02月11

さ え ち ゃ ん 覚 醒

暴走族関係の話や暴力的な場面が出てくるので、苦手な方は飛ばしてください。フェイクいれてます。あと長いです。

私子…19
彼男…19、私子の彼氏
松男…19、彼男の友達
さえ(仮)…17、高校生、松男の彼女
かな(仮)…17、高校生、さえの親友

虎…彼男と松男が入っている暴走族のグループ
狼…虎と敵対するグループ

二年前から付き合っていた彼男は、DQNだが私子には優しくて大好きだった。私子が20歳になったら結婚しよう。と言われ有頂天!!どんどん彼男に染まっていった私子は夜の集まりにも参加しだし、見事なDQNへ転がり落ちていった。
今思えば恥ずかしい限りです。

彼男の親友に松男がいた。松男は優しくて顔もかっこよく、男気があるのでモテまくる。二人とも同じ高校で中退。ホモかと疑うくらい仲が良くて、同じ虎という暴走族に入っていた。

暴走族と言ってもバイク好きの集まりみたいなもので、比較的穏やかな感じだった。たまに狼というグループが喧嘩を吹っかけきて、彼男と松男があざつくって帰ってきたりしていた。

前置きはここまでです。

私「松男はそんなかっこいいのに彼女いないの?ホモなの?」
松「いるけど見せたくない。可愛いから見せたくない。」
私「連れて来い。可愛いなら連れて来い。」
そんな感じで次の集まりに松男の彼女が来ることになった。

さえ「さえです。松男君のお友達と仲良くなりたいです。よろしくお願いします!」

金曜日の夜中、バイクがブォンブォンなる広場に、天使こうりん

スタイル良くて黒髪さらさらでロリ顔の高校生に、当時の私子はすごい衝撃を受けたのを覚えている。清純派アイドルが好きだった私子のど真ん中クリーンヒットだった。

私「え?おかしくない?可愛すぎない?犯罪じゃない?」
松「可愛いだろう。ふわっふわだろう。犯罪だろう。」

いつも渋い顔をしている松男がデレデレ。さえは人と話すのが苦手なようで、松男が一方的に話しかけている印象をもった。

松男いわく「極度の恥ずかしがり屋で人見知り」らしいが、私子は必死で話しかけた。

私「さえちゃんっていうんだ!お姉さんね、あ、何か食べたいものある?寒くない?はい上着!こんな夜遅くに外出して大丈夫?危ないよ!危ないよ!!」

最初はきょどきょどしていたさえも天使の笑顔を見せてくれるようになり、ねえさんねえさんと慕ってくれるようになった。

さえは有名お嬢様校に通っていて、家庭もきちんとしているらしかった。

私「なんでさえちゃんは松男君と付き合ってるの?どこで知り合ったの?」
さ「松男君とは幼なじみなんです。学校がつらい時、いつも松男君が慰めてくれるんです。」
私「そうなんだ…松男優しいもんね。学校つらいの?」
さ「はい…昨日学校の窓ガラス割っちゃった時も、」
私「?(゜Д゜)」

私「さえちゃんは何が好きなの?」
さ「音楽が好きです!」
私「どんなのが好きなの?」
さ「ストーンズ!あと泥臭い邦楽が好きです!吐き気がするほど?ロマンチックだぜ?♪」
私「なにその歌w可愛いw」
私「?(゜Д゜)(検索後)」

見た目と真逆な破天荒な話で笑わせてくれる、グループの癒し的な存在になった。彼男、私子、松男、さえでよく遊んだ。彼男もさえを可愛がっているようで仲が良かった。

ある日の夕方、駅前で5人の女子高生に囲まれているさえを発見。

私「やっぱり制服も可愛い…」
松「だろ?だろ?あのスカートと革靴…たまらないだろ?」
彼「さっさと助けに行けこの変態どもが」
近づいて行くともう一人、さえの親友のかなも囲まれていた。

