1/52
『 プ レ ゼ ン ト 』
会社が正月休みに入り、鮨詰めの列車に延々と揺られて
やっと帰って来た我が家。
一年振りの我が家だ。
| | | ? 疲れたー。
| | | ||// | || ? やっぱ、遠ーいーわ。
| | | || | //|| ?`─────y──────'
| | | [二二二二二二二] __ .? ||? __
─┬─ | | ─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬|__| ? ||? |__|─┬─┬─┬
┬┴┬ | | ┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴|__| ? ||? |__|┬┴┬┴┬┴
┴┬┴ | | ┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬|__| ? ||? |__|┴┬┴┬┴┬
┬┴┬ | l"| ┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴|__| ? |_|? |__|┬┴┬┴┬┴
┴┬┴ | |_.| ┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬|__| ? |__|┴┬┴┬┴┬
┬┴┬ | | ┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴┬┴|__| [二二二 ∧∧ ]. |__|┬┴┬┴┬┴
┴─┴ | | ┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─|__| (゚ 、、) .|__|┴─┴─┴─
~""~ U |
| `?γ⌒)
し`J (|| ̄||)
 ̄ ̄
2/52
_______________/
________ |
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
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|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
|::::::::::::::::
|:::::::::::::::: ただいまーっ
|:::::::::::::::`──────y───'
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| |
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ∧∧ .|\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (、、゚Д゚)  ̄ ̄\\
. U | \\
?| | \\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄γ⌒)し`J  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
(|| ̄||) θθ\
 ̄ ̄
3/52
/´オヤジー、オフクロー、
/ ・・・・おかしいなぁ、いないのか?
○≡○_ ∧∧ ∠、 物騒だなー、鍵も掛けないで。 、
/(◎)./|| (、、゚Д゚)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|三三三|/|| U |ヽ
||/|| ||/|| ?| |.||)
 ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄.|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄((( (/`J ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4/52
オウ! お帰りギコ。 なんだ、アニキが先に
待ってたんだ。 帰ってたのか。
いつ帰って来たんだ?
`────y───────' `────y───────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧、、
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚)') ∧∧
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7、 │ U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾ | |?γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 し`J (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
お前の一本前の電車だ。 そりゃー良かったな。
結構すいてて座れたぞ。 ところで、オヤジとオフクロは?
`─────y──────' `──y────────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7、 │ U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾ. | |? γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 し`J (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
5/52
今、出掛けてるよ。
疲れたろう? オイオイ・・・・・、
まあ、一杯付き合え。 酒は負担が掛かるだろう。
`────y──────' `──y─────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧
l'| ̄||、/||.||/|| U つU (Д゚、、)
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄ ̄ ̄U7.、 │ U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾ. | |? γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 し`J (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
そう堅い事を言うな。
お前も少しなら飲むんだろう。 まあな。
`───────y─────' `─y────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧
l'| ̄||、/||.||/|| U つU (゚Д゚、、)
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄ ̄ ̄U⊂ U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
6/52
お前とこうして酒が飲めるとはな・・・・。
あれから何年になる?
`─────────y───────'
__ .⊂⊃ /´あの時は確か俺が8歳だったから、
..//.|――n| | ∧、∧ / もう・・・・、13年になるのか。
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 ちょうど今時分、そう・・・、クリスマスだったな。 、
l'| ̄||、/||.||/|| U つU (゚Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄ ̄ ̄U⊂ U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
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・
・
・
・
・
・
・
時が経つのは速いもんだ。
もうあれから13年が過ぎてしまった。
あの時はまだ俺も、サンタクロースを信じる、小さなガキだった。
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事の始まりは俺のイタズラからだった。
とうちゃん、俺
__ .⊂⊃ テストで100点を取ったゾ
..//.|――n| | `─────y──────'
///||_.n/||.ー‐' /´ お・・・、俺は
l'| ̄||、/||.||/|| ∧、、∧ ハ、、ハ ハハ ∠、 20点だ。 、
l.| ||/、'|||レ!'|| (.、、´、д) _______ (゚д゚、、) (゚Д゚;)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
、、l.|__|、、/、、l|||/~ ∪ | /旦 ./|口⊂ ⊃ 口⊂.⊂|
| |l、、"/~ ?(⌒ヽ´)/______/ し`J? .し`J?
