俺が学生時代にガソリンスタンドでばいとしてた時の話。
とーぜんながら客には手を出しちゃイケネっつうのがGSマン一般のモラル。
俺もその事はよーくわかってた。
俺はイケメンでもないが、そんなにブサイクってわけでもないかな。
ま、自己評価で中の中って所でつか。
尻の軽いナンパ男、っつうわけでもなく
かといって奥手で暗いって感じでもなく
ま、性格もちょっと硬派な(を装った)中の中ってところかな。
中年のおじさん、おばさんには人気よかったよ。
俺は当時彼女もいなくて
強いて言えば通勤用の原チャがよき相棒(彼女)だった。(涙)
客に手を出しちゃイケネっつう暗黙の決め事があったのが大前提で
個人的に気に入ってるおねーちゃんは何人かいた。
っがまーナンパするほど軽い男でもないし
学生だからデートに費やすほどのお金もないしね。
決まりは決まりだし。
そんなある日、気に入ってるおねーちゃん客の1人から
『今、ヒマですか?』って聞かれた。
『(をいをいいきなり逆ナンかよ汁)』って心の中で思いながら
『えぇっとぉ・・・今仕事中ですけど?(見てのとおり?)』っと答えると
『お店のことよ、ププ』って笑われた。
『(ん?)』
『洗車してほしいんだけど』
『(なんだそういうことか。)』(お前タダの早とちりのアフォ)
(実は逆ナンは数回あった。ま、この話はまたの機会に。)
で普通にワックス洗車(機械でぐるぐるするやつね)した。
洗車機に通した後、おおかた拭き上がり
さて中に掃除機を掛けようとしたころ
『ちょっとだけ急いでるの、中はもういいわ』っとおねーちゃん
『あ、そうですか?』
超ヒマだったし、外身だけなんで大して働いたわけでもなかったんで
常連さんだったし、なにしろお気に入りのおねーちゃんだったので
『あ、もうガソリン代だけでいいっすよ。』って
所長も見ていなかったみたいなんで、サービスサービス。
『そう?サンキュ!ありがとっ!』
『急いでるって、今からデートとかですか?笑』っと冗談交じりに探りを入れながらな。(笑)
ニコっと笑顔でスルーされたわけであるがぁ(凹)
数週間後
またそのおねーちゃん
『こないだはありがとっ!』
『いぃえぇ。所長には内緒ですよ。面倒だから、あの人。』
『今度はお金もらいますから(笑)』
っと言いながら給油を始めた。
『ここ何時までやってるの?』
『8時(20時)です。』
『あ、じゃぁもうちょっとなんだね。』
『です。』
『こないだの洗車のお礼に、ご飯食べに行かない?』
をっ!ココで逆ナンじゃんっ!(ヤリ!)
『あ?、でもご飯おごってもらってたら、サービスにした意味ないですよ。笑』
っとか
ほんとはイキテイキテ!って思ってる本心とは裏腹に、硬派を演じるアフォな俺
『いいよいいよ、気持ちだよ。』っとやさすぃおねーちゃん。
話しの後半を聞いてた(らしい)所長が
『をいM(俺)!言ってこいよ(ニヤ)』っと冷やかす
あっぶねー、こないだのサービス洗車がバレるところだったよ。
(ま、現行犯じゃなきゃまず怒られないが)
『いやまー気持ちはすごい嬉しいですけど、俺、車もないし(ダっさ)』
『あたしのに乗っていけばイーじゃん』
『でも、デートっぽくて彼氏とかに見られたらヤバくありません?』
っと聞いてみる。
先日スルーされた質問を巧みに織り交ぜながら。(笑)
『ちょっと嫌味ぃ?あたし彼氏いないんだけど。』
『そぉなんっすか?っつかまぁ見た目だけじゃ判断できないですからね。』
『ここに一緒に来たこともないでしょう?』
そういわれてみればそうだ。
『M君は?彼女がいるから迷惑ですか?』
うおぉっと、探り返されてるがな。
『いや、彼女はいないんですが・・』
っと怯んだ隙に
『っじゃ問題ないじゃぁん。決定いこいこ!待ってるね。』
もう完全におねーちゃんのペース。
なんかちと強引なこのおねーちゃんに少し戸惑ったが
別にバイト後の用事があるわけでもなかったので
このおねーちゃんの気が済むなら、っとも思い、OKすることにした。
GSの暗黙ルールや自分の妙なポリシー(なんちゃって硬派の)を除けば
逆に行きたくない理由なんて見つからないしな。
第一お気に入りだし。(笑)
やがて閉店。
精算処理があったが所長が(余計な)気を使って帰らせてくれた。
『で、どこに行く?何食べたい?』っとおねーちゃん
『あー・・・何でもいいですよ。(いちばん男らしくない答え)』
『(うが)あいや、安いもんでいいですよ。ラーメンとか。』慌てて答えなおす。
『えぇ?初めての女の子とのデートでラーメン?』
『あの、すんません、一応気ぃ使ってるつもりなんですけど(お値段)』
『っじゃ何処でもいいのね!イタリアンいこっ!』
もう、完全におねーちゃんのペース
やがて店に着き、4人用テーブルに向かい合って座る。
当時はタバコも吸ってなかったなー(おこちゃまおこちゃま)
『何食べる?』
『なんで・・・あ、いや・・・えっと、ちょっと待って、ペペロンチーノで(お値段)』
『だけ?前菜とか?ワインとかは?』
『あ、いや、もう、あの、お任せしまっす。』(完全駄目男)
なんだか引っ張ってこられて、完全におねーちゃんのペースだったが
まー駄目男なところ見られたってさ
しょせん他人のおねーちゃんじゃん。彼氏彼女じゃないんだしさ。
別にかっこつけなくても自然体でいいんじゃないの?
