朝起きたら、驚いたことにオレがもう一人増えていた。
え? 夢でも見てるのかって? まぁ普通そう言うよな。オレだってそう思ったもの。
昨日、彼女である瑞希と1週間ぶりのお泊まり、ってことで溜まりまくっていたオレたちはまさに猿みたいにヤリまくって、そんでそのまま爆睡してしまった。
で、今日目が覚めたら、オレの隣に可愛い寝顔の瑞希、そしてその向こうにもう一人のオレが馬鹿面晒して寝こけている。なんだこれは。
「おい、瑞希、瑞希……」
ショートカットの髪がよく似合うくるっとした顔の瑞希を、揺すって起こす。
「んー。何……。ごめ、もうこれ以上食べれない」
定番のボケはいいって。起きてくれ。
「んぁーっ。何?」
ようやく起きた瑞希は半分寝ぼけながら身体を起こすとオレに向かってしなだれかかってきた。Eカップの爆乳の感触が心地よいけどそんなこと考えてる場合じゃない。
「頼む、起きてくれ、なんかよう分からんけどオレがもう一人いるんだよ」
動揺してるせいか素の関西弁と標準語がまぜこぜになってしまう。
「ほへ? 何言ってんの?」
よく寝てるところを起こされて訳の分からんことを言われたせいか、瑞希の口調に険しいものが混じるのが分かった。
「隣、隣」
なんか、志村ー、後ろ後ろ、みたいなことを言いながら瑞希の隣を指さして確認させる。
「何言ってん……はぁ?」
瞬時に目を丸くした瑞希はそのままの表情で何度もオレともう一人のオレを見比べ、
「えーっ、何、何なの、ねえ? なんなのこれ?」
と何度も口走った。いや、オレに言われても知らんがな。
やがて、瑞希はおそるおそるもう一人のオレを揺すって起こし始めた。
「あのー、もしもし、おーい」
終電で寝ちまった酔っぱらいを起こす口調で、瑞希が呼びかける。
「ふぁぁぁぁぁぁっ。何やねん、朝から……」
べたべたの関西弁、発する声は間違いなくオレ。もうわけわかんない。
眠そうに目をこすりながらのろのろと身を起こしたもう一人のオレは、うなりながら背筋を伸ばした後、まず瑞希、そしてオレを見て目をまん丸に開いた。すげえ間抜けな顔だ。
「はあ? 何やねん、お前? なんでおんねん」
いや、それ言いたいのオレだから。
瑞希と同じリアクションの後、オレとオレは確認するように名前と生年月日、などなど個人情報やなんかを言い合う。
「名前は? あ、ちょっと待て、同時にな。良いか? せーの」
息ぴったり、双子みたい。
「「松永、伸」」
ぴったしハモってる。うはぁー。
その他の生年月日とか実家の住所とか、あと絶対本人でなきゃ知らないような秘密の話までオレとオレの話はぴったり一致した。嘘だろ。
「ふーん。伸ちゃんってニューハーフの人ナンパしたことあるんだぁ?」
マジ顔で割り込む瑞希の声に二人してビビりまくる。
「いやいやいや、瑞希と付き合う前だって……」
「そうそうそう。しかもあの時酔うてたしやな」
まさに異口同音で弁解するオレたち。
「それにさ、ホテル行って正体に気付いて」
「そうやん、だって目の前にオレよかデカイ見慣れたもんがぶらーん、ってしてるからやなぁ、すぐ逃げたんやから、未遂やん」
などなど必死に二人で弁解していると瑞希がぷっと吹き出した。そのまま爆笑してやがる。
「「笑うなよ」」
またもやハモり。なんなんだこれは。
「あはあは……もぉやめて、死んじゃう」
瑞希はパンツ一枚で腹を抱えて涙まで流しながら笑ってやがる。ムカつく。
オレとオレは目と目で合図を交わした。どうやらもう一人のオレもちょっとムカついたらしい。
「じゃあ」
「ほんなら」
オレとオレは瑞希の上半身と下半身にそれぞれ回り込んだ。
「「昨日の晩に引き続き今日も死んでもらおうっかなぁ」」
またハモった。もうどうでもいいや。
もう一人のオレは笑い転げる瑞希の背後に回るようにして、その爆乳Eカップをむんずと掴んで、そしてふにふにと揉みはじめた。揉みながら、同時に首筋に舌を這わせて舐めまくる。
「っひゃ……んっ、やだ、ちょ……あはっ、やぁん……」
笑ってんのか何なのか分からぬ声を上げながら、瑞希が身もだえし始める。うーん。エロ過ぎる。
もう一人のオレの手から溢れんばかりになった瑞希のFカップは、刺激のせいか早くも乳首がつんと尖り、それに目ざとく目をつけたオレは指先でその固くしこりはじめた乳首を転がし、つまんで、を笑っちゃうような動きでいじり回している。
「やっ……だ、伸ちゃ……んっ、あぁんっ」
身をくねらせた瑞希はすでに欲情しきった顔になっていた。その白い頬を淡いピンクに染めて、ぷるんとした唇を半開きにして、呼吸を荒くしている。
いやいやいや。見とれてる場合じゃない。
エロ過ぎる光景にすでにオレの分身、下半身の方ね、は朝立ちどころじゃないレベルで主張をはじめていた。
くねくねとうごめき、曲がったり伸びたりしている瑞希の脚をオレは押さえつけた。
頬擦りするように唇を這わせて、瑞希の脚にキスの雨を降らせていく。強弱をつけ、音を立てて吸い付く。
「えっ……、あっ、あーんっ、だめぇ、そんな……っ」
上半身と下半身を同時に責め立てられて、瑞希は困惑混じりの悲鳴をあげた。
同時に、オレは瑞希の股間に手のひらを滑り込ませて、ぐりぐりと押しつけるようにして、そこをなぞる。
柔らかな下腹部の感触と、むんとした熱気がこもる感覚。何の飾り気もない綿生地のパンツがこんなにエロく感じるとはオレも想像できなかった。
オレがなぞったおかげで、くっきりと張り付いたその部分が、湿り気を帯びた感触になるまでそう時間はかからなかった。
くねくねとうごめく腰が、一瞬ビクン、と鋭く震える。
「ッ……、んんぅっ」
瑞希の声がくぐもったものに変わった。ちらりと上半身に視線をやると、なんともう一人のオレはいつの間にか瑞希にフェラさせてやがる。何ーっ!
