わりと最近の話。
まずはスペック
俺 身長173センチ 体重70? 26歳のサラリーマン5年目
相手 身長165センチ 体重50くらい 同い年のOL(以下黛)
出会いは保育園まで遡る。うちは両親共働きだったので、保育園に行っていた。
同い年の友達は9人くらいだったと思う。男5人女4人くらいだったかな。
少ない人数のため仲も良くなり、幼いながらも楽しく遊び恋心も持った気がする。
その後、小学校に上がるのだが、みんな同じ小学校に入学した。
小学校に入ると、知り合いが一気に増え、みんなそれぞれに友達を作った。でも、男も
女も保育園から同じなのでそれなりに仲良くしていたように思う。
小学4年生になり、部活に入ることになった。
俺も黛も体育系の部活に入った。
黛は運動神経が良かった。それも尋常じゃない。5年に上がる頃にはそのスポーツで
県代表メンバー入りし、常連となった。うちの小学校が強かったのもあるが、全国という大きな舞台で輝いていた。
ただ、このころは別に好きとかそんな感情はなかった。かわいがられる性格の奴だったので、みんなから好かれていたが、俺もその程度の感情だった。まぁ、冬に同じスポーツを
する時にマッチアップするポジションだったから若干のライバル心は持っていたけど。
小学校を卒業し中学に入る。うちの中学はマンモス学校で、付近の小学校5校から集まる学校だった。全校生徒は1000人を超えていたかな。
中学校では同じクラスにならなかった。そう言えば、小学校の時も同じクラスになったことなかったな。
部活はお互いに小学校の時と同じ部活に入った。黛は1年からレギュラーになった。
別に自慢することではないが、うちの中学はスポーツが強くて有名だった。
野球、バスケ、サッカー、バレー、ハンドボール、テニス、相撲。どんなスポーツでもほとんど県大会常連で、文化部もそれなりの成績だったと思う。
その中でも、黛が入った部活は全国でもトップレベルだった。
県大会なんて当たり前に勝ち、地方大会も上位は当たり前。
全国からが本当の勝負みたいなかんじだった。
そんな部活のため、練習は相当に厳しく、女なんか捨ててるくらい走りまくってた。
肌は真っ黒で短髪。体中に擦り傷はたくさん作る。
でも、やっぱり中学生だから恋もした。
そんな中、1年の秋くらいだったが、俺のことを好きな女がいるという噂を聞いた。
色んな所から集まった情報によると、それは黛みたいだった。
これは後で分かった話だが、それは嘘で、黛が告白された時に断る際、とっさに好きな人
がいると言ってしまったらしい。それがわりと仲のいい俺だったというだけだった。
でも、思春期真っ只中の時に、自分に思いを寄せているという話を聞いて冷静でいられる
わけがない。その噂を聞いた日から黛のことを意識しっぱなしだった
しかし、そうなるとうまくいかないのが世の常で、意識し過ぎるあまりあまのじゃくな
対応を取ってしまい、だんだんと疎遠になった。
その間に、黛は彼氏ができ、俺は彼女ができることなく中学生活を終えた。
高校は別々の高校に進学した。
黛は、スポーツ推薦で県内の強豪校に進んだ。俺は地元の進学校に進んだ。
その後は全く会う事もなく、互いがどのような状況なのかはほとんど知らずに過ごした。
高校三年の秋、部活を引退して受験勉強に励む頃になった。その頃はもう黛のことはすっ
かり忘れていた。
大学は地元の国公立大学に推薦で行くことに決まったので、受験勉強はあまりやらな
かった。それでも、進学校で学級委員もやっていたからセンターまでは勉強していた。
センターが終わり、友達何人かで遊ぶことになった。中学の同級生も結構いたのでそいつらと遊んだ。
カラオケをオールしてからの帰り道、黛の家の近くを通った。保育園が同じなので、家も
近かったのだが、久しぶりに通ったその道は小さかった頃を思い出させた。
昔を思い出しながら帰る道すがら、ふと見覚えのある姿を見つけた。
黛だった。中学の頃と全然変わらず短髪の黒髪で、背が少し高くなっていた。
でも、向こうの側には彼氏がいたので、俺は特に話もすることなく二人の横を通り過ぎた。
黛は何か言いかけていたが、笑って手を振ってそのまま家に帰った。
話は一気に大学を卒業するところまで飛ぶ。
俺は地方の大学に進み、みんなと同じように就活し、無事に内定した。