| ||/  ̄ ̄ ||-----------||
/ ̄ ̄ ̄
9/52
頭が良くて、出来の良いアニキと、勉強はからっきしの俺。
オヤジに叱られるのは、いつも決まって俺ばかりだった。
お兄ちゃんは頑張っているのに、
それに引き換えギコはさっぱりだな。
本当に情けないヤツだ。
`──────y─────────' とうちゃん、もっと俺を
__ .⊂⊃ 褒めてくれよ。
..//.|――n| | `─────y──────'
///||_.n/||.ー‐' /´ エーン・・・
l'| ̄||、/||.||/|| ∧、、∧ ハ、、ハ ハハ ∠、 ごめんなさーい 、
l.| ||/、'|||レ!'|| (.、、´、д) _______ (゚д゚、、) (ДT、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
、、l.|__|、、/、、l|||/~ (つ つ /旦 ./|口⊂ ⊃ 口⊂.⊂|
| |l、、"/~ ?(⌒ヽ´)/______/ し`J? し`J?
| ||/  ̄ ̄ ||-----------||
/ ̄ ̄ ̄
毎度、毎度、同じパターン。
アニキと比べられる事が大嫌いだった。
別にアニキが悪い訳でもないのに、
「いつか兄ちゃんに仕返しをしてやる」
そんな風に考えていた。
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ある日、俺は一つのイタズラを思い付いた。
題して『兄ちゃんオネショ大作戦』だ。
...::..:...:...::.:..:...::..:...:...::.:..:...::..:...:...::.:..:...::..:...:...::.:..:...::..:...:::::
...::....::......:.::..::....:.....:.:...:....::..::.::.::..::.::....::......:.::..::....:.....:.:...:...:
...::..:::.....::::....:::.... ...::..:::.....::::....:::.....::::
...:.:.:...::. .:.:...::.::.::
...:.:.: zzz… /´ 兄ちゃん
ハ、、ハ ハハ ∠、 起きてるか? 、
/⌒(-д-)⌒ノ /⌒(゚Д゚;)⌒ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ノ`~`^''~''`ヽ./ ノ`~`^''~''`ヽ./
/ i!./ / i!./
(_、. // (_、. //
く.、_`^''ー-、_、、..ノ/ く.、_`^''ー-、_、、..ノ/
`~`''ー--‐' `~`''ー--‐'
11/52
...::..:...:...::.:..:...::..:...:...::.:..:...::..:...:...::.:..:...::..:...:...::.:..:...::..:...:::::
...::....::......:.::..::....:.....:.:...:....::..::.::.::..::.::....::......:.::..::....:.....:.:...:...:
...::..:::.....::::....:::.... ...::..:::.....::::....:::.....::::
...:.:.:...::. .:.:...::.::.::
...:.:.: zzz… :.:.:...::
ハ、、ハ シーコッコッコ
/⌒(-д-).ハハ /⌒´⌒``⌒ノ
ノノ⊂ ⊃(゚ 、) ノ`~`^''~''`ヽ./
/丿ヽ。゚⌒ヽU | / i!./
(_、..~`^''~''`ヽ//し`J? (_、. //
く.、_`^''ー-、_、、..ノ/ く.、_`^''ー-、_、、..ノ/
`~`''ー--‐' `~`''ー--‐'
これでアニキはオヤジにこっぴどくしかられる予定だった。
ところが、夜が明けると事態は思わぬ方向へと展開して行った。
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アニキの布団は血の色に赤く染まっていたのだ。
そこから我が家始まって以来の大騒ぎが始まった。
オイ・・・・・・、
急いで病院に行くぞ。
`──y───────'
ハ、、ハ とうちゃん・・・
(゚д゚;) かあちゃん・・・
∧、、∧ │ U zzz…
(;´、д) し`J? ハハ
U | /⌒´⌒``⌒ノ /⌒(-Д-)⌒ノ
?| | .ノノ ..;:;;;;:;:.. / ノ`~`^''~''`ヽ./
し`J /丿ヽ.:;;;;;;;;::./ / i!./
(_、..~`^''~''`ヽ./ ∧、∧ (_、. //
く.、_`^''ー-、_、、..ノ/ (゚; 、、) く.、_`^''ー-、_、、..ノ/
`~`''ー--‐' U | `~`''ー--‐'
| `?
