしまった。
リサの濡れた髪と身体から、シャンプーと石鹸の匂いがした。
その香りを楽しむかのように、ほんの少し、身体を起こすのが遅れたとき、リサは僕の頭を優しく抱きかかえた。
「お兄ちゃん、ゴメンね。あたしのために、いつもこんなで・・・」
僕は、慌てて体を起こし、リサの脇の下から背中と両膝の裏に腕を挿し込んで抱え上げると、身体がベッドの中央にくるように、位置を直してやった。
いつものリサだと、そこでタオルを渡してやると、髪を拭いたりし始めるのだが、その日のリサは、ベッドに仰向けのまま、手にタオルを持ったまま動かずにいた。
「どうしたの?」
尋ねても、リサは無言だった。
僕は、ベッドに腰掛けてリサの額に手をやり、顔をのぞいて、訊いてみた。
「ちょっと、のぼせた?」
リサは、首を振って額に当てた僕の手を取ると、ゆっくりとバスローブの襟から滑り込ませて、自分の胸に導くと、手を僕の手の甲に重ねて、軽く押さえた。
リサの乳房が掌に、指にはまだ幼い乳首が触れた。
「ちっちゃいでしょ、あたしのおっぱい」
「リサの年頃の子は、こんなもんだよ」
「うそ。おっきい子、いっぱいいるよ」
そんな会話を交わしながら、僕はリサの胸に触れた手を引っ込められずにいた。
リサの呼吸とともに上下する薄い胸。でも暖かくて、肌がすべすべで、思わず親指と人差し指の付け根で乳首を挟むようにしてしまった。
「んっ」
リサが目を閉じて、小さく喘いだ。
すると、リサは空いたもう片方の手で、するするとバスローブの紐をとき、前合わせを片方だけ開いた。
リサの左半身が僕の目の前にさらけ出され、白くて小ぶりの乳房とあばら骨、そして平たいお腹と腰骨が露わになった。
「お兄ちゃん、あたしでよかったら、好きにしてくれていいよ」
きれいに伸びた小麦色のふともも、膝・・・、しかし、その先はない。
「あたし、もう、彼氏もできないし、結婚もできない・・・、だから・・・」
そう言って、少し顔を背けると、リサは、静かに涙を流し始めた。
僕は、そんなリサを不憫に思いながらも、股間はしっかりと膨らんでしまっていた。
ひどい兄貴だ。
妹が、こんなに傷ついて、心が壊れそうになっているのに。
リサを慰めようと、いや、慰めるフリをして、僕は露わになったリサの胸から脇をさするようにした。
真っ白な肌がまぶしい。
「お兄ちゃん、いいんだよ。お兄ちゃんが、時々固くなってるの、あたし、知ってるから」
その言葉で、僕は恥ずかしさのあまり、理性のタガが外れてしまった。
僕は、リサを抱き起すと、袖から腕を抜き、ベッドに広がったバスローブの上に再びリサの体を横たえた。
リサは、きれいだった。
僕は、片方の手で膨らみ切っていない胸を包み、ゆっくり揉みしだくと共に、もう片方の乳房に顔を寄せ、小さくピンクの乳首を口に含んだ。
舌の上を転がす乳頭が瞬く間に固くなっていった。
僕は、リサから口を離し、着ているものを全て脱ぎ去って、リサの隣に横たわると、リサの胸に掌をかぶせ、円を描くように少し尖っただけの乳房を刺激した。
それから、もう一度、乳首を吸いながら、リサの体をゆっくりと引き寄せて、リサの手とると僕の肉棒に引き寄せた。
「触って」
リサの指が、熱くなった僕のモノを優しく包む。
僕は、それに手を添えて、無言のまま動かすリズムを伝える。
リサがリズムをつかんでくると、僕はリサの局部に手を伸ばす。
丸く盛り上がった股間に掌を被せ、優しく包むようにしながら、中指で割れ目をなぞる。
リサの息が少し荒くなってきたところで中指に少し力をいれて誰も触れたことのないリサの秘密の場所をまさぐると、クチュッっと音を立てるように指が吸い込まれる。
掌で、クリを刺激しながら、中指を少しずつ膣口から奥へ進めていく。
リサは、だんだん感じてきているのか、手がお留守だ。
はぁ、はぁ、と息を荒げ、時々喉の奥から、んっ、んっ、とくぐもった声を出す。
僕は中指をクリトリスに移し、撫で擦る速度を速めていった。