ブス1「あんたさっきちら見したよね?土下座しなよ」
ブス2「うちらにガンたれるとかなくな?い?なくなくな?い?」
ブス345「なくなくな?い」

ここでさえが私子たちが近づいて来るのに気づく。下を向いて何かしてると思っていたら、松男にメールが届く。「すみません私の問題なんで自分で解決します。口ださないで下さい。」

松「だってさ。」
私「だってさ。じゃない!さえちゃん危ない!助けに行く。」
松「まぁまぁここで見て危なくなったら俺らが行くから。」

その時はえ?と思ったが、とりあえず声が聞こえるくらいの位置で見守ることにした。

ブス「何余裕こいて携帯触ってんの?あんたバカァ?」
か「アスカか。」
さ「本当に、ちら見してないです。あなたたちが何を言っているのか分からないんですが。」
ブス「だからさぁ。傷ついたから謝ってって言ってんの。分かりましゅかぁ?」
か「さえ、もう帰ろう。この人たちおかしいよ!キチガイ相手にしたらだめだってば!」
ブ「あ?おまえ黙れよブス!」

ブス軍団がかなを突き飛ばした。しりもち着くかな。

その瞬間ブス1が吹き飛ぶ。自転車にぶつかってうずくまるブス。何が起こったのか分からなかった。
ブス2の襟元をつかんで倒しコンクリートに顔を押さえつけるさえ。あ、やばい。キレてる。

さ「謝ってください。早く謝ってください。」
か「さえ!さえ!さえちゃん!大丈夫!私大丈夫!」

さえの反撃が止まらない

慌てて止めに行く松男とポカーンとしている彼男。ちっていくブスたち。パニックなかな。緊張がとれて胃痙攣になるさえ。くの字にうずくまって泣いているさえを見てなぜか泣き出す私子。駅前カオス状態。

その後、虎の中でさえは一目おかれるようになり、さえファンも増えて穏やかな毎日を過ごしていた。

私「さえちゃんともうキスした?」
松「もっとオブラートに包んだ言い方はないのか」
私「さえちゃんとどこまで?」
松「…」

松男の話によれば、高校生とそういうことをするのは犯罪だし今はさえを大切にしたい気持ちが大きいので何もしていない。

松「したくないと言えば嘘になるけど。待つ。」
私「偉い!ただのロリコンかと思ってた。見直したぞ!」
松「…おまえこそ彼男と最近どうなんだよ。」

その頃、彼男からの連絡が減り私子は浮気を疑っていたが、バイトを増やしたという言葉を信じ、強く言えなかった。彼男は集まりにも参加しなくなった。

忘れもしないクリスマスの三日前。たまたまさえに会った。

松男の祖母は末期ガンで自宅療養をしていた。松男はおばあちゃん子で、いつも掃除やらなんやらを手伝いに行っていた。家が近所なのでさえのことも知っていて、さえ一人でもよくお見舞いに行っていた。

その日もプリンを作って持って行った帰りだと話していた。

さ「そういえば…最近よく知らない人から電話があって気持ち悪いんです。」
私「そうなの?心当たりは?」
さ「うーん…文句言おうと思って出たらハァハァって声がするんです。」
私「変態だそれ変態だ。着信拒否しなきゃだめだよ!」
さ「はい!」

夕方、雨に濡れた私子は早めのお風呂に入り、家でくつろいでいた。突然かなから着信。

か「さえと連絡とれないんですけど今どこか知りませんか?」
私「え?二時間前くらいに会ったよ。」
か「映画見に行く約束してたのに…どうしたんだろ。」
私子、非常に悪い予感がする。松男に電話。松男が出ない!!急いで着替えて駅にいるかなと合流。

か「さえからメール!!」
私「なんて?!」

「花火怒られた倉庫」

続けてもう一通送られてきた。

「あぶないかなくるな松男君よんで」
私・か「…」

かなを無理やり帰らせ、虎の仲間に連絡をとる。夏に花火をして警察に怒られた場所の近くにある倉庫。ドラマのような場所にみんなで向かう。松男とはまだ連絡がつかない。

重い扉を開けると、これまたドラマのようにしばられたさえと狼の数人、そして彼男。

私「!?彼男何してんの?あ、先にきてたの?」
あほな私子はまだ彼男が助けに来てくれていたと思っていた。

ここから彼男のターン
ずっと松男が嫌いだった。少し顔がいいからってみんなちやほやするのはおかしい。あいつは偽善者だ!俺のほうが頭もいいし人脈もある!なのにどうしてあいつは処女と付き合えて俺の彼女はヤリマンなんだ(私子は彼男が二人目)
俺はさえが好きだし、さえも俺が好きなのに松男に騙されてる。みんなで狼にうつって一緒に松男を倒そう!