就職先は東京の会社だったので、人生初の上京をすることになった。
うちの地方からはなかなか上京する奴はいなくて、大学で上京しても就職する時に地元に
帰る奴が大半だった。俺の大学時代の仲間もほとんど地元に残り、東京での知り合いは
中学の時に同じ部活だった奴だけだった。
ところが、状況して三年目の春くらいにフェイスブックを初めてから意外と中学や高校の
同級生が東京にいることを知った。なので、何人かと連絡を取り、東京で同窓会をやる
ことになった。と言っても、人数は10人ちょっとだが。
同窓会は俺と中学の時の同級生だった女が幹事をした。実際は向こうがほぼやってくれた
んだけどね。
そして迎えた当日、店に向かうと黛がいた。
という感じにはならず、何人か知った顔がいるという状況だった。
話はそれなりに盛り上がるのだが、その中で女幹事が黛も東京にいるということを言った。
仕事の都合で来れなかったらしい。中学校の時は女からも男からも好かれていた奴なので、
みんな残念がった。
その日はそこでお開きとなるのだが、みんなで連絡先を交換した。
そして家に帰り、FBを通じて何人かに友達申請をした。
すると、FBをやってる人なら分かると思うけど、
友達かも?みたいなリストがあり、その中に黛がいた。
早速友達申請をしてみる。
すると意外にもすぐに承認の連絡が入った。久しぶりにコンタクトを取る。
すぐに電話番号とアドレスを伝えて話をした。
話の内容は、この間の同窓会の話から始まった。
するとだんだん、中学から現在までどうしてたという話になり、
長くなりそうなので、会って話そうと言うことになった。
ここまでが、三年前の話。
黛は新宿で仕事をしており、向こうの方が仕事が終わるのが遅そうだったので新宿で会うことになった。
新宿三丁目の普通の居酒屋に入り、とりあえず乾杯する。
二人ともそれなりに大人になり、社会人になっていた。
黛は今営業だということで、ビールを頼んでいた。
正直、そういうイメージがなかったから少し驚いた。
久しぶりに会った黛は髪の色は黒いままだったが長くなっていた。
でも、それ以外は前と変わらないままだった。
笑うと目じりが下がり、柔らかい雰囲気は相変わらず人を惹きつ
ける。少し鼻にかかるような声も変わっていなかった。
酒の勢いも手伝い話が弾む。
黛は高校を卒業した後、スポーツ推薦でW大に入ったらしい。
高校時代も相変わらずそのスポーツの一線で活躍していて、
インターハイにも何度も出場していたんだと。
そして大学に入ってからも、それなりに活躍したらしいが、
今はそのスポーツとは無縁の会社に入り、現役も引退したらしい。
お互いの大学時代の話を一通りした後、この間の同窓会の話になった。
その時の参加メンバーについて話した時、ある男の名前に驚いた反応を示した。
話を聞いてみると元彼だったらしい。そう聞いて中学の時に黛が初めて付き合った相手
だったことを思い出した。当時何となく耳にして若干のショックを受けた。
しかし、随分前のことですっかり忘れていた。
さらに話を聞いてみると、何と高校を卒業してから二人は東京で会っていたらしい。
黛はW大に入学し、その元彼は東京の専門学校に入学した。
二人は中学の終わりから高校に入ってしばらく付き合ったが、互いに部活が忙しくなって
別れたそうだ。でも、元彼の方は黛をずっと好きだったらしく、同じタイミングで上京す
ることを知り、連絡を取ったとのことだった。
その後、二人は接近したらしいが、結局結ばれることはなかった。
その後黛には彼氏が
できた。その彼とずっと付き合うことになる。そう、俺が黛を奪った相手はそいつだった。
同窓会の話をした後、もっと小さい頃の話になった。
一番盛り上がったのは、二人は保育園から一緒なのにそこまで親密な話もせず、
中学の頃もほとんど話もしないまま終わってしまったのに、こうして地元から遠い東京で飲みながら話していることだった。
そんな話をしていると時間はあっという間に過ぎ、終電の時間になったので帰ることになった。俺と黛は新宿駅に向かい、西口改札付近で別れた。
その後、度々飲みに行くようになり、中学の同級生との交流も増えた。年末に地元に帰った時は二人で初詣に行き、三社参りもした。
