はまった男 2
僕が日本に戻ってからは、王と、2日に一度の割合でお互い電話をした。
ただ、王が、かけてきたときは、電話代が高いので、2コールしてから、僕から、かけ直すようにしている。
王は、若いだけあって、日本語をどんどん覚える。僕の中国語とはえらい差だ。
まあ、僕は仕事があり、毎日忙しいから覚えるのが遅くて当然だ。(ただの努力不足)
5月に入り、そろそろ大連に行く日にちを決めようと、王に電話をした。
僕は王が喜んでくれると思ったのだが、少し困ったような声で、「明日から、お母さんが喉の手術で入院するから、電話しないで。」と言ってきた。
僕はおかしいな?と思った。王のお母さんは、喉が弱く、いつも咳をしていたのは知っている。
しかし、24時間、お母さんの看病で、付きっきりという訳でもあるまい。
「1週間、入院する。お母さんが退院したら、私から電話をするから、それまであなたからは、電話をしないで。」
本当だろうか?しかし、まさかウソだとも言えず、僕は王の言葉を信じることにした。
僕は、川崎大師に行き、身体安全のお守りを2つ買った。王とお母さんの分だ。
僕は、このお守りをEMS(だっけ?)で送ろうと思った。
早く届いた方が、ご利益がある。
でも、お守りだけを送っても、味気ない。僕は中国語で手紙を書くことにした。
知っている単語と、本で調べて書いたが、はたしてこれで通じるだろうか?
僕は、そういえば、ヤフージャパンに、翻訳の項目があったのを思い出した。
僕は日本語から、中国語に変換をして、書き写した。
こんな便利なものがあったのか!楽チンだ!僕は、次のように書いた。
お久しぶりです。お元気ですか?
この間は、大連で長い間お世話になり、有り難う御座いました。
喉の調子が悪く、入院をすると聞いたので、お守りを送ります。
日本で有名なお寺のお守りなので、必ずご利益があると思います。
早く治り、元気な姿で、またお会いできたら嬉しいです。
王○、元気ですか?早く逢いたいです。
きっと、王も僕と同じ気持ちだと思います。
王にまた、逢えることを心から願っています。
お身体、気を付けて下さい。
まあ、ありきたりの文章だが、こんなもんで良いだろう。次の文章に翻訳された。
好久不见。近来您好吗?
感谢大大地連で长有照顾感谢这些间隔间隔有坐位。
咽喉的音阶坏的,因为听说住院,所以送防御。
因为您在日本防御为人所知的寺院,所以准确信有利益。
早修好了,要是也能在精神的姿态里面见就高兴。
王○很精神不很精神?我希望早遇见。
确实地确信也我和同样的心情王。
从心底愿望也能遇见王。
身体请当心。
手紙を送ってからわかったのだが、メチャクチャな文章だ。
王は、理解するのに時間がかかった、と言っていた。
僕は、日本語から中国語の翻訳は、二度とヤフーは利用しないだろう。
王は、勝利広場で、服を売る店員の仕事を始めた。給料は月1000元。
月25日勤務、1日8時間労働、時給計算はたったの5元だ。
夕方から日本語学校に行く。
今まで甘やかされていた(?)王にとってはきついかと思ったのだが、以前の会社より全然楽だし、あなたの援助があるから
問題ない、と言っていた。
王が「仕事を始めて、忙しいから、私から電話する。」とか、「日本語学校が忙しいから、私から電話する。」とか言ってなかなか連絡とれない。僕からは電話できないので、王の電話待ちだ。
なんか、おかしいな?
以前は僕の電話を喜んでいたのに、僕から電話できないなんて。
そのおかげで、僕は5月30日に大連に行く予定だったのが、
5月28日に変更になったことも言えなかった。
僕は、電話をかけてこない王がいけないんだ!と思い
28日に変更になったことは内緒にして、大連へ旅立った。
空港にはもちろん王の姿はない。
もし、僕が28日に行くと伝えていれば迎えにきてくれたと思うのだが・・・・。
今回僕は、ラマダホテルを取った。
王の家に泊まれば、ホテル代はタダだが、また「家を買え!」おばさんがいると、イヤだからだ。
それともう一つ、理由がある。せっかく2日間、王がいないんだから、少し遊んでやろう、王が悪いんだ、と思ったのである。
しかし、ラマダホテルはスイスやヒルトンに比べて、ボロい。
宿泊料が安いから仕方ないのだが。
ホテルに着いてから、僕は、これからどうしようか考えた。
王に電話してみようか?やっぱり、早く逢いたい。
さすがに今、僕が大連にいると言えば、すっ飛んできてくれるだろう。
イヤ、あいつは自分から電話するから、あなたからはかけてこないで、と何度も言った。
そのくせに、王から電話があったのは、5月は3回だけだ。
僕は少し頭にきていたので、電話をするのを止めた。
僕は、急に眠くなった。
そういえば、昨日は仕事を、ほとんど寝ないで終わらせた。
王に逢いに来る時は、何日も日本を離れてしまうのでなるべく仕事を終わらせるために、いつも寝不足だ。
僕は、ここまで苦労して逢いに来ているのに、電話もかけてこないなんて。
王は冷たい女だ。
今日は絶対遊んでやる!と思いながらいつの間にか寝てしまった。
僕が目を覚ましたのは、午後11時。
ほとんどのカラオケの店は午前1時までだ。
しまった!時間がない。せっかく自由になれる、貴重な1日だったのに。
僕は急いで着替えて、夜の大連にくりだした。
まず、中式KTVに行こうと思った。日式より、可愛い子が多い。
まずは、外商クラブの9F(10Fは日式です。)の中式に入った。
可愛い子は、うーん、いない。
何度チェンジしてもそうだ。
80人近く部屋に入ってきたが、王の半分も可愛さがある女はいない。
時間がない。
僕は会計をして、店を出た。本当は400元らしいが、すぐ店を出たので150元にしてくれた。
中式は部屋代が高い。
次に、新東方に行った。ここの1Fのレストランは、大連で3本の指に入るくらい有名だ。
以前は自分の好みの女は、必ず見つかると言われるほど、レベルの高い店だった。
チップも300元で、大連では、女のレベル、値段、どれもトップクラスだ。
しかし、行った時間が遅かったのか、レベルが落ちたのかわからないが、可愛い子はいない。
ここでも80人くらい見たが、王の半分の可愛さもなかった。
会計は、すぐ出たので、100元にしてくれた。
次に、東海月光城に行った。相変わらずネオンがすごい。
ここはママが、がめついので料金をまけてくれることはないだろう。
部屋に入ったが、来た女の子は8人ほど。
可愛い女はいない。
僕は店を出ようとしたら、部屋代と、ママのチップを請求してきた。
もめるのがイヤなので、400元だけ払って店を出た。
この店には、もう二度と行かない、と心に誓った。
時間が遅いせいか?それとも大連のレベルが落ちたのか?
それとも王のような可愛い子に見慣れたせいか?(笑)
中式では可愛い子には、出会えなかった。
時間がないので、次は日式にくりだした。
まずは、森ビル裏の日本人クラブ街。
そういえば、王が泣かした、あの大柄の小姐はまだいるんだろうか?
ここは、日本語が通じるので、「可愛い女の子がいたら、店にはいるよ。」
と言って、見て回ったが、可愛い子はいない。
時間を見ると午前12時半だ。
もう、可愛い子を見つけるのは、無理かな?
