「きれー…」
空に打ちあがる大輪の花を眺めて光希がぽつりと漏らす。
遊から良い場所を見つけたからと言って花火に誘われた。
その場所は少し高台で木々の間からうち上がりる花火をしっかり見ることができた。
「ほんとだ…花火、綺麗だな」
隣りに立った遊は優しく光希の髪を撫でながら光希を抱き寄せた。
「遊…」
「似合ってるよ」
「え?」
自分の思考に閉じこもろうとしていた光希は遊の言葉の意味が一瞬わからなかった。
「すごくかわいいよ、浴衣姿」
「あ、うん、あの、ありがとう」
「誰にも見せたくないな」
不意に遊は光希を引き寄せ、深く唇を重ねると甘い舌を味わい唾液を吸った。
「ゆ、遊…。ちょっと、ここでは…んっ…ふうぅ…んっ!」
光希は手で遊の背中を叩き、くぐもった声で遊に抗議するが、一向に止めてくれそうにない。
首を振り、無理矢理唇を外し光希は、静止の言葉をだそうとしたのだが。
「かわいいしキレイだ、光希」
何度もかわいいと言われ、恥ずかしくなった光希は顔を赤らめた。
刹那止んでいた花火がまた打ちあがる。
「は、花火、見よ、花火。色もたくさんあったし、形もハートとかがあって」
恥ずかしさをごまかそうと早口になり、光希は遊に背を向けた。
そんな様子をくすくすと笑いながら、遊は後ろから光希を抱きしめた。
「誰もいない場所にして正解だったな」
光希はうなじにキスを落とされ身をよじらせた。
軽く優しいキスだが、ゆっくりと吸い上げられながら耳元へとよじ登る。
光希はくすぐったさに逃げようとすが、遊はかまわず首に吸い付き、左手で顎を掴んで離さない。
右手は浴衣の襟元を強引にひっぱり、肩へと愛撫を広げていく。
「これじゃ…花火、集中できなっ…!」
「何で?」
「何で…って…」
「感じるから?」
「っち、ちが…っんぁ」
右手が前に回され、左の胸へと這っていく。
「感じてないの?…こんなに…硬くなってるのに」
「やぁ…あ…」
光希の言葉を無視し、遊の掌は乳房をもみしだき、先端を強くつまんだ。
胸の突起をつままれて光希はたまらず声をあげる。
「ああっ…!!…ゆ…うっ!」
ブラジャーを胸の上までずらされ、光希は自分でも驚くほどのあられもない声を出していた。
胸に触れられただけで、ここまで感じたのは初めてだ。
耳を丁寧に舐められながら遊の左手はつつつ、と下りていき浴衣の裾をそっと広げた。
遊の愛撫に眼をとじて耐えていたが、さすがに外でショーツの上から愛撫されるとまでは想像していなかった身体がビクン!と反応する。
「ここも?感じない?」
「あっ…ああっ」
下着の中央をそっと往復させる。
「こんなに、濡れてるのに」
「ぁあ…はぁ…ん、んー」
ボンボン、という花火の音に紛れて光希の喘ぎ声は次第に艶っぽく音量を増していく。
ぞくぞくと駆け上がる気持ち良さに忘れかけていたがここは外。
周りには誰もいない静かな場所とはいえ花火が上がるたびに歓声がどこからか聞こえる。
「だめ…ダメよ、遊、こんな所で…後で…あぁっ!」
「まだ花火は終わってないだろ。それに…」
やわやわと往復させていた遊の指が、下着の裾から押し込まれる。
溢れてくる泉の源を探り、そこにちゅぷ、と指を差し込む。
「ん!ふぅ…」
ちょうどそこで花火が一旦止み、つかの間の静寂が訪れる。
が、遊の指は止まらずに上下に動かされままだった。
光希は必死に声を抑えて囁く。
「…これ以上は…ん、っあ、やぁ…ダメ…やっぱり、外でなんて…」
「そっか」
唐突に指を抜いた遊は勢いよく光希の下着をおろしたかと思うと 、自分のモノを光希のそこへ擦り始めた。
「光希、凄い濡れてる…興奮してる?」
「ちがっ、してな、あん!ダメッ」
光希が声を必死にこらえていると、遊は無言でいきなりそこに突き刺した。
「ああっ!!」
突然の刺激に思わず身を反らした光希の声に、拒否の色が込められていないのを遊は確認すると、 かまわず一定のリズムで突き上げ始めた。
「…あっ!あ、あぁ、ん!んぁっ…あ、あ、やぁ…っダメ!!」
大きな音とそれに伴ってあがる歓声に甘えて、光希は我慢するのも忘れて啼き続ける。
光希の耳にはすでに花火の音は届いておらず、ただ遊が身を打ち付ける音と、抜き差しをされるたびに響くジュクジュクと溢れる水音しか聞こえない。
大輪の花が汗ばむふたりの身体を浮き上がらせる。
「もぅ、あ、だ、めぇっ…あっ、あ…」