黛は性格も昔と全然変わっておらず、人懐っこくて側にいると温かい気持ちになれた。
でも、再開した三年前の当時、俺も彼女がいたので好きになるということもなく、互いに単なる幼馴染として接しているという感覚でいた。
それから時が経ち、半年前の話になる。
黛は就職してからその彼氏と半同棲していた。家賃は彼氏持ちらしい。
詳しい事情は伏せるが、そういった事情のため、ケンカをしても中々別れることができないと話していた。
その結果、半ば惰性で付き合っていた二人の間に彼氏の浮気という問題が発生した。
これまでも、女性との関係について悩んでいたようだが、その我慢の限界ギリギリの一線を越えることが起きたのだ。
それは、彼氏が元カノと温泉旅行に行ったということだった。
彼女は25歳になっており、彼氏との結婚を真剣に考えていた。
しかし、相手は中々踏ん切れなかった。
でも、黛はその彼氏を信じて二人の結婚資金を必死に貯めていた。
家賃を出してもらっているので、それなりの金額をずっと貯めていたらしい。
ところが、そんな彼氏の裏切り。
しかもその元カノとは過去にも何度か旅行しているらしい。
らしい、と言えるのは、黛が彼氏から問いただしたからだ。
否定するならともかく肯定したのでまず間違いないだろう。
だが、話はこれでは終わらない。
なんとその彼氏と元カノには子どもがいて、その子どもも連れて旅行に行っていたのだ。
この情報は流石に彼氏は言わなかった。ところが、黛は共通の知人からその話を聞いた。
そんな話を昨年末に地元で飲んでる時に聞かされた。本人は平気そうに話していたが、だんだんと涙声になっていた。
俺の気持ちが恋心に変わっていったのはこの頃だった。
この頃の俺は彼女と別れて何人かの女性と遊んでいる頃で、正直彼女は必要ないと思っていた。
けど、黛のそんな姿を見てまず思ったことは、清算させることだと思った。
清算についてだが、この時二つの考えが浮かんだ。
一つ目は、彼氏を許させることだった。もちろん、彼氏にペナルティは課すが、彼氏とちゃんと話して二度とそのようなことをしないことを約束させる。
二つ目は、彼氏と分かれさせることだった。正直、俺はそんな彼氏と一緒にいても幸せになれっこないと思ったので、別れた方がいいと思った。
別に俺と付き合わなくてもいいが、とにかくその彼氏とは縁を切るべきだと思った。
だが、黛は許すことを選んだ。
俺もその時は真剣に色々と考え、仲のいい先輩や友達に相談してみた。
でも、俺にとって意外だったが、許す方がいいという人が大半だった。
それなりの年だし、結婚を真剣に考えられる相手なんてそうはいない。そういう相手と出会えたのであれば、その縁は大切にすべきだし、ここで恩を与えた方が後々いいという考えだった。
その考えについて、ほぼそのまま黛も俺に言った。
俺は自分の感情もあって別れた方がいいのではと話したが、黛はそれでも好きだからと彼氏を許した。
そう言われてしまえば、俺には黛を応援することしかできない。
何でも相談に乗るから、悩みを一人で抱え込むことだけはするなよ、応援してるから、と話して背中を押した。
その後、しばらくしてその後の状況を聞いた。
黛は彼氏と真剣に話しをし、彼氏の親とも話をしたらしい。
彼氏の親は彼氏の行動を知らなかったらしく、ひどく怒ったそうだ。
そして、彼氏の親からも、彼氏には二度とこのようなことはさせないようにすると約束してもらい、黛もしばらく様子を見ることにしたと言った。
この話をしているときの黛は笑顔だった。でも、目に力があった。
何と言うか、覚悟を決めた目だった。とても印象に残ったのを覚えている。
それからしばらくは幸せに生活していた。仕事も忙しくなり、遅く帰る日もあったが、料理を作って待っていたり、風呂を沸かしたりしていてくれたらしい。
そんな話を聞き、俺の中にあった黛への特別な感情はいつの間にか友達の感情に戻っていた。
あくまでも、仲のいい友達として接していた昔みたいに。
ところが1ヶ月前、彼氏の元カノが黛の家に乗り込んできた。
どうやら元カノは彼氏とよりを戻したかったらしい。
詳しい事情は分からないが、彼氏の親が元カノとの結婚を反対していたらしい。
そして元カノが乗り込んできた理由は、もちろん彼氏を取り戻すため話をつけにきたということ。