「お兄ちゃん、なんか、ヘン・・・」
「あ、あ、あ・・・、いいの?これで、いいの?」
と言いながら、身体を震わせると、腰を引いて、僕の手を逃れようとした。
くっきりと膨らんで、飛び出していた乳首が、空気の抜けた風船のように萎み、乳房よりも柔らかく収まっていた。
「お兄ちゃん、これがオルガっていうの?」
「たぶん、そうだと思うよ。気持ち良かった?」
「うん・・・、でも、なんか凄かった、何もわからなくなった」
僕は、リサの体を抱きしめると、口づけをし、唇でリサの上唇をついばむようにして、次に舌を挿し込んだ。
舌に舌を絡め、リサの舌をツンツンと突いては少し引っ込めて、リサに僕の舌を追わせる。
しばらく、それを繰り返すと、リサは舌を長く出し、僕に吸われるに任せた。
「あんまり強く吸うと、舌の付け根が痛い・・・、もう少し、優しくして」
そう言うと、今度はリサから舌を絡めてきた。
兄貴にしてもらったことを、直ぐに自分でもやってみる。
「ねぇ、お兄ちゃんは、気持ちよくならなくていいの?」
「なりたいけど・・・、リサ、初めてだろう?」
リサは、素直に頷いた。
「じゃ、今日は手で出すのを、手伝って」
その日、僕はリサの細い指に包まれながら、信じられないほどの精液を吐き出した。
一度熱い滾りを出してしまうと、僕は冷静になった。
妹にとんでもないことをしてしまった・・・。
飛び散って手についた僕のほとばしりを、リサは、ペロッと舐めて、
「うわっ、ほんとに、にがぁい」
と笑った。
「おまえ・・・、そんなこと・・・」
「だって、これをお口で受け止めて、飲む人もいるんでしょ?」
「飲んだこと、あるの?」
「あるわけないよぉ、でも、それくらい知ってるよ。お兄ちゃんたちが、思っているより、あたしたち、ずっといろんなこと、知ってるよ」
最近の子は、ませていて、経験年齢がどんどん下がっていると聞くが・・・、そんなことを、リサにいうと、
「うーん、それは、ちょっと違うかな。少なくとも陸上部で経験してる子なんて、いなかったよ。耳年増は、多いけど」
と笑った。
リサの体をバスローブでくるみ、僕は自分の部屋に戻った。
両親が戻り、夕食が始まっても、僕はリサの顔を見られなかったが、妹は普段通りのリサだった。
僕はリサを愛してる、そう自分に言い聞かせてみたが、別の自分がそれは詭弁だと打ち消してくる。
本当は性欲に負けただけじゃないのかと・・・。
答えは、直ぐに出た。
翌日、リサを風呂場から運ぶと、僕はベッドの上で、そのままリサに覆いかぶさり、リサの薄い唇を吸った。
リサは、僕の首に腕を回して、囁くように、
「いいよ、お兄ちゃん」
と言ってくれた。
僕は、バスローブの紐をほどき、前を開くとリサの脇の下から背中に手を回し、思いっきり抱きしめた。
小さくても既にしっかりと勃ったリサの乳首が僕の胸に当たった。
唇から、耳、首筋をとおって、細い肩にキスをして、小さな胸から、脇腹へと唇を這わせ、腰骨から内股へ・・・。
それを何度が繰り返して、リサの足の付け根にたどり着いたとき、リサは既に潤っていた。
リサは、膝を立てることができないので、僕が太ももを肩で支えるようにして、リサの亀裂に沿って、舌を這わせていった。
「あぁ、いい・・・、おにいちゃん、すごくいい」
やがて、舌先が小さな陰核に触れたとき、リサは小さく、
「あっ」
と声を漏らした。
陰核の皮を優しく剥いて、最初は優しく、だんだん激しく、吸ったり舐めたりするうちに、リサは、声を上げ始めた。
「あ、あ、あ、あ、あ・・・、お兄ちゃん・・・、いい・・・、いっ・・・」
そして、リサがお腹にギュッと力をいれて、体を小さく震わせるのを確かめると、僕は自分の先をリサの入り口にあてがった。
リサは小さくて、狭かったが亀頭はゆっくりと飲み込まれた。
リサは、目を閉じたまま、少しずつ、僕を受け入れていたが、途中で眉間に皺を寄せ、
「お兄ちゃん、ちょっと、待って・・・」
「いたい?」