瑞希の横にひざまずき、顔をそっちに向かせてしゃぶらせてやがる、くそっ。
「んっ……、気持ちええ……めっちゃええ」
もう一人のオレのうめきが聞こえる。別にオレに聞かせるためってわけじゃないんだろうけど、なんか違う意味でムカつく。
オレは頭に来てすでに染みができた瑞希のパンツを脱がせにかかった。くるくる……と巻くように下ろして、脚を引き抜く。片脚だけでいい。
その瞬間、昨日の情事の残り香がむんとした空気とともにオレの鼻をくすぐる。それだけでもうたまらない。
両脚をぐわっと開脚させて、オレは瑞希のそこに顔を近づけた。年の割に淡いアンダーヘアと、すでにぱっくりと開ききったその部分はぬらぬらと鈍く光っている。
上の方、アンダーヘアと混じり合うようになった亀裂の上端に、白っぽく光る瑞希のクリがくっきりと見えた。うはぁ。
オレは指でかき分けるようにしながら、そこに舌先を這わせた。つついて、転がして、そして押し込んでから弾く。
「ふんぅぅん、ンーッ、ン、ン、んぁっ、んんっ」
湧き起こる快感にびくびくと身体を震わせ、フェラしてる唇からもう一人のオレの分身を吐き出しそうになりながら、それでもフェラを続ける瑞希の苦悶のうめきが聞こえる。まだまだ、こんなもんじゃ終わらない。
クリをねぶり、舌先で転がしながら、オレは瑞希のたぎりきった亀裂に指を挿入した。ぷちゅぅ、という感じで淫液を溢れさせ、締め付ける暖かな瑞希の肉壁をえぐるように、ぐねぐねと優しく動かして瑞希の一番感じるあたりを指の腹で探る。
「んっ、んんっ、んぐぅ……っ!」
股間に埋められたオレの頭を、快感に我を忘れた瑞希の太ももがぎゅぎゅっと締め上げるように閉じてくる。
「んぁっ、ふはぁっ……、やだ、ダメ、ああ、あーっ」
そんな抵抗などものともしないオレの責めに屈して、瑞希はもう一人のオレの分身を吐き出し、よだれの糸を吐きながら歓喜の悲鳴をその可愛い唇からこぼした。背筋をびんと伸ばし身体が硬直する。
ビク、ビクビクッ、と小刻みに身体を震わせ、そして声にならぬ声を漏らしながら頂点に達するのが分かった。
二人のオレに同時に責められるという異常な状況に興奮したのか、いつもよりイクのが早い。濡れ方もただごとではなく、まさにぐちょぐちょ。エロマンガ並み。
なんだかよく分かんないけど、変な笑いがこみ上げてくる。もう一人のオレもそうだったらしく、二人顔を見合わせてにやりとしてしまう。
オレはくたっとなってる瑞希の身体をごろんと転がすと、四つんばいにさせた。つるんとした白い瑞希のお尻のボリュームに目が奪われる。
布団の横に無造作に転がっているゴムの包みを一つ取り、口で破って開ける。慌ただしく装着すると、オレはぱっくりと開いて淫らな光景を露わにしている瑞希のその部分に自分の分身をあてがった。ぷっくりした尻の肉を掴むように抱えながら、ゆっくりと押し込んでいく。
濡れすぎて抵抗感のかけらもないそこに、オレの分身はするんと納められ、そして奥まで一気に押し込まれた。
「……んん、ぁんっ」
半気絶状態の瑞希の口から、かすかに声が漏れる。オレのいつものパターンだが、すぐにがんがんいかない。じっくりと、奥底を探るようにぐっ、ぐっ、と押し込んでえぐる。
「ふぁぅんっ、あっ、あっ、あぁっ……」
ぎゅぎゅ……と瑞希の中がうごめき、吸い込むようにオレの分身をくわえ込む。甘さを漂わせた瑞希の嬌声が、オレのじんわりとした動きとシンクロするように少しづつ漏れていく。
もう一人のオレは、というと、もちろんそれをぼおっと見ているはずもない。
「ほら……瑞希……。ほら」
優しい口調で瑞希の顔の前に分身を突き出し、そして半開きになった唇にあてがって、押し込んだのが見えた。
「っ、ふぅ……ん、んくっ」
瑞希もそれを抵抗無く受け入れた。しゃぶるかすかな音がこぼれだした。
四つんばいになった瑞希を挟んで、オレとオレは二人でちらりと顔を見合わせて、そして容赦なく前後から瑞希を責め立てた。
オレが後ろから、強弱とそしてテンポを変えて、突き上げてはくねらせる。
「ンぐっ、ん、ん、はんっ、んんーっ」
もう一人のオレも、快感に負け、フェラを止めて吐き出しそうになる瑞希の動きに合わせて腰を動かし、それでいて苦しくないように己の分身をあてがっていく。
正に息ぴったり。これ以上ないコンビネーションでオレたちは瑞希の官能を翻弄して、そしてどんどんと高ぶらせていく。
絶妙な責めに瑞希は完全に溺れきっていた。時折鋭く身体を震わせ、そしてくぐもったうめきとともに小刻みに身体と、そしてオレの分身をくわえ込んでいる肉壺をひくつかせる。
