09月23

コロナ不況に喘ぐ下請け会社の美人妻

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俺は東海地方にある某国立大学を卒業後、自動車業界に就職した。
いわゆる自動車本体を作る完成品メーカーだ。
一括りに自動車業界と言っても、完成品メーカー、完成品メーカーから資本金が投入されている直接の子会社、
そして、それ以外のいわゆる完全下請けの会社が存在する。
もちろんピラミッドのトップに君臨するのは完成品メーカーで、最下層に位置付けされるのは資本提携のない完全下請けの会社になる。

そんな最下層の下請け会社の更に下請けをしている会社に有限会社寺田鍛造という会社がある。
メーカー子会社や大手サプライヤーにとって、とるに足らない小さな鋳造会社なのだが、何故だか「一度は行こう!寺田鍛造」という格言めいた噂がサプライヤーの若手の中で囁かれていた。

当然、メーカーに勤務する俺はそんな噂を知る由もなかったが、
ユニット部品の調達部門へ異動になった時、高校時代からの悪友であり、
現在は子会社に勤務する村松が口から泡を飛ばしながら言った。

「え?お前、ユニットへ移動になったの?だったらさ、一緒に寺田鍛造に行こうよ。超お勧めだから」
「聞いたことない会社だけど良い技術力を持ってたりするの?」
俺がそう訊ねると村松ではなく、
自動車部品サプライヤーに身を置く高野が横から
「いやいや、堅物のお前は知らんかもしれんが、わりと有名なんだぞ。""寺田の奥さん""の美貌は」と唇を歪めながら言った。
「そうそう。会社はまあ普通。だけど、社長の奥さんがさあ、肩書は専務なんだけど、それはもう清楚を絵に描いた様なすげえ美人なんだよ。しかも、これがまた、むしゃぶり付きたくなるような、良い身体してんのよ」
「いつも、どうにかしてオモチャにしてやりたいって話てんだけど、誰が誘っても、お堅くて、もう取り付く島もない感じなんだよ」
おいおいw 下請けの奥さんになんて邪なことを・・・
俺は内心呆れながらも、昔の悪友のよしみで話を合わせることにした。

「なるほど・・・。鍛造会社って?それ完全な下請けじゃん。いわば、俺らの奴隷みたいなもんだろ。
 ”やらせてくれないと契約を打ち切るぞ”とか何とか言えば、済む話じゃないの?」

酒の勢いもあって問題発言になってしまった。
コンプライアンスの煩い昨今だ。
仲間達から詰られ、身の置き場もなくなるかと一瞬後悔したが・・・

「俺達レベルの権力では、なかなか今の状況では無理なんだよ。そもそも寺田さんに弱みがないし・・・」
村松が心底残念そうに言うと「そうかなぁ」と高野が疑問符を顔に浮かべた。
「大メーカー様のお力があれば、なんとかなるんじゃない?
 今のご時世、零細企業なんか何所も大変だと思うよ。寺田鍛造だって、かなりヤバイはず」
「そ、そんなもんだろうか。まあ、それじゃあ、寺田鍛造さんに、一度お邪魔してみるよ」
そんな風な流れで俺は有限会社寺田鍛造へ行ってみることにした。
噂の美女を生で拝むのも悪くはない。
完全に邪な目論見のためだった。

村松の言うことだから、話半分、いや話3分の1程度に思っていた。
しかし、実際に寺田鍛造で専務である社長の奥さんを見た瞬間、俺はあまりの衝撃に持っていたカバンを落としてしまった。
美しい・・・
遠目にもスタイルの良さや、色白で清楚な凛とした雰囲気がはっきり分かった。
しかも、ただ顔が整っているというだけでなく、
Tシャツ姿で汗だくになりながら男に混ざって、ドロドロに溶かした熱い鉄を鋳型(いがた)に流し込んでいる姿が、
妙に艶めかしく色気があった。
すげえ。
俺はTシャツを大きく盛り上げる豊満な膨らみに視線を釘付けにしながら、股間は熱く燃え滾っていた。
早く間近で見てみたい!
元請けの傲慢さから、挨拶も後回しで、勝手に工場に立ち入っていたというのに慌てて名刺を片手に「ご挨拶に伺いました」などと自分から挨拶をしていた。

邪な見学だけのつもりだったので、当然、何も資料など用意はしていない。
それでも俺はこの美貌の人妻ともっと縁を繋げたいと考え
急遽、取引の話をすることにした。
予想以上だった美貌の人妻を前にして、緊張で汗を流しながら、必死になって業務の説明をすると
その甲斐あってか、いや、高野が言った通り、業績が芳しくないのだろう。
拍子抜けする程あっさりと寺田鍛造は、俺の話に乗ってきた。
元々村松の居る子会社に口座を持っていたこともあって、話はとんとん拍子で進み、なんと!すぐに取引を始めることになってしまった。

そして、「始めたばかりなので、様子を見ていってきます!」上司にそう言って、俺は寺田鍛造へ通うのが日課になった。
もちろん美貌の奥さんに会いに行くためだ。
行けば必ず俺は「現場を見たい」などと、もっともらしいことを言ってあの奥さんのTシャツ姿を眺めに行った、
「そのまま続けてください!業務の邪魔にはなりたくありません!
 怪我をされても困りますし、いつも通りでお願いします!
 というか、手を休まれては”視察”する意味がありません」

