「パパ、代わりに行ってくれない? なんか、面倒くさいんだよねー」
土曜日の朝、妻の麻里奈が本当に面倒くさそうに言ってきた。今日は、自治会の集まりの日だ。僕たちの住んでいるマンモス団地は、いわゆる自主管理の物件だ。
住民が多いので自治会の役が回ってくることもあまりないが、今回はくじ引きで副会長の役を当ててしまった。候補者がいる場合はくじ引きもなく決まるのだが、最近はやりたがる人も少ないので、くじ引きになることも多い。
僕は、面倒だから嫌だと断った。申し訳ない気持ちもあるが、仕事の忙しい僕なので、土日くらいはゆっくりしたい。
「そうだよねー。じゃあ、マー君ちゃんと見ててね。行ってきます」
麻里奈は、そう言って家を出て行った。自治会の運営が大事なのもわかるが、いっそ管理会社に丸投げしてしまえば良いのになと思う。実際、一部管理会社を使っているので、馬鹿馬鹿しいなと思ってしまう。
マンモス団地なので、自治会の集会所みたいなものもあるし、管理人室もある。色々と施設が充実しているのは、良いことだと思うが、面倒も多い。
そして、僕は息子と遊んだ。中央広場の公園で楽しく遊んだ。こういうクローズな場所に公園があるのも、マンモス団地のメリットだと思う。基本的に、見知った顔しかいないので治安も良い。
すると、
「前田さーん」
と、公園の外から声がかかった。誰かな? と思ってそっちを見ると、管理会社の女の子だった。聖菜ちゃんという子で、今どきの若者という感じの可愛らしい子だ。歳は、確か25歳前後。でも、童顔で小柄なので、ロリっぽい印象だ。でも、胸はけっこう主張していて、つい見てしまう。
僕は、滑り台で遊ぶ息子を気にしつつ、挨拶をしに近づいた。自治会の会合の手伝いだそうだ。世間話をした。どうしてかわからないが、聖菜ちゃんは僕のことを気に入っているようだ。
こんな風に、声をかけてきて話し込むことがけっこうある。僕も、可愛い彼女と会話をするのは悪い気はしない。でも、少し周りの目が気になってしまう。
「前田さんって、イクメンですね。ホント、良いパパだと思います」
そんな風に、褒めてくれる。なぜこんなにも僕のことを持ち上げてくれるのかな? と、不思議に思いながらも楽しいなと思う。女性にはタブーかな? と、思いながらも、結婚は考えてないの? と、聞いた。
「うーん、今の彼氏、子どもとかほったらかしそうだし……前田さんと違って、ダメパパになりそうなんですよねー」
そんなことを言う聖菜ちゃん。本当に、悩んでいるような顔だ。僕は、彼氏がいることを知って少し残念だなと思ってしまった。でも、聖菜ちゃんくらいの可愛い子に、彼氏がいないはずもないなと思った。
「そうだ、前田さんのところ、副会長してくれてますよね? 連絡先とか、教えてください。ラインとか、やってないですか?」
スマホを取り出しながら、そんなことを言ってきた。すでに、麻里奈の連絡先を教えているのになと思いながらも、素直にラインの交換をした。
「じゃあ、そろそろ時間なんで行きますね。楽しかったです」
本当に良い笑顔で言いながら、聖菜ちゃんは自治会室の方に歩いて行った。後ろ姿も、スカートが少し短めでエロいなと思ってしまった。
そして、しばらく遊んでいると、
「まーくーん! おまたせー」
と、麻里奈の声が聞こえてきた。息子は、すぐに駆け寄って嬉しそうにじゃれつく。僕は、お疲れ様と言いながら歩み寄った。
「そんなに疲れてないよ。でも、お腹空いちゃった。マックでも行く?」
麻里奈のそんな言葉に誘われて、3人仲良くマックに行ってお昼ご飯を食べた。息子は、オモチャで遊びながら楽しそうにしている。麻里奈も、そんな息子を見ながら幸せそうだ。僕も、幸せを感じながら食事を続けた。
食事をしながら麻里奈を見ていると、最近昔みたいにスリムになったなと思った。そのくせ胸は大きいままで、グラビアアイドルみたいな身体だなと思う。
そして、気のせいかもしれないが、最近綺麗になった感じがする。もともと整った顔立ちだったが、最近は肌にツヤがあるというか、若くなったように感じる。
子育ても落ち着いてきたので、色々と肌のケアやオシャレにも気を遣うようになったのかな? と、思った。
すると、スマホがブルッと震えた。なんだろう? と、思いながら画面を見ると、聖菜ちゃんからだった。別に、やましいことをしているわけでもないのに慌ててしまった。
内容も見ずにスマホをしまい、何食わぬ顔で食事を続けた。後で確認したら、ただの挨拶だった。ラインを交換したので、そのお礼的なヤツだった。僕も挨拶程度の返信をした。
ただ、この日からちょくちょくとラインがくるようになった。内容は、自治会のこととはあまり関係のない、雑談みたいな内容だ。