またしてもあっという間に、瑞希は頂点に達していた。最初、短い間隔で小さく何度か達した後、口の中に納められたもう一人のオレの分身を吸い込みながら、鋭く身体をビクンッ、と震わせて脱力した。無論オレたちはまだまだイキそうもない。
オレとオレはそんな瑞希に構わず、責めを続行した。ぐたっとなった瑞希を、引き続き前後から責め立てる。
「ん、あっ、イキそ……」
異常なシチュエーションについにオレも陥落してしまった。放尿するときにも似た、しかし噴き出るような放出感とともに、オレはびくびくと身体を震わせて達した。
もう一人のオレもそうだったようで、慌てて瑞希の口から分身を抜き出す。まだイクつもりはなかったのか、情けない声とともにぽろん、と吐き出させた分身を自分で握りしめる、
だが、間に合わず、もう一人のオレは勢いよく分身から白いものを噴き出させ、そして瑞希の顔に浴びせかけた。あーあ。
自分が発射する瞬間をまじまじと見ながら、オレはもう一人のオレのなんとも締まらない顔を見て笑いそうになった。うーん、顔射なんてAVでしか見たこと無いぞ。そりゃそうか。
瑞希から分身を引き抜き、そばにあったティッシュで包み込んで処理する。うへえ、昨日アレだけヤッたのに、大量のナニで溢れんばかりになったゴムを見て自分自身であきれかえる。
しかも、オレの分身はまだまだ臨戦態勢を保っていて、反り返ったナニの元気さに再度呆れる。
「ほれよっ」
オレはティッシュの箱をちんこ握りしめたままのオレに渡した。
「あ、ごめんごめん」
もう一人のオレは慌ててティッシュでちんこを拭い、そして自分が放出したものでべとべとになった瑞希の顔をティッシュできれいに拭き取っていた。
「ンーッ、もぉ、顔にかけないでよ……」
正気を取り戻したらしい瑞希がぷんぷん怒りながらもう一人のオレからティッシュを奪い取った。
「どうせならお口に出してくれればよかったのに」
「ごめん、イクつもり無かったんやけど……つい」
へこへこと謝るオレ。情けねーっ。
「でも気持ち良かった、だろ?」
オレが助け船を出すと、瑞希は口を尖らせてオレに向き直った。
「そういう問題じゃないでしょ! 大体、ずるいよ、二人いるからって二人がかりなんて」
あんだけアンアン言ってたくせに。女ってのはこれだから。
「お前がウケすぎるからだよ。でも、オレ二人に責められるなんてそうそうできないんだから、いいじゃん。お前、いつもよかイクのすげえ早かったぞ」
「うーっ」
オレの指摘に瑞希は赤面しながら変なうなり声を上げて、そして不承不承と言った感じで頬をふくらませて黙り込んだ。
「いやいや、ほんまごめんな、でも、瑞希フェラ巧いんやもん、ついついイッてしもてん」
へらへらと合わせるもう一人のオレ。見事なコンビネーション。
「分かった。じゃあ、許してあげるから、お願い聞いてくれる?」
瑞希の言葉にオレとオレは顔を見合わせた。
「「お願いって?」」
オレたちが同時にそう聞くと、やはりくすりと笑いながら瑞希は笑顔になった。
「お腹空いた。チャーハンつくって」
そういやオレも腹減った。時計を見るともう昼近い時間になっていた。
瑞希は結構家庭的で、普段は決してオレに家事をやらせることはないのだが、チャーハンだけは何故かオレに作らせる。なんでも自分で作るより旨くて絶品なのだという。
「いいよ、そんなことなら」
「ええでー。作る作る」
オレたちは二つ返事でキッチンに立った。材料はまぁ、残り物で何とかなるだろ。
Tシャツにパンツだけという姿でオレとオレはしばしチャーハン作りに没頭した。二人いると早い早い。あっという間に材料を切り出し、フライパンを交替で振ってオレたちはチャーハン3人前をこしらえた。
「はーい、お待たせしましたぁ」
ウェイターよろしく軽い口調のもう一人のオレができあがったチャーハンを運ぶ。うーん、食欲を誘ういい匂い。腹が鳴る。
キャミとパンツだけの瑞希はTVでいいとも見ながら布団の上でゴロゴロしている。
「やーん、おいしそーっ」
起きあがって歓声を上げる瑞希。うんうん、可愛いよなぁ。この笑顔についつい頼まれるといやとは言えないんだ。
人数分のレンゲと水の入ったコップをオレが運んだところで、食事開始。
「うほっ、こりゃ堪らんわ……」
もう一人のオレがほくほく顔でチャーハンを頬張る。
「ほんと、なんでこんなにおいしいの? 伸ちゃん将来店開きなよ」
能天気なことを言う瑞希にオレたちはあきれかえった。チャーハン専門店なんざ聞いたことねえだろ。
飢えた野獣のごとく、オレたちは大盛りに盛られたチャーハンを爆速で平らげた。
「ぷはぁ……」
一息ついて、オレとオレはタバコに火をつけ、一服する。
「ねえ、所でさぁ」