だが、卑怯にも子どもを連れてきていた。
そのため、黛は場所を変えようと水を向けた。
だが、元カノは頑なに拒み家から動かなかった。
黛は彼氏を連れて家を出て、外で話をした。
元カノとはもう会わないと約束したのではないのか。なぜ家を知っているのか。
私との約束はどうなったのか。
思いつくままに聞くがごめんと言うばかりだったらしい。
とりあえず夜も遅くなったので、元カノを強引に返し、その日は彼女は家に帰らなかった。
翌日から、元カノは毎日黛の家を訪れる。一人で来ることはなく、必ず子どもを連れて
きていた。彼氏も元カノに散々怒ったらしいが、それでも止めなかった。
さすがに我慢の限界に達した黛は警察に言うと彼氏に言った。しかし、彼氏はそれを
拒んだ。そこで黛は彼氏の親に電話した。すると、彼氏の親はすぐに警察に事情を話し
それ以降元カノは来なくなった。
しかし、翌日から別の人間が来るようになった。それは、子どもだった。
何度も連れてきていたため、子どもでも家は覚えていた。そして、毎日チャイムを鳴らし、パパはいつ帰ってくるのと聞いてきた。
これが壊れかけていた彼女の心を一気に全壊させた。
元カノとの話を聞いて以降、連絡をできるだけ取るようにしていたが、メールも電話も一向に反応がなかったため、俺は彼女の職場に向かった。
彼女は仕事には来ていたし、表向きは何事もなかったように見えた。
しかし、話を聞いているうちに彼女は涙を流し、抑揚のない話し方でそれでも何とか彼氏と元カノを引き離せないかと考えていた。
この瞬間、俺は黛はもうダメだと思った。今すぐにでも彼氏と引き離さないと、全てが壊れてしまう。
俺は黛に彼氏と別れろと言った。このまま付き合ってもいいことなんかない、それどころかお前が壊れてしまうと。
だが、黛はそれはできないと言った。黛の親にも紹介してるし、
結納の段取りを決め、結婚式場も何件か当りをつけているから、今更別れるわけにはいかないと。
俺は、それなら俺も手伝うから、とりあえず彼氏に合わせろと言った。黛では強く言えな
いことがあるだろうから俺が話すと伝えた。だが、黛は断った。これは私の問題で俺が
出る話ではないと。でも、俺もここで引けなかった。お前は大切な友達だ。その友達が
こんなに苦しんでいるのに見過ごすことはできない。
今考えれば、これは自分勝手な発言だったと思う。彼氏からしてみれば、突然知らない
男が来て攻め立てられたら確実に不快感を持つだろう。場合によっては逆効果になる。
でも、その時はそんなことは考えられず、とにかく黛を彼氏と別れさせるには直接会って
話をつけるしかないと思った。
黛を促し、彼氏に会いにいく。彼氏は実家にいるとのことなので、黛の家に呼び出して
もらった。
彼氏を待つ。その間、黛は無言だった。
俺は頭をフル回転させ、言葉の組み立てを考えた。この話のゴールは彼氏を見極めること、
その上で黛を彼氏から引き離すことだった。
もし、彼氏が真剣に黛のことを考えていても、一旦離すべきだと考えていた。だが、完全
に引き離すのか、様子見をすることにするのかを判断したかった。
彼氏が来た。入った途端に誰だよコイツと言うので、名前を名乗り黛の友達だと言った。
その後、黛が心を痛めているので元カノとの縁を切って欲しいと話す。
しかし、彼氏は、それは俺らの問題であなたには関係ない、また不法侵入だから警察呼ぶと脅してきた。
だが、ここではいそうですかと出て行くわけにはいかない。
何とか話を聞いてもらえないかと話す。
すると、とりあえず家を出て外に行くことになった。
近くの公園に行く。空が曇っていて少し寒かった。
俺は黛から聞いている話をし、彼氏に間違いないか確認した。彼氏はおおよそ間違いないと言った。
そこで私が再度、元カノとの関係を完全に清算し、縁を切って欲しいと頼んだ。
彼氏は元カノとは縁を切ると言ってくれた。
しかし、子どもの養育費は払わなければならないし、週に一度は子どもと会うことになっている。
そのため、完全に縁を切ることはできないと言ってきた。
向こうの言い分も少しは分かる。そりゃ子どもはかわいいし、子どもに罪はない。
しかし、それなら元カノと復縁すればいいのではと黛は言った。
なぜ、私との関係を維持しようとするのか?
