つつき
仕事を手早く片づけて、30分前にはホテルに着く予定だった。
しかし、金曜日の夕刻のこと、新宿は人で溢れていた。
そのため、ホテルの前に着いたのは、19時5分前だった。
足早にロビーの前を抜け、エスカレータを登っていくと、
見慣れた華奢な背中が目に入った。
由紀!
私は声を掛けずに由紀より10段くらい下で足を止めた。
真っ直ぐ前を向く後姿をそっと見上げた、いい女だ。
長い足にロングブーツがよく似合っていた。
細身の身体を、ダークブラウンのトレンチコートで覆い、
襟を立てて背筋をビシッと伸ばした姿は、まるで宝塚の女優さながらだった。
ちょうど由紀がエスカレータを降りて、右側に曲がろうと横顔を見せた時、
声が聞こえた。
「店長!、久しぶりですね。って程でもないかぁ」
由紀の元々大きい目が、わずかに見開いた気がした。
私がエスカレータを降りた時には、
由紀の華奢な背中の隣には、背の高い男の背中があった。
私には由紀を尾行するつもりなど、全くなかったが
自然と後ろにくっついて歩く形になった。
「店長がリストラされるって分かってたらなぁ
強引に口説き落としてやったのにぃ。」
「多賀谷君・・・」
「店長そのコート似合ってますねぇ、どっから見ても本物のキャリアウーマンですよぉ。
ヤンキー崩れのパワハラ女には見えないなぁ。外側だけは立派でも、コートの中は素っ裸だったりしてぇw」
由紀は歩みを止めた。
「小さい男。いつまでも根に持って。ほんとに情けない。」
「あらら。なんか、お詫びしてくれるって聞いてたのに、態度悪いっすねぇw」
「あんたって男は・・・」
「店長が脱ぎ脱ぎして、色っぽいお詫びをしてくれるって聞いたんですけどねぇw 違うんですかぁ? 」
「だ、誰がそんなことを!!」
「副社長ですけどぉ。話が違うなぁ。なんだか、つまんなそうですねぇ、俺、帰るわ。」
「ちょ、ちょっと!」
「俺は帰ったっていいんすよぉ。店長がどうしてもお詫びしたいからってことで、
俺、副社長に言われて無理やり来たんですよぉ。
服脱ぎもしないで、偉そうにするってんなら、帰りますよ。」
「偉そうにするつもりなんてないよ!お詫びがしたいと言うのも本当のことよ。」
「ふうぅん。で、脱ぐんですか?脱がないんですかぁ?、今はっきりと聞かせてくださいなぁ。
店長どうしましたぁ?黙っちゃって、らしくないですねぇ。答えてくださいよぉ。
副社長が俺らを騙したんですかねぇ?なんなら、今から副社長にゴラー!嘘こき清水!って電話しましょうか?」
「さっ、最低な男!ほんとに。。。卑怯なくず。
脱ぐかもね!ただし、あんただけじゃなくて、他の人も、、特に、あんたのとこの店長が望めばね。」
「みんな望むでしょw
アンタが、30過ぎの崩れた裸を晒して、詫びるっていうから
みんな忙しいのに、こんな場まで来てんだからさぁw
てか、うちの店長リストラで辞める人だから過去の人ね、今は、実質、俺が店のトップなんでw」
「なっ・・・」表情は見えなかったが由紀のなんとも言えない声が聞こえた。
茫然と立ち尽くす由紀の耳元に、多賀谷が顔を近づけた。
「アンタの は・だ・か、隅から隅まで、よ?く見せてもらうわ。」
多賀谷は立ち止ったままの由紀を残して、とっとと一人で会議室へ向かった。
会議室へ向かう由紀の足取りは重かった。
私は声も掛けられず、由紀の背中を見つめながら歩いた。
なんとか指定された会議室の前まで来て、由紀はドアノブを握った。
しかし、なかなか中へ入らない。
ドアノブを握ったまま、じっと動かない由紀を見て、私は悲しくなった。
そのドアノブを回して、中へ入れば、恐らく由紀にとって地獄が待っている。
裸に剥かれ、生まれたまんまの姿になって、
軽蔑しているかつての部下にまで、許しを請うことになる。
由紀が動けずにいるのは、当然のことだった。
私は声をかけようか迷った。
「もう止めましょう」と言ってあげたかった。
しかし、由紀の生活を私が背負えるわけではない、無責任なことは言えないと葛藤していた。
由紀はゆっくり息を吸い込んで、静かに目を閉じた。
「失礼しまーす」元気な声だった。
私もすぐに後へ続いた。いや、続こうとした。
しかし、ドアを開けて中へ入ろうと1歩進んだ由紀が、慌てて、外に出てドアをバタンと閉めた。
「どうゆうことよ・・聞いてないよ・・・」由紀はドアノブを両手で握りながら俯いて顔を伏せた。
部屋の中からは由紀を追いかけるような雰囲気も感じられない。
どうしたのかと声を掛けようと歩き出した時、携帯が鳴った。
私の携帯音に気付いた由紀が、顔を上げて、こちらを振り向いた。由紀と目が合った。
ディスプレイには清水副社長と表示されていた。
私は由紀に軽く会釈してから、携帯に出た。
驚いた。あんなに楽しみにされていたのに、副社長は来ないという。
しかも、最初から来る気はなかったと言う。
「私も、そんなに暇ではないのだよ。仕切りは多賀谷君に任せたが、君は監督役だ。頼んだぞ。」
「はい。あまり行き過ぎたことが無いように監視します」と答えると副社長の声音が変わった。
「そうじゃないだろ、あの女が、ちゃんと責任を果たすように、要所要所で人事の君が
それとなく因果を含めろと言ってるんだ。
心配だな。君は妙に甘い時があるからな。お坊ちゃんの悪い癖だ。小倉君に代わりなさい。私が話す。」
私は袖で軽く拭いてから、携帯を由紀に渡した。
「いえ、まだです。
ですが、なぜ、○森駅前店とは関係ない子達がいるのですか?