半ば諦めかけ、最後に大型店ステラに行った。
午前1時を過ぎている。
ステラに着いた。
小姐がお客を、タクシーに乗せている。
小姐が店に戻るところを、僕は話しかけた。
僕 「今日は、もう終わりかな?」
小姐 「女の子達は、みんな帰っちゃったから、私しかいないけど。」
僕 「じゃあ、君でいいよ。少し飲みたいんだ。」
小姐 「どうぞ。お客も、もういないから。」
僕は、店に入った。そう言えば、2000万円かけて改装してからステラに来るのは初めてだ。
というより、大連のクラブ自体が久しぶりだ。(恵子ママ、結婚おめでとう。お幸せに!)
僕は小姐と話したが、つまらない。こんなことなら、つまらない意地を張ってないで王に電話すれば良かった。
僕がつまらなそうな顔をしていると
小姐 「私と話していても、つまらない?」
僕 「いや、そんなことないよ。」
小姐 「誰か、電話して、呼ぼうか?」
僕 「こんな時間に、きてくれる女の子いるの?」
小姐 「結構、暇な子多いから。どんな女の子が好みなの?」
僕は、財布から王の写真を取りだし、小姐に見せた。小姐がじっと見ている。
僕 「この子みたいな女の子だったら、最高だね。」
小姐 「この写真の子、ウチの店で、働いている子に似ている。」
僕 「え?」
小姐 「あれ?この子、○○チャンじゃないかな?」
僕 「・・・・・・・・・・」
小姐 「呼んでみよう。今、電話してみる。」
小姐が、電話を取り出した。
僕 「ちょっと待って、その子の電話番号教えてよ。」
僕はあわてた。
まさか、王がステラで働いている?そんな馬鹿な。
小姐が、電話番号を読み上げた。
よかった、王の番号じゃない。
小姐が、女の子に電話をした。電話が終わると
小姐 「20分くらいしたら、来てくれるって。良かったね。」
僕 「その女の子は、この写真の子に似ているの?」
小姐 「もう、そっくりだよ。本人じゃないかな?」
そんなに、似ているのか?でも、電話番号は違うし。
待てよ、王は、もう一つ店用に携帯電話を買ったのか?まさか?
もし王だったら、お互い最悪だ。僕は、イヤな気分で女の子を待った。
僕は、ドキドキしながら、女の子を待った。もし王だったら、どうしよう。
僕が、日本人クラブに来たことを、あやまるべきなのか?
それとも、王が、日本人クラブで働いていることを、怒るべきなのか?
しばらくして、女の子が入ってきた。
小姐が 「○○ちゃんで?す!!」とか言いながら、1人で拍手をしている。
え?この子?似ていない!どこが王に似ているんだ?
王に失礼な!
この小姐は、目が悪いんじゃないか?しかし、王じゃなくてホッとした。
隣に座ってきた。よく見ると、王に少し似ているかな?
小姐が 「私は邪魔なので、帰りまーす。ごゆっくり。」
と言って、店を出て行った。
僕 「君は、日本語が出来るの?」
王の偽物 「出来ます。」
僕は、話すことがなく、つまらない会話になった。
いや、同じ会話でも王とだったら楽しいが、この偽物じゃ、楽しくない。
自分のタイプの女の子だったら、頑張って会話をするのだが、その気がない。
僕は、夕方から夜にかけて、ぐっすり寝てしまったので、まったく眠くない。
1人でホテルに戻っても、つまらない。
1人だったら、王の偽物といたほうが、まだマシだ。
僕 「これから、どうしようか?お腹空いている?」
偽物 「少し。」
僕 「じゃあ、ご飯を食べに行こう。」
僕はご飯を食べて、時間を潰すことにした。
会計をして、タクシーに乗った。
タクシーが走り始めると、王の偽物が寄りかかってきた。
偽物「あなた、どこのホテルに泊まっているの?」
僕 「ラマダホテルだよ。」
偽物「私、ホテル行ってもいいよ。」
僕 「・・・・・・・・・」
どうやら、この子はお持ちOKの子だったらしい。僕も少しお酒が入っている。
僕 「じゃあ、ご飯はやめて、ホテルに行こう。」
行き先をラマダホテルにした。
王に少し罪悪感を感じた。
ホテルに入って、王の偽物が、服を脱ぎはじめ、「3万円でいいよ。」と言ってきた。
この時1万円=約790元だった。約2400元、高いなあ。
自分の好みでもないし偽物に2400元も払うのはイヤだ。
オリジナルの王にあげたい。
3万円と聞いて、もう、一緒にいるのもイヤになった。
もし、今、王に電話をしたら、喜んで来てくれるだろう。
しかし、こんな時間に電話できない。
意地を張った僕は、バカだ。
僕 「あのさ・・悪いんだけど1万円あげるから、帰ってもらえない?」
偽物「どうして?ホテルまで来たのに?」
僕 「いや、明日、仕事で朝早いから・・・・。」
偽物「じゃあ、私が起こしてあげる。その代わり2万円頂戴。」
僕 「1人で起きられるから、帰っていいよ。はい、1万円。」
偽物「ここまで、連れてきたんだから、2万円。」
(何もしないのに、この偽物は2万円取るのか・・・・。)
ホテルに行こうと言った、僕にも責任がある。
僕は、財布から2万円取り出し、偽物に渡した。
偽物は「サンキュー」
と言って、ベットに寝転がり、10分もしないで寝てしまった。
時計を見ると午前3時近い。すぐ寝てしまう訳だ。寝顔は可愛いな。
僕は、何をやっているんだろうと、自己嫌悪に陥っていた。
朝、8時に目が覚めた。王の偽物は寝ている。
まったく、起こしてくれると言ったのに。僕は苦笑した。
僕は偽物を起こして、帰ってもらった。
偽物が帰り際に、「あなたが日本に帰るまで、ずっと一緒にいてあげる。」と言ってきた。
僕は、「ありがとう。」と言ったが、もう逢いたくもない。
さて、これからどうしょう。
とりあえず王には、1日早まって、今日来た。連絡しなかったのは、王を驚かすためだ、とでも言おうか?
やはり、大連に来ているのだから、少しでも早く王に逢いたい。
そういえば、王の勝利広場で働いている姿を、見たことがない。
僕は、電話をしないで、勝利広場に、直接逢いに行くことにした。
30日に空港で待ち合わせしていたから、29日の今日、逢いに行ったらきっと驚くだろう。
10時になり、僕は勝利広場に向かった。
今思えば、馬鹿な行動だ。
どうして時間を気にしなかったんだろう?
僕は、王を捜した。どこの服店だ?店が多すぎる。
1時間くらい捜してやっと見つけた。王は僕に気付いていない。
僕は、少し離れたところで王の働いている姿を見ていた。可愛い。
偽物とは大違いだ。
僕は、店に入って行った。
王が、驚いている。そして、抱きついてきた。
ほかの店員もいる店の中で、王は恥ずかしくないのかな?
