それからというもの、玲子とは集団登校が同じ班だったので毎日顔は合わすものの、互いに意識していたのか会話を交わすことも無かった。改めて、玲子は他の同級生と比べても大人びた雰囲気を漂わせていて、まさに早熟の少女だった。
つい先日、あの白くて細い指が僕の陰部をまさぐり、また僕もあのスカートの奥で彼女の湿り気を感じていたのが夢幻と思えた。
ただ、そのまま何もなく、いよいよ三学期も終わりに近づいていた。僕自身は私立中学への受験に多忙な毎日で、玲子への想いは受験のマイナスとして心の中で押し殺していた。
そんなある日のこと。2月の後半だったろうか。放課後、通学路で玲子と二人になった。二人で肩を並べるのはあの日以来。心臓が口から飛び出しそうで、口の中はカラカラになった。玲子は僕の受験がうまくいったことにおめでとうと言ってくれた。先生しか知らないはずが、誰から聞いたのだろうと不思議に思えた。
有難う。でも、だから中学は玲ちゃんと別になるんだけどね
うん、でも私、○中には行かないの。お父さん、耀司くんのお父さんの会社やめるから。
玲子の父親が工場の人達と折り合い良くないのは母から聞いたことはあった。だけど、そうしたら…
うち、春から川崎に住むみたい。だからここももうすぐなんだ
目の前が真っ暗になった。子供心に将来玲子と結婚し、会社を継ぐことを夢想していたのが足元から崩れた
だから、耀司くん、お家にランドセルおろしたら、寮の倉庫で待ってる。来て。
どくんっ
たかまる想いが…