好きだからという理由ならいらない。そんな当たり前の話ではなく、
ではなぜ好きなのに私を苦しめるのか?元カノとどちらが好きなのか?
その問いかけに対する彼氏の答えは残酷だった。
どちらも好きだと。
ただ、元カノとのことに関しては親が許してくれないから結婚できないと。
この瞬間、俺は完全に諦めた。黛は泣き崩れた。こいつにはもう何を話しても無駄だと
悟った。
だから、俺は黛を奪った。お前にはもう無理だ、こいつのことは俺が引き受けるから
お前は元カノと復縁できるように親を説得しろと。
彼氏はふざけるなと言った。俺はお前こそふざけるなと言った。お前なんかに黛を
幸せにすることなんてできない。元カノの二の舞どころか元カノ以上に悲惨な目に会う
ことは見えていると。
すると、彼氏は、でも俺は黛を愛しているし、黛も俺を愛してると言った。
それに対して黛は何も答えずただ、泣いていた。そこで俺はでたらめをでっち上げ、彼氏
にこう言った。お前が気づいてないだけで、実は黛は俺のことが好きになっていた。
だから、お前のことなんざもう愛してるわけないと。
当然、そんなはずあるかと彼氏は怒り狂った。だから、俺は黛にキスをした。
そして、黛の手を引き、その場を去った。
公園を去り、新宿行きの電車に乗った。黛はずっと泣いていた。
俺は新宿のビジネスホテルに黛を連れて行き、彼女に今日はそこに泊まるように言った。
そして、明日の朝迎えに来るからと言い、俺は家に帰った。
翌日、会社に休むことを伝え、ホテルに向かった。黛はまだチェックアウトしてなかった
のでホテルのロビーで待つことにした。
一時間ほど待つと、黛が現れた。そばに駆け寄るが、憔悴しきっていた。たぶん一睡も
できなかったのだろう。
ホテルをチェックアウトし、ファミレスに向かった。
そこで、今後についてどうするか聞いてみた。何も考えられないと答えが返ってくる。
とりあえず、何か口に入れないとこのままでは倒れてしまうと思い、スープを注文した。
黛に食べるように促すと、三口ほど食べた。すると少し和らいだ表情になり、少し
寝せて欲しいと言うので、寝せておいた。
三時間ほど経ち、黛は目覚めた。顔色もいくぶん良くなっているようだった。
改めて今後について聞いてみる。黛にも俺にも仕事があるため、このまま何もしない
わけにはいかなかった。
黛は、もう彼氏の家には戻らないつもりでいるみたいだが、そうも行かない。とりあえず、
家を探さなくてはいけないし、彼氏の家にあるいろいろなものを取りにいかなくてはいけない。
そこで、まずは彼氏の家から必要なものを取り返すことにした。おそらく今日は彼氏も
家で呆然としていることだろうと思い、翌日行くことにした。そのため、会社に翌日も
休むと伝えた。
黛はまだフラフラしていたので、休んだ方がいいと判断し、先ほどとは違うホテルを
探して泊まらせた。その間、俺は仲のいい女友達に頼み、服を何着か買ってきてもらった。
翌日、彼氏の家に向かった。幸い、彼氏はいなかったが部屋はめちゃくちゃに荒らされて
いた。
最低限のものを持ち出し、家を出た。俺は彼氏がここで来たらどうしようかと思っていた
が、取り越し苦労に終わってほっとした。
その後、ウィークリーマンションを探して契約し、この間ようやく新しい家が見つかった
と連絡が来た。皮肉にも彼氏との結婚用の貯金が役に立った。
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