王 「明日じゃなかったの?」
僕 「今日にした。驚いた?」
王 「驚いた。ちょっとまってて。」
王が、店の女の人と話している。
戻ってきて、「ごめん、早退できない。明日からは休み取ったんだけど。」
僕 「気にしないで。何時に終わるの?」
王 「今日は、6時。日本語学校は、今日休む。」
僕 「じゃあ、6時に迎えにくるよ。」
王 「昼休み、ここで一緒に、ご飯を食べよう。12時に来て。」
僕 「わかった。」
僕は、1時間、時間を潰すことにした。
しかし、勤めて間もない店員に簡単に休みを与えるのか?
明日から、僕が日本に帰るまで3日間ある。
日本の会社なら、まず休みは取れないだろう。
このへんは中国だなと思う。
12時になり、僕は王の店に向かった。
王が、店員に僕を紹介してくれた。
彼は日本人で私の恋人だと言っている。
王が、容器に入ったご飯を、僕に渡した。昼ご飯は、いつも店の中で食べるみたいだ。
王は薄化粧している。
いつもスッピンだから、化粧している顔を見ると、大人っぽく見える。
このくらいの薄化粧だったら、問題ない。
王は最初は、はしゃぎまくっていたが、急に態度が変わった。
王 「Tさん、本当に今日、大連に来たの?」
僕 「そうだよ、どうして?」
王 「明日、空港で待ち合わせた時間と違う。」
僕 「・・・・それは、違う飛行機にしたから。」
王 「東京から、そんなに早い時間の飛行機があるの?」
僕 「・・・・あるよ。」
王 「・・・・本当は、昨日来たんじゃないの?」
僕 「違うよ、今日来たんだ。王に早く逢いたかったんだ。」
王 「・・・・・・・・・・・・。」
僕 「信じられないの?」
王 「・・・・・・・信じる。」
王は、少し涙を浮かべながら、そう言った。
本当に信じたのか、わからない。
パスポートを見せてくれと言われたらアウトだ。
でも、王はそう言ってこなかった。僕のことを信じたと、言うより、信じたい、信じなければ、と思っているのかもしれない。気まずくなった。
ご飯を食べ終わり、僕は、しばらく王の働く姿をみて、店を出た。
あと、約5時間、僕は何をして過ごそうか?
僕は、勝利広場を出た。王泣いていたな、かわいそうだ。
でも、電話をかけてこない王が悪いんだ、
だから、予定変更したことを伝えられなかったんだ。
自分勝手な言い分だが、男なんて、そんなもんだ。
僕は、前から行ってみたかった所がある。旧ヒルトンホテル前のマッサージだ。
安くて、可愛い子が多いと聞いていた。
さっき王を泣かせたばかりなのに、僕は一体何を考えているんだろう?
僕は、タクシーに乗り、旧ヒルトンホテルに向かった。
店に着いた。まず、2Fでシャワーを浴び、着替える。その後地下に行き秘密の?通路を通って、部屋に入る。しばらくしたら、女の子達が入ってきた。
店の男が、女の子を選んでくれ、と言っている。どうやら、可愛い子が多いと聞いたのは、大袈裟のようだ。
どちらかというと、ブスな子のほうが多い。
僕は、指をさしながら、「この子、イヤこっちの子のほうが・・それともこっちの子のほうが・・この子もいいな・・・。」
と言っていたら、指をさした女の子達、全員残ってしまった。
え?4対1?
行為が終わり、会計をした。
一体幾ら取られるんだ?と心配したが720元だった。1人あたり180元、安いな。
しかし、5Pをした男なんているんだろうか?まあ、これもいい笑い話になるだろう。
僕は、勝利広場に戻った。まだ時間がある。エスカレーターで上に行く。
4Fの喫茶店で時間を潰すことにした。ここのタルトは美味い。僕は大連の喫茶店でここが一番好きだ。飲み物、食べ物、店員の接客、全て合格点だと思う。
午後6時になり、王の店に行った。仕事の終わった王が、出てきた。
手をつなぎながら、勝利広場を出た。改めて見ると王は可愛い。みとれてしまう。
今回大連に来て、王より可愛い子は、どこにもいなかった。
僕 「お腹空いている?」
王 「うん、何か食べに行こう。」
僕 「・・・・・・・・」
王 「どうしたの?」
僕 「王が一番綺麗だ。」
王 「ありがとう!」
王が抱きついてきて、キスしてきた。
とたんに王の態度が変わった。
王 「Tさん、荷物どこにあるの?」
僕は指さして
僕 「そこの、ラマダホテルだよ。」
王 「どうしてホテルとったの?私の家に泊まればいいじゃない。」
僕 「王のおばさんは、苦手だから・・。急に予定も変わったし・・。」
王 「おばさんも、お母さんも、今大連にいない。私1人だよ。」
僕 「そうなの?知らなかった。」
王 「ホテルに行こう。」
僕 「先に、ご飯を食べようよ。」
王 「いいから、ホテルに行く!」
王は、僕のことを睨みながら、言った。
どうしてこんなに怒っているんだ?
僕の部屋に着いた。
王は、ベットやゴミ箱、洗面所などを見ている。
今度は、僕の荷物をチェック仕始めた。デジカメの中身も見ている。
電気スタンドの下に封筒があった。王が、中の手紙を読んでいる。
段々、王の顔が、険しくなってくる。
とたんに王は部屋を飛び出した。王は何をしてるんだ?
しばらくして、チャイムが鳴った。ドアを開けると、王が涙を浮かべながら真っ赤な顔で、僕のことを叩いてきた。何度も何度も、叩いてくる。
グーで叩くから結構痛い。今度は、荷物を投げてきた。一体どうしたんだ?
デジカメが僕の顔に当たる。これは痛かった。
僕は、力で押さえつけてベットに押し倒した。
僕 「どうしたの?何があったの?」 と聞くと
王がさっき読んでいた手紙を、僕に突きつけた。
「この女は、誰!?」
僕は手紙を読んだ。
とたんに僕の顔が青くなるのがわかった。
血の気が引いてくる。
その手紙は、今日の朝まで、この部屋に一緒にいた、王の偽物が、僕宛に書いた手紙だった。
あなたと一緒にいられて、楽しかったです。
あなたが日本に帰るまで、一緒にいたいです。
今晩も、あなたのホテルに行っていいですか?
大丈夫でしたら、電話下さい。
1390072○○○○ ○○
あの、バカ女!こんな手紙をよこしやがって!!!