こんなことをひたすら叫んでいた。こんな奴を好きだったなんて…とショックを受ける私子。

私「松男と仲良かったし、高校からの友達でしょ?もういいから早くさえちゃん離してよ!」
彼「あいつ俺がちくったから高校辞めさせられたんだぜ。引ったくりしたの見たって言ってやったwざまぁみろw」

さ「ふざけないでください!」さ「松男君がどれだけ高校楽しかったか。辞めたくなかったか。いつもいつも話してくれるのに。くず人間!人間くず!」

さえちゃん覚醒

彼「もう可愛いなwさえは俺の彼女なんだからw黙れw」

彼男、目がイっちゃってました。虎のみんなぶちキレ。狼とこれまたドラマみたいな殴り合いになる。私子、急いでさえを助けようとするが、彼男がさえを引っ張る。

私「さえちゃんに変な電話してたのも彼男でしょ!」
彼「ラブコールだしw」
さ「あなた本当に気持ち悪い。私子さんに申し訳ないと思わないんですか?いい歳して恥ずかしくないんですか?」
彼「だまれ!!!」

殴られるさえ。応援に来てくれた虎の仲間たちにぼこぼこにされる彼男。狼グループがみんな逃げていき、ぐるぐる巻きにされた彼男と虎グループ15人くらいが残った。

彼「離せ!松男はどこだ!俺はそそのかされたんだ!」
虎「さえちゃん、煮るなり焼くなり、どうにでもどうぞ。」
さ「いえ、暴力じゃ何も解決しません。」

パシッ!平手打ちの音が響く。

さ「松男君はどこですか?」
彼「俺本当に知らないって!」

パシッ!

さ「松男君はどこですか?」
彼「本当だって!俺も電話で呼び出そうとしたけど出ないんだって!」

パシッ!パシーン!

さ「松男君が来ないわけない。今どこにいるんですか?」
彼「本当に知らないって!逃げたんじゃねw俺が怖くてw」

彼男は本当に知らないみたいなのでさえを止める。とりあえず解散し、彼男には二度と私子たちに関わるなと釘をさしておいた。

次の日の夕方、やっと松男と連絡がとれた。
私「なんで昨日電話に出なかったの?大変だったんだよ!!」
松「え?何が?」

事情を聞けば、さえが松男の祖母のお見舞いから帰ったあと松男もお見舞いへ→祖母が倒れる→病院→危篤状態
携帯の電源も切った状態だったらしい。
昨日のことを泣きながら話す私子。とりあえず会うことになり、喫茶店へ。

私「本当にごめんなさい。」
松「いや私子が謝ることじゃないって。みんな彼男の被害者だし。あいつは一生許さない。」
私「あ!さえちゃん、松男が来なかったからまだ心配してるよ!呼んで事情話そう!」
松「…いや、考えたんだけど、祖母のことは黙っておいてほしい。」

その場に行けなかった事実は変わらないから。という松男らしい答えだった。

その後、ぎくしゃくした関係に耐えられなくなり、さえが別れを切り出し破局。「もう彼氏は一生いらない」と泣くさえを見て、小説のようにうまくはいかないんだと私子も号泣。

長いのに最後まで読んでくれてありがとう。3年前のことなのに昨日あったみたいに覚えてる。そして今だに後悔してます。

松男は親戚の仕事を手伝いに千葉へ。私子は大学を受け直すため浪人中。彼男は知りません。さえは無事大学に入り関西へ。今でも仲が良くて電話したら嬉しそうに近況を話してくれます。

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