うだるような夏の午後、刺すような日差しに悩まされながら、とある大通りの歩道をさしたる目的もなく歩いていた。
駅から歩き始めてほどなく、平屋建ての古い建物が多くなった。
しかしそこは有名大学がある街。
一軒の古書屋に入った。
「ウラモノあるよ」
ステテコにメッシュの半袖で、鉢植えの朝顔に水をやりながら、店主らしき男が声をかけた。
店に入ると、棚という棚に冊子が。
うずたかく積まれた冊子は、もれなくビニール袋とセロテーブで包装されていた。
いくつかを手に取ってみたが、いずれも大事な部分が消されていた。
後学のためを思い、2冊買って持ち帰った。
後日、リピートすると、前回のお店の先にもおそらく数十件程度の古書店さんがあり、いずれのお店にも、ビニールで包装された冊子は置かれていた。
今でも不思議なのは、古書店街のお客はおろか、その通りを歩いている人でさえ見当たらず、もっぱら一人で先行していた感がある。
もっとも、平日で人がいないのは、プラプラしているのは私だけ、といった反証に過ぎなかったのかもしれないが。
関係ないが、パクられたからと言って、ガソリンで特攻はやめてもらいたい。