思案顔の瑞希がオレたちに向き直った。
「んー?」「ナニ?」
小首をかしげて、そしてオレたち二人を見比べる瑞希。
「ほんとに同じ人だよねえ。なんで、二人になっちゃったの?」
当然の疑問だ。つかもっと早く話題にするべき話だよな。3Pやってる場合じゃない。
「なんで、って言われても」
「なぁ……。なんでやろ」
オレたち二人も首をかしげて、思案投げ首になった。
だが、そんなものいくら考えたって分かるわけない。だいいち科学的にあり得ない。
思いつくことと言ったら昨日の晩これでもかってくらい瑞希とヤッたことくらいだが、そんなこと昨日に始まったことじゃないしなぁ。
「うーん」
「困ったなぁ」
「困ったねえ。あ、でも結婚したら楽かもね」
瑞希が訳の分からんことを言い出した。
「はぁ?」
「なんでよ」
オレたちがうろんな目で見ると瑞希は無邪気な笑顔になった。
「えー? だってさぁ、一人が働きに行くでしょ? で、もう一人は家のことすんの。わたしが楽ちんじゃん」
オレとオレは顔を見合わせてため息をダブルでついた。アホか。
「……やーね、伸ちゃん、冗談だよぉ……。そんなこと本気で考えるワケないでしょ」
オレたちの表情に瑞希は軽く赤面しながら慌てて取り繕う。ウソつけ、思いっきり素で言ってたじゃねえか。
「あー。でもな、オレら二人で会社勤めすりゃ収入2倍ってことやん。よくね?」
もう一人のオレが瑞希のバカに感染したのかこれまた訳の分からんことを言い出した。
「あー、ほんとだねぇ、伸ちゃんアタマ良いねっ」
頭が痛くなってきた。一人渋面のオレに二人揃って不思議な顔をする。
「アカンかなぁ?」
「えーやん、えーよ絶対」
へらへらと笑うオレとそれに同調して怪しげな関西弁もどきになる瑞希。こいつら本気でアホか。
「あのなぁ、オマエら。オレとオレは二人いるけど戸籍上は一人しかいないのに、どうやって就職するんだよ。アホなこというのもほどほどにせぇよ……」
オレがそういうと二人で顔を見合わせて、あっ! という表情になった。だめだこりゃ。
「「「うーん……」」」
うなり声の三重奏。そのままオレたちはしばらく沈黙した。
ややあって、沈黙を真っ先に破ったのは瑞希だった。
「……取りあえず、わたしシャワー浴びる。汗かいて気持ち悪い」
考えるのが面倒になったのか、さっさと立ち上がると瑞希は風呂場に入っていった。
二人取り残され、なんとなく鼻白んだオレたちは、することもなくタバコに火をつけた。
二人同時に紫煙を吐き出し、部屋が白っぽい空気に包まれる。
オレはぼんやりと窓の外を見ていた。
「なぁ。マジな話、オレらこのまんまなんやろか?」
不意にもう一人のオレがマジ声でつぶやいた。
「んなわけ……。わっかんねーよ。オレにもわかんねー」
否定しかけて、しかし言葉に詰まってオレはそう言うしかなかった。
真剣な話、このまま二人で生きることなんてできっこない。しかも、誰にもこんなこと言うわけにはいかないのだと、オレはその時初めて気が付いた。
あり得ない事態ゆえに、こんなことが世間にバレたらさらし者どころの話ではない。ワイドショーやなんかのいいネタになっちまう。一生、まともな生活などできないだろう。
下手をすれば、科学者とかの実験材料にさえなりかねない。
不吉な想像が巡ってオレは少し吐き気を覚えた。もう一人のオレもそうだったらしく、ちらりと向けた視線がぶつかり合う。ひどい表情だった。多分、オレも同じ顔をしてるのだろう。
「「まいったなぁ……」」
二人同時につぶやいて、オレたちは深々とため息をついた。
風呂場の扉が開く音がした。
「ちょっとーっ! 煙ーい。たばこ吸うんなら窓開けてっていつも言ってるでしょ、タバコ臭いっ」
瑞希はバスタオルを身体に巻いただけのカッコで風呂場から飛び出すと、いつもの口調でオレたちを叱りつけた。勢いよく窓を開け、部屋を換気する。
「暗ーい。ふたりとも暗いよ、ちょっとシャワーでも浴びてすっきりしてきなさい」
「ま、いいか」
「しゃあないなぁ……」
ほくほくと肌を上気させた瑞希のきっぱりとした声に、毒気を抜かれた体のオレたちは顔を見合わせて苦笑いすると風呂場に向かった。
交替でシャワーを浴び、身体を洗う。特にどっちが言い出したと言うわけではないが、互いに背中を流しあって、やや熱めにしたシャワーで全身の泡を流す。
熱いシャワーがもやもやを洗い流した、というものでもないのだろうが、不思議にさっぱりとした気持ちになってオレたちは風呂場を出た。
「ふぅ……」
「すっきりーっ」
風呂場のドアの前には、バスタオルと着替えが2人前ちゃんと用意されていた。
「なぁ」