王が声をあげながら、叩いてくる。
怒りで切れてしまっている。
僕は、「こんな女、知らない!知らない!」と言ったが、叩くのを止めない。
あまりにも叩くので、僕は逆ギレした。「知らないって言ってるだろ!!」
僕が王に対して、初めて怒鳴ったので、王がビックリしている。
口調まで、荒くなっている。
王は、僕が何を言っているのか、わからないみたいだ。
僕 「そんなに俺が信用できないのか!?俺はそんなに情けない男か!?」
その通りだ。僕は情けない男だ。
僕も興奮していたので、訳のわかんないことを口走った。
あきらかに僕が悪いのに、自分で非を認めようとしない。
僕 「勝手にしろ!!俺はもう、お前と一緒にいたくない!!」
僕は、部屋を出て行った。
王が、声をあげて泣いている。部屋の外まで鳴き声が聞こえた。
僕が悪いのに逆ギレか、情けない。
僕は、急いで2Fのロビーに行き、男のホテルスタッフに話しかけた。
僕 「日本語話せる人、いませんか?」
スタッフ 「います。ちょっと、待って下さい。」
しばらくして、女のスタッフを指さして
スタッフ 「彼女は出来ますが今、接客中です。あなたは英語出来ますか?」
僕 「出来ません、あなたは日本語、話せないんですか?」
スタッフ 「少しなら。あなたは、英語出来ますか?」
同じことを聞いてくる。
中国語、英語、日本語、ゼスチャー、全ておりまぜての会話だ。
しかし、このスタッフ、僕の中国語と、王の日本語よりは話せそうだ。
少し日本語が出来るなら、なんとかなるかも知れない。
僕はスタッフの手を引っ張って、僕の部屋に連れて行った。
部屋にはいると、王が泣いている。
その王の姿を見て、スタッフは驚きながら、王に話しかけた。
王が答えたが、スタッフは日本語で 何て通訳すればいいのかわからない。
僕は仕方なく、またロビーに行った。日本語の話せる女性スタッフはまだ接客している。
僕はロビーにいるお客に
「日本語、中国語、英語の出来る人、いませんか?」と大きな声で聞いた。
日本人で「私は、英語なら出来ますけど。」と言ってくれた人がいた。
僕 「すみません、ちょっと通訳してほしいんですけど。」
日本人 「え?英語で通訳ですか??」
この日本人は不思議がっている。ここは中国だから、当然だろう。
僕は、この日本人を連れて、僕の部屋に行った。
ここからは、もうメチャクチャだ。
僕 日本語で話す
↓
日本人 英語でホテルスタッフに話す
↓
ホテルスタッフ 中国語で王に話す
↓
王 中国語で話す
↓
ホテルスタッフ 英語で日本人に話す
↓
日本人 日本語で僕に話す
↓
僕 日本語で話す
まるで、伝言ゲームだ。こんなことで、うまく伝わるわけがない。
ホテルスタッフが、しびれを切らせて、部屋の電話を使って、電話している。
さっきの、日本語の話せる、女性スタッフを呼んでいるようだ。
10分後、女性スタッフが来てくれた。日本人には部屋を出てもらった。
(日本人のかた、有り難うございました。もし、また会えたら、お礼します。)(^o^)
僕は、女性スタッフに話しかけた。
「さっきの日本人に、お礼を言ってきますので、ちょっと待ってて下さい。」
僕は、部屋を出ると、急いで李さんに電話をした。出てくれるだろうか?
もし、李さんが出てくれなかったら、まずい。
よし、つながった!!
僕 「あ、李さん?久しぶり。時間がないから用件だけ言うね。後で、王から電話があると思うけど、昨日、S社長と一緒に、大連に来て、李さんに、仕事の通訳を、お願いしたことにしてほしんだ。」
李さん「何それ?」
僕 「時間がないんだ。とにかく僕は昨日、S社長と一緒に大連に来た。そして、李さんに通訳をお願いした。S社長は1人でカラオケに行ったけど、僕と李さんは午前3時頃まで仕事の話をしていた。そして、S社長は、今朝、北京に仕事で行った。そうしてほしい。」
李さん「よくわかんないけど、そう言えばいいのね。」
僕 「たのむよ。」
僕は電話を切り、急いで部屋に戻った。
僕は、王に話しかけた。王は、まだ泣いている。
僕 「彼女は、日本語が出来るから、何でも話して。」
王 「・・・知っている、さっきの手紙、翻訳してもらったから・・・。」
そうか、この女性スタッフに翻訳してもらったのか。王が話し始めた。
王 「あなたは、どうしてウソばかりつくの?本当は大連に来たの、今日じゃないでしょ?昨日来たんでしょ?ロビーで聞いたら昨日から、このホテルに泊まっている。」
僕 「・・・・・・・・・」
王 「さっき、あなたに抱きついたら、女の香水の香りがした。」
(そうか、マッサージの店で最後にシャワーを浴びるのを忘れた。)
王 「あなた絶対に女の人と会っていた。あの手紙は何なの?ひどい!許せない!」
僕 「・・・・・・・・・・」
王 「私にひどいことをして、謝るどころか、ものすごく怒って!」
僕 「・・・・・・・・・・」
王 「あの手紙だって、今日、女の人を入れたんでしょう?!この部屋で受け取ったんでしょ?!」
僕 「僕は朝、勝利広場に、王に逢いに行ってから、ホテルに戻ってきてないよ。」
王 「じゃあ、どうして手紙があるのよ!!」
僕は、女性スタッフに話しかけた。
僕 「ここのホテルは、お客の部屋に、勝手に人を入れるんですか?」
スタッフ 「そんなこと、絶対にしませんよ。」
僕 「今日の朝、この手紙はありませんでした。ところがさっき、部屋に入ったら置いてありました。どうしてですか?おかしいじゃありませんか?」
スタッフ 「それは、手紙を書いた人が、何号室に届けて下さい、とホテルのスタッフにお願いしたんですよ。ホテルのスタッフが置いたのです。勝手に人など入れません。信用に関わります。」
僕 「そうですか、わかりました。今のことを、王に通訳して下さい。」
スタッフが、王に話している。
王は、少し頷いたが、すぐ怒って
王 「誰が手紙を届けたなんて、関係ないでしょ?Tさんは、この手紙の女と一緒に泊まったんでしょ?関係ない話をしないで!!」
僕 「わかった、これから話すことは、全て事実だ。もし、信じてくれなければそれでもいい。僕を信用できないなら、しょうがない。」
王 「・・・・・・」
僕 「僕は、昨日大連に来た。これは、ウソをついて悪かった。でも、どうしても仕事の都合で、昨日、大連に来なければならなかった。連絡しなかったのは王が「電話をかけてこないで、私から電話をする」と言ったのもあるし、仕事に王は連れて行けないでしょ?しかたなく連絡しないで、昨日、大連に来た。」
王 「・・・・・・」
僕 「今回僕は、1人で来たんじゃない。S社長知っているでしょ?李さんと以前、付き合っていた人だよ。S社長も一緒に来たんだ。そして、李さんに仕事の通訳をお願いした。李さんも一緒にいたんだよ。」
王 「・・・・・・」
僕 「S社長は、午後9時頃カラオケに行こう、と誘ってきたけど僕は断った。王が嫌がるだろうし、悲しませたくなかったからだ。S社長は1人でカラオケに行った。僕と、李さんはずっと仕事をしていた。終わったのは、午前3時過ぎ、僕は王に早く会いたかったけど、こんな時間に、王に電話できないでしょ?」
王 「・・・・・・」
僕 「僕はホテルに戻った。S社長は、当然寝ていた。僕も寝て、朝、王に逢いに勝利広場に行った。ただ、それだけだ。僕は、王を悲しませることは、何もしていない。」
王 「そんな話、信じると思う?バカにしないで!じゃあ、あの手紙は何なの?」
僕 「だから、何度も言ってるでしょ?僕は、この手紙の女は知らない、会ったこともない。たぶんS社長が、1人でカラオケに行き、知り合った女だよ。僕がホテルに戻ったのは、午前3時。それまでS社長が、手紙の女とこの部屋で、何してようと僕には関係ないし、S社長の知り合いの女なんて、興味もない。僕は、王だけしか興味がないんだ。」
王 「じゃあ、どうして手紙があるの?あなたが今日、この部屋に女を入れたんでしょう?」
また、同じことを言い出した。
僕 「だから、この手紙を届けたのは、ホテルのスタッフだよ。もう一度言うよ。僕はこの手紙の女に、会ったこともない。全く知らない女だ。」
王 「じゃあ、何であなたの身体から香水の香りがしたの?どうして!!」
僕は笑って
僕 「それ、ヤキモチ?嬉しいな。香水の香りは、マッサージに行ったんだよ。王が仕事していて、時間が余ったから、一度行ってみたかったんだ。中国のマッサージは有名でしょ?女の人にマッサージしてもらったからだよ。」
王 「普通のマッサージなの?」
僕 「え?どういう意味?わかんない。」僕はとぼけた。
王 「スケベなマッサージなんじゃないの?普通のマッサージだった?」
僕 「スケベなマッサージって、何?どういうマッサージ?僕がしたのは、背中押してくれたり、足を揉んでくれたり・・・。」
また、とぼけた。
王 「S社長は、どこにいるの?一緒に来たなら、ここに呼んで!」
僕 「S社長は、今朝、仕事で北京に行った。本当だ。李さんに聞いてみなよ。」
王 「李さんに、電話して聞いてみるよ。いい?」
僕 「別にいいよ。全て事実だから。」(全てウソだ)
王が、李さんに電話をした。
僕はもう大丈夫だと思った。中国人、特に李さんのような女は、ウソが上手い。
王が、電話を切った。
王 「・・・・・李さん、本当だって、言ってた。」
僕 「当たり前だよ。僕は王にウソつかない。」
王 「その手紙・・・・」
王は、手紙が気になっているようだ。手紙に携帯番号も書いてある。
でも、電話は出来ないはずだ。もし、S社長の知り合いの女だったら、王が恥をかくことになる。
そうは思ったが、電話されたら全てがパーだ。1つの賭だった。
王 「その手紙、見たくないから、この場で破り捨てて。」
僕はホッとした。
僕 「じゃあ、王が破り捨てなよ。」
王に手紙を渡すと、王はビリビリに破いて、トイレに流してしまった。
女性スタッフが「あ!」と声をあげたが、流してしまったものはしょうがない。
しかし、ホテルスタッフがいる前で、手紙を流すとは・・・・。
王は常識がないのか?