と自分自身に言いながら、少し頭を冷やす。
客のおねーちゃんと初めて出掛けて今、向かい合わせで座ってる。
傍から見れば普通の恋人同士なんだろうなぁ・・・
なんか出会いってこういうもんなんかなー
なんてちょっと考えてみる。
他愛もない話をした。
『M君はいくつなの?』
『学生さん?』
『おねーさんはいくつ?』
『何してる人なんですか?』
もぉ、傍から会話を聞かれたら
明らかに今日ナンパで知りあったんですかお二人さん?状態の会話だったが・・・
おねーさんは俺より6つも年上の看護士さんであることがわかった。
俺は年上のおねーちゃんタイプが大好きだったので、萌えた。
そんなに上だと思ってなかったし、年上と聞いただけで、母性を感じちゃうんだから不思議なもんだ。
さらに看護士、白衣の天使!っていうシチュエーションが(俺の勝手な妄想)余計に母性へと繋がった。
おねーちゃんは高校時代からその道(看護士の)に進み、男にあまり縁がなかったそうだ。
おぉっとおねーちゃんはそーだなー
大塚寧々(は言い過ぎだが)みたいな容姿。
ストレートのセミロング、ちょっとだけ茶色。
顔も小さくてもろ俺好み。
スポーツ好きなんだってさ。
性格は真反対で(大塚寧々の性格を知らないが)
松下由樹みたいな感じ?(松下由樹の性格も知らないが)
あの水10ココリコミラクルタイプみたいなさ!あんなタイプ。わかるわかる?
俺はといえば、タダの学生なので、社会にもまだ揉まれてもなくて
まー平々凡々と今に至りましたと言うしかなく、話題が貧困だった。
スポーツも駄目だし、タダのメカキチオタク。
『おねーさんはどんな人がタイプなんですか?』っとありきたりな質問をした。
『そうねぇ、年上で、背が高くて、物知りで、車の運転がうまくて・・・』
ど・ど・ど・・・どれもあてはまらねぇ(大汗)
っつかこのおねーちゃん、俺のこと完全拒否してる?(自爆)
っつうくらいの話で
けど、お互いの恋の話(数少ない?)や、学生時代の話、職場の話なんかで
結局気が付いたらお店のオーダーストップ(PM11:00)がやってきた。
初対面の(厳密には違うが)相手にしてはずいぶんと長い時間話した。
楽しい時間だった。
おねーちゃんの事が色々と分かったし、俺のことも話した。
すっごく楽しすぎるぐらい楽しかった、っつうわけでもなかったが
有意義で楽しい時間だった。
帰りにガソリンスタンドまで送ってもらった。
『M君、面白い子だね。』
おねーちゃんからすれば6つ年下のボクちゃん。
その短い言葉に、そんな意味合いが感じ取れた。
『子』っつう言葉が非常に俺の中で引っかかった。
『そう?』っと俺。
初めて俺はいつからか敬語(接客言葉)から友達言葉になっていることに気づいた。
いや、おねーちゃんにおこちゃまと見下されてる俺の、心の何処かのスイッチが入ったのかもしれない。
『普段の会話って、いらっしゃいませ、ありがとうございました、くらいだし。』
『そーいえばそーねー。M君の窓拭きとか、あたし、好きよ。(笑)』
『えぇ?どーゆーこと?』
『動きがねぇ、こう・・(数秒)・か』
そこまで言った口を塞ぐように俺は助手席から乗り出して
おねーちゃんにキスをした。
翌日が近くなった田舎のガソリンスタンド。
既に真っ暗で、表の通りもなく
静か過ぎるくらい物静かで、窓から見える星空はとてもきれいだった。
少しだけ窓を開けると、心地よい風の吹き込んでくる春だった。
おねーちゃんは俺のキスに一瞬驚いたようだったが
決して拒んではいなかった。
それをいいことに、俺は少し長めのキスをした。
軽くだけど、長い・・・
そして俺はおねーちゃんを抱きしめた。
ちょっと体勢はつらかったんだが・・・(笑)
少し経ってから、おねーちゃんも俺の腰に手を回した。
今日初めて一緒に出かけたただの従業員と客だった俺たち。
決してロマンチックのかけらもない場所だけど
出会ったこの場所で、ぎゅうっと抱きしめ合った。
『かわいいって言いたかったんだろ?』しばらくして俺。
『うん。何で分かったの?(笑)』
『だって、よくかわいいって言われる』(涙)
『そう。』
『かわいいか?』
返事を待たずに俺はもう一回キスをした。
後日
即日キス&熱い抱擁を交わした二人だったが
後日とーぜんながら(?)おねーちゃんに謝った。
『ごめんなさい』(駄目男)
流石に早すぎ!早すぎたよ!