U`U
13/52
それからアニキは数日間病院に通い、あらゆる検査をした。
一つの検査をして結果が出ず、また検査をして、何も判らない。
その度ごとに医者は首を捻り、オヤジとオフクロは不安を重ねて行った。
こんな症例は 息子は・・・・
私も初めてです。 大丈夫なんでしょうか?
`────y────'`───y───────'
|EDですか|
|(・∀・)
| ::::: ∧_∧ ∧、、∧ ∧、∧
ロ__ (;´∀`) (д、`;) (゚?゚;)
__/┌(\Ω/) │ U ヽ)(/|
||/||..|_└ヽ__|ヽ [ ̄ ̄] | |? │ )?
─||┸.。__]__)_) __||__. し`J UU
14/52
家族の中に疲れが色濃く現れ、イラ立ちの空気が漂い始める。
「俺のしたイタズラがとんでもない事になってしまった」
そう思ったおれは、恐る恐る、自分のした事をやっと口にした。
ごめん、兄ちゃん・・・ バカ野郎!!
あのおしっこ・・・ なんで今まで黙ってた?!
俺がやったんだ
`─────y─────'`───y─────────'
ハハ 、、、ハ、、ハ
(;゚Д゚) ('(゚д゚;)
U | │ U
?し`J し`J?
だ・・・・、だって、 お前、判らないのか?
怒られると思ったから。 そう言う問題じゃないんだぞ!
`─────y─────'`───y──────────'
ハ.ハ 、、、ハ、、ハ
(TДT) ('(゚д゚;)
U | │ U
?し`J し`J?
15/52
オヤジに連れられ病院に行き、検査を受けると、すぐに俺の入院が決まった。
これは非常に深刻な ど・・・・
状況と言わざるおえません。 どう言う事でしょうか?
`─────y───────'`──y────────'
|EDですか|
|(・∀・)
| ::::: ∧_∧ ∧、、∧ ∧、∧
ロ__ (;´∀`) (д、`;) (゚?゚;)
__/┌(\Ω/) │ U ヽ)(/|
||/||..|_└ヽ__|ヽ [ ̄ ̄] | |? │ )?
─||┸.。__]__)_) __||__. し`J UU
∧_∧ 今回、息子さんの腎臓を主に検査させて頂きました。
( ´∀`) その結果、息子さんの腎臓は両側供にかなりの萎縮をしており、非常に強い腎機能の
(\Ω/) 低下を確認致しました。
いわゆる、腎不全の一歩手前と言った状態です。
今まで自覚症状が出ていなかったのが不思議なくらいです。
さしあたっては、透析によって短期間であれば凌ぐ事も出来ますが、
いずれにせよ、彼の命を守る為には腎臓の移植手術が必要です。
16/52
それも、出来るだけ早い
時期にするべきです。 移植ですか・・・・
`─────y─────'`──y──────'
|EDですか| /´あのー・・・・、
|(・∀・) / その手術はすぐにでも
| ::::: ∧_∧ ∧、、∧ ∧、∧ ∠、 受けられる物なのでしょうか? 、
ロ__ (;´∀`) (д、`;) (゚?゚;)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__/┌(\Ω/) │ U ヽ)(/|
||/||..|_└ヽ__|ヽ [ ̄ ̄] | |? │ )?
─||┸.。__]__)_) __||__. し`J UU
∧_∧ 移植手術となりますと、当然、「ドナー」・・・・、アッ・・・、提供者が必要となります。
( ´∀`) 臓器という物はですね、人の個性と同じ様に人それぞれで違う物なのです。
(\Ω/) 臓器の適合性と言うのがありまして、健康な腎臓であれば誰の物でも使えるという訳ではないのです。
17/52
幸な事に、息子さんの場合、
先日検査しましたお兄さんの
腎臓がほぼ問題無く使える 本当ですか?!
事が判ってはいるのですが それは良かっ・・・・
・・・・・・・・・・ アッ・・・、イヤ・・・、でも・・・
`─────y───────' `─y────────────'
|EDですか|
|(・∀・) /´ お・・・・、
| ::::: ∧_∧ ∧、、∧ ∧、∧ ∠、 おとうさん・・・・。 、
ロ__ (;´∀`) (д、`;) (゚?゚;)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__/┌(\Ω/) │ U ⊂ U
||/||..|_└ヽ__|ヽ [ ̄ ̄] | |? │ )?