それとも、よっぽど頭にきていたのか?
しかし、今回でS社長は、かなりの悪者になってしまった。何かおみやげを買っていこう。
僕も王に聞きたいことがあった。
僕 「ねえ、どうして最近、「電話してこないで」、と言うの?」
王 「・・・・・・・・」
僕 「前は、僕の電話、喜んでいたでしょ?それなのに、お母さんが入院したあたりから、「私から電話する、あなたからかけてこないで」って、言うようになったけど、どうして?」
王 「・・・・・・・・」
僕 「それなのに、王から電話があったのは5月は3回だけだよ。」
王 「・・・・・・・・」
僕 「僕は、嫌われたのかと思った。でも、今日勝利広場で逢ったらものすごく喜んでくれた。どうして僕から電話したらいけないの?」
王 「・・・・あなたは、いつも女の人を通訳に使う。女の人と一緒にいる。」
僕 「え?」
王 「夜、女の人と一緒にいるのがイヤなの。いつも電話かけてくるときは女の人だから・・・。」
僕 「そんなことないよ。王からかけてきたときは、すぐかけ直すから、女はいないでしょ。僕と王だけで話してるじゃない。」
王 「でも、会話が短いし、いつも同じ会話じゃない。」
僕 「それはしょうがないよ。まだ、お互い言葉が通じないんだから。」
王 「あなたから、かけてくるときは、女の人、私からかければ、ほとんど話せないあなたが、男の人にお願いしてかけてきてくれれば、いいんだけど・・・。」
僕 「僕の知り合いに、中国語を話せるのは、女しかいないんだ。我慢して。」
王 「じゃあ、あなたの社員にお願いすればいいじゃない。香港で中国語 話していたでしょ?。どうして女の人にお願いするの?」
僕は答えに迷った。まさか、王は香港で売春婦をやっていたから、社員には紹介できないんだよ、なんて言えやしない。
そもそも、大連に来ているのだって社員には、仕事で香港に行くと言って来ている。僕の会社は小さいが社員達はそれなりに頑張っている。
僕が会社を休んで、女に会いに大連に来てるなんて知れたら、大変なことだ。(いまは、知っています、それ程大袈裟に、考えることではなかった)
でも、僕から王を好きになり、王はカラオケの仕事はしないと約束してくれ日本語を覚えてくれている。
昼間の仕事もちゃんとやっている。
王は、今日、働いている店の店員に「私の恋人」と言って、
僕を紹介してくれた。
それなのに、堂々と紹介できないのは、王が可哀想だ、気の毒だ。
僕 「とにかく僕は、王の声が聞けるだけでいいんだ。王がコールしてくれたらいつでもかけ直す。今は同じ会話だけでいいんだ。日本語学校行ってまだ2ヶ月経ってないだろ?話せなくて当然なんだ。今はゆっくり覚えてくれればいい。必ず話せるようになるよ。」
王 「そういえば、Tさんの中国語、ひどい。私この手紙わかんなかった。」
王はバックから、僕が送った手紙を取り出した。
僕がお守りと一緒に送った手紙だ。
スタッフと一緒に笑いながらみている。特にスタッフは大笑いだ。
王 「これ、自分で書いたんでしょ?」
僕 「いや、パソコンで翻訳したらそうなった。もう使わないよ。」
王 「そうだよ。私が書いた手紙のように、自分で努力して書かなくちゃ。」(よく言うよ、あれは、李さんが書いたのを丸写し、しただけじゃないか。)
おかしくて笑いそうになった。
王 「もう、Tさんの中国語より、私の日本語のほうが上手いよ。お互い頑張りましょう。」
一時はどうなるかと思ったが、機嫌はなおったようだ。
今回は、王を散々悲しませてしまった。もっと、大切にしなくては。
7月に入り、8月、3人で大連に行く日が迫ってきた。
3ヶ月逢えないと、さすがに辛い。
5月に行ったときは、王を悲しませたので、今回は仲良くしたい。
やはり、言葉の壁が大きいと思う。僕の馬鹿な行動にも、問題有りなのだが・・・・。
社員は「僕に通訳を任せてもらえれば、バッチリですよ。」と息巻いていたがあんな中国語じゃ、どうしようもない。
王は、頑張って日本語を勉強しているが、まだまだだ。
そういえば、王のお父さんの会社から、家賃の半分支給されるのは、7月まででその後は、全額負担になるから、王はどうするんだろう?
福建省に帰るのか?
それとも全額負担して、大連に残るのか?
