07月20

姉弟の結婚「アマテラスとスサノオの誓約」

     
皇室の祖神であり、日本民族の総氏神とされている「天照大神(アマテラス)」にも「ご両親」はいました。
     
神様だからといって、突然に降って湧いたわけではありません。
     
父は「イザナギ」、母は「イザナミ」、そう、矛で混沌をかき混ぜて「島(日本)」を作った御二方です。
     
この両親から生まれたのが、一番上から「アマテラス」、すぐ下に「ツクヨミ」、その下が「スサノオ」のいわゆる「三貴子(三人姉弟)」です。
     
ただし、年上の「アマテラス」は女性、年下の「スサノオ」は男性とされているものの、真ん中の「ツクヨミ」の性別はよく分かっていません。
     
さて、この姉と弟の間には、「アマテラスとスサノオの誓約」といわれるこんなエピソードが残されています。
     
正直なところ、この辺の展開はとんと理解できないのですが、結論だけをいうなら、「アマテラス」に三人の娘、「スサノオ」に五人の息子が生まれたと思ってください。
     
それなら普通は、この「三人の娘」と「五人の息子」の間柄は「イトコ」ということになりそうですが、実はそう見ない向きもあるのです。
     
     
~そこで子供が誕生したのなら、「誓約」とは「結婚」のことだ~
     
確かに生物学的な面からすれば一理ある見方です。
     
しかしそうすると、「三人の娘」と「五人の息子」の間柄は「姉弟」ということであり、またこれは姉チャンと弟の結婚ということですから、平たく言えば「近親相姦」ってことになります。
     
誕生の順序からして、姉3人の下に弟5人ということか?
     
姉弟の結婚なんて、何かしらスキャンダラスなお話になってきましたが、まんざらいい加減な見方とも思えないのは、実は似たようなお話が噂された?ことがあるからです。
     
はて、似たようなお話?
     
中大兄皇子(後の天智天皇/626-672年)に関する噂?がそれです。
     
皇子はその立場にあったにも拘わらず、天皇の座を母親に託し、長い間自らがその座に就くことを敬遠?し続けていました。
     
その理由については、色々な説が取りざたされていますが、その中に「間人皇女」(生年不明-665年)の存在を挙げる見方があります。
     
つまり、中大兄皇子と同母妹・間人皇女の間には恋愛感情、もっと言うなら男女関係があり、それを憚って、あるいは周囲からの反発があって、なかなか「天皇」の座に就けなかったのではないかという見方です。
     
もちろん、これを「週刊誌的なおもしろ過ぎる話」として否定する向きもあるのですが、昔のことですから「兄妹」または「姉弟」間の恋愛感情?結婚行為?があったとしても、そうそう頭ごなしに否定できない雰囲気はあります。
     
さて、お話は先の「誓約(うけい)」に戻りますが、実はこれが結婚行為だったとする傍証は他にもないことはないのです。
     
「歴史は繰り返す」というべきか、単なる「デジャヴ」というべきか、ともかく、「アマテラス・スサノオ姉弟」のご両親である「イザナギ・イザナミご夫妻」も実はその通りの関係だったという点です。
     
つまりイザナギからすれば、イザナミは確かに妻ではあるけれど同時に妹でもあるということです。
そういうことなら、当のアマテラス・スサノオの姉弟もこう考えたはずです。
     
     
~父チャン母チャンだってそうなんだから、さほど悪いことでもないはずじゃん~
     
なるほど、「親の背を見て子は育つ」とはよく言ったものですね。
しかし、そうは受け止めない家族もいました。
それが、この姉弟に挟まれた「ツクヨミ」です。
     
     
~いかに神話とはいえ、この家族の言動にはついていけない。やっぱりボク(ワタシ?)は家出してこの家族から離れよう~
     
こうした経緯があったために「ツクヨミ」自身の存在感が薄く、またその性別も不明のまま、と考えられなくもありません。
     
お話によれば、父・イザナギはそれぞれに「アマテラス=高天原」「スサノオ=海原」の統治を委任しましたが、家風?に逆らった「ツクヨミ」に託されたのは、なんと「夜」です。
     
これも現代でいうなら、「遺産相続」の際にそれなりの差をつけたという意味なのかもしれません。
     
     

     

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