もう一人のオレがしみじみとした表情になった。
「ん?」
「瑞希ってええ女やなぁ……」
「当たり前、やろ、そんなん」
オレもつられて地元の言葉になってしまった。
ほくほくになって部屋に戻る。例によってごろごろしながらTVを見ていた瑞希は、みのもんたの説教にいちいちうんうん頷いている途中だった。お前はヒマな主婦か。
「おっかえりー。麦茶あるよ」
「おー」
「飲む飲む」
キンキンに冷えた麦茶で喉を潤し、オレたちは一息ついた。
「ねー、やっぱわたし思うんだけどさぁ」
やおらにTVを消してオレたちに向き直った瑞希の表情が真剣になった。
「なんだよ」
「やっぱ、昨日やりまくったから、かなぁ? 伸ちゃんが二人に増えたの」
オレたちは瑞希の言葉に顔を見合わせた。
「そうかぁ?」
「でも、それくらいしか無い、って思わない?」
どこか含み笑いしてるような瑞希の顔に、オレはもう一度もう一人のオレを見た。不審げな表情のオレ。
「そう、かなぁ?」
言いながら、はたと思い当たってオレは口をへの字にしてしまった。
「そうだよ、だからさぁ、3人でやりまくったら元に戻るんじゃないかな」
次に出た瑞希の言葉に、オレはやっぱり、と内心であきれかえった。
何のことはない、こいつはさっきの出来事にハマってしまってそんなことを言い出したのだと分かったからだ。
もう一人のオレも同じ感想だったらしく、オレと同じようにあきれ顔になっている。
「ダメ、かなぁ?」
小首をかしげ、照れくさそうな表情を隠しきれない瑞希に、何故かオレたちは笑ってしまった。
「……なんで笑うの?」
かすかに頬をふくらませた瑞希の可愛い表情に、オレたちはにやにやしてしまう顔を押さえきれなかった。
「いやいや、ダメやないよ、全然OK」
「そーそー。やっぱそれっきゃないやな」
オレとオレは一瞬視線を交わして、自然と役割分担していた。
今度はオレが上半身を責めていく。肩でも揉むかのように背後に回ったオレは、なだらかな瑞希の肩に手のひらを這わせ、そしてふわふわと肩のラインに沿って指先をうごめかせていった。
まだ上気している瑞希の淡いピンクの肌は、かすかにかいた汗のせいかしっとりとしていて、とても感触が心地良い。同時に、キャミの肩ひもを指先に引っかけてずらしてしまう。
「えっ……あ、ちょっ……」
そんなことを言いながら、身をくねらせながらも、瑞希は抵抗らしい抵抗はしなかった。むしろ、積極的にオレに身を預けているのが分かるくらいだ。
それをいいことに、オレはキャミの上からやわやわとはち切れんばかりの瑞希のEカップを揉みまくる。ブラをしてないのは触るまでもなく分かっていたことだ。
「やっ……ん、くすぐった……いっ」
くねくねとしてオレにもたれかかる瑞希の顔が紅潮して、息が荒くなっていくのが分かった。ぷるんとした可愛い唇が半開きになり、漏れる吐息が淫らさを増していく。
下半身を責めるオレはというと、両脚を肩に抱え上げ、開脚させた状態でパンツの上から股間をこねくり回しているのが見えた。
やり方は当然オレと同じ。だが、こうやって客観的に見たことなど初めてで、そのエロさ、巧みさに我ながら感心する。
早くも固く尖りはじめた瑞希の乳首を、オレは指先で弄びはじめた。キャミ越しにどんどんこりこりとしていく感触は、どれだけ触っても飽きることがない。
「もうこんななってんじゃん、瑞希……」
耳元でささやきながら、オレは瑞希の耳孔に舌先をねじ込んで舐め回した。
「ちょ……あぁんっ、ヤッ、あっ、ああっ」
ビクビクン、と身を震わせる瑞希に、下半身のオレが追い打ちをかける。
「こっちも……めっちゃ濡れてきてるで……ほら」
パンツのそのあたりを指先でこね回し、なぞるようにしているオレは低い声でそうささやきながら、這わせた指先を細かに振動させた。うーん、我ながらようやるわ。
「ヤッ、ちが、ちが……ぅ、あぁぁぁんっ」
ひときわ鋭く瑞希の声が漏れ、そして身体が幾度も震えてくねる。
その反応に頭が熱くなる。オレは瑞希のキャミをめくって、その爆乳をむき出しにした。ぶるん、と弾けるように飛び出した胸を鷲づかみにする。指先でつんと尖った乳首をつまみながら、揺さぶって弄ぶ。
「んんっ、あっ、ああっ……」
のけぞる瑞希の首筋に唇を這わせ、舌先でちろちろとなぞっては強く吸う。下半身のオレはというと、早くもパンツをはぎ取りにかかっていた。
「うわぁ……。ぐちょぐちょ、なってんで、瑞希……」
わざとらしくささやく声。そして、それに被るように、クチュクチュ……と激しい水音が聞こえてくる。ここからではよく見えないが、指を入れてかき混ぜているらしい。