聞いてみたら、大連にしばらく残るみたいだ。まあ、苦しかったら僕の援助額を増やせばいいだけなので、それほど問題ない。
社員達は、一生懸命、大連の情報を集めている。
どうせ、女を買うことで、頭がいっぱいなのだろう。
お持ちの相場、飲み代、店など仕事そっちのけで、大連の話で盛り上がっている。
僕にも色々聞いてくる。
馬鹿な奴らだ。あまり、日本人の評判を落とさないでくれ。
(はまった男のT、お前が言うな!評判を落としているのはお前だ!って感じですね(>_<))
いろいろ情報源があるものだ。
S社長から、この掲示板を教えてもらった。
S社長は、この掲示板を、毎日見ているらしい。
そういえば、S社長がウチの会社に来たとき、この掲示板に
なんか書き込んでいた。
通訳のお礼を、書き込んでいたと思う。
社員達が、この掲示板を見て、「ここの店に行こう、いや、ここもいいな。」とか言っている。
特に、たくさん書き込みがある店のスレッドを見ている。
人間の心理として、評判が悪い店でも、レスが、多い店に行きたくなるらしい。
社員達は、「絶対に悠悠と、ステラには行くぞ!」と言っている。
どちらも、この掲示板で、ボロくそに書き込みされているところだ。
社員達が帰ってから、僕も、掲示板を見てみた。
スレッドは沢山あるが、レスは少ない。
掲示板としては、少し寂しいような気がした。
とにかく、8月は、僕は王と逢い、社員達は自分たちの集めた情報で勝手に遊ばせていよう。
社員の1人は僕より年上で、結構遊び慣れているから大丈夫だろう。
8月になり、僕達は、大連に旅立った。今回は仲良くできるかな??
大連に着いた。王が空港まで迎えにきてくれた。王を社員に紹介する。
王には、社員とは初めて会う振りをしてくれと、口裏を合わせておいた。
社員 「写真より、ずっと可愛いですね。香港のコより可愛いんじゃないですか?」
(だから、同じ女だよ。)僕は苦笑した。
社員が中国語で王に話しかけている。
簡単な言葉なら通じているが少し難しくなると、言葉が詰まる。勢いでなんとか、会話している感じだ。
やはり、通訳は無理そうだ。僕と王だけでなんとかなるだろう。
今回、社員は南山ホテルにし、僕達は旧ヒルトンホテルにした。
王の家に泊まっても良かったが、社員達は、僕が王と逢うのは2回目だと思っているので、さすがに王の家に泊まるとは、言えなかった。
社員達と別のホテルにした理由は、社員達が、女をお持ち帰りしている姿を、王に見せたくない。
南山ホテルは、周りに緑が沢山あり、静かだし、ここは気に入った。
僕達がこっちにすれば良かった。社員達も、良いホテルだと言って、喜んでいる。
みんなで食事をした後、社員達は、悠悠に行きたいと言い出した。
僕はチラッと王をみて、
僕 「一緒に行ってもいい?」
王 「絶対にダメ!あなたは、私に逢いに来たんでしょう?」
僕は、悠悠に行くのを諦めた。(今でも、行ったこと無いんですよ。(T_T))
しばらくして、社員から電話があった。
社員「悠悠は、お客がいっぱいで入れなかったんですよ。どこに行けばいいですかね?」
僕は、そんなことで電話をかけてくるなと、言いたかった。
しかし、本当か?
そんなにお客がいるのか?掲示板でボロくそ書かれているのに?
悪い評判でも、話題になった店の勝ちなのだろう。
僕は王と二人だけになった。
王 「今回は、どうして社員と一緒に来たの?」
僕 「王を紹介したかった。王みたいな可愛いコを見せたかった。今までゴメンね。」
王 「ありがとう。でも、どうして謝るの?」
僕 「ううん、何でもない。」
何てことなかった。
もっと早く、堂々と紹介していれば良かったんだ。
僕達はホテルに戻った。
夜、僕達が寝ていると、王の電話が鳴った。
王が眠そうな声で、でる。
王「・・・・・・・・・・・・」
電話の相手「・・・・・・・・・・・・・・」
北京語ではない。
福建語か上海語だ。夜なので相手の声が電話からもれてくる。
明らかに男の声だ。王が激しい口調で、言い返している。
あの上海の男か?まだ、あの男と付き合っているのか?
一体何を話しているんだ?僕は、イライラしたが、王の電話を奪い取って切る訳にもいかない。
しばらく話していて、王が電話を切る。明らかに不機嫌だ。
僕 「どうしたの?誰と話していたの?」
王 「お母さんと。・・・・・もう!!」
王が舌打ちをした。
まだ、お母さんと福建語で話した、と言うウソを付く気なのか?
僕が、そのウソに、気付いていないとでも、思っているんだろうか?
僕は、どうすればいいのか、わからない。
明らかにウソなのに「ウソを付くな!男と話していたんだろう!!」と言えない。
僕は、イライラして眠れないので、ベットから起き出し、タバコを吸い始めた。
王は、何も言わず、部屋を出て行こうとする。
こんな時間にどこに行くんだ?
僕は、引き留めなかった。
なかなか帰ってこない。
電話をしても、コールするだけで、でない。
僕は、心配でほとんど寝られなかった。
朝になっても、王の姿はない。
ホテルに戻ってこなかったのだ。
どこに行ってしまったんだ?
僕は、王を待った。僕の電話が鳴る。
僕 「もしもし?王?」
社員 「おはようございます。もう、起きていたんですか?」
社員からだった。朝食を一緒に食べませんか?と言ってきた。
僕 「お前たち、女の子は?」
社員 「それがひどいんですよ、聞いて下さいよ。」
僕 「ご飯を食べながら聞くよ。今、ホテルから出られないから、お前たちがこっちに来てくれない?」
社員 「わかりました、そっちに行きます。」
しばらくして、社員達が僕の部屋に来た。
社員には、王は今、用があって家に帰っていると言った。
社員 「ひどいんですよ。もう、頭にきましたよ。」社員が怒りながら話す。
結局、昨日は外商クラブの中式でお持ちしたらしい。
女の子と朝まで1500元の約束をしたが、一回して女の子が帰ると言い出した。
サービスも悪いし、チップもよこせ、最悪だったと言っている。
よくある、つまらない話だ。僕は、こんなくだらない話を聞く気になれず
僕 「朝食を食べてきなよ。」
社員 「社長は、食べないんですか?」
僕 「ちょっと、部屋を空けられないんだよ。」
王はカードキーを持っていない。
社員 「朝食を食べないのなら、どうして僕達を呼んだんですか?」
文句を言ってきた。
社員達が部屋を出て行った。
しばらくして王が戻ってきた。
王は、疲れた顔をしている。
僕は心配したんだぞ!眠れなかったんだぞ!
僕は王を抱きしめ、
僕 「心配だった。どこに行ってたの?」
王 「ごめんなさい、家に用があって・・・。」
僕 「何も言わないで、出て行ったじゃない。どうして?」
王 「ごめんなさい。」
僕 「電話も出ないで・・・・・。」
王 「ごめんなさい。」
僕 「お腹空いてる?ご飯食べに行こうか?」
王 「疲れているから、眠りたい。」
僕 「わかった、僕は食べてくるから、寝てて。」
僕は、1人で朝食を食べに行った。
王、疲れてるみたいだ。あの電話がきてからだ。
とにかく戻ってきてくれて、よかった。
朝食を食べ終わり、部屋に戻ると王は寝ていた。
僕は、王の携帯電話に手を伸ばした。王の携帯を勝手に見るのは2度目だ。
着信履歴を見ると、同じ番号がいくつもあった。この番号が、上海の男か?
僕はその番号を、自分の携帯電話にメモリーした。
福建省に行ったときに見た、老公 ○○○の名前はない。
この番号は、同じ人物か?
たぶん、同じ人物だろう。
老公 ○○○の名前が消えただけでも、喜ぶべきなのか?