「ん、ちょっと・・・」
「やめようか?」
「大丈夫、でも、ちょっと、待って・・・」
リサは、呼吸を整え、大きく息を吸うと、僕の脇腹に手を添えて、少しずつ自分の方に引き寄せた。
リサの手の動きに従って、僕は腰を押し進め、ついに僕たちは一つになった。
リサが、深く息を吐き出す。
僕は、脳が溶け出しそうな錯覚に陥ったが、我を取り戻し、
「リサ・・・、痛かったら、やめるよ」
リサは、首を振って、
「・・・やめないで。でも、ちょっとずつ、ね」
そう言って、僕にピストンを促した。
リサの暖かさに包まれながら、最初は、小刻みに、やがてストロークを大きくしていくと、情けない兄は、あっという間に妹の中で爆発してしまった。
どくどくと、僕の性欲の塊が、リサに注ぎ込まれる。
「リサ、大丈夫?」
リサは、ゆっくりと頷くと、再び下から抱きついてきて、僕の唇を啄むように優しくちゅっと吸った。
「痛かったけど、いますごく幸せ・・・」
そう言って、僕の顔を包むように手で引き寄せて、舌を絡めてくれた。
お互いの舌を吸い合っているうちに、僕のモノは再びおおきくなっていった。
『うわっ、子供が・・・』
一瞬脳裏をよぎる心配とは裏腹に、僕のモノは再び理沙の中にぴったりと納まった。
「リサ、さっき、出ちゃった」
「わかってる。でも、大丈夫だよ」
「大丈夫って・・・」
「あたしたち、ちゃんとわかってるって言ったでしょ」
「・・・」
「危なかったら、ちゃんと言ってるし、お兄ちゃん困らせるわけにいかないし」
少し、ほっとしながら、
「でも、言われても、そのままだったカモ」
「大丈夫、あたし、お兄ちゃん信じてるもん。さっきもやめようかって、訊いてくれた」
「そっか」
でも、ホントは自信がなかった。
情けない兄を見て、リサはくすりと笑い、僕の腰骨に手を当てると再び動くように促した。
ゆっくりとリサの中を僕が行き来すると、リサは少し上体を起こして僕に抱きつくと、奥にあたるたびに、ん、ん、と声を出した。
「いたくない?」
「もう、大丈夫」
リサは、目を閉じたまま、僕に身を任せている。
かわいい・・・。可愛いすぎる。
純白な愛情と、黒い性欲が交錯し、やがて何も考えられなくなると僕は妹の唇を貪りながら、リサの中で二度目の射精を迎えた。
妹の介護にかこつけて、僕は毎日、毎日、リサを求めた。
「あ、あ、あ、あ・・・、いいっ、・・・、あ、あ、お兄ちゃん・・・、あ、あ、あ、あ・・・、イクっ!」
リサが僕を拒むことはなく、ニ、三か月も経つと、リサは中でもイクことを覚え、連続でイクことも多くなってきた。
「お兄ちゃん、すごぉい!」
調子に乗った僕は、
「お兄ちゃん、おっきいか?」
と訊くと、リサは、ちょっと考えて、
「わかんない。あたし、お兄ちゃんしか、しらないもん」
かわいいやつ。
僕は、嬉しくて、有頂天になってしまい、思いっきり腰を打ちつけた。
「あ、お兄ちゃん、すごい!いいっ!いいっ!いいっ!また、イッちゃう!」
と言ったかと思うと、背中をのけぞらせて、全身を痙攣させた。
キスをしようと、入ったまま、覆いかぶさるように身体を動かすと、妹はビクッと身体を震わせて、うつろな目を少し開くと、僕の首にしがみついてきた。
はぁ、はぁ、と肩で息をしながら、
「・・・お兄ちゃん・・・、あたし・・・、もう、ダメ・・・、壊れちゃう・・・」
かすれ声で、耳に囁くが、僕は終わっていない。
僕は、コンドームを装着し、リサを四つん這いにさせると、後ろから貫いた。
「あ、あ、あ、あ・・・、死んじゃう・・・、あたし、死んじゃう・・・」
そういいながら、リサが昇り詰めるタイミングに合わせて、僕はありったけの性をリサの中に吐き出した。
ゴムがいらない日、リサは、抱き合ったときに、耳元で、
「今日は、いいよ」
と言ってくれる。
リサは、僕の精液を受け止めるうちに、胸が少し大きくなった気がする。
小さな乳首の勃ち具合が、尋常ではない。
そのことをリサに言うと、恥ずかしそうに、