「やだっ、そんな……音、立てない……でっ、あっ、あっ、あああんっ」
「そんなんいうたって……。瑞希がここグチュグチュにしてるからやんかぁ……」
羞恥の吐息を漏らす瑞希を、からかうような口調で責めるオレ。
「そうそう……。自分で感じといてそりゃ無いよなぁ……」
便乗しながら、オレはやや強めに乳首をつまんで、そして弾いた。
「はんっ……、いじわる……っ」
悲鳴を上げながら、ビクンッ、と鋭く身体を震わせた瑞希は、快感に落とし込まれ朦朧とした瞳にかすかに涙を滲ませていた。
オレ自身が我慢できそうもない。すでに分身はがちがちに硬化していて、痛いくらいにすら思える。
オレは胸を責めるのを片手に任せて、もぞもぞとトランクスを脱ぎにかかった。つっぱらかったトランクスの頂上のあたりに小さな染みができてることに気付いて苦笑いする。
握りしめ、構えるようにした分身を瑞希の顔に押しつける。
「瑞希……瑞希がエロイからオレもうこんなんなったよ……ほら」
くねくねと動く瑞希のせいで目標がいまいち定まらず、先走りの汁がその頬にこびりついて糸を引く。
「んぁ……、んんぅ」
朦朧としながらも、ようやく気付いたらしい瑞希は飢えた子供がむしゃぶりつくようにオレの分身をその唇にくわえ込んだ。暖かなものに包み込まれ、そして吸い込まれる感覚が堪らない。
「あぁ、気持ちいい、すげー……」
アホみたいにうっとりとしてしまうオレに瑞希がそのフェラテクで応えてくれる。舌全体を絡みつけて、そしてじわじわと滑らせる。ウラスジ全体を舐められる心地よさに自然と分身がひくつく。
「んんっ……ン、ン、んぅーっ」
舌先を亀頭に絡みつけてねぶり倒しはじめたとき、瑞希のからだがまたしても鋭く震えるのが分かった。もう一人のオレの頭が、瑞希の股間に埋もれるようになっている。じゅるじゅるるるっ、とすするような音がしているところを見ると、指ではなく口で責め始めたのだろう。
「んっ、んんっ、ンーッ、んぐっ……」
瑞希のうめきが鋭く、そして苦しげになっていく。それに伴って、オレの分身を責める唇のうごめきが不安定になりつつあった。快楽に負けはじめると弱々しくなり、それに気付くと一段と強く、そして荒々しくなってオレの分身を翻弄する。
「あ、あかんわ……、イキそぉ……瑞希、あかんっ」
偶然そうなったリズムに負けてしまった。急激に盛り上がる快楽の波に耐えられなくなった。
瑞希の口の中の分身を中心に、湧き起こった強烈な快感。オレは自然と目を閉じていた。
「ンーッ、んぁあっ」
今まさに発射するぞ、という瞬間、快感に負けた瑞希はオレの分身を吐き出してしまった。
「あっ……」
ヤバイ、と思ったがどうしようもない。ぽろん、と飛び出したオレの分身はびくびく、と震えながらその先端から熱い精を噴出させてしまっていた。自分でも驚くほど大量に溢れたそれが、瑞希の唇から顎、そして首筋、鎖骨のあたりにまき散らされる。
「あぁぁんっ……あっあっあっ」
瑞希も、その瞬間に絶頂に達してしまったらしかった。一段と激しくなった股間からの水音と、びくびくびくっ、と震えながら断続的なうめきがシンクロする。
「あー、顔に掛けよった」
もう一人のオレがにやにや笑いながらオレの顔と、オレの精でべとべとになった瑞希を見比べる。
「しゃあないやん、もうイクって時に口から出すんやもん」
慌てて弁解する。当の瑞希は、というと目を閉じてぐったりとして、時折小刻みに震えてはその唇から短く吐息を漏らしている。
「ほな……オレもイかせてもらおっと」
もう一人のオレは、散らばったままのゴムの一つを破ると分身にかぶせて、そしてくたっとなってだらしなく投げ出された瑞希の両脚を抱えて、持ち上げた。
「気絶するには……まだ早いでっ」
ささやきながら、ぐっと腰をあてがい、そして分身を押し込む。
「んっ……」
「……ん、あ、あんっ!」
ぐちゅっ、と粘りけのある液体をかき混ぜる音がして、瑞希は鋭く叫び声を上げた。
オレのセオリー通り、最初緩やかに始まった抽走は、徐々にスピードアップしていく。
「んんぁっ、あっ、あっ、あああ、ダメ、ああ、ああ、ぁぁんんっ」
もう一人のオレの巧みな腰使いと比例するように、淫らな抽走音と、そして瑞希の1オクターブ上がった嬌声のボルテージが上がっていく。
「……すげっ」
思わず、呆れたようなため息が漏れる。今し方発射したばかりだが、あまりにも淫らな光景に分身は少しも硬度を失っていなかった。むしろ待ってられねえとばかりに、ビンビンに反り返る。
オレはティッシュを数枚引き抜くと分身にこびりついた自分の精の残りカスをきれいに拭き取った。
「……なあ。イッたら交替な」