僕は、この番号にかけてみようと思ったが、言葉が通じないし、そんなことをしたら李さんの携帯電話に勝手に電話してきた非常識なこの男と、一緒になってしまう。
僕は、しばらく様子を見ようと思った。
昼過ぎ、王が起き出した。
王 「昨日はごめんなさい。」
僕 「もういいよ、戻ってきてくれてよかった。」
王 「心配だった?」
僕 「当たり前だろ?心配で、眠れなかったよ。今度は僕が眠くなってきた。」
王が笑う。
王 「あなた、寝てていいよ。ごめんなさい。」
僕 「ちょっと待って。」
僕はバックから8000元取り出して
僕 「はい、これ。頑張って勉強してね。」
王 「いくらあるの?」
僕 「8000元だよ。」
王 「そう・・・。ありがとう・・・。」
なんか、おかしいな?
今まではもっと喜んでいたのに。疲れているからかな?
僕は眠かったが、王と一緒に昼食を食べに行こうとした。
王 「わたし、ケンタッキーで、何か買ってくる。あなたは疲れているから寝てて。」
僕 「一緒に行こうよ。」
王 「わたし1人で大丈夫。ちょっと待ってて。」
僕は、王が帰ってくる前に寝てしまった。
夕方目が覚めた。王が目の前で微笑んでいる。僕は王を抱きしめた。
しばらく抱き合っていた。
テーブルの上にケンタッキーの袋が置いてある。
僕 「買ってきてくれたの?ありがとう。一緒に食べようよ。」
王 「うん!わたし、お腹空いた。」
僕 「先に食べててよかったのに。」
王 「朝食、一緒に食べられなかったから・・・。食べよう!」
王が袋から取り出してくれた。
その時、王の携帯が鳴った。
また、福建語か上海語で話している。
僕は、王が買ってきてくれた、ケンタッキーを食べ始めた。
王が怒鳴りはじめた。
一体何を話しているんだ?
僕は王を見つめたが、王は全く気付いていない。
かなり長い電話だ。
やっと終わった。僕はケンタッキーの袋を1つ渡し
僕 「一緒に食べようよ。」
王 「いらない。」
僕 「どうして?お腹空いてるでしょ?食べようよ。」
王 「いらないって言ってるでしょ!!」王が怒鳴った。
僕 「・・・・・・どうして怒るの?王、なんか変だよ?」
王 「しつこいよ!食べたくない!」
王がバックから、僕があげたお金を取り出し
王 「これじゃ足りない!8000元じゃ、足りないよ!!」
僕は、驚いた。
今まで王は、僕があげたお金は、ちゃんとお礼を言い、そのお金の中から、食事代などを出してくれていた。
それが、今回はどうして足りないなんて言うんだ?それも怒りながら。
王 「1ヶ月、4000元くれる約束でしょ?この前あなたが大連に来たのは5月、今は8月。どうして12000元じゃないの?約束が違うじゃない!!」
僕 「・・・・・・・」
王 「わたしのこと、愛してないの!?どうして12000元くれないの!?」
僕 「・・・・・・・」
王 「わたしはお金が欲しいの!必要なの!!これじゃ、足りないよ!!」
王、泣いている。泣きながら怒鳴っている。
どうしてこんなことを言うんだ?王はこんな女だったのか?
こっちが泣きたいくらいだ・・・・・。
通訳がいないので、筆談、ゼスチャー、全て会話にしました。
あまり突っ込まないで下さい。
王は泣きながら話を続ける。
王 「あなたはウソつきだ!わたしのことを愛していない!」
僕 「・・・・・・愛しているよ。本当だ。」
王 「じゃあ、どうしてお金をくれないの?わたしよりお金が大切なの!?」
僕 「王の方が大切に決まっているよ。」
王 「じゃあ、お金を頂戴!約束を守って!!」
僕 「僕は、前回5月28日に大連に来た。今回は8月2日、確かに月は3ヶ月だけど、実際はまだ2ヶ月しか経っていない。だから8000元にしたんだ。僕は約束を守っている。」
王 「言い訳しないで!お金をくれるの!?くれないの!?」
僕 「・・・・あげない。僕は約束を守っているから。」
王 「わたし、香港に行くよ?またカラオケで働くよ?それでもいいの!?」
僕 「それは、自分で考えて自分で決めな。もう、大人でしょ?」
僕は、頭にくるより、ショックだった。
まさかこんなことを言われるとは・・・。
王 「わかった、もういい!わたしとあなたは、もう終わりね?それでいいのね?」
僕 「それは、王が決めて。でも、僕は王のことを、まだ愛しているから。」
僕は、荷物をまとめ始めた。これは、演技だ。
王 「何しているの?どこに行く気よ!」
僕 「チェックアウトして、社員のホテルに行く。もう、僕は明日、日本に帰るよ。」
王は少し驚いて
王 「・・・・・・どうして?」
僕 「今回は、王と仲良くできない。だから、明日帰る。」
王 「・・・・・・・・・。」
僕は、演技を続けた。
荷物を詰め終わった。
王、引き留めてくれるよな、まさか引き留めないつもりじゃ・・。
僕は部屋を出た。1Fのフロントに向かう。王は引き留めに来ない。
僕は明日、日本に帰る気など全くない。
しかし、王が引き留めに来ないまま、フロントに着いてしまった。
僕は、明日の航空券など持っていないし、ホテルの予約だってあと、4日ある。
でも、今更部屋には、かっこわるくて引き返せない。
どうしよう・・・。
僕はとりあえず、フロントで両替することにした。
もし、王が謝って、帰らないでほしいと言ってくれたら、あと4000元あげよう。
何も言ってこなかったら、南山ホテルに泊まって社員達と一緒に行動しよう。
でも、社員達は3泊4日、僕は5泊6日なので、明後日からは、1人で行動することになる。
つまらないな、せっかく王を社員達に紹介できて、楽しく過ごしたかったのに。
僕は、両替が終わると、4000元は別にして、バックの中に入れた。
しばらく待ったが、王は来ない。
本当にチェックアウトしようと思ったら、王が走ってきた。
僕はホッとした。やっぱり王と一緒にいたい。
それに、ここのホテルは、日本語が出来るスタッフがいる。
僕は、スタッフに、少しだけ通訳をしてほしいと、頼んだ。
スタッフが通訳をする。王は、大きな声で話し始めた。
王 「帰らないで!どうして急に帰るの?」
僕 「・・・・・・・」
王 「わたしに逢いに来たんでしょ?どうして?どこかにいくの?」
僕 「・・・・・・・」
王 「どうして黙っているの?何か話してよ!」
僕 「あんなこと言われたら、誰だって怒るし、一緒にいたいと思わないよ。」
王 「お金のこと?それは、あなたが約束を守らないからじゃない。」
僕 「まだ言っているの?前回逢ったのは5月28日、今回逢ったのは8月2日、まだ2ヶ月しか経っていないよ。僕は約束を守っている。」
王 「じゃあ、それとは別に4000元頂戴。」
僕 「どうして?一体何に使うの?」
王 「あなたには、関係ない!とにかく頂戴!」
4000元位だったら、別にあげたっていい。
現に、両替をしてバックの中に4000元用意してある。
しかしこんな言われかたをされると、あげる気も無くなる。
僕 「あげない。僕は、社員のホテルに行く。理由もなくお金はあげないよ。」
王 「ちょっと待ってよ!社員のホテルに行ってもいいから、お金は頂戴!!」
僕は、段々腹が立ってきた。
通訳してくれているスタッフにも恥ずかしいし王は大きな声で話すから、周りにいるスタッフやお客にも聞こえているだろう。
僕に恥をかかせて!