あやまるんならスンナ、って感じですが
でも今まで俺が即日キスなんて、自分でも考えられなかった。
そう考えると俺は結構奥手な方なのかも。
好きになって付き合ってキスするまで半年は掛かってた。(過去統計)
もう、冷静になると平に謝るしかなくてね。(情けない)
んで結局、数回デートを重ねてめでたくお付き合いをする事となった。
どーでもおねーちゃんは、当時数人の男に俺同様に(?)思わせぶりな態度をとっていたことが判明し(寒)
その内の何人かから言い寄られたそうな。
後で知った悲しい事実だったが、結局俺を選んでくれたんだから結果はオーライ。
でも、ご想像の通りそういう出会い、そういう相手だから、終わりも遠くはなかった。
そして終われば客としてももう来なくなっていた。
だから客をナンパしてはいけないのだ。(振り出しに戻る)
さらに後日(数ヵ月後)
突然俺のポケベルが鳴った。(そういう時代ね)
S美(ココで初めておねーちゃんの名前)だ。
俺は男にしては未練を引きずるタイプだと思う。
っが数ヶ月経っていたので、妙な(不要な)プライドの高い俺は
舌を出して飢えた犬のようにS美に電話することはしなかった。
そう、無視した。(もったいねー?)
明日はバレンタインかー
そう思いながら家路に着くと、玄関先に見慣れた黒いハッチバックが停まってた。
S美だ。
流石に車の中にいるとはいえ無視して通る根性もないので
『久しぶりだな。なんか用?』
っと、声を掛けた。
また不必要に突き放す俺。(ばかばか)
『ううん・・・別に』
『でも、ちょっとだけイイ?』
『ん?まぁイイけど』
久しぶりにS美の助手席で出掛けた。
俺は一言も話さなかった。
何処に行くとも言うわけでもなく、S美はどこかに向かっていた。
無言のまま数十分が過ぎた。
俺のポケベルが鳴った。
K(男友達)からだった。
『女からだ、電話のところで車停めてくれない?』(無駄な抵抗)
『彼女?』
俺は無視した。
彼女なんかいるわけけない。
俺はまだS美のことを忘れられてはいなかった。
黙ったまま俺は電話しに車を出る。
『今、何してんだ?』っとK
KにはS美との経緯をほとんど話した仲だ。
だが数ヶ月前に別れたS美と一緒にいると言い出せず
『いや、特に何も・・・』
『その後S美とはどうなったんだ?結局顔も見ないままだったけど』
突然Kがそう切り出した。
まるでS美と今一緒にいることを察知したかのように。
『うん、そうだったな、お前には会わせる間もなく終わってしまった。』
『すまん、そんなつもりじゃ・・・』
『いや、いいんだ。未練がましいようだが、写真でも持っていこうか?』
っと冗談の意味を込めて俺は言った。
『そうだな、見てみたいな。』っとKは言った。
電話を切り車に戻った。
『行くあてあるの?』っとS美に聞いた。
『あるような、ないような・・・』
いつものS美らしくない弱々しい声だった。
それを気遣わないかのように俺は
『だったら○○(友人宅近くのコンビニ)まで行ってくれない?』
『あたしに、彼女のところまで送らせていくつもりぃ?』
とS美は精一杯笑いながら言った。
なんだか、少し切なくなったので
『どうかな』
と、多分今日はじめてS美に対してニヤついて見せた。
やがて○○に着いた。
Kが待っていた。
原チャでくると思ってたKは黒いハッチバックが俺(達)だって分かっていないようだ。
『よう!』
『よう?Mか?』
『写真もってきたぞ!』
Kはそれどころじゃない様子。
『どした?』
『いや、誰?(と一緒に来た?)』
『あーすまん、写真見つからなかったんで、連れてきた。』
と冗談をかました。
それから三人で走り出した。
とはいえあてもないので近くの公園の脇に車を止めた。
『こんばんわ、はじめまして』
一通り挨拶を交わしたあとは3人とも無言だった。
この状況に耐え切れなくなったKは