そ、それはそうですが。
いえ、そういうわけではありません。
そんな!そんなことをしたら、 明日からの仕事に差し障ります!
はい、いえ、その通りですが、はい・・・。
おっしゃる通りです。はい。
分かりました。そのように致します。」
由紀は顔を上げずに、私に電話を返すと、すぐに会議室へ入っていった。
私も続いて中へ入った。
由紀が慌てて部屋の外へ出た理由が分かった。
会議室の中には4人の男がいた。
うち一人は多賀谷だった。
他の3人は、なんと!○○支店の若手、つまり現在の由紀の部下だった。
多賀谷が○○支店に居た頃、この4人でつるんでは、よく女に悪さをした。
そのことが原因で由紀が激怒し、多賀谷との確執が生まれたのだ。
そんな4人が、この会議室にいた。
由紀が決死の思いで飛び込んだ、この場に居たのだ。
私が部屋に入ると彼らは全員立ち上がって挨拶した。
由紀は彼らと向かい合う側にある椅子に座った。
私はなるべく口を出さないようにと、副社長に命じられていたので
椅子を持って、卓とは離れた部屋の隅の方へ移動した。
そんな私をちらっと見てから、由紀は立ち上がった。
多賀谷の顔を正面から見る
「この度は、せっかくお時間を頂いていたのに、
主人の面接をして頂くことができず、大変申し訳ございませんでした」
由紀は深々と頭を下げた。
立ち上がって頭を下げ続ける由紀を4人の男達は舐めるように見ていた。
この時、不躾にも携帯が鳴り響いた。
また副社長からだった。みんなへの伝言を一方的に捲し立てて、電話はすぐに切れた。
本当に私が言うのかよー・・・気が重かった。
私は立ちあがって、同じく立ったままの由紀の方を向いた。
「小倉さん!副社長からの伝言です。明日、9時半に副社長へ電話をしてください。
結果を伝えるそうです。結果によっては、来週もう一度、御主人の面接が行われます。
それから、小倉さん自身も、リストラ候補から完全に外されます。」
本来は、先日の平田達との一泊旅行の後、由紀はリストラ候補から外されたはずだった。
そういう約束だった。
それなのに、御主人が面接をばっくれただけで、あの時の約束が無しになってしまった。
こんなことを私の口から言うのは非常に辛かったが、由紀は既に副社長から聞かされていたようだった。
「それから、多賀谷さん!多賀谷さんにも副社長から伝言があります。
多賀谷さんは明日9時に電話をするようにとのことです。
多賀谷さんが○森駅前店の代表として、小倉さんを許すかどうかを副社長へ報告してください。
また、小倉さんが皆さんに、どのような、お詫びをしたかも、お聞きしたいそうです。」
多賀谷と由紀が「はい」と返事をした時
「まじかよ、ほんとかよ」等の小さい声が聞こえた。
それを聞いて、副社長が、この場で私から二人に伝えさせた理由が、なんとなく分かった。
恐らく4人に、由紀の惨状を知らせたかったのだ。
そして、もう一つ、由紀を救うも救わないも全ては、お前たち次第なのだとも伝えたかったのだ。
私は、副社長の伝言をここまでで終了とさせたかった。ここで終わらせても、全くもって自然なのだが、
あの人は、それを許してはくれなかった。
嫌だったが、仕方がない、私は意を決して背筋を伸ばした。
「本日、小倉さんは、皆さんの望むことは、”どんなこと”でも、してくれます。」
言った後で、私は縋るように由紀の方を見た。既に因果を含められていた由紀は、静かに頷いた。
それを見て、私は少し安心して話を続けた。
「例え、どんなことをしてでも皆様に償いがしたい!と、小倉さん本人が希望し、副社長が許可しました。
小倉さん!そういうことで、よろしいですね?」
由紀は、はっきりした声で「はい」と短く答えた。
「おおおおおおお!」「まじかよ!」「どんなことでもしちゃうのかああぁぁぁ」
4人の男達の盛り上がりに、かき消された由紀の小さな悲鳴を
私は聞き逃さなかった。
私は無断で付け加えることにした。
「ただし!今日のことは、副社長に頂いた儚い夢、明日以降は忘れるように!