何なんだ?この女は!
僕 「もういい、王は家に帰りな。僕はチェックアウトする。」
王 「ちょっと!お金をおいてって!!」
王が、僕のバックを盗ろうとした。
僕は怒りが頂点にきてバックの中から、用意していた4000元を取り出し王の顔に投げつけた。
100元札が宙を舞う。
ホテルのスタッフ、お客、まわりの人が唖然としている。
王は、その場に座り込み、泣いている。
周りには100元札が散らばっている。
僕は、チェックアウトをお願いしたが、今の状況を見ていたスタッフ達がさせてくれなかった。
それどころか、僕に文句を言ってきた。
恥ずかしい、この場を早く離れたい・・・・。
まわりの人達が、お金を拾ってくれた。
集めたお金を僕に渡す。
僕は、泣きながら座り込んでいる王を立ち上がらせた。
王が立ち止まり、誰かに電話している。王が電話を僕に渡した。
「Tさん、なに泣かしてるのよ!今から、そっちに行くから。」李さんの声だ。
僕と王は、部屋で李さんを待った。
待っている間、拾ってくれたお金を数えたら、3200元しかない。
僕が投げたのは、間違いなく4000元だ。
さすが中国だ・・・・。
どうして王は、急にお金をくれなどと言い出したのか、わからない。
どうも、昨日の、夜の電話からおかしい。
あの電話から、王は夜中、部屋を出て行ったり、今日も電話の後、急に怒り出し、お金が足りないと言い出した。
電話の男、上海の恋人に、お金を要求されているのか?
李さんがやってきた。
僕は、李さんを廊下に連れ出し、李さんに演技を頼んだ。1つ間違えれば、大変なことになる演技だったがこの演技に賭けてみようと思った。
李 「そんなこと言うの?大丈夫?」
僕 「大丈夫。王は昨日の電話から、おかしくなったんだ。それに、上海の恋人のことも、いいかげん、ハッキリさせないと。」
李 「わかった、でも私、上手く演技できるかな?」
僕と李さんが、部屋に戻る。そして李さんが、王に話しかけた。
李 「王さんが、昨日の電話からおかしい、今日の電話も、話し終わってから急に怒り始めたって言っているよ。Tさん、すごく心配している。」
王 「・・・・・・・・・・」
李 「さっき、どうしてTさんが、私のこと廊下に連れ出したか、わかる?」
王 「・・・・わからない。」
李 「Tさん、心配で、昨日と今日、あなたが電話していた時の会話を録音していたのよ。日本の携帯電話は、録音機能が付いている。」
王 「・・・・・・・・!!」
李 「さっき廊下で、王さんが、昨日と今日、話していた会話を聞いた。福建語じゃなくて上海語で話していたね。」
王 「・・・・・・!!!!!」
もちろんウソだ。日本の携帯電話に、録音機能など無い。
王の顔が真っ青になった。李さんは演技が上手い。
李 「王さんには黙っていたけど、私、上海語が出来るの。上海に長く居たから。」
王 「!!!!!!」
王がさらに青くなる。手が震え始めた。
李 「2月に、3人で日本料理屋に行ったでしょ?あの時、王さん、上海語で恋人と話していたでしょ。私も、Tさんも2月の時点で、上海の恋人のことは知っていたのよ。お金を要求されていることも。」
王 「・・・・・・・・・・・・」
李 「そして、さっき聞いた、録音された会話も、同じ上海の恋人ね。」
王 「・・・・・・・・・・・・」
李 「私、Tさんが可哀想で、通訳できなかった。王さん、ひどいじゃない?Tさんと付き合いながら、上海の恋人とも付き合って。」
王 「・・・・・・・・・・・・」
王が、また泣き始めた。
李 「録音された会話を、Tさんに通訳していい?それとも、自分で話す?」
王 「わたしが、黙っていてと言っても、Tさんに通訳しちゃうの?」
李 「Tさんは、あなたの恋人でしょ?もう、ウソつくのはやめた方がいいよ。正直に話そう。王さんが黙っているなら、私、通訳するよ?どうする?」
王 「わかった、正直に話す。でも、上海の男は本当に恋人じゃないの。」
李さんの演技力の勝利だ。
中国人はどうしてウソが上手いのか?
王は、正直に話し始めた。
上海の元恋人のこと、香港で売春をやっていたことお金のこと、全てが理解できた。
1人で苦しんでいたのか、可哀想に・・・・。
王は以前の会社の上司と付き合っていた。
福建省の王の家で見た写真の男だ。
その彼と、結婚を考えていたことは、王の家で聞いたから知っている。
王と二人で相談して、結婚する前に上海に60万元で家を購入した。
上海で60万元だと、小さなマンションだろう。
しかし、2人にとっては愛の城だ。
10万元頭金に入れ、残りの50万元を10年ローンにした。
約、月4300元の返済だ。
そんなに返済できるものなのか、疑問に思ったがその彼は月7000元の収入があった。
ところが、彼は会社をクビになった。
王は、理由は教えてくれなかったが、何かミスをしたのか?
しばらく仕事が見つからないで、いまでも無職だ。
多少の蓄えがあっても、頭金でほとんど使ってしまったので、すぐ底をついた。
しかし、月々の返済はしなくてはならない。
王も同じ会社で勤めていたが王の、その会社での給料は2000元ちょっとで、とても返済が追いつかない。
そして、今年の1月(去年になってしまったが)カラオケクラブで勤めることになった。
香港にしたのは、近くだと知り合いにバレる恐れがあるし、なにより稼げる。
王の勤めていたカラオケクラブは、チップだけで2時間500香港ドルもらえる。
そこで、僕と知り合った。(初めて会ったのはマクドナルドだが・・・)
王が、彼の変わりに返済していたのだ。
返済時期になると必ず、しつこいくらいに電話がくる。
だから、王は電話の後、不機嫌だったのだ。
だんだん婚約者に対する愛情は、薄れていったみたいだ。
それは、電話の対応でもわかる。今は愛情は、全くないと言っている。
婚約者が次の仕事が見つかるまでは、王が返済すると約束したので、仕方なく返済していた。
だから、僕が約束を破って、お金を渡さなかったら、あれほど怒ったのか。(実際には、約束を破ったわけではないのだが。)
お金が必要と言うこともあったし、王は約束を守って、返済しているのだからあなたも、約束を守って!と言う意味もあったのだろう。
しかし、婚約者のために身体を売るというのは、ちょっと信じがたい。
それほど愛していたのか?ほかにも理由があるのでは?
と思ったが、あえて聞かなかった。
しかし、李さんが、上海語が出来て本当によかった。
そうでなければ、この事を知るのに、もっと時間がかかっただろう。
王に対しての不信感も、大きくなっていたに違いない。
李さんが通訳をする。
僕 「彼は王が香港のカラオケで働いていたことを知っているの?」
王 「・・・・・・わからない。」
ホントかな?疑問に思ったが、それ以上聞かなかった。
僕 「マンションの名義は、誰なの?」
王 「彼の名義。」
僕 「じゃあ、彼のマンションの返済のために、僕のお金が使われていたのか。」
王 「・・・・・・・・・
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