─||┸.。__]__)_) __||__. し`J UU
∧_∧ そうです。
( ´∀`) 例え片方とは言え、まだ成長期にあるお兄さんから腎臓を摘出するという事は
(\Ω/) かなりのリスクを伴います。
例えば、移植手術直後には問題が生じなかったとしても、彼が大きくなるにつれて、
また新たな問題が生じるかも知れません。
18/52
移植をするならば、
そういったリスクを覚悟
してもらわなくてはなりなせん。 いったいどうすれば・・・・。
`─────y───────'`──y──────────'
|EDですか|
|(・∀・)
| ::::: ∧_∧ ∧、、∧ ∧、∧
ロ__ (;´∀`) (д、`;) (゚-∩、)・゚゚・。
__/┌(\Ω/) │ U | ソ
||/||..|_└ヽ__|ヽ [ ̄ ̄] | |? │ )?
─||┸.。__]__)_) __||__. し`J UU
13年前・・・・、当時はまだ「脳死患者からの臓器移植」など、議論すらされていない段階だった。
国内での手術を諦め、僅かな希望を求め海外での手術を望んだ人もいたが、それにかかる費用は
とても一個人で払える様な額ではなかった。
19/52
ハア・・・・・ アッ、とうちゃん、どうだった?
| ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄| アレ?、かあちゃん泣いてるの?
| || | 泌尿器科 `───y──' `─────y─────────'
| || | 外来
| || | ハ、、ハ
| o.|| | ∧、∧ ∧、、∧ (゚д゚、、)
| || |。・゚゚・(、∩-゚) (;´、д) ⊂ ⊃
| || | ヽ | U | 二二二//ノ?二二二
|____||____| ?( | ?| | _____ ┃ ____┃ _____
((( (/´U ((( (/`J ┻ ┻
20/52
お前の・・・・・
| ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄| 腎臓を・・・・・・ エッ?! 何?!
| || | 泌尿器科 `───y────' `────y─────'
| || | 外来
| || |
| o.|| | ∧、∧ ∧、、∧
| || |。・゚゚・(、∩-゚) (;´、д) ハ、、ハ
| || | ヽ | U | 二二(゚д゚、、) 二二二二
|____||____| ?( | ?| | _____ ┃ | U _┃ _____
UU し`J ┻ し`J? ┻
21/52
ねえ!! 何でもない、大丈夫だ。
何があったの?! 心配するな。
`────y─────' `────y───────'
∧、∧ ∧、、∧
ハ、、ハ 。・゚゚・(、∩-゚) (;´、д)
二二二(;゚д゚) 二二二二 ヽ | U |
_____ ┃ U | _┃ _____ ?( | ?| | ________
┻ ?し`J ┻ ((( (/´U ((( (/`J
22/52
入院生活はいたって退屈な物だった。
一日おきに3時間の透析、それ以外の時間は「出来るだけおとなしくしてろ」と言われていた。
オフクロが付き添って俺の世話をしてくれていたが、家の事も有ったし、パートをどうしても
抜けられない時も有り、病室に独りきりの時にはとても寂しく思えた。
学校が終わって、アニキが病室に来てくれた時は、とても嬉しかったのを覚えている。
ギコ
もうちょっとでクリスマスだな。
お前、サンタさんに何を貰うんだ?
`───────y────────'
/´何にしようかなー。
ハ、、ハ ______ / 欲しい物がいっぱいあり過ぎて
(、、゚д゚) ||__.ハハ __|| ∠、 俺、困ってるんだ。 、
____ U |__/ (゚Д゚、、) ./|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
23/52
バカだなーお前。
どうせ一個しか貰えないんだから、
早く決めとかないとクリスマスに
何も貰えなくなっちゃうぞ。
`───────y───────'
/´ヒデーなー兄ちゃん。
ハ、、ハ 、、 ______ / でも・・・・、
(、、゚д゚)') ||__.ハハ __|| ∠、 俺、何もいらないや。 、
____ U |__/ (゚Д゚、、) ./|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
なんでだ?
別にいいけどよー・・・、じゃあ、
お前の分も俺が貰っちまうからな。
`───────y────────'
ハ、、ハ ______ /´ それよりも、俺・・・・・
(、、゚д゚) ||__.ハハ __|| ∠、 うちに帰りたいんだ。 、
____ U |__/ (゚Д゚、、) ./|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
24/52
うちに・・・・?