もちろん他言も無用です。
では、これからは店長も副店長もなし!完全な無礼講として下さい!
以上、清水副社長からの伝言でした!」
副社長に命じられた仕事をなんとか終えることができた。
私が脱力するように椅子に座ると
それまで立ちっぱなしだった由紀も自然に腰を降ろした。
「座らなくていいでしょ!
電話で中断したけどさぁ、まだ謝罪の途中だったよねぇ?
こっちも、まだ許したわけじゃないしねぇ」
多賀谷の言葉を聞いて、由紀は、すっと立ち上がったが、少し遅かった。
この多賀谷の言葉が、他の3人の男達にとって文字どうりの”無礼講”となる切欠となってしまった。
それまで直属の上司を前にして、気おくれ気味だった3人に
まるで小さな穴一つ開いただけで堤防が決壊するかのように、多賀谷の言葉が、
3人の男達の遠慮、礼儀といったものを一気に失わさせてしまった。
多賀谷を含め4人全員が、まだ20代の若者だった。
そのような若者達が目をギラギラさせて、一人立ち尽くす34歳の由紀に
舌なめずりしていた。
「とりあえず、コート脱ごうよ」
「だよな!なに、コート着たまま謝ってんの!」
既に、4人から"敬語"というものが、なくなっていた。
由紀は黙ったまま、腹に巻かれたコートのベルトに手を掛けた。
しかし、ベルトを外す前に、矢継ぎ早に指示が飛んだ。
「そこだと下の方が見えないからさ、もっと机から離れて、入口の方に立ってよ」
「前から思ってたけど、いい脚してるよな?」
「最初にブーツから脱がすか」
「いや、ブーツが最後ってのも悪くないぞ。」
「店長!」多賀谷が叫んだ。
「まずブーツを脱いでくださいなぁ」
「”まず”ねw」
「そう、”まず”w」
由紀がブーツを脱ぐために、片膝を付くと
4人とも身を屈めて椅子から転げ落ちそうになりながら覗き込んだ。
由紀は無表情でブーツのファスナーを降ろし、片方ずつ脱いでいった。
「おおぉぉ、いいね、最高!」
「馬鹿か、まだ靴脱いだだけだぞw」
「たしかにぃw」
憧れの上司を裸に剥ける喜びで全員がご機嫌でハイテンションになっていた。
「店長!なんでもしてくれるんすよね??」
○○支店の若い男だった。耳にはピアスの穴がいくつも空いていた。
由紀は黙って頷いた。
「じゃあさ、スカート捲って綺麗なあんよ見せてよ。」
「お!いいね!いいね!それ行きましょ!」
「基本だよねぇ!けつまでちゃんとめくれよ」
由紀はスカートの裾に手を伸ばした。
「ちょっと待った!徐々に上げていこうよ?。そうそう、ゆっくりね。」
「コートが邪魔、コートも持って、一緒に捲ろうよ。」
「うっひゃ、いいね?♪」
太ももが徐々に露わになっていく様子に、
多賀谷も他の3人も、まるで童貞のように身を乗り出して、はしゃいでいた。
「やっぱ白かよw」
ベージュのパンスト越しに、パンツが顔を出した。
それでも由紀は、完全にパンツが露出するまでスカートを上げていった。
「パンスト越しのパンツって、エロいね?」
スカートを持つ由紀の手が少し震えた
「てぇんちょ、恥ずかしいぃぃいw」
「シャツがちょっと邪魔だなぁ」
言いながら、多賀谷は由紀の元へ行き、シャツの裾をまくり上げた。
純白のパンツがパンスト越しに丸出しになった。
『ゴクリ・・』
由紀のあまりの艶めかしさに
私も生唾を飲み込んだ。
「それにしても、いい脚してんなぁ。近くで見るとたまんないねぇ」
多賀谷は由紀の足元にしゃがみ込んで、
脛から太ももへ、ゆっくりと手を這わせてから、内腿を撫で回した。
由紀の太ももを堪能した多賀谷の手は、太ももから由紀の股間へ伸びていった。
「んんっ・・」
由紀の長いまつげが静かに伏せられた。
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