「しらないよぉ・・・、お兄ちゃんがこんな風にさせたんだからね」
そういうと、薄い唇の間から可愛い舌先を尖らすと、チロチロと僕のモノを舐め回すのだった。
正常位、後背位、騎乗位、オーソドックスな体位は、どれだって、うまくできた。
生理の時は、いつも僕を喉の奥まで飲み込み、そのまま、ごっくんしてくれた。
「お兄ちゃん、あたし、最近すごいよ」
「何が?」
「あたしの中で、お兄ちゃんが出る瞬間っていうか、もうイクってのが、わかる」
「それって、すごいの?」
「えっ?なんかすごくない?こんなことで、喜んでるの、あたしだけかな?」
そんな他愛もない会話が楽しくて、僕の頭の中は、毎日、リサのことで一杯だった。
お風呂も昼食が終わると直ぐに入るようになり、それから愛し合って、昼寝をして、親が帰ってくる前に、もう一度シャワーでお互いの汗をを洗い流す。
親には絶対にばれないように、ほかの誰かが家にいるときには、いちゃいちゃするのを控えて、普段通り、仲のよい兄妹をふるまった。
リサは、時々茶目っ気を出して、親の見えないところで、唇を尖らせて、キスのまねをしたり、車いすを押す僕の股間を、背中の方から手を伸ばして、触ろうとしたりした。
「コラっ、ダメだって・・・、約束したろ?」
妹のいたずらを嬉しく思いつつも、僕が小声でリサをたしなめると、リサは、上半身を捻って、僕の顔を見上げ、ぺロッと舌を出しておどけてみせる。
僕は、一生、このまま、妹の面倒を見ていこうと固く心に誓っていた。
不謹慎にも、リサが、こうなってしまって、よかったと思うこともある、ひどい兄貴だった。
義足をつけて、リハビリをすることも医者に勧められていたが、リサは、どうしてか、あまり乗り気ではなかった。
「うん、もうちょっとしたらね」
そう言って、ずっと先延ばしにしてきて、退院から一年が経ったころだった。
買い物から僕が家に帰ってくると、リサの姿が見えない。
部屋をノックしても返事がない。
「リサ、入るよ」
そう言って中に入ると、部屋はきれいに整頓されており、ベッドの上に一通の封筒が置いてあった。
リサの姿はない。
「リサ、リサ!」
僕は、家中を探し回ったが、どこにもおらず、最後に、風呂場の扉を開けた。
料理自慢の母の柳刃包丁で、喉をひと突きにした、リサが横たわっていた。
《》遺書《》
お父さん、お母さん、先立つ不孝をお許しください。
私は、お父さんとお母さんの子供に生まれて幸せでした。
事故に遭ったのは、不運だったけど、悪いことばかりでもありませんでした。
これは、私が決めたことなので、沙也香さん(兄注記:事故の加害者)や沙也香さんのご遺族を恨むようなことはしないでください。
どうか、お願いします。
お兄ちゃん、この一年、本当にありがとう。
お兄ちゃんのお蔭で、リサはとても幸せでした。お兄ちゃんが介護を買って出てくれた時、リサは、とても悩みました。
悩みましたけど、自分の中で、一年だけと決めて、お兄ちゃんに甘えることにしました。
この一年は、本当に幸せで、このままお兄ちゃんに甘え続けたい気持ちに何度も負けそうになりました。
でも決めました。これ以上は、お兄ちゃんの人生まで変わってしまうとわかってたから。
ちゃんと、大学には戻ってね。
一年、遅れちゃったけど、わがままな妹を持った不運と思って許してください。
そして、幸せな人生を送ってください。
リサは、一足先に、天国で待っていますので、何十年か後、また、会おうね。
その時は、お兄ちゃんが、どんな幸せな人生だったかを、話してきかせてね。
とても、感謝しています。
リサ
「みんなに迷惑かけちゃったね」
目を覚ましたリサは、声にならない声で、囁くように言った。
お風呂場で、リサを見つけたとき、僕はパニック状態だった。
救急車を呼ぼうとして、やっと電話がつながったと思ったら、
『ピッ、ピッ、ピッ、ポーン・・・、ただいま、11時・・・』
って、どこにかけてるんだ・・・?