`───y───'
/´ウン。
/ かあちゃんにでっかい
ハ、、ハ ______ / ケーキ作ってもらって、
(;゚д゚) ||__ハハ __|| ∠、 家族4人でパーティするんだ。 、
____ U |__/ (゚Д゚、、) ./|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
・・・・・・そうか。
それまでに退院出来るといいな。
`───────y───────'
/´ ウン。
ハ、、ハ ______ / だから俺・・・・
(、、゚д゚) ||__ハハ __|| ∠、 がんばって病気を治すんだ。、
____ ⊂ ⊃/ (゚Д゚、、) ./|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
25/52
ギコ・・・・
`───y───'
ハ、、ハ ______ /´ なんだ 兄ちゃん?
(;゚д) ||__ハハ __|| ∠、 、
____ U |__/ (゚Д゚、、) ./|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
なんでもねぇーよ
`────y─────'
? ?
ハ、、ハ ______
(д 、、)彡 ||__.ハハ __||
____. ゚U |__/ (Д゚、、) ./|_______
__?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//))
|| || / //
_______ //
|| || || ||//
|| ̄|| ̄|| ̄||/
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
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27/52
中央検査室 放射線科 CT
← → MRI
せんせーい
`───y───'
∧_∧
(´∀` ) 、、 ハ、、ハ
(Ω/ ) ('(゚д゚、、)
____ |_|ヽ_ヽ ________ | U __________
(___)__) )) し`ヽ)? ))
ん・・・・・、 先生・・・・ 放射線科 CT
何かな? 俺の腎臓ってのが有れば → MRI
`───y───' ギコの病気が治るの?
`──────y─────'
∧_∧
( ´∀`) ハ、、ハ
(\Ω/) (゚д゚、、)
____ /_」|__| ________ | U ______________
(___)__) し`J?
28/52
うん・・・・、
確かにそうだけど・・・、 とうちゃんは何も教えてくれないんだ。
お父さんに何か聞いたのかい? でも、もしそうなのなら、俺のをギコに
`───────y───────' あげてもいいかなって思って・・・・。
`─────y────────────'
∧_∧
( ´∀`) ハ、、ハ
(\Ω/) (゚д゚、、)
____ /_」|__| ________ | U ______________
(___)__) し`J?
そうか・・・、 そうでもないよ。
君は良いお兄ちゃんだね。 ギコとはいつもケンカばっかり
`───────y─────' してるし・・・・。
`─────y────────'
∧_∧
( ´∀`) ハ、、ハ
(\Ω/) (゚д゚、、)
____ /_」|__| ________ | U ______________
(___)__) し`J?
29/52
∧_∧ でもね・・・・、よく考えてごらん。
( ´∀`) 弟を助ける事は素晴しい事だけど、同時にそれは君の体を傷付ける事になるんだよ。
(\Ω/) 先生はギコ君だけじゃなくて、君も手術する事になるんだ。
どうだね? こっ・・・怖いけど・・・・
君だってそれは怖いだろ? スッゲー怖いけど・・・・
`───────y─────' でも・・・・、でも・・・・・
`─────y────────'
∧_∧
( ´∀`) ハ、、ハ
(\Ω/) (゚д゚;)
____ /_」|__| ________ | U ______________
(___)__) し`J?
30/52
/ヽ /ヽ
/ │ / ヽ キゴがいなくなっちゃうと
/ ヽノノノノ丿 ヽ.
.、:' ヾ 俺・・・・
.:' ○ ○ u i
.i | ̄ヾ u i 俺・・・・
.'.. |__) ::/
`:、 ..:::/ 兄ちゃんじゃなくなっちゃうんだ!!
/ :、_ _ ....:::;;ヽ
/ ...::::::::;;ヽ
/ ....::::::::::::、、ヾ
31/52
32/52
俺が何も判っていない内に、俺とアニキの手術は決まった。
ありがとな・・・・
ありがとな・・・・
`─────y────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| |
///||_.n/||.ー‐' ∧、∧ /´俺・・・
l'| ̄||、/||.||/||. ∧、、∧ 。・゚゚・(、∩-゚) ハ、、ハ ∠、 もう怖くないぞ! 、
l.| ||/、'|||レ!'|| (、、。_。) ___|_ソ__|____ (゚д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
、、l.|__|、、/、、l|||/.~ U::| /旦 /.⊂ ⊃
| |l、、"/~ ?(⌒ヽ´)∠_______/.:ヾ し`J?
