俺「あの!いきなりすんません!明日どこかに行きませんか!」
嫁「…嬉しいけどごめんなさい。明日は息子といたいの」
俺「えっ!!!俺の子ですか!!!」
嫁「私が独り身で生んだ子よ。頭の悪い女をからかっちゃいや」
俺「えっ!!!誰ともしないで生んだんですか!!!」
嫁「バカね。若気の至りってやつよ」
俺「じゃあ!ワカゲのイタリーで俺と明日!!!」
嫁「人の話を聞け」
適当にkwskしたら長くなったからスルー推進。その場でしつこく詰め寄った。上司が110押した携帯かざしながら間に入ってくるくらい。
嫁は俺が入社した職場の主任で賢くってかわいくってたまんなかった。うまく表現できないけど嫁の言葉遣いが凄く好きなんだ。俺は見た目も中身も
体育会系だからか、会う女は大体いきなりタメ口だったり男っぽい口調だったりするから、
嫁と初めて会った時「よろしく頼むわね」って言われて一気に燃えた。
ずっと憧れに憧れてた存在だったわけで、ようやく勇気だして誘ったら衝撃の告白された。
一度勇気出したらもう怖いものなくなって、「息子さんにいつ会えますか」だの「明日俺空いてますよ!」だの言いまくって
どんどん避けられてたorz
あるとき、嫁に保育園から電話が入った。聞き耳たててたら、保育園で息子に何かあったらしく部長に頭下げて出て行った。
何ヶ月かに一回、保育園から電話があることがあっても、すぐにどっかに電話して頼んでて、中抜けも早退もしてる姿は見たことなかったから、
俺は部長に何やってんだ!と怒鳴られながら嫁を追った。当時嫁は免許持ってなかったわけで、腕掴んで車に引きずり込んだ。
向かったのは病院で、アナフィラキシーショックって知ってるか?アレルギーあるもの食べて死にそうになるやつ。
息子がそれだった。嫁は泣きながら息子についてたから、俺を旦那だと勘違いした医師や保育園の職員から色々聞いた。
息子は落花生のアレルギーで、食べちゃいけない危険度みたいのが数字で出されるんだが最大の6のレベル出てるくらい危ない。
その日、保育園では落花生の豆まきがあったらしい。
俺はなんか「ん?」と思いながらも、そりゃあ大変だくらいにしか思わないで、息子に
「だあれ?」と言われて「パパだよー」とか答えて嫁に追い返されたりしてた。
このとき初めて息子に会ったが、俺はなんだか変な既視感に襲われてた。
なんか、何年も前から会う約束しててやっと会えた、みたいな。
そんで会社に戻ったら部長はカンカンで、とにかく嫁は悪くない、俺がひとりで突っ走ったことと保育園おかしくないかと伝えた。
話しながらなんか熱くなってきて、落花生だめなやつがいてなんで平気で落花生使うんだよ!と部長にキレた。
そしたら部長が、確かにと言ってくれた。危険度6なら伝えてないはずないよな、訴えたら勝てるくらい大変なことだ、と。
その日の夜、嫁(息子の入院に付き添ってて公衆電話)から電話があった。
礼を言って切ろうとするから、慌ててもうあの保育園はやめろ、部長も言ってると伝えた。
そしたら嫁が泣き出して、あの保育園やめたら働けない、幼子ひとり置き去りになんてできないし、シッターもたまに頼むだけで凄い金額になる!…
俺「だから結婚しましょう!俺が働くから息子くんとおうちにいなよ!じゃなかったら俺が仕事やめてシェフになる!
二人なら選択肢増えますよ!」
電話切られたwwww
嫁は聞いてられなくて切ったと言うが俺はただのテレカ切れだと読んでるw
嫁は保育園を辞め、たまってた有給を使ってしばらく息子と二人の時間を満喫した。俺はコツコツ貯金しだした。
嫁たちに会いたくてアパートの前ウロウロしてたら近所人に通報されて、駆け付けた警官に息子が「これはパパなの!」と言ってくれたり。
間もなく息子が幼稚園に上がり仕事に復帰した嫁は少しだけ冷たくなくなって、俺によく笑ってくれるようになった。
嫁は「私は息子が成人するまでは恋人なんかいらないわ。独り身で子供を作った責任があるから。成人まではこの子一筋に生きていくの」と言った。
俺は待つつもりだった。嫁の旦那にはなれなくとも心はすでに息子のパパだったからだ。
息子は凄く可愛いかった。嫁に似て賢いし。嫁がいろんな本読んでて、真似してたくさん本読んでるから、色々難しい単語聞かれる。
「おざなりとなおざりはちがう?」とか聞かれたらパパとしては答えにゃならん。俺もたくさん本読むようになった。
あれから四年、今度息子が小学校に入学する。
ランドセル背負ってる姿見て嫁にひかれるほど泣いてしまった。
母子家庭の手当て金を受け取らないよう手続きしたあたりから一緒に住みはじめ、ニヤニヤしながら、パパと苗字がちがうと学校から変に思われますよ?とか言うと、嫁は困った顔して黙り込む。
もう一押しなんだろうなあとは思うが無理強いはしない。
変な形態だが俺たちは家族になったって話だ。
色々すまんかった。
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