「それじゃ話は終わっちゃうのよ」
コンビニの外ベンチでるみさんはコーヒーを飲みながらそう言った。
「いいお天気ですねえ」
ひと声かけて立ち去るつもりだった。
「旦那がまた入院しちゃって」
「そりゃ大変だ。早く行ってあげないと」
そそくさと車に乗り込もうとした時、またあのアヒルのような口が。
それから数日後には訃報があった。
『未亡人になってしまったのか』
年甲斐もなくとは言うが、百年後の浦島太郎は、きっとこんな気持ちに違いない。
玉手箱の中からは煙が。
そしてまた百年の恋に。