”視察”という単語を強めに言うのを忘れない。
これで、奥さんは業務に必死で俺の視線などに構う余裕もない。
俺は汗びっしょりになって業務に取り組む美貌の人妻を視姦し放題にできる。
さらに
「ちょっと工場内を撮っても良いですか?上司に報告書を上げるので」
汗の滲んだTシャツを豊かに盛り上げる膨らみを目に焼け付けるだけでなくスマホにも存分に納めることもできるというわけだ。
そんなことを1年ほど続けて・・・それだけでも俺は満足だったが
神の悪戯か・・・俺にとっては最高の、奥さんにとっては最悪の機会が巡ってくる。
そう。コロナ禍に始まる自動車不況だ。
この不況による影響は非常に大きく、下請け企業にとっては、まったく先が見えない酷い状況だった。
特に寺田鍛造のような事業は、材料の高騰もあって、とてつもない打撃を受けていた。
それが分かっていて、
俺は村松など子会社やサプライヤーと示し合わせて、
寺田鍛造に大幅なコストカットか契約の打ち切りを打診した。

「そ、そんな無理です!」
青くなって項垂れる社長に俺はふんぞり返りながら
「コストカットがダメなら、契約は打ち切り、他を探すまでです。うちから直接仕事を受けたいなんて会社はいくらでもありますから」と告げた。
すると、今度は
それまで緊張した面持ちで黙って話を聞いていた奥さんが、突然土下座せんばかりに頭を深く下げた。

「御社からの仕事がなくなったら、私たちは立ちいかなくなります。コストカットは、どうか、せめて材料の高騰が終わるまでお待ちいただけないでしょうか」

実際に何社もの下請けが既に切られている事実は当然知っているはずだ。
社長も専務も情に訴えるしかないとでも思ったのだろう。
特に奥さんは「鍛造の仕事が好きなんです」と仕事がいかに好きか、いかに仕事に誇りを持って取り組んでいるかを語りだした。
なるほど。
俺は目的もそっちのけで感心させられた。
しかし、奥さんの真摯な話だけだったら、良かったが、社長の方の同情を誘うかのような話がまずかった。
社長は長引くコロナ不況から、借金がかさみ自転車操業状態になっているなどと言いだした。
俺は『愚かなことを』と思う反面、『チャンス到来!』と密かにほくそ笑んだ。

「社長、そんな自転車操業している事実を聞かされたら、なおさら、私どもは寺田さんを切るしかなくなるじゃないですか!」
「そ、そんな・・。こ、困ります!見捨てないでください。」
「んー。そいうことなら、まずは状況を把握したいです。帳簿等を見せて貰うことはできませんか?」
そう言うと社長は「すぐに持ってきます」と言って、そそくさと席を立って応接室を出て行ってしまった。

望み通り応接室には奥さんだけが残された。
俺はゴクリと唾を飲みこんでから、
不躾な粘つく視線で舐めるように奥さんのボディラインを眺めまわした。
あまりにも露骨な視線に奥さんは思わず両手で胸の前をガードしてしまう。
しかし、その上品な唇から発せられた言葉は、嫌悪の滲むセリフではなく
「なんとか考えなおして頂けないでしょうか」という必死な懇願だった。
『これは行ける!』
そう思った。俺は勝負に出ることにした。

「社長の自転車操業しているという話は、はっきり言って、聞きたくなかったです。
 そんな会社と取引をしていることが上司に知られれば私もただではすみません。}

「そ、そんな・・」

「しかし、奥さんのお話は、なかなか健気で、好感が持てました」

「ほ、本当ですか!」
身を乗り出す勢いの奥さんを俺はじっと見据える。

「一つ提案があります。夫や会社のために、身を捧げる覚悟はありますか?」

「み、身を捧げるとは?」

「何も難しいことではないです。一晩で良いですから、私のものになってください」

「は?な、何をおしゃっているのでしょうか?」

「何って、そのままの意味ですよ。契約切らないから、抱かせろ!って言ってるんです」

「じょ、冗談はやめてください!」

「なるほど。たった一晩、奥さんが私のものになるだけで、会社が助かるのに・・貴方は会社や夫よりも自分が大事なのですね。」

「ひ、卑怯です。お断りします。そんなお話でしたら、もうお帰り下さい。」

「分かりました。まあ、気が変わりましたら、連絡してください」

そう言って俺は寺田鍛造を後にした。
奥さんが社長にチクって、コンプライアンス違反とかで呼び出されるのでないかと
内心ヒヤヒヤもしたが、そういったこともなかった。

それから、わずか2週間後だった。

「倒れた?社長が?」

なんと!資金繰りと新しい顧客の獲得に奔走していた社長が倒れたというのだ。

そして、さらにそれから2週間ほどして、ついに待ち望んだ電話が鳴った。

「助けてください。もうどうにもなりません。せ、先日のお話ですが、、、覚えておりますか?」

「なんのことでしょうか?」

故意にとぼけて、奥さん自ら""そのセリフ""を言わせる。

散々焦らされたのだから、ただ抱くだけでは済ませはしない。
すぐに村松に連絡した。
「あの人妻がついに堕ちるぞ」
「まじかよ!」と興奮した声は受話器越しに唾が飛んで来るかと思うほどだった。

つづきは 

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