| ||/  ̄ ̄ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、
/ ̄ ̄ ̄ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ
~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
あの時、俺は『アニキの腎臓を貰う』事の意味さえ良く判らずにいた。
手術が何なのかも知らなかった。
ただ、不思議な事に怖くはなかった。
「兄ちゃんと一緒なら、何も怖くなんかない。」
そう思っていた。
33/52
俺とアニキの手術の日がやって来た。
「出来るだけ早くして欲しい」とオヤジが望んで、年の瀬ではあったが、年内の手術となった。
その日はちょうどクリスマスイブだった。
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│ 手 術 室 |
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先生 | || |
お願いします。 || |
`──y────' || |
| || | /´大丈夫ですよ。
.. ∧、、∧ | || ∧_∧ ∠、 心配いりませんから。 、
(;´、д) | ギコ…||. (´∀` )  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
U | _ハ、、ハ_ ||ニイチャン… ( Y )
?| | /(、、゚д゚)/|| __ハハ__ | | |
し`J/~⌒⌒⌒~| ◎ /(゚Д゚、、)/||(_(_)
/ /⌒ヽ/_ノ. /~⌒⌒⌒~| ◎ /´
/ ⌒./_丿 / /⌒ヽ/_ノ ∧、∧ ∠、頑張ってね。 、
|| ̄ ̄ ̄|||丿 / ⌒./_丿 (゚; 、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
. ◎. ◎ || ̄ ̄ ̄|||丿 U |
◎. ◎ | `?
U`U
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先生・・・・・ もう麻酔で眠っているよ。
ギコは? さあ、次は君の番だ。
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/___/|∧_∧ /___/|
|ΘΘΘ| :|(´∀` ) |ΘΘΘ| :|
_ハ、、ハ___ │;|( Y ) _.ハハ___ .│;|
/(、、゚д゚)./|. | | | /(=◎=)./|
/~⌒⌒⌒~|/ (_(_)/~⌒⌒⌒~|/
/ /⌒ヽ/_ノ / /⌒ヽ/_ノ
/ ⌒./_丿 / ⌒./_丿
| ̄ ̄ ̄ ̄|丿| | ̄ ̄ ̄ ̄|丿|
.  ̄ ̄ ̄| ̄: ;|  ̄ ̄ ̄| ̄: ;|
[二二二] [二二二]
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∧_∧/___/| /___/|
( ´∀`)ΘΘΘ.| | |ΘΘΘ| :| ギコ・・・・・・・
(_ハ、、ハ__つ◎∝.│| _.ハハ___ .│;|
/(、、゚д)./| § /(=◎=)./| 今年はサンタさんは
/~⌒⌒⌒~|/ /~⌒⌒⌒~|/
/ /⌒ヽ/_ノ / /⌒ヽ/_ノ 来てくれそうもないから
/ ⌒./_丿 / ⌒./_丿
| ̄ ̄ ̄ ̄|丿| | ̄ ̄ ̄ ̄|丿| 兄ちゃんが代わりに
.  ̄ ̄ ̄| ̄: ;|  ̄ ̄ ̄| ̄: ;|
[二二二] [二二二] サンタクロースだ
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|ΘΘΘ| :| |ΘΘΘ| :|
__.ハ、、ハ___ :│;| _.ハハ___ .│;|
/(=◎=)./| /(=◎=)./| 兄ちゃんからのプレゼント・・・・・
/~⌒⌒⌒~|/ /~⌒⌒⌒~|/
/ /⌒ヽ/_ノ / /⌒ヽ/_ノ
/ ⌒./_丿 / ⌒./_丿 大切に使えよ
| ̄ ̄ ̄ ̄|丿| | ̄ ̄ ̄ ̄|丿|
.  ̄ ̄ ̄| ̄: ;|  ̄ ̄ ̄| ̄: ;|
[二二二] [二二二]
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13年か・・・・、速いな。
イヤな野郎だったけど
助けてやって良かったとは思ってるよ。
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__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ オイオイ・・・・、
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 随分な言い方だな。 、
l'| ̄||、/||.||/|| U つU (Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄ ̄ ̄U⊂ U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
本当、ヤな野郎でよ、
いつもいつも目障りなヤツで・・・、なのに
可愛がられるのは年下のお前ばかりだ。
`─────────y─────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ それは俺のセリフだろ!