僕は、少し違和感を感じながらも、返信はした。でも、やりとりをしているうちに、それが楽しくなってしまった。別に浮気心があるわけではないが、人と会話というか、メッセージのやりとりをすること自体が楽しいと思った。
そんなある日、ワイファイの調子が悪いという相談をされた。僕が、仕事柄そういうことに詳しいという話をしたことがきっかけだ。
色々と症状を聞きながら、対応策を提案した。でも、どうも上手くいかなくて、一度見に来て下さいと言われた。僕は、彼氏のこともあるので、女性の一人暮らしの部屋にお邪魔するのはマズいのではないかと言った。
すると、彼女は自治会のことでお知らせしたいこともあると言いだした。だったら、麻里奈に話した方が良いのではないかな? と思ったが、どうしても僕に聞いてもらいたいことがあるという。
翌日、会社帰りに彼女の部屋にお邪魔した。一人暮らしの女性の部屋なんて、入るのはいつ以来だろう? 少し緊張しながらも、靴を脱いで部屋に上がった。
「ごめんなさい。わざわざ来てもらっちゃって」
聖菜ちゃんは、少し緊張したような顔になっている。僕は、明るい口調でワイファイのことを聞いた。すると、
「ごめんなさい。この前教えてもらったヤツで、もう直りました」
と言う。だったら、どうして? と思っていると、いきなり抱きつかれた。大きな胸が身体に押しつけられて、思わず怯んでしまった。
「孝夫さん、好き……」
そんなことを言われてしまった。好意を持ってくれているなと思ってはいたが、恋愛感情的なものとは違うと思っていた。
僕は、昔からそれなりにモテる方ではあった。ルックスはそこそこだけど、優しいとか、話しやすいと言われる。自分ではあまり自覚がないことだけど、女性に不自由をしたこともない。
でも、こんな事はすごく久しぶりだ。麻里奈と交際してからは、浮気なんかもしたことがないし、他の子が気になったこともなかった。
僕は、そう言ってもらえて嬉しいけど、彼氏さんのこともあるし、妻のことを裏切れないと言った。
「絶対にナイショにします。だから……抱いて欲しいです。都合のイイ女みたいに思ってくれて良いですから」
聖菜ちゃんが、そんなことを言い始めた。まさかの発言だ。彼氏さんに悪いし、そういうのは良くないよと諭した。
「彼、浮気してるんです……全然優しくないし。もっと早く、孝夫さんに出会いたかった」
潤んだような目で僕を見つめる彼女。抱きついて胸をギュッと押しつけたままだ。正直、かなり気持ちが揺れた。男としては、最高の提案だ。
都合の良いセフレとしてセックスをして欲しい……そう言っているようなものだ。麻里奈と仲は良いし、不満もない。それでも、こんなにも若くて可愛い聖菜ちゃんとセックス出来るのは、かなり魅力的だ。
でも、僕はなんとかそれを断るというか、拒絶した。どうしても麻里奈を裏切れないと言って。
「……そう言うと思ってた。ホント、孝夫さんっていい男だね。奥さんが羨ましいよ……」
聖菜ちゃんは、口調が変わった。一気に距離を縮めてきたような話し方だ。そして、麻里奈ちゃんは僕から離れながら、
「……一回だけ。それで、諦めます。一回だけ抱いて下さい」
そんなことまで言い始めた。僕は、これを断るのは可愛そうだと思い始めてしまった。でも、やっぱり麻里奈を裏切ることが出来ず、ごめんねと謝った。
「裏切らない男の人って、いるんだね。もっと好きになっちゃった……」
聖菜ちゃんは、悲しそうに言う。彼氏に浮気されたことが、かなりショックだったのだろうか?
すると、聖菜ちゃんは、
「見てもらいたいものあるんだ。これ、見て」
と言って、ノートパソコンを開いた。そして、何か動画ファイルを再生し始めた。
画面には、見覚えのある部屋が映った。畳が敷かれたけっこう広めの部屋。自治会の集会室だったと思う。なんだろう? と思っていると、その部屋に人が入ってきた。男性と女性が。女性の方は、麻里奈だ。
「お疲れ様。今日は、早くまとまって良かったね」
男性が、麻里奈に話しかけている。確か、自治会長の稲垣さんだ。50手前くらいの、小説を書いている人だったと思う。自宅にいることが多いので、会長を引き受けたと聞いた記憶だ。
「会長も、お疲れ様でした。色々なこと言う人がいるから、ホント大変ですね」
麻里奈は、ニコニコと笑顔で会話をしている。僕は、少しだけ嫉妬のようなものを感じてしまった。麻里奈が、他の男性と楽しそうに会話をしている……それだけで、なんとも言えない嫉妬心が湧いてきた。
でも、どうしてこんなものを見せるのだろう? そもそも、この動画はなんだろう? と、思っていた。監視カメラなんて、あったっけ? 色々と考えるが、意図がわからない。
「じゃあ、あまり時間もないから……」
麻里奈は、そう言うと畳の上に仰向けで寝転がった。そして、スカートをまくり上げて脚を拡げる。麻里奈は、ショーツを穿いていない。画面の中には、アソコを丸出しにしながら脚を拡げている麻里奈が映っている。