自分でも呆れるような言葉をもう一人のオレに投げかけて、オレも床に散らばるゴムの包みを一つ取って破った。ネクストバッターサークルで待機する打者のように、装着して出番を待つ。
「おおっ……、ええ、で、あ、あかんっ」
もう一人のオレの声に切ないものが混じる。つか、いいのかダメなのか。
「あ、あ、伸ちゃん、イッちゃう、あーっ、あ、あ、ああっ!」
「あか……んっ、オレも、イクッ」
重なり合ったもう一人のオレと瑞希の身体が、叫び声と同時に鋭く何度も震えた。そして二人揃ってぐったりと脱力する。
瑞希は完全に気絶状態。余韻に身を任せていたもう一人のオレが、ややあってのろのろと瑞希から身体を引きはがす。
「はふぅ……。めっちゃ気持ちええわ……」
つぶやきながら、のろのろとオレにタッチしてくる。
「チェンジチェンジ……」
意識を失っている瑞希の身体に覆い被さる。開脚させて、その部分を観察する。溢れかえりかき混ぜられた淫液でぐしょぐしょになったその部分のあまりに淫らな光景に一瞬目眩にも似た感覚を覚える。これはエロ過ぎる。
「瑞希……、入れるで……」
なんだかだんだん標準語が抜けてきた。もう、どうでもいいや。
当然ながらいらえはない。けど、容赦なくオレは瑞希に自分の分身を押し込んだ。例によってぐちゅぅ、という音とともに、分身がするりと滑り込む。絶頂に達した直後のせいか、やや広がった感のある瑞希の奥底まで、一気に押し込んだ。
だが底の感触もいつもと違うのは、やっぱそこも広がっちゃったってことなのだろうか。
「……ん、くぅんっ……、んぐぅ……」
刺激に瑞希が意識を取り戻す。しかしまだ朦朧としていて、何が起きているのかよく分かっていないらしかった。
「……えっ、あっ……な、なに……あっ、あっあっ」
素早く引き抜くような動きのあと、すぐに抽走する。しかし、今度は奥まで行かない。入り口の感じるあたりを分身でかき混ぜるようにじわじわと腰を動かす。
クチュクチュ……と液体をかき混ぜる音。そして、それに合わせるように、瑞希の嬌声がこぼれていく。
「やんっ、そこ、ダメ、ああっ、きもちい……んっ、くっ、ふぁんぅぅ、ああんっ」
微妙な抽走を繰り返しながら、オレはもがくようにうごめく瑞希の両膝の裏を抱えて、そして持ち上げて開脚させた。いつも以上に、大きく開いてギャラリーのもう一人のオレに見せつける。
「ヤッ、やだ、はずかし……いっ、伸ちゃ……ああ、あんっ! ダメ、ああ、あ、ぁんっ」
くねくねと腕をうごめかし、しかし快感に負けてなにもできず頭の上の布団を掴みながら、瑞希は髪を振り乱し上半身を幾度もくねらせてその快感のすごさをオレとオレに見せつけた。
「……すごっ」
さっきのオレとまったく同じ感想を漏らしながら、もう一人のオレは呆然とその有様に見とれている。
そのつぶやきを耳にして、オレの中に奇妙な、誇らしさにも似た感覚が芽生える。淫らな光景を、もっと見せつけてやる。
浅く挿入していた分身を、ぐぐっと奥まで押し込んだ。
「……あぁっ、あぁぁんっ! やっ……だ」
ずん、と奥まで突き上げると、瑞希の反応が鋭いものに変わる。同時に、弛緩していた感のある瑞希の中が、息を吹き返したようにじわっとオレの分身に絡みついてくる。
ここぞとばかりに、オレは抽走を鋭く、激しいテンポに変えた。派手に動き、そしてもう一人のオレに見せびらかす。
「あっあっあっ、だ、め、イッちゃうっ! あああんっ!」
ぎゅぎゅぎゅ、と瑞希の肉がうごめいて、そして叫びとともにびぃん、と身体を震わせた瑞希はいとも簡単に頂点に達してしまった。
「アカンやん……勝手にイッたら」
「だっ……んぅ」
オレのつぶやきに瑞希はぱくぱくと口を動かして何かを言ったらしかった。だが、息も絶え絶えのせいか声にならない。
その反応を鼻で笑うと、オレは分身を引き抜いて、またしても待機しているもう一人のオレとチェンジした。
「えっ。まだ、イッてないやん」
「いいじゃん、その方が」
オレの言葉に最初ぽかんとしていたオレは、すぐに理解したのかにたりと笑うと、ぐったりしたままの瑞希に素早く襲いかかった。
瑞希の身体をくるんと転がし、バックで挿入したかと思うと、そのまま両膝から抱え上げる。背面座位っての? よく知らないが背後から抱きかかえる状態で瑞希を突き上げる。
必然的に開脚された瑞希の股間に、もう一人のオレの分身がおぞましくそして淫らに粘液にまみれて出入りしているのがよく見える。泡立ち白濁した滑り気が絡みついてさらに白濁する。
「……んぁんっ、ヤッ、もぉ……やだっ、あっあっあっ、あああっ」
延々と続く快楽の応酬に瑞希は完全におかしくなっていた。うわごとのようにつぶやく言葉は意味不明で、朦朧とした視線、そして上気して紅潮した肌の色。