鈍く震える感覚が太ももから徐々に広がり始め、もう少し…と思ったところでまた花火が止んだ。
と同時に遊も動きを止めた。
絶頂を目の前にして突然遮られた快感に、光希は思わず抗議の声をあげる。
「だ…ダメ、やめ…ないで…!」
「だって…この静寂の中で声だしたら、聞こえるだろ?」
「遊、構わないって言ってたじゃない…」
「言ったけど…あんな声、他の奴に聞かせられない」
遊は光希のうなじを伝う汗を優しく舐める。
「欲しい?…」
「…ん、もぅ、待て、ない…」
喘ぎとも泣き声とも区別のつかない、か細くあげる上げる声に遊はため息をつく。
「遊おねがい…」
光希に欲情を煽られ、遊は光希の口を掌でふさいだ。
「さっきみたいに啼いちゃダメだからな」
低く囁いて光希の口を塞ぎ、声を阻止したところで動きを開始した。
「んんんーっ!」
光希は反射的に口を塞いでいる遊の手を押さえる。
力いっぱい手を引き出そうと抵抗したが。遊は構わず更なる快楽を求めて光希の身体を激しく突いた。
ぬるっと愛液に溶けた肉は光希の意志と反して、遊のそれに吸い付いて乱暴な律動が更に強くなる。
「ん!ぁんー…!ん、ん、…ん!」
最初から乱暴な動きのせいで、光希は隙間から声が漏れそうになると遊の手がさらに強く口が塞ぐ。
繋がった場所からはチュクチュクと淫らな音が夜の闇に響き、とめどなく飛沫が溢れては太腿をつたっていく。
(や、やめ…て、外では…やだ…ぁぁ)
下半身は熱く痛いほどにうずいて、光希は心の中で必死で哀願した。
脚を閉じようにも腿の奥からお湯が滲み出てくるように、快感が腰から頭までじんわりと広がっていって、崩れるみたいに身体から力が抜けた。
「ん…あぁん…っ!」
内股が痙攣をはじめる。
達するのはもう目前だった。
遊も頭の奥がしびれるような感覚で、光希の身体をなぞっていた。
光希との行為の中で、彼女が必死で快感を押し隠し恥ずかしげに耐えている姿、それが崩れていく瞬間が一番興奮する。
誰も見たことのない表情、敏感になっていく肌、何度味わっても新鮮でたまらない感覚。
今は外だというせいか、光希の反応が少し違っている。
身体の感度も研ぎ澄まされているようだ。
こんな場所でここまでやるつもりは全くなかったのだが、光希の反応に遊自身も興奮してしまい止めるきっかけがつかめずにいた。
浴衣を乱され下着を膝まで下ろされて、細い腰をがっちりと掴まれて形の整った綺麗な胸が、乱暴な動きに合わせて激しく揺れる。
いつも明るい笑顔で自分に接してくれる光希の顔が、口まで塞がれて真っ赤に紅潮して涙を流している。
(レイプしてるみたいだな)
そう思った瞬間、快感が背筋をかけ昇り、乱暴なまでに腰の動きが速まった。
「光希…良い、くッ!」
「…ん、んん…ん、んむぅっ!」
荒い息のまま遊は囁く。
遊は繋がったまま光希の腰を持ち上げ更に挿入を深くした。
「んんっ!ん、んッ、ふううぅーっ!!」
「光希、良い?」
「う…んん、んっ、ん!んっ!」
花火はフィナーレへと突入したらしく、大きな音をたてて花を咲かせる。
それに比例するかのように轟く歓声も増していく。
が、それらはもうふたりの耳に入らなかった。
「ぷはぁっ!遊!あ、ダメぇ、イッ、イクぅ!一緒に…遊…あっ、ああぁっ!!」
光希の言葉に遊はさらにピストンを速め光希のポイントを攻めた。
「あん!そ、こぉ…ダメ!だ、めぇ…あん!あぁ、あ、ダメ!あ、あん!気持ち、いぃ、ゆ…う、もぅ!あん!あん、」
「光希!出るッ!」
「あぁ、出し、て!遊っ!」
ただ貪るように相手を求め、身体を引き寄せあう。
「…あ、あっ!っあぁーっっ!!!」
肌蹴た浴衣を整え終わった後、光希は遊の隣りに座って身を寄せた。
「怒ってる?」
「当たり前でしょ!外でするなんて!」
「本当に嫌だった?」
「嫌じゃ…ないけど…」
遊と目が合い光希は赤面したまま頷いた。
でもすぐに、取り繕うように遊に抗議する。
「でも!だからってこんな人が来ないこんな場所まで見つけて」
「それは、ごめん…光希の浴衣姿が可愛くて、周りの男も光希のこと凄い見てるし…我慢出来なくて」
「…遊」
「悪かった、もうしない」
「じゃー、1つお願い聞いてくれる?」
「お願い?何それ?」
「今度するときは私の言うことを聞くこと」
「えっ、今度するときって?」
「ひみつっ!」
(また今日みたいに外でしたいっていったら、遊おどろくかな?)