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) 、、 ∧∧ ∠、 俺なんか叱られてばかりだったぞ。 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | ('(Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
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それはお前が判ってないんだよ!
`────────y────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧、、 /´ 判ってないのは
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚)') 、、 ∧∧ ∠、 アニキの方だろーが!! 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | ('(Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
相変わらずヤな野郎だな・・・・。
`────────y───────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ じゃあ、なんで
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 そのヤな野郎を助けたりしたんだよ? 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
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なんつーかさ、
『当たり前の幸せ』ってヤツかな。
お前が教えてくれたんだぞ。
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__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ 俺が??
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 何の事だ? 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
覚えてないのか? お前、あの時、
「プレゼントはいらないから、うちに帰りたい」
って言ったんだ。
`────────y────────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ 俺そんな事を言ったのか?
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 覚えてねぇーなぁー。 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
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∧、∧ 俺がいて、お前がいて、オヤジとオフクロがいる。
(、、゚д゚)
. U |
∧、、∧ ∧、∧
(、、´д`) ハ、、ハ ハハ (゚ー゚、、)
U | (、、゚д゚) (゚Д゚、、) ヽ)(/|
?| | U | | U │ )?
し`J ?し`J し`J? UU
4人は家族で、一緒に暮らしている。
それは当たり前の事なんだけど、実はその当たり前の事がとても幸せな事なんだ。
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もし、その当たり前の事が当たり前じゃなくなってしまうとしたら・・・・、
∧、、∧ ∧、∧
(、、 д) ハ、、ハ (?、、)
U | (、、д) ヽ)(/|
?| | U | │ )?
し`J ?し`J `` ´´ UU
それはとても悲しくて、不幸な事なんだ。
でも、人はそうなってしまうまで「当たり前の幸せ」に気付かないんだよ。
多くの場合が、「当たり前の幸せ」に気付いた時にはもう、手遅れになってしまっているんだ。
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∧、、∧ ∧、∧
(、、´д`) ハ、、ハ ハハ (゚ー゚、、)
U | (、、゚д゚) (゚Д゚、、) ヽ)(/|
?| | U | | U │ )?
し`J ?し`J し`J? UU
そうならない為に、「当たり前の幸せ」を守る為にも、家族それぞれが
自分に何が出来るのか、
自分が何をしなくてはならないのか、
それを考えなくちゃいけないんだ。
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あの時、病室で寝ているお前を見ていて
俺は変な事を考えていたんだ。
`────────y──────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ 変な事?・・・・
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 何を考えていたんだ? 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
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│ 俺は・・・、 |
俺は、ギコがいるからお兄ちゃんなんだ。
│ `─────y─────────────' |
。
│ ゚ │
ハ、、ハ ______
│ (;゚д゚) ||__ハハ __|| │
____ U |__/ (゚Д゚、、) ./| ______
│ __?し`J/⌒⌒⌒⌒⌒//)) |
|| || / //
│ _______ // |
|| || || ||//
│ || ̄|| ̄|| ̄||/ |
◎ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄◎
│ |
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あの時は、それがどういう意味なのか
俺にも良く判らなかったけど、
今考えてみると、それが判る気がするんだ。
`────────y───────────'
__ .⊂⊃
..//.|――n| | ∧、∧ /´ フーン、
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) ∧∧ ∠、 なるほどね。 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | (Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
、、l.|__|、、/、、l|||/ ∠_______/.:ヾソ γ⌒)
| |l、、"/~ ノ ::::ヾ ... :::.. `、 `、 (|| ̄||)
| ||/ ( ..:::::::"、、.;、、.:..::: 、、.;、、.: . ノ  ̄ ̄
/ ̄ ̄ ̄ ~~"'""~~" ~" ~"'''''""~
そう考えると、ガキの頃の俺って
エライなぁー。
我ながら思う。
ウン!、たいしたヤツだ!!
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..//.|――n| | ∧、∧ /´ そーいう事は、自分じゃ
///||_.n/||.ー‐' (、、゚д゚) 、、、∧∧ ∠、 言わねぇー事だぞ。 普通! 、
l'| ̄||、/||.||/|| U | ('(Д゚、、)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l.| ||/、'|||レ!'|| / ̄[] ̄ ̄U ̄U.7| U
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