12月30

「君のお母さんは、私が戴いたよ。」


「君のお母さんは、私が戴いたよ。」

父の一周忌が終わった日、親族関係者が帰った後も、
最後まで残っていた部外者の男に、突然話を投げつけられた。
なんだこの男は? 一体何のことを言っているんだ?
僕はいきなりのことに、言葉の意味が理解出来なかった。

「亡くなったお父さんには申し訳ないけど、由紀子はもう私の女なんだ。」
父が亡くなってまだ1年だと言うのに、僕の母を由紀子と呼び捨てにし、
あげくの果てに俺の女だと言われて、ようやく事の重大性に気付いた。
「私のことを見たことはあるだろう? まだ入院している時の病院でも会ったことがあるし、
 お父さんの葬儀の時や、49日の時にも会っているはずだ。」
確かにじっくり見てみると、見たことがあるような気もする。
「自己紹介をしておくと、私は君のお父さんの上司だった・・・生きていた時のね。
 亡くなってからのいろんな手続きや、残務処理のために、こちらに何度かおじゃましてるんだ。」
上司だったと言う男は、52才でなくなった父よりも若い感じがした。

「でも本当の理由は、君のお母さんを病院で見た時から、とっても気に入ってね。
 だいぶ年上のお父さんには、もったいない女だと思っていたけど、
 お父さんが亡くなったおかげで、私の自由にできるようになって感謝しているよ。」
この男は、父の病室で母を見た時から、狙っていたということなのか。
「お父さんも病気になってからは、男としての勤めは出来ていないだろうから、
 まだ十分魅力的なお母さんが可哀相でね。
 どうやってお母さんを慰めてあげようかと、いろいろと考えていたんだよ。」
この男は父が亡くなったから、母を自分のものに出来たと言っている。
それじゃ、父が死ぬのを待っていたということなのか。
もし父が病気から立ち直ったら、一体どうするつもりだったのだろう。
母を父の病室で見かけた時から、母を自分の物にしようと思っていたということは、
おそらく無理矢理にでも母を奪おうとまで考えていたのだろうか。
一体これから僕に、何の話をするつもりなのか。

「49日を過ぎて訪れてみたら、だいぶ落ち着いていたので、先ずは唇をいただいた訳だけど、
 随分抵抗されてね。 抱きしめてやっても、必死に押し返そうとしてね。
 舌を入れてやろうとしているのに、口を開いてくれないんだ。
 でもちょっと耳を触ってやったら、お母さんは耳が感じるんだね。
 口を開いてくれたので、それでは折角だからと、奥まで舌を突っ込んであげたね。」
なんだ、こいつは?
無理矢理母さんの唇を奪ったというのか!
それにしても、母さんも耳を触られたくらいで、舌まで入れられるなんて。

「舌の奥まで舐めてやったり、舌を吸ってやったりしている内に、キスの味を思い出したのか、
 段々息が荒くなってきてね。 舌を絡めても抵抗をしなくなったし、
 目も虚ろになってきたので、耳やうなじを唇で責めてやったら、とうとう声を出してくれてね。
 背中に廻って後ろから胸を触ってやろうとしたら、いきなり私を振り切って逃げられてしまったよ。」 
どういうことだ! こんな男と舌を絡めて、声まで出すなんて。
でも僕は、母がこの男の手を振り切って、逃げ出してくれたことがとても嬉しかった。
やっぱり、母は亡くなった父のことを、まだ愛しているんだ。
「でもね、感じてくれていたのは確かだから、二回目の時はあせらずじっくり、
 唇と首から上だけを集中的に可愛がってやったら、しまいにはお母さんの方から
 舌を伸ばして絡めてくれるまでになってね。」

信じられなかった。
この男を振り切って逃げて行った母が、今度は自分から舌を差し出すなんて。

「堕ちると確信したな。
 服の中に手を入れて、ブラジャーの上から乳首を摘んでやったら、
 喘ぎ声が段々大きくなってきたので、顎を持って後ろに振り向かせたら、
 素直に口を開けて舌を受け入れてくれたよ。
 それだけじゃない。私が唾液を注ぎ込んでやったら、飲み込んでくれた。
 もう私の物になるのは確実だと思ったね。」
舌を絡めるだけでなく、唾液まで飲み込んでしまうなんて、そんな背徳的な行為を母が・・・。

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