やっとのことで、救急隊に来てもらって、病院に搬送されたリサは、奇跡的に命を取り留めた。
傷はそれほど深くなく、傷口も小さめだったので、何とか絶命には至らなかったそうだ。
咄嗟に包丁を抜いてしまわなかった判断が良かった、と言われたけれど、考えてそうしていたわけではなく、僕は、何もできなかっただけだ。
退院してからのリサは、人が変わったみたいに、わがままを言うようになった。
始めは、どうして、あのまま死なせてくれなかったのか、とわめいたが、それが治まると、イチゴが食べたいとか、メロンが食べたいと、言い出して、そのたびに、僕はそれらを買ってきてやったが、いつも、ひと口か、ふた口しか食べず、直ぐに『もう、いらない』と言って、あとは手を付けようともしない。
ちょっとしたことで、いつも、キィキィ文句を言うようになって、僕も両親も手を焼くようになった。
でも、一番悲しかったのは、両親の目を盗んで、こっそり、リサにキスをしようとした時、
「やめてよ!あたし、お兄ちゃんのオモチャじゃないんだから!」
と怒った眼で言われた時だった。
「お兄ちゃん、どうせ、あたしとヤリたくて、面倒見てるんでしょ!」
そんな酷いことを、言いながら、僕のことを口汚く罵った。
「リサ・・・」
僕は、何も言い返せなかった。
『リサが、だたの妹でも、ボクは本当に、ここまでリサの面倒を見るのか?』
僕は、自分に問い質すのが怖くなって、考えるのをやめた。
自分勝手な、やるせない思いを抱えて、それから暫く、僕は、殆どリサとは言葉を交わすことができず、必要最低限の介護をするに留まっていた。
しかし、リサの変わりようは、尋常ではなかったので、あの事件を経て、リサは心の病気にかかってしまったのではないかと思うに至り、リサが返事をしてもしなくても、怒っていても拗ねていても、僕はできる限り、面倒を見るようにした。
だが、僕の心は弱くて、いくらリサを想っていても、それが伝わっていると実感できない日々が続くと、何度も心が折れそうになった。
リサが朝から癇癪をおこして、挫けそうな気持ちで買い物に出た日、駅前のスーパーで、高校生らしい女の子が、僕に声を掛けてきた。
「あの・・・、リサのお兄さんですよね」
最初は、誰かわからなかったが、リサが中学時代に何度か家に遊びに来ていた子で、見覚えがある娘だと気付いた。
「こんにちは。確か、リサと一緒に走ってた・・・」
「シホです」
「ああー、シホちゃん。髪、伸びたんだね。直ぐにわかんなかった。元気?」
「はい、お陰さまで」
シホちゃんは、僕にぺこりと頭を下げると、
「あの・・・、お兄さん、ちょっと、お話しできます?」
そう言われて、僕は軽く頷くと、スーパーの向かいの喫茶店に入ることにした。
コーヒーを二つ頼んだところで、シホちゃんが、遠慮がちに話を切り出した。
「お節介は、どうかなって、思ったんですけど・・・」
僕は、眉を少し上げ、関心を示して、話を促した。
「リサ、苦しんでるみたいだから」
「ん? どういうこと?」
「リサ、退院してから、滅茶苦茶でしょう?」
「知ってるの?」
「私たち、時々、メールしてますから」
その時、コーヒーが運ばれてきたので、シホちゃんは、一旦、椅子に凭れて、話を中断した。
僕は、シホちゃんにコーヒーを勧め、自分でもクリームだけ入れると、再び話を促した。
「リサは、何て?」
「一生懸命、お兄さんに嫌われようとしてる、って」
「え?」
「でも、もう、苦しいって」
「・・・シホちゃん、もう少し、噛み砕いて話してもらっていいかな?」
シホちゃんは、少し押し黙って、コーヒーに手を伸ばしかけたが、直ぐに視線を僕に戻すと
「リサ、急に変わったでしょう?」
「うん、まるで、別人みたいに・・・」
「お兄さん、それって、何かあるって・・・、感じてますよね?」
「えっ?いやっ・・・、心が病んじゃったっていうか・・・」
シホちゃんは、大きくため息を吐いて、コーヒーカップを持ち上げると、一口啜ってから、呟くように、
「やっぱり、ウチの兄貴と一緒・・・。悪気はないんだけど、ドン感!」
そう言うと、シホちゃんは、携帯を取り出して、リサからのメールを見せてくれた。