淫らさに染まりきった瑞希の顔は見ているだけで堪らないものに変わっていた。突き上げられるたびに、ぶるぶると揺れるEカップの胸は、はち切れんばかりに膨れて、サイズが一回り大きくなったようにさえ見える。
「いやなん? ほな、やめよか?」
ぴたりと動きを止め、オレがささやく。
「……いやっ、やだ、やめないで、おねがい、やだ、やめちゃやだ……っ」
「ほな、そんなこと言いなや」
顔をくねらせ、身をよじって懇願する瑞希に、傲慢な微笑みを浮かべたオレは冷たくそう言い放って止めていた抽走を再開した。
「あん、ごめ、んっ、あ、あ、んああっ」
ビクビクッ、と鋭く震えて、瑞希が小さく頂点に達するのが分かった。宙に浮いたつま先が反り返り、曲げられる。
「そうそう。まだまだいっぱいイカせたるから……」
訳の分からんことを言いながら、オレは瑞希の前に立ちはだかるとまだ臨戦状態を保っている分身を、半開きになった瑞希の唇にあてがった。ゴムがついたままだが、構わない。
「ふぁ……ん、うぞ……んんっ」
さすがにゴムの味と自分の淫らな液体のこびりついたそれに少し顔をしかめたものの、瑞希はするりとそれを受け入れた。おぼつかない様子で舌を絡め、必死にしゃぶりつく。
「んぅ……、ん、ん、んぅぅぅっ」
もちろん、もう一人のオレの攻撃は続いている。リズムとテンポに強弱をつけながら、的確に瑞希に快感を与えていた。
「んっ、はぁ、めっちゃ……」
「……気持ち、ええわ、瑞希」
前後から責め立てるオレたちも、さすがに快楽の波に呑まれつつあった。じんじんと痺れるような感覚が、徐々に下半身を中心に盛り上がり、そして駆け抜ける。
「ふぅんっ、んん、んぁんっ、んぐぅぅっ……」
「あ、あかんっ……」
「オレも……っ、くぅぅ」
視界が朦朧とする。瑞希のからだが、一瞬鋭く伸び上がるのが見えた。
声にならぬ声を漏らして、オレたち3人は同時に達していた。
……その後も、オレとオレは幾度か交替して瑞希を責め続け、数え切れないほど頂点に導いては導かれ、したところまでは憶えている。
いつしか、オレたち3人は気絶するように眠りについていたのだろう。
気付いたときには、再び朝になっていた。
「……ん」
かすかに瑞希がうめきを漏らすのが聞こえた。
「朝やなぁ……」
ぼんやりとしたまま、そうつぶやいたオレは瞬きしてむくりと起きあがった。オレの隣、相変わらず幸せそうな寝顔を晒す瑞希。そして、薄暗い部屋の中にオレと同じように身を起こそうとしている人影が……二人。
「はぁっ?!」
思わず素っ頓狂な声が出た。
「なんやねん……。朝からデカイ声で……ええっ!」
「うるせーな、声でけーよ……って、マジかよ!」
さらに一人、オレが増えていた。
「み、み、瑞希」
「ヤバイって、まじ」
「瑞希、洒落ならんって」
三人三様で寝こけている瑞希を叩き起こす。
「あーっ、うるっさいなぁ、もぉ!」
わめきながらむくっと身を起こした瑞希は、眠さ故か目が据わっている。
「何なのよ、もぉ! ……って、えええっ!」
部屋の中をぐるりと見回した瑞希は、据わっていた目を瞬時に丸く見開いた。
「ウソ……なんで?」
そんなん知るかい。
しばし呆然として、そして乾いた笑いがこみ上げる。
「あはは……。また、増えちゃったね……」
寝乱れた髪を手で撫でつけながら、瑞希は引きつった笑いを浮かべて、言った。
「……まぁ、二度あることは三度あるって言うしさぁ……」
なんだそりゃ。お後がよろしいようで、って言えばいいのか?
つか、それ微妙に意味違うし。
後二人のオレも同じ感想を抱いたようで、白っとした空気が部屋に流れる。
「あはは、もう、しょうがないじゃん、もっかい、チャレンジしよっか?」
能天気なことを言う瑞希の表情には、かすかに淫蕩な空気が漂っていた。
3人のオレは、瑞希の言葉に顔を見合わせた。ややあって、にやりと笑う。
「こうなったら……」
「なるようになれ、や」
「おう」
くるりと瑞希に向き直って、オレたち3人が瑞希に飛びつこうとした瞬間だった。
「……でもさ、その前に」
瑞希の言葉に、オレたちはピタリと停止した。
「お腹空いた?」
「……ほんまやなぁ」
「おう」
「めしめしッ」
オレたちは奪い合うように服を着ると、食事の材料を買うために部屋を出た。
「いってらっしゃーい」
見送る瑞希の能天気な声。オレたちは同時に振り向いて、そして瑞希に応えた。
「「「おうっ。シャワー浴びて待っとけや!」」」
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