『俺、歩いて帰るわ』と言い出した。
『いや、別にいいよ。』
『いいってもなぁ』
『俺、ジュースかって来るわ。みんなコーヒーでいいか?』
自分自身が一番最初にそこから逃げ出してしまった。
ジュースを手に車に帰った。
KとS美は話しをしているようだ。
ドアを開けると直ぐに
『っな?お前まだ彼女いないよな?』っとK。
そんな話だろうと思いましたよ。
『あぁ』っと俺は答えた。
『S美さんは・』
『もういい』
Kが続けようとしているのを俺が遮った。
『悪いけどやっぱ歩いて帰れ、コーヒーもって。ほら。』(酷)
俺はその先の言葉を聞くのが怖かっただけなんだ。
『S美さんはお前とやり直したいんだって』
というのかもしれない。
『S美さんは彼氏ができたのを報告しにきたんだってさ』
って言うのかもしれない。
俺にはどっちでもいい。
卑怯で自分勝手なやつなんだ。
不要なプライドの取り払えないちっちゃい男なんだ。(当時)
でも本心はやり直してもいいと思ってる。
S美と別れたのは、S美から別れようって言ってきた。
それもまったく俺にとったら理不尽な理由で。(浮気とかじゃないが)
俺にはどっちでもいい。
やり直そう、って簡単にハイOKっ言える心境でもなければ
新しくできた彼氏の報告を、ハイそうですか、って受け入れられるだけの懐の広さもない。
あるいはまったく別なことを言ったのかもしれない。
もういいんだ。俺は。
少なくともKからはどの言葉にせよ聞きたくなかった。
何か言いたいことがあるなら、S美の口から直接聞きたかった。
Kを追い払った。(今ゴメ)
S美に会ったはまだ夕暮れ時だったが、辺りはすっかり真っ暗になっていた。
『さっき、どこかに向かってたんじゃないの?』と俺は冷静を装って言った。
『うん』
そういい、S美はゆっくりと車を走らせた。
数十分の沈黙。
やがて、昔何度もデートを重ねた砂浜に着いた。
暫くして
『ほんと久しぶりだな、元気だった?』と俺が先に話し始めた。
『うん。まあ。』
『Mは?』
『まぁまぁかな、一旦人間不信に陥ったけど(お前のせいで)』
っと笑いながら言った。
『彼氏は?』
『そんなすぐにできないよー』
『そーかなー』っと思わせぶりな返事をする
『Mは?』少し真剣そうな顔になってS美が聞いた。
『いないよ。』茶化したらいけないと思いまじめに答えた。
『よかったー。明日バレンタインだからさー』
そうか、そうだった。
『あ、それで持ってきてくれたんだ?』
バレンタインにチョコレートを持ってきてくれるって事は
ひょっとしてひょっとするのか
『っつか、明日が本命さん、って事か?』
『そーゆーわけじゃないよ。ホントに違う。』
なんだか泣きそうなS美を見てると、とても愛おしくなった。
あんなに強気でわが道ペースだったS美なのに。
その自分のペースで一方的に別れを持ち出したのに。
そんなS美の姿は今、何処にも見当たらなかった。
この間こいつにも色々とあったんだろう。
俺は察した。(つもり)
俺は黙ってS美を抱きしめた。
月明かりの中、折れるほど強く抱きしめてやった。
そしてその後キスをした。
今度は燃えるように激しく・・・長い
シャンプーの香りも、ファンデーションの香りも
触れた肌も、柔らかい唇も、当たる鼻も、握り締めた手も
全てS美だった
最後にS美として以来のキスは
言葉では言い表せないくらいとても気持ちよかった。
『何でだ?』
『わかんない・・・あたし』
『ん・(わかった)』俺はたまらなくなりS美をまたキスで止めた。
波の聞こえる砂浜の月明かりの中、二人は始めてひとつになった。
さらに後日談
結局最後はまた別れちゃいました。(涙)
今はお互いに子持ちの身。
時々電話やメールしてるけどね!ウフ。
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