『シホ、久しぶり。リサ、もうダメかも。お兄ちゃん、いくらわがまま言っても、酷いこと言っても、ずっと面倒見てくれてる。もう、リサの方が耐えられない。甘えちゃっていいのかなぁ?』
「私、お兄さんが直ぐに気がついて、『ワザとそんな態度をとらないで、良いんだよ』って言ってくれるものだと思ってました。けど、終わる気配がないんで・・・」
『つまり、リサは、ワザと扱いにくい妹のフリをして、僕を遠ざけようとしていたってこと? 何のために?』
自問してみたものの、愚問だった。
鈍感でひどい兄貴と、マセてて賢い妹たち。
「シホちゃん、ありがとう。今日は、会えて、ラッキーだったよ」
シホちゃんは、ちょっと驚いた顔をして、
「あの、お兄さん・・・、今日、スーパーで会ったの、偶然だと思ってませんよね?」
「違うの?」
僕は、露骨に『これは、重症だ』という顔をされてしまった。
「リサには、私たちも救われてるんで・・・、お願いしますね、お兄さん」
シホちゃんは、それだけ言うと、飲みかけのカップをソーサーに戻して、『ホント、兄貴と一緒・・・』と、独り言にしてはやけにはっきりと声に出して、喫茶店を出て行った。
僕は、買い物をしに出てきたことも忘れて、走って家に戻った。
ノックもせずに、リサの部屋のドアを開けると、リサは、携帯を持ったまま、ベッドに座っていた。
シホちゃんが、連絡したのだろう。
「あたし、かっこ悪いよね・・・」
「・・・」
「覚悟を決めて、お兄ちゃんに嫌われることにしたのに・・・、シホにメールしちゃった。シホがお兄ちゃんに話すのわかってて、弱音、吐いちゃった」
僕は、ベッドに昇り、黙って両手でリサの頬を包むと、そっと口づけをした。
死にたいと思うほど、周りを気遣い、僕に遠慮し続けるリサ。
もう、いいんだよ、僕が、ずっと傍にいるから。
リサが、わぁっ、と泣き出して、僕に抱きついてきた。
少し痩せたリサの身体を抱きしめて、しばらく、あやしていたけれど、大人になりきっていないリサの香りが、僕に雄の行動を促した。
リサのパジャマのボタンを外し、上着を脱がせて、ゆっくりとベッドに寝かせると、僕も素っ裸になってブランケットの下に潜り込んだ。
リサは、もう、抗うことはなく、黙って目を閉じて、僕に身を任せたままだった。
幼い乳房に吸いつくと、その体躯とは不釣り合いな艶めかしい声を漏らし始めた。
「あっ、お、お兄ちゃん・・・、いいっ」
次第に荒くなっていく息遣いのリズムに合わせて、僕が先ず、リサをクライマックスに誘った。
リサは、直ぐに息を整えると、今度は膝をついて僕に覆いかぶさると、顔中にキスをしてきて、短い舌を精一杯伸ばすと、僕の舌に絡めてきた。
長い口づけのあと、リサの舌が、僕のジュニアくんに到達すると、一気に根元まで呑み込んだ。
蕩けるような愛撫の後、リサは枕の下からコンちゃんを取り出すと、素早く僕に被せて、
「おにいちゃん、きて・・・」
と誘った。
ゆっくりと奥まで僕を包み込むと、リサは、僕の首に抱きついてきて、
「お兄ちゃん・・・、リサ、いま生きてる」
と囁いた。
優しく、丁寧に、僕はリサの中を往復し、少しずつ動きを速めていくと、
「お兄ちゃん・・・、お兄ちゃん・・・、そのまま、そのまま・・・、あっ、もう、イキたい・・・、イカせて、イカせて、イクっ、イクっ、ああーっ!」
リサは、すべての理性を失ったかのように乱れ、僕の腕の中で仰け反った。
同時に、僕もリサの中に全てを吐き出し、ビクビクと痙攣するリサの身体の震えが治まるのに従って、僕もいつもの大きさに戻っていった。
「お兄ちゃん・・・。リサ、お兄ちゃんなしで、もう、生きていけないよ・・・」
目にいっぱい、涙を溜めて、リサは、そういうと僕に抱きついてきた。
『いいんだよ、リサ。お兄ちゃんが、ずっと一緒にいてあげる』
言葉に出さずに抱きしめるだけで、賢い妹は、僕の心をすぐに読み取った。
リサは、元のリサに戻った。
そして、リサは、今日も僕の